盲導犬情報 第2号(1994年7月)



内容


旅館・ホテル等の利用について

夏休みに入り、「どこかに連れてって」とねだられているお父さん、お母さんも多いのではないでしょうか。「久しぶりに家族旅行でも・・・」と思ったとき、盲導犬使用者にとって頭の痛い問題は、「どこに泊まろうか」。いえ、と言うよりも「盲導犬で行っても泊まれるところがあるだろうか」と言うべきかもしれません。
 盲導犬に関する調査委員会が1990年10月に発表したアンケート調査報告「社会は盲導犬をどのように受け入れているか」によると、旅館やホテルに利用の申し込みをしたことのある盲導犬使用者166人のうち、76.5%の人が「断わられたことがある」と回答しています。また、ホテル・旅館等の429施設は、「盲導犬使用者から利用の申し込みがあった場合、予想される対応はどのようなものでしょうか?」という質問に対して、24.9%が「断わる」、24.2%が「条件付きで受け入れる」、23.1%が「一般利用客と同様に受け入れる」と答えています。施設側が受け入れを断わる理由として最も多く挙げているのは、「障害者と盲導犬を受け入れるのに適当な設備を整えていないから」というものです(53.3%)。また、「条件付きで受け入れる」と回答した施設でも「盲導犬を施設内に入れないこと」を条件に挙げたのは26.0%でした。
「もう旅行になんか行く気がしなくなっちゃった」
思わず、そうつぶやきたくなった方も多いのでは…。

アメリカなどでは、盲導犬使用者に対して公共の宿泊施設・交通機関の利用を法的に保障しており、その利用を拒否した場合には罰則規定もあるそうです。しかし、日本の場合は、法的な拘束力のない通達が出されているに過ぎません。
 たとえば、1980年 9月には、環境庁が「国民宿舎等休養施設の管理運営について」という通達を出しています。その中には、「盲導犬を伴った盲人の利用について、十分協力し、盲導犬を正しく理解するようにつとめること」とあります。
 1981年 1月には、厚生省が、旅館、飲食店等の利用について「関係方面の理解が深められるように特段の御配慮をお願いします」という通達を出しています。
 また、簡易保険・郵便年金加入者福祉施設(「かんぽの宿」と呼ばれている宿泊施設など全国96施設)の利用については、1981年 4月に通達が出されており、郵便局の簡易保険・郵便年金の加入者であれば盲導犬使用者も利用できます。
それから少し間が空いて、1991年 4月に運輸省が出した「身体障害者のホテル・旅館等の利用について」という通達の中には、「他の利用客の利用にも配慮しつつ、積極的にその受け入れに努めること」とあります。
 去年の10月には、国家公務員等共済組合連合会の全国68の直営宿泊施設に対して、「盲導犬同伴の宿泊等については、厚生省の通達を踏まえて受け入れることを徹底するように」との通達が出されています。
 その他、日本観光旅館連盟が出している「日本観光旅館連盟会員案内」では、会員施設8098軒の旅館名・所在地・連絡先等が掲載されていますが、その中の「付帯施設」の欄には盲導犬使用者の利用を受け入れいている施設に関しては、そのことが明記してあります。1993年 7月現在で受け入れ施設は1724軒(21.3%)です。日本観光協会が発行している「政府登録ホテル・旅館ガイドブック」にも同じ様な記載があります。
 本来ならば、盲導犬を伴っての利用に拒否があっていいはずはなく、従って受け入れているかどうかのマークがあること自体、おかしな話であるわけですが、「無条件でお断り」というところがほとんどだった以前に比べれば、少しは改善されてきたと言うべきなのでしょうか・・・。

行きたい場所、泊まりたい施設を選んで、その利用を断わられた場合に交渉していくのも一つの方法。受け入れ可能の施設から旅行先を選んでいくのも、仕方がないけれど一つの方法です。でも、一日も早く、盲導犬使用者も一般の利用客と同じ待遇を受けることが当り前の社会にしていきたいものです。
 今からでは、夏休みの計画には間に合わないかもしれませんが、これから秋の観光シーズンに向けて、旅行の計画でも練ってみてはいかがですか?

ところで、前出のアンケート調査報告の中で、盲導犬使用者を受け入れたことのある旅館・ホテル等72施設の内、21施設が「盲導犬使用者の利用にあたって、問題を感じた」と答えています。その中で「盲導犬の臭いや脱毛が気になった」という回答が 5件ありました。旅館・ホテル等の施設側への啓発はもちろんですが、盲導犬使用者側のマナーも大切です。周囲に付いた犬の毛を取るための粘着テープや毛が散るのを防ぐダスターコートなど、状況・必要に応じて「出かけるときは忘れずに」。

全国盲導犬使用者の会 11月23日 結成予定

広島市  清水 和行

はじめに

4月に「盲導犬情報」創刊号に、盲導犬使用者の全国的な組織作りについて書かせていただきました。その後、 5月 4日にも東京で準備会をもちましたし、また少し進展したこともありますので、この紙面を借りてご報告したいと思います。

会の名称と会員について

この会は盲導犬使用者を中心にした全国的な組織にしようと思っています。そこで、名前は「全国盲導犬使用者の会」というのが、最も一般的でわかりやすいのでは、という意見が多いようです。
 しかしながら、数ある視覚障害者団体の中で全盲の占める割合が最も大きく、また財政的にも苦しいことが予想されるので、私たちの活動を理解し支援して下さる賛助会員も募集しては、と思っています。

会の目的と事業

硬い表現をさせていただくならば、「全国の盲導犬使用者の親睦をはかると共に視覚障害者が盲導犬と共に安全で快適な生活を実現するための活動を行うこと」がこの会の目的です。
 日本の盲導犬普及率は、イギリスやアメリカに比べればはるかに低い。私たちは今後盲導犬を必要とする他の視覚障害者のためにも、全国的な視野にたって活動していきたいと考えているのです。
 具体的には、1.交流会、2.情報交換、3.会報の発行、4.社会への啓発、5.無理解によるトラブルの処理、などの事業を展開していきたいと思っています。まだ担当者も決まっていないので、どの程度のことが出来るか、またどのようなことが望まれているのか、よく考えて計画をたてなければと思っています。

役員について

現在、国内には八つの盲導犬協会があります。これは、日本をエリアによって合理的に八分割したものではなく、各協会ごとに紆余曲折を経て、現在の状態に落ち着いているのが現状ではないでしょうか。残念ながら盲導犬協会同士が一本化されていないのです。従って各協会ごとに盲導犬や使用者に対する考え方がおのずと違っているようです。
 私たちは盲導犬を使っているので、比較的盲導犬についてはよく知っているつもりでいますが、交流の少ない他の協会のことについてはよく分かりにくいのです。そこで、会を運営する役員には各盲導犬協会出身の使用者に、少なくとも一人は加わっていただければと思います。全国の盲導犬使用者の意見を充分に反映させるためにも、できるだけバランスのとれた役員体制が望まれます。

財政

私が最も苦慮していることの一つが、会の運営を支える財政です。  全国的な活動を展開するには役員の交通費だけでも10万円単位のお金がかかります。仮に全国の盲導犬使用者が全員入会していただいたにしても、これだけの資金を安定して集めることは大変難しい。
 また、自分たちのための活動といっても、遠方の会員が総会に参加することすらなかなか大変であり、あまり多くの会費を徴収することもかえって会員減につながりかねません。
 そこで、会費はできるだけ安く押え、まずは会員の確保を優先し、ゆとりのある人には二口、三口と納めていただくというやり方をとってはと思っています。もちろんそれだけでは足りないので、賛助会員制を導入するとともに、寄付にも頼ろうと思っています。ただし、寄付については盲導犬が企業や団体の宣伝などに利用されないように最善の注意を払うつもりです。

結成総会について

今年はくしくも「戌歳」です。出来れば今年中にこの会が産声をあげればと願っていました。
 しかし、盲導犬とはいえ、20〜30頭もの盲導犬を一度に宿泊させてくれるところを探すのは大変なことであり、また会の見通しもたたないまま、会場費の高い所を予約するのも勇気がいることです。
 そこで準備会でいろいろと相談した結果、今年11月23日(祝)に東京の戸山サンライズで「全国盲導犬使用者の会」結成総会を開催することにしました。いままでご報告してきた内容に沿って、具体的な準備に入らなければと考えています。

終わりに

私たちは盲導犬のおかげで毎日「安全」で「快適」な歩行を取り戻しました。この喜びを多くの仲間と語り合い、様々な問題を共に解決して、これから盲導犬を使って歩こうという人のためにも、ぜひこの会を大きく育てていこうではありませんか。ご意見やご感想のある方、またぜひ協力しようという方がありましたら、盲導犬情報室までお便り下さい。

施設紹介(1)

前回は、盲導犬での歩行指導を実施している8協会9ヶ所の名称と住所をご紹介しました。既にご存じの方も多いと思いますが、これら8協会は、それぞれ独自の組織で運営されています。そこで、今回からは、この8協会を北から2協会ずつに分けて、もう少し詳しくご紹介していきたいと思います。
 なお、各協会を紹介するにあたっては、それぞれの協会に原稿をお願いし、ご協力いただきました。

財団法人 北海道盲導犬協会

北海道は日本の北に存在し当然のこととして冬季の寒さと積雪が問題となります。特に積雪は1〜2mにもなり視覚障害者の単独歩行を困難なものにしています。当協会は、昭和45年札幌市福祉センターに集う若者の活動から生まれ、現在までに、248頭の盲導犬を育成するとともに、中途視覚障害者の社会適応訓練事業として白杖による歩行訓練、日常動作訓練、職業前訓練としてAOKワープロの指導と職業訓練以外の全ての訓練指導を実施するリハビリテーション施設として活動しています。

 当協会の特徴を幾つか説明いたします。

  1. いかなる積雪状況にも対応できる盲導犬を育成しています。
    犬の訓練期間を 9月から翌年の 4月までの冬季間、積雪時に実施することにより全ての犬が積雪道路でも戸惑うことなく誘導しています。
  2. 犬の訓練期間を冬季間に行うことにより、共同訓練(視覚障害者と盲導犬との指導期間)を気候の良い春から秋の間に実施できます。
  3. 盲導犬を左右どちらでも使用することができます。
    視覚障害者が晴眼者同様に自由な歩行が可能となるよう、道路の右側を歩行するときは右手で盲導犬を使い、左側を歩行するときは左手で使用することができます。
  4. 万全のフォローアップを受けることができます。
    卒業(盲導犬取得)後直ちに現地での指導訓練が受けられる、また卒業後最初の冬季には冬季フォローアップが実施されます。
  5. 盲導犬ユーザー(使用者)の会が結成されており、相互の親睦と社会啓発などの活動をしています。また、毎年8月には「ユーザー研修会」が開催され盲導犬に関する諸問題を討論しています。
  6. 盲導犬としての活動が終了した老犬を飼育するための施設(老犬ホーム)があり、ユーザーは安心して次の盲導犬と活躍できます。

これらの特徴を発揮するために職員14名で活動しております。
 尚、当協会についてのご質問、ご意見などお寄せいただければ幸いです。

財団法人 栃木盲導犬センター

財団法人栃木盲導犬センターは、JR宇都宮駅から西に約15キロ、古賀志山の麓近くにある栃木県立盲学校・栃木県こがし学園に隣接して建っています。1973(昭和48)年に、栃木県にも盲導犬作出施設を、という視覚障害者の願いにより、盲導犬センター設立準備会が結成されました。そして、その翌年の11月に、市民の有志の協力を得て、設立が許可されました。また、1990(平成 2)年には、国際盲導犬学校連盟正会員の認定を受けています。視覚障害者の社会生活の範囲を拡大するとともに、視覚障害者福祉の向上に資することを目的として、盲導犬の育成・訓練ならびに視覚障害者に対する歩行指導を行っています。現在は、栃木県・茨城県・千葉県・山形県といった近隣各県ならびに大分盲導犬協会と委託契約を結び、各県の視覚障害者に盲導犬を給付し、視覚障害者福祉に貢献しています。

盲導犬の需要等に関する調査報告(2)

創刊号に引続き、1991年に実施されたアンケート調査の結果についてご報告します。
 前回は、盲導犬を使用していないアンケート回答者526名について、盲導犬に対する関心の度合や情報量、盲導犬使用に対する考え方といったことについて報告しました。今回は、白杖や盲導犬など、使用している歩行補助具の別に関わらず、どのような方法で外出しているのか、といったことを中心にして報告していきます。つまり、どのような歩行補助具を使うにしろ、あるいは使わないにしろ、一人で歩くことが多いのか、それとも手引きを利用することの方が多いのか、といった点からアンケートの結果をみてみたいと思います。

I.アンケート調査の結果

(1)はじめに

アンケート回答者549名全員に対して、「歩行の主な方法は単独歩行ですか、それとも手引きですか?」と尋ねたところ、次のような回答が得られた。

ほとんど単独歩行 44.7%
どちらかと言うと単独歩行の場合が多い 15.7%
単独歩行と手引きがほぼ半分半分 14.2%
どちらかと言うと手引きの場合が多い 6.6%
ほとんど手引き 16.6%

このうち、「ほとんど単独歩行」「どちらかと言うと単独歩行の場合が多い」と回答したグループ(以下、単独グループと言う)と「単独歩行と手引きがほぼ半分半分」と回答したグループ(以下、半々グループと言う)、「どちらかと言うと手引きの場合が多い」「ほとんど手引き」と回答したグループ(以下、手引きグループと言う)の3つに分けて、以下の項目についてみていきたい。

(2)歩行時の補助的手段は?

「単独歩行の場合に使用する補助的手段は何ですか?」と尋ね、「白杖・盲導犬・電子機器・補助的手段を何も用いない・その他」の中から選んでもらった。全体では、白杖使用者の占める割合は75.9%、盲導犬使用者4.6%、電子機器0.4%、何も用いない18.4%、その他3.0%となっている。
 単独グループでは、白杖使用者(64.8%)の次に「何も用いない」と答えた人(26.7%)が多く、これは、歩行時には困難を感じない程度の視力のある人たちであろうと思われる。盲導犬使用者は5.3%だった。
 半々グループでは、白杖使用者が占める割合が一番多く、78.9%。盲導犬使用者は4.8%だった。
 また、手引きグループでは、白杖使用者(62.0%)の次に多いのが、無回答(27.2%)の人だった。これは、手引き以外では外出していない人が無回答と答えざるを得なかったからではないかと推測される。

次に、「現在の歩行方法を修得するために何らかの訓練を受けましたか?」と歩行訓練の経験の有無について尋ねたが、これには大きな差は見られなかった。しかし、単独で歩行している割合が減るにつれ、歩行訓練経験者が少しずつ増えており(単独グループで訓練経験者が61.2%・半々グループで65.4%・手引きグループで70.4%)、これは意外な結果となった。ただ、単独グループに歩行訓練経験者が少ないのは、歩行補助具を「何も用いない」と答えた人が26.7%いることからも、訓練を必要と感じない弱視者が単独グループには多いことも考えられる。

「現在の歩行方法に満足していますか?それとも、満足していないですか?」という質問に対して、「満足している」と答えたのは、単独グループで52.4%、半々グループで43.3%、手引きグループで39.6%。「満足していない」と答えたのは、単独グループで16.3%、半々グループで25%、手引きグループで25.9%となり、単独歩行の割合が減るにつれ、「満足している」と答えた者の割合が減り、「満足していない」と答えた者の割合が増えている。「どちらとも言えない」と答えているのは、それぞれ3割程度となった。

(3)外出の状況は?

外出頻度について尋ねたところ、「ほぼ毎日」と答えたのは、単独グループでは66.5%、半々グループでは48.1%、手引きグループでは23.9%と減ってきている。逆に「週に2、3回」と答えたのは、単独グループで22.3%、半々グループで24.0%、手引きグループで30.6%と増えている。これは、各々の外出の目的の違いが影響していると考えられる。
 たとえば、単独グループの人たちが外出の目的として選んだ項目のうち、通勤と買物が全体の約2割を占める。その他には、娯楽・レクリエーション・サークル活動が約1割。半々グループでは、買物が約2割、その他は、治療のための通院、娯楽・レクリエーション・サークル活動・障害者団体等の活動が約1割。手引きグループでは、治療のための通院、買物が約2割。散歩、娯楽・レクリエーション・サークル活動が約1割だった。
 外出の範囲については、「行きたいところ、行く必要があるところはどこへでも出かける」と答えたのは、単独グループで67.4%の人だったが、半々・手引きグループでは、約5割程度だった。また、「自宅の周辺だけである」と答えたのは、単独グループで5.7%、半々グループで11.5%、手引きグループで15.6%となった。

また、「現在の外出の状況に満足していますか?それとも満足していませんか?」と、今度は方法ではなく状況についての満足度を尋ねると、「たいへん」あるいは「まあまあ満足している」と答えた人の割合は、やはり単独歩行の割合が減るにつれ減っており、「あまり」あるいは「まったく満足していない」と答えた人の割合が増えている。また、「どちらとも言えない」と答えた人は3割程度で、これも歩行の方法に対する満足度を尋ねた結果とほぼ同じだった。
 ただし、「たいへん満足している」と答えた人だけをみてみると、単独グループで8.5%、手引きグループで8.1%と、その占める割合はほとんど変わらなかった(半々グループは3.8%)。

(4)盲導犬に対する考え方

盲導犬を使用していない526名に対して、「盲導犬に関心がありますか?」という質問の回答を各グループ別にまとめてみると、「多いにある」と答えた人が半々グループにやや多く、29.3%となっている。しかし「多いにある」「少しある」と回答した人をまとめてみると、各グループとも約6割を占め、ほとんど差はない。

次に「盲導犬を使用する可能性について考えることがありますか?」という質問に対しては、「考えたことがない」と答えた人の割合は単独グループで51.3%、半々グループで48.0%、手引きグループで38.3%となった。
 「現在は考えていないが、過去には考えていた」と答えている人は、単独グループ20.7%、半々グループ17.4%、手引きグループ27.1%と、手引きグループの中でその占める割合が一番多い。交通環境や高齢、その他の理由により盲導犬の使用はムリと考えるようになった人が別の歩行手段を考えたとき、「手引き」での外出を選んだ人が多かったと言えるのではないか。
 また、「将来的には考えている」「すぐに使用したいと考えている」と、その時期は別にしても盲導犬を使用することを肯定的に考えている人は、単独グループ12.7%、半々グループ27.6%、手引きグループ23.4%と、半々グループが一番多かった。単独で歩く時に用いている現在の歩行手段に対して充分満足しているわけではないが、手引きによる外出ばかりでもない、という人が、一番盲導犬使用を考えているように思われる。

II.まとめ

当然のことながら、外出するときに一人で歩くことの方が手引きよりも上等、ということはない。いろいろな人の中には、単独で外出することに何の問題もない人もいれば、安全面や能率性を考えて手引きを利用した方がいいという人もいるだろう。
 だが、実際には手引きでの外出はどうしても気兼ねしてしまい自由な外出が出来ない、という意見をよく聞く。確かに、このアンケートの結果をみると、単独で外出する割合が減るにつれて、歩行方法に対する満足度も減っている。また、外出方法に左右されて外出回数・範囲が限定されてしまい、自分の現在の外出状況にあまり満足できない、と考えている人も少なくないだろう。
 だが、手引きによって外出していることが多い人の中でも、単独で歩いていることが多い人の中でも、「外出状況に大変満足している」と答えた人は、それぞれ1割弱と、同じくらいの割合を占めた。このことは(これだけの結果からそう言ってしまうのはちょっと乱暴なことではあるが)、どうやって外出しているのか、ということだけが視覚障害者が外出する上で大きな問題になっているのではなく、それ以外の問題、たとえば視覚障害を理由に利用を断わられたり、あるいは充分な利用が出来なかったり、といった外出先での問題がまだまだ多く残されていることを暗に示しているのではないだろうか。


盲導犬情報ボックス

世界の盲導犬事情

国際盲導犬学校連盟の中心的存在であるイギリス盲導犬協会は、今年の「国際盲導犬の日」にちなみ、45ヶ所の盲導犬訓練施設にアンケート調査を行いました。回答があったのは、17ヶ国33施設でした。

回答のあった施設が訓練した盲導犬で、現在も実働している盲導犬の頭数は、1万2867頭。最も多いのはアメリカで5856頭(但し、一部カナダも含む)。次いで、イギリス4103頭、フランス780頭、オーストラリア365頭となっています。

公共交通機関等の利用について、3分の1の施設が「盲導犬使用者がタクシーを利用する上で問題がある」と答えています。フランス、オーストリア、ドイツでは、「映画館は盲導犬を受け入れない」としています。ドイツではまた「ホテルの利用がままならない」としている一方、バスや電車の利用については「たいへん良い状況である」と答えています。他にバスや電車の利用について良い状況である、と答えているのは、オランダ、イタリア、日本、南アフリカ、チェコなどの国々です。

一般市民の盲導犬に対する態度については、79%の施設が「周囲の人々が盲導犬を触ったり、撫でたり、話しかけたりすることが多くて困っている」と答えています。また、46%の施設は、「一般の飼い主が、自分の犬が盲導犬の作業を邪魔するのを放置していたり、食べ物をやったりするので困っている」と答えています。

次に運営面についてですが、盲導犬訓練施設の多くは、その活動資金のほとんどが一般市民からの寄付によるものとなっています。ただし、チェコ、ハンガリーでは70〜80%が公的資金となっており、また、イタリアでは、社会奉仕団体から全面的な支援を受けているそうです。

編集後記

前回の創刊号は、発送が予定より1ヶ月も遅れてしまい、大変ご迷惑をおかけしました。購読申し込みをして下さった方の中には、「申し込みをしているのに届かない」と心配された方もいらっしゃったと思います。申し訳ありませんでした。今後はこのようなことがないようにしていきたいと思いますので、どうかお許し下さい。

できれば読者が頼りの「読者のお便りコーナー」といったスペースも作っていきたいと考えているのですが、なんせ肝心のお便りがありません。「盲導犬情報」に対するご意見・ご要望、また耳寄りな情報など、ドンドンお寄せ下さい。よろしくお願いします。