盲導犬情報 準備号(1994年1月)



内容


なぜ「盲導犬情報」を発刊することになったのでしょうか

日本で初めて盲導犬が訓練されたのは1957年(昭和32年)のことです。それから35年後の92年には、日本で盲導犬を使用して歩いている視覚障害者は 731名になりました。盲導犬協会も8カ所に増えテレビやマスコミに盲導犬が取り上げられることも多くなりました。では、それに正比例して盲導犬に対して正しい知識を持っている視覚障害者は増えているのでしょうか。残念ながら、1991年に関西盲導犬協会が、日本ライトハウス・国立身体障害者リハビリテーションセンター・京都府視覚障害者協会・京都ライトハウス・京都府立視力障害者福祉センターおよび京都府・亀岡市の協力を得て行った盲導犬に関する調査によれば、約60%の視覚障害者が、盲導犬に関してごく少ない情報しか持っていないか、ほとんど持っていないと答えています。しかも、その情報源として多くはマスコミや口コミをあげ、盲導犬訓練施設や歩行訓練士からという人は、両方合わせても20%に満たない状況でした。(この「盲導犬の需要等に関する調査」の結果についての詳細は、4月末日発行予定の次号に掲載します。)

今更言うまでもないことですが、視覚障害者が歩くときに利用する補助手段はいくつかあります。盲導犬もその一つですし、白杖や晴眼者の手引き、電子機器といったものを使うという方法もあります。もちろん、それらの手段は組み合わせて使うこともできます。また、いつでも決まった一つの方法を利用しているのではなく、時間や場所によって使い分けることもできます。そして、どの方法はどの方法に比べて良いとか悪いとか、 そういった優劣をつけることはできません。なぜなら、一人一人の視覚障害者にとって、またいろいろな状況の中で、どういった方法がよりよいのか、ということはそれぞれ違ってくるからです。白杖を使用して歩くのか、盲導犬を使用して歩くのか、あるいはその他の方法を利用して歩くのか、いくつかの方法を組み合わせて歩くのか、大切なことは、「どれか」ではなく、それを「どう判断するか」ということです。そして、その判断は誰かが勝手に決めるものではなく、視覚障害者自身が、専門家の意見を聞きながら選んでいくべきものではないでしょうか。

しかし、そのためには、まず判断するのに充分な情報が必要です。例えば、日本ライトハウスが厚生省の委託を受けて行っている歩行指導者養成課程を修了した歩行訓練士だけでも全国で約300名います。ですから白杖や晴眼者の手引きなどについては、専門家の意見や情報を求めることが比較的簡単に出来ると思います。それらと同じように、盲導犬に関する情報ももっと充分に行き渡るようになるべきではないでしょうか。盲導犬なんてみたこともない、という人が盲導犬で歩くことを考えてみるための情報はもとより、既に盲導犬を使用している人にとっては、より盲導犬との生活が楽しめるような情報ももっともっと必要なのではないかと思います。

そこで、

  1. 盲導犬使用者に対して、盲導犬を利用するうえで有益な情報を提供すること
  2. 今後、盲導犬を利用したいと考えている視覚障害者に対して、盲導犬に関する情報を提供すること
  3. 視覚障害者福祉に関係する施設・団体・および専門職員に対して、盲導犬に関する情報を提供すること
を目的として、盲導犬に関する情報誌「盲導犬情報」を発行し、より積極的な情報提供に努めることを考えました。

より深く「歩く」ということを考え、視覚障害者にとって、より充実した質の高い歩行を実現するために、盲導犬使用者もそうでない方も、各盲導犬協会関係者も、白杖での歩行訓練関係者も、またそうでない方も共にみんなで考えていきませんか?

エンジョイ・ウォーキング・デー報告

近年、テレビ・新聞などのマスメディアで盲導犬が話題の一つとして取り上げられる機会が増えてきました。しかし、それらマスメディアで扱う盲導犬に関する情報のほとんどは晴眼者を対象にしたものであり、本来情報を必要としているはずの視覚障害者を対象としたものではありませんでした。そこで、関西盲導犬協会では、盲導犬に関する情報をもっと積極的に視覚障害者に提供していくべきだと考え、一昨年・昨年と二年続けて9月23日に”エンジョイ・ウォーキング・デー”というイベントを開催しました。目で見て知ることの出来ない視覚障害者に対して、実際に盲導犬にふれ、盲導犬で歩いてみることによって、盲導犬や「歩く」といくことについてより深く知ってもらおうというわけです。

今回は92年のエンジョイ・ウォーキング・デーの参加者にご協力いただいたアンケート調査の概要と、93年のエンジョイ・ウォーキング・デーの様子をご報告します。また、エンジョイ・ウォーキング・デー92のテーブルスピーチの中から、阪口稔さんの「パチンコに一人で行きたくて」の一部をご紹介します。

「盲導犬と歩く楽しさを知っていますか?」
   =92年 アンケート調査の概要=

第一回目であった92年のエンジョイ・ウォーキング・デーの申し込み者は113名、当日の参加者は101名、そのうち92名の方が盲導犬との歩行を体験されました。そして、当日参加された方々にアンケートによる調査に協力していただき、エンジョイ・ウォーキング・デーについての感想や意見、また、日常生活での歩行手段や訓練に対する希望などについてもお聞きしてみました。

*   *   *

アンケートは、二つの方法で行いました。まず、当日体験歩行をした後に対面方式で行ったアンケート調査では、85名の方が協力して下さいました。

「体験歩行は、どうでしたか?」という質問に対して、

楽しかった 79名(92.9%)
楽しくなかった 1名( 1.2%)
何も感じなかった 0名
その他 4名( 5.9%)

という結果になりました。「その他」を選んだ人の中には、「緊張した」「わからない内に終わってしまった」といった意見がありました。

「体験歩行をされて、今までの盲導犬のイメージと比べてどうでしたか?」という質問に対しては

思った通りだった 45名(52.9%)
少し違っていた 30名(35.3%)
全く違っていた 0名
特に何も感じなかった 3名( 3.5%)

となり、具体的にどの様なイメージを持ったのか11項目の中から選んでもらうと、ほとんどの人が「おりこう」「おとなしい」を選び、次いで「安全」を選んだ人が多くいました。「少し違っていた」と答えた人は、他の人たちに比べると「簡単」を選んだ人が少なく、逆に「難しい」を選んだ人が、やや多いようでした。

最後に「このようなイベントがあればまた参加したいですか?」という質問に対しては次のようになり、今後もこういうイベントに参加したいと考えている人が多いことが判りました。

ぜひ参加したい 77名(90.6%)
参加したくない 2名( 2.4%)
どちらでもよい 4名( 4.7%)
無回答 2名( 2.4%)

*   *   *

もう一つのアンケートは、当日参加者に配り、後日協会に郵送してもらうという回収方法をとりました。回収されたアンケート用紙は80通でした。

「エンジョイ・ウォーキング・デーは楽しんでいただけましたか?」という質問に対しては、

楽しんだ 75名(93.8%)
楽しくなかった 2名( 2.5%)
どちらともいえない 1名( 1.3%)
無回答 2名( 2.5%)

となり、楽しくなかったと感じた人もいたものの、多くの人がエンジョイ・ウォーキング・デーを楽しんだようです。

どのコーナーが楽しかったのかを具体的にあげてもらうと、「体験歩行」をあげた人が66名(82.5%)と最も多く、次に「仔犬と遊ぶコーナー」44名(55%)と、やはり直接犬と触れ合うコーナーの人気が高いようです。

「盲導犬に対する理解は深まりましたか?」という質問に対しては、

十分である 18名(22.5%)
まあまあ理解できた 32名(40%)
ふつう 6名( 7.5%)
もっと詳しく知りたいと思った 28名(35%)

となりました。

次にアンケート回答者の日常生活での歩行状況についても聞いてみました。  
「外出するときの主な方法は?」という質問に対しては

白杖 29名(36.3%)
白杖と手引きの併用 23名(28.8%)
手引き 13名(16.3%)
補助的手段を何も用いない 10名(12.5%)

となり、手引きとの併用者も含めると、65%の人が外出時に白杖を使用していることが判りました。

「今後なんらかの訓練を受けたいと思いますか?また、どのような訓練を受けたいですか?」という質問には59名(73.8%)の人が訓練を受けたいと考えており、どんな訓練かについては、41名(訓練を受けたいと考えている人の69.5%)が盲導犬の訓練をあげています。エンジョイ・ウォーキング・デーに参加した人を対象にしたアンケート調査ですから、盲導犬の訓練希望者が多いのは当り前かもしれませんが、その年齢層をみてみると、若年者層や高齢者層は30%程度の人が希望しているのに対して、中年者層では、30才代64.3%・40才代83.3%・50才代53.3%とその占める割合が多く、年齢によって差のあることがわかりました。

また盲導犬の訓練希望者の内、白杖の歩行訓練経験者は32名、訓練経験がないのは僅か9名でした。日常の歩行手段では、白杖だけを使っている人(14名)や白杖と手引きを併用している人(16名)と、単独歩行をしている人は75.6%と多く、逆に手引きのみを利用している人は9名とあまり多くありませんでした。現在の歩行方法に対する満足度については、18名(45%)の人が「満足していない」と答えていますが、「満足している」と答えた人も10名(25%)いました。一方、白杖の歩行訓練希望者(13名)で「満足していない」と答えたのは11名(84.6%)でした。

訓練の方法としては共同訓練を入所で希望する人が最も多く約半数近く(19名)いましたが、次に多かったのは訪問を希望する人(13名・30.2%)、通所を希望 しているのは9名でした。

これらの結果を整理してみると、

  1. エンジョイ・ウォーキング・デー については、ほとんどの人が楽しみ、イベントに対して肯定的であったこと
  2. しかし、中には「参加はしたいが 内容をもっと充実させて欲しい」「もっと詳しく知りたい」といった声もあり、参加者に提供できた情報はまだまだ不十分であったこと
  3. エンジョイ・ウォーキング・デー に参加した全ての視覚障害者が一様に盲導犬を希望しているわけではなく、またどんな訓練をどのような方法で、といったニーズは多様であること
  4. 盲導犬の訓練を希望しているのは単独での歩行に困っている人よりも、実際に単独で歩いていて、なお幅広く自分の歩行スタイルについて考えている人の方が多いのではないか
といったことが考えられます。

「楽しく歩くだけではもったいない!」
   =エンジョイ・ウォーキング・デー93報告=

昨年のエンジョイ・ウォーキング・デー93は、小降りになってきたかと思うとまた本降りになるというあいにくの天気の中で始まりました。そのため会場を急きょ屋外からロビーに移し、少々狭い思いをしながらの開会式となりました。地元京都から来て下さった京都ライトハウス鳥居寮所長・田尻彰氏、遠く埼玉から来て下さった国立身体障害者リハビリテーションセンター学院教官・坂本洋一氏のお二人に挨拶していただいた後、訓練センター・多和田所長より盲導犬についての簡単な説明がありました。その中で盲導犬と歩く上で一番大切なキーワードは「グーッド、グーッド」であると説明を受けた参加者全員は、何度も「グーッド、グーッド」の大合唱をしてこの大事な言葉を練習しました。その後、現在、訓練中の犬二頭を指導員が連れて参加者の間をまわり、参加者に犬ってどんなものなのか、実際に触ったりしてみてもらいました。

そうこうしている内に雨もようやく小降りになり、レインコートを着て体験歩行を始めることになりました。同時に各コーナーも開始となり、屋内では、盲導犬や生活訓練・弱視者からの質問・相談を受けるコーナー、屋外では、去年も好評だった仔犬と遊ぶコーナーをはじめとして「モーワットセンサー」という電子歩行補助具などの紹介コーナーや盲導犬チャリティグッズや授産所製品の販売コーナー、屋台といった去年通りのコーナーがテントの下で行われました。

去年、体験歩行・仔犬と遊ぶコーナーに次いで好評だったのは、テーブルスピーチでした。今年も四人の方にテーブルスピーチをお願いし、外にいる人にも聞いてもらえるように、今年は放送を屋外にも流しました。スピーチの内容は次のようなものでした。

そして、朝からの雨がようやくやみ始めた頃、「ミニミニ大運動会」が始まりました。参加申し込み時に運動会の参加希望者を募り、センター前の道を一時封鎖してのリレー大会です。一チーム七名で、きりんさんチーム・かめさんチーム・いるかさんチーム・ぶたさんチームの四チームに分かれて、一人約1kmを速さだけでなく楽しさを競って走りました。次の人に渡すバトンは、各々のチームのぬいぐるみで、ランナーは各々のぬいぐるみを背中にしょって走ります。ぶたを背負ってトン走する人もいれば、かめを背負って本当のかめさんになってしまった人、”いるかを乗せた壮年”もいて、ユニークな大運動会となりました。

午後にはすっかり雨もあがり、結局、今年のエンジョイ・ウォーキング・デーの参加者は77名、体験歩行をした人は76名となりました。今年は、一人当りの体験歩行の時間をある程度確保するために申し込み定員を85名としたので、去年に比べると参加者は2割ほど少なくなりました。しかし5才の子供から65才まで、参加者の年齢層は幅広く、また富山や神奈川といった遠方から参加される方が増えました。

*   *   *

「歩くことを楽しむ」なんて何でもないことのようですが、さて、視覚に障害のある方でどれほどの方がこのことを実の方が盲導犬での歩きを知り、知った上で今の歩行方法を選んでいるのでしょうか。自分に合った歩行方法を見つけるための一つのステップとして、これからもエンジョイ・ウォーキング・デーを開催していく必要はありそうです。

「パチンコに一人で行きたくて」
=92年テーブルスピーチより=

ただいま紹介していただきました、大阪の枚方から来ました阪口稔です。

まず最初に、お話する前にお断りしておきますが、私は弱視ではありますけれども、墨字はもちろんのこと点字も盲学校を卒業すると同時にどっかに置き忘れてきたような感じで、全く今日のこの話の内容も書いてまとめることが出来ず、とりあえず、ぶっつけ本番でやらせてもらいます。ですので話の内容が支離滅裂になるかもわかりませんが、そこのところは皆さんの方でご理解お願いします。

さて、私が関西盲導犬協会の事を知ったのは、この後に話をされます小林さんからお聞きしたわけです。彼女の話の中で「阪口さん、盲導犬というのはものすごく楽やねん。安心して歩ける」って言われてね。だから僕はエーって思って内容を電話でお聞きしたところ、子どもを保育所へ送り迎えしてはるとか、お買物にも行ってはる、それと聞いていくと、どうもカラオケまで盲導犬と行っているらしい。その声がものすごくはずんでいるというか、明るい。だから、ひょっとして何かあるなと思って、次に電話をもらったその週の日曜日に、こちらの盲導犬協会に昼から見学の申し込みをしたわけです。

その時に、話せば恥ずかしいんですけども、これはまた今のテーマにもなっているので話さないと仕方ないです。多和田所長さんに「阪口さん、盲導犬がなぜ必要ですか」と、どのような理由で必要かということを聞かれ、まさか僕はそういう具合いに質問されるとは思ってなかったんでねえ。「目が悪いから必要なんです」というような一般的なことで来たものですから、多和田所長さんにそれを言われて「ええっ」てうろたえてしまって。

その時に、毎日のようにパチンコに行っていたんです。恥ずかしい話ですが、ほとんど毎日の様に、8時に仕事が終わって半時間でも1時間でも、うちのおかあちゃんに「おい、連れてってくれ」と言って送ってもらい、家内が家に帰ってあとの片付け、明日の僕のおかず、子どもの弁当の支度をしてから、また迎えに来てくれるわけです。今から考えたら、本当に申し訳ないと思うんですけども。まあそういうわけで、それも勝っていればいいんですよ。まあ勝つわけはないんですけどね。目のいい者でも負けるパチンコを、僕らみたいに玉がどっちに飛んでいるのかわからんような人間が勝つわけはない。ところが一ヶ月に1回とか、時たま勝たせてもらいますんでね。その味が忘れられん。毎日、今日は勝てるんじゃないかなと思って行っているわけです。1万円持って行けば、5千円になり4千円になり3千円になってくる。もういい加減に迎えに来ればいいのになあ。イライラ、イライラしながら、待っているわけですよ。勝っている時はいいですわねえ。負けるとなったらみじめなもんです。逆に、玉が出始めた時には本当に運の悪い。よしよし昨日の分を戻してやろうと思った時に限って、迎えに来るんですわ。そういう生活にどっぷりつかってました。日常生活にしてもそうです。自分のペースで物事を運ばないと気のすまない性格でしたのでね。相手のペースも習慣も考えもせずに、ちょっとこれしてくれ、あれしてくれと用事を言う。「お父さん、お父さんのペースで地球がまわっているわけじゃないんだから、ちょっと待って」って、よく言われたもので す。

そういう時に自分で行き帰りできたらいいなあと思っている時に、さっきも話に出ましたように、多和田所長さんからそういう具合いに「なんで盲導犬が必要ですか」という事を聞かれたので、とっさにそれを「パチンコ」って答えてしまった。その時に、「ああ、しまった」って思ったんですよ。病院の眼科にも行きたいし、買物も多いだろうし。でも、もうあきませんわ。すでに遅し、です。だから、ここの関西盲導犬協会の僕の申し込みの中には、目的がパチンコって載っているんじゃないですかねえ。まあ、今までに僕くらいだと思います。だから、そういうようなわけで皆さん方もこれから訓練を受けて利用なされる方は、できるだけ僕みたいな格好の悪い申し込みじゃなしに、仕事、または講義を受けに行くためとか、そこはいいように申し込んで下さい。これは僕自身が恥をかいた。今日みたいに話をしないといけないような立場になってしまいますのでね。

(中略)

共同訓練の話は先ほどから他の人も話をされていますので、とりあえず、僕が一番うれしかった事は、ロージー(阪口さんの盲導犬)がおしっこ、うんちを袋でやってくれる、これが一番自慢したいことです。ロージーがここの関西盲導犬協会で(そういうことをやり始めた)第1号なんです。だからおしっこ、うんちがどこででも出来るのです。これは、一つの例で言いますが、この夏に群馬の方まで行きましたが、京都駅で1回、東京駅で1回、それはまあ女子トイレ、男子トイレでさせるわけですけれども。だからコンクリートの上でもどこでも、人が見ていようとも構わない。そこで出来るっていうことですね。帰りしなも東京駅で1回、京都駅で1回させようと思っていたんですけれども、人があんまりいないので、「よし、1回試してやろう」と思って、新幹線の連結ありますね、ごみを捨てるようなところ、あそこで1回試してみようと思って、やってみたらやってくれたんです。これはうれしかったですね。それから、どこでもやってくれるという自信がついて。そんなことが一番うれしかったのと、訓練を受けている時に感じたのは、25才までは視力がありましたので、一人でなんでも出来たわけです。ロージーと歩いている時に感じたんですけれども、それまで家内の肩を借りながら、またボランティアの人の肩を借りながら歩くのが当然のような感じで歩いていたわけです。でも盲導犬・ロージーを使うことによって一人で歩けたんです。これは僕は25年前はこうやって一人で歩いていたなあと。それで、盲人には一番悩んでいたものが解決されるんじゃないかと、そういう具合いに感じたわけです。

(中略)

(ロージーと生活するようになってから)まず朝6時からロージーと一緒に散歩します。50分か1時間くらい時間をかけて散歩をします。その結果、今まで悩んでいた血圧も下がっています。運動すれば必ず下がるとは知っていましたが盲導犬で下げようとは思ってもみませんでした。それと家の中の雰囲気がものすごく変わりました。子供自身も(ロージーが来るまでは)「来たかて知らんで」と言っていたんですけれども、いざ来ると今は一番ロージーを可愛がっている。僕がテレビを見ながら横でロージーと話しているのを聞いていますと、「おまえ茶色いほうがええで。茶色いほうが格好ええ。ペンキ塗ったろか」とか「おまえあほか。そこらの犬とかわらへん。俺に吠えやがって」とか。宿題があれば、「おい、俺にかわってやってくれよ。おまえはいいなあ。寝てばっかりいて」そういう具合いに会話をしているのです。今までそういう雰囲気のなかった家の中ですが、そういうふうになってきた。

あまり盲導犬のいいことばっかり言うな、というようなことですので、盲導犬で一番悩んでいることを言うと、うちのロージーは、猫嫌いです。夜中でもそこらを野良猫が走ると夜中でも鳴かれるのでね、どうも猫には弱りました。それぞれ性格が違うように盲導犬もちょっとずつ違い、ロージーはとりあえず猫には弱い。それから、やっぱり毛が抜けるのがつらいですね。 僕が 手入れしていますが、三月、四月でしたらね、丁度抜ける時期。また今(九月)、よく抜ける時期ですね。年に二回も抜けるのが一回ぐらいにならんかなあと思うんだけど、仕方のないことです。それが一番つらいところですかね。

(中略)

それと今日一番言っておきたいのは、僕みたいに少しでも視力が残っている人がおられるでしょうけれども、また、僕は50を過ぎて盲導犬を持ったのですが盲導犬を利用なさるのでしたら、できるだけ早い方がやっぱり楽です。そういうふうに思います、僕は。だから開業をされている方もされていない方も、たくさん今日はおられると思いますが、一ヶ月の訓練を受けるためには仕事もやっぱり延期しなければならない。一ヶ月の金銭的な面ばかりとらわれていると、自分の人生、後の長い人生に対して、大きくマイナスになると思うんです。だから、できるだけ盲導犬を早く入手して、それを自分の人生に少しでもプラスにしていただけるように、僕はそれを、声を大にして言いたいです。仕事を持っている、いわゆる開業している人に特に言いたいです。これだけは、絶対に割り切って、盲導犬の訓練を早く受けて利用された方がいいと、僕の経験からそれは言いたいです。

それから最後に言っておきますと、それまでパチンコに行っていたのが、ロージーが来てからは、いっさい行っていないです。あの臭いムンムンした、たばこのヤニなんかが染み込むようなパチンコ屋に、今は行っていないです。勝手なものです。ロージーと遊んでいる方がずうっと楽しいです。それを言い忘れましたので、ちょっと付け加えておきます。

今後の予定とお願い

今後「盲導犬情報」は、季刊誌として4月・7月・10月・1月の各末日に発行していく予定にしております。

内容としては、

  1. 盲導犬に関する社会の動きについての情報提供
  2. 盲導犬に関する調査・研究論文
  3. 各盲導犬協会訓練施設のリポート
  4. 盲導犬使用者からの便りや文芸作品
  5. 盲導犬についての質問コーナー
などに関する記事を掲載していく予定です。

今回は準備号ということもあり、記事のほとんどが、関西盲導犬協会からのものばかりになってしまいました。しかし次号からは、盲導犬使用者、各盲導犬協会および視覚障害福祉関係者から多くの情報をお寄せいただき、掲載していきたいと考えております。つまり、読者となって下さる皆様が積極的に原稿を送って下さらないと「盲導犬情報」は、準備号だけで終わってしまいかねません。

そこで、盲導犬を使用しておられる方からは、近況報告のようなものから旅行などの体験談、盲導犬とともに利用できる宿泊施設や飲食店の情報などについてエッセイや短歌、俳句など形式にはこだわらずお願いします。また盲導犬を使用していない方も、盲導犬についてお知りになりたいこと、あるいはそれ以外のことでも結構です。積極的な投稿をお待ちしております。また、各盲導犬協会からも各地でのニュースや情報など、お知らせいただければ幸いです。尚、原稿は点字、墨字、どちらでも構いません。

「盲導犬情報」購読の申し込みについて

購読料は無料です。当面は(財)関西盲導犬協会で負担していきます。

引き続き「盲導犬情報」の購読を希望される方は、同封のハガキに下記の必要事項をご記入のうえ、盲導犬情報室宛にお送り下さい。なお、点字によるお申し込みも受け付けます。次号は4月末日に発行予定です。

ご購読申し込みの際の必要事項

  1. 希望される印刷の種類について
    点字版・墨字版・テープ版のうちからいずれか一つをお選び下さい。
  2. 購読される方のお名前・ご住所をお書き下さい。
  3. ご意見・ご要望などがあれば、ご自由にお書き下さい。

また、ご要望が多数あれば、将来フロッピー版での発行も検討してきたいと考えておりますので、希望される方は一言お書き添え下さい。