盲導犬情報 第7号(1995年10月)



内容


全犬使会 京都で第2回総会

=古都京都の市内観光と講演会で交流=
全日本盲導犬使用者の会会長  清水 和行

全犬使会(全日本盲導犬使用者の会)は、全国の盲導犬使用者の親睦と情報交換、盲導犬と共に快適に暮らせる社会環境の整備あるいは盲導犬使用者のマナーの向上を目指して昨年11月に発足した。現在、正会員(盲導犬使用者や盲導犬を希望する人) 300名、賛助会員 100名となり、この 1年、横浜での使用者交流会、会報の発行、使用者へのアンケート調査などの活動を行ってきた。そして11月12日(日)、京都で第2回総会をむかえることとなった。
 総会前日の11日(土)には、古都京都の市内観光(平安神宮・清水寺など)、夜は京料理を食べながらの懇親会、そして総会修了後は、パピーウォーカー・獣医師・盲導犬訓練施設の職員の方に講演していただき、研修を深める予定である。
 京都では、全犬使会の松野理事を中心にその準備に追われている。なにしろ数十人の目の見えない者が盲導犬連れで集まるのである。事前に準備しておかなければならないことも多い。特に大変なのが宿舎、会場、交通手段の確保である。今回宿泊させていただくコミュニティ嵯峨野(京都府勤労者研修センター)、総会の会場となるハートピア京都(京都府立総合社会福祉会館)、京都観光のためのバスを出していただく京阪観光とも、快く受け入れて下さり感謝にたえない。このような形で実績を積み上げていくことが、盲導犬使用者に対する宿泊・入店・乗車拒否をなくしていく地道な活動にもなるのだと思う。
 また、このような会を成功させるには、ボランティアの協力なしには考えられない。幸い京都地区には関西盲導犬協会があり、協会職員・パピーウォーカー・ブリーダーの皆さんの協力を得ることが出来、大変嬉しく思っている。会員同志の親睦だけではなく、これらボランティアの方々とのふれあいも楽しみの一つである。こうして盲導犬を通して私たち目の見えない者に対する理解が広がっていくことは、何よりの啓発活動となるのではないだろうか。
 全犬使会では総会や全国交流会を全国各地で展開できればと考えている。そのためにも、今回の京都での総会は是非とも成功させたい。一つ一つの地道な積み重ねこそが、より快適な盲導犬との生活につながっていくのだと思う。

タクシー乗務員へのアンケート調査報告(3)

=盲導犬使用者への対応に影響を与えるもの=

盲導犬使用者がタクシーを利用する際に、タクシー乗務員がどのように対応し、今後どのような対応をしようと考えているのか、またそれは何故なのか、といったことについて、今まで 2回に分けてアンケート調査の結果を報告してきた。その結果、多くの乗務員が盲導犬使用者の利用に対していろいろなことを不安に感じているのがわかった。また、実際に盲導犬使用者を乗せて、問題を感じた乗務員も少なくなかった。しかし、なんらかのトラブルがあっても今後も盲導犬使用者の利用に対しては肯定的に考えていると答えた乗務員もいた。一方、盲導犬使用者を一度も乗せたことはないが利用に対して否定的に考えている乗務員もいる。そこで今回は、盲導犬使用者への対応が人によって違うのはなぜか、どのような要因が考えられるのかをみていきたい。

(1) タクシー乗務員のパーソナリティによる違い

まず、タクシー乗務員の性別による差についてだが、男性がアンケート回答者の約 9割を占めており、その数に大きな開きがあるため、ここでは触れない。
 乗務員歴を10年未満と10年以上とで比較してみると、盲導犬使用者を乗せた経験のある人は、10年以上の人で27.3%、10年以下では18.8%となっており、勤務年数が長ければ盲導犬使用者を乗せたことのある人はやはり多くなっている。しかし、盲導犬使用者がタクシーを利用するときどのように考えているのかについてみてみると、勤務年数による差はほとんどなかった。

次に、ボランティア活動に関心が「とてもある」「少しある」と答えた881名と「あまりない」「全くない」と答えた310名とでは、盲導犬使用者への対応に違いがあるのかをみた。
 盲導犬使用者を乗せた経験がある人は、関心のある人では26.1%、関心のない人では20.7%と、多少の違いがある。また、今後の対応についても、関心のある人の83.9%が「全面的に受け入れる」と答え、「受け入れられない」と答えたのは1.4%であるのに対して、関心のない人の場合は、「全面的に受け入れる」が62.9%、「受け入れられない」が11.3%となった。

また、犬に対する好き嫌いの感情が盲導犬使用者への対応にも影響があるのかをみてみると、
 犬が「とても好き」「まあまあ好き」と答えた1102名の内、盲導犬使用者を乗せた経験があるのは、25.1%、「あまり好きではない」「嫌い」と答えた288名では21.3%とやや少なくなっている。今後の対応については、犬好きの84.3%が「全面的に受け入れる」と答えているのに対し、犬嫌いでは55.6%と少ない。また、「受け入れない」と答えた犬好きは2.1%でしかないが、犬嫌いは12.2%と多くなっている。

これらの結果から、タクシー乗務員の中でも、ボランティア活動に関心のない人よりはある人の方が、犬が嫌いな人より好きな人の方が、より肯定的な対応を考えていることがわかる。

(2) 盲導犬使用者の利用経験の有無による対応の違い

盲導犬使用者を乗せた経験がある場合とない場合では、どのような変化がみられるのだろうか。  まず、盲導犬使用者をタクシーに乗せるとき、どのようなことが不安なのかを尋ねた項目をみてみると、どちらの場合も約 7割の人が何かしら不安に思う点を挙げている。また、どういった点を不安に感じているのかといったことにもあまり違いは見られない。つまり、たとえ盲導犬使用者を乗せた経験があったとしても、タクシー乗務員の感じている不安を取り除くほどの影響力はないようだ。ただ、

といった不安を挙げる人は、乗せた経験がある人よりない人の方に多かった。
 次に、盲導犬使用者に対する今後の対応についてだが、経験がある人の83.6%、ない人の75.0%が「全面的に受け入れる」と答えている。「条件付きで受け入れる」と答えたのは、経験がある人の場合は 8.7%、ない人の場合では13.5%。「受け入れられない」と答えたのは、経験がある人の場合で 2.3%、ない人の場合で 4.7%となっている。つまり盲導犬使用者の受け入れを肯定的に考えている人は、まだ乗せたことがない人より既に乗せた経験がある人の方に多かった。
 こうしてみると、「案ずるより産むが易し」で、実際に盲導犬使用者の利用を経験すれば、その受け入れにはさほど多くの問題はないことを理解してもらえるのではないかと思われる。

3) 盲導犬使用者とのトラブルの有無による対応の違い

盲導犬使用者をタクシーに乗せた経験がある場合でも、乗せた結果なにか問題が起きた場合と起きなかった場合で比べると、問題がなかった人のうち「全面的に受け入れる」と答えた人は89.3%いるが、問題があった人で「全面的に受け入れる」と答えたのは67.6%とその占める割合は少なくなっている。「条件付きで受け入れる」と答えた人は、なかった人で5.7%、あった人で16.7%、「受け入れられない」と答えた人は、なかった人で0.3%、あった人で8.3%となっており、その割合は逆転している。当然のことかもしれないが、なにか問題を感じた人は、問題を感じなかった人より、盲導犬使用者の受け入れに否定的になっていることがわかる。
 ただ、盲導犬使用者をタクシーに乗せたときに何か問題が起きた場合でも、「受け入れられない」と答えず、今後も「全面的に受け入れる」と答えている人もおり、問題の発生イコール乗車拒否とはなっていない。なぜこのような違いがでてくるのか。これについては、どんな問題を感じたかではなく、どれだけ問題を感じたかがネックなっているようだ。例えば、なんらかの問題は起きたが「全面的に受け入れる」と答えた人のうち、利用を受け入れた際に感じた問題点を二つ以上挙げたのは13.9%。多くの人は、どれか一つだけを問題点として挙げているに過ぎない。ところが、「受け入れられない」と答えた人のうち、二つ以上問題点を挙げたのは66.7%と多くなっている。「条件付きで受け入れる」と答えた人では38.9%。これに対して、どのような問題を感じたかについては、ともに犬の抜け毛と臭いを挙げた人がもっとも多く、大きな違いはなかった。

4.まとめ

知らない場所や長距離を歩かなければならない場所に行くときに、タクシーはとても便利な交通手段である。また、疲れたときや急に天気が崩れたときなど、予定外に利用することも多い交通手段とも言える。そのように利用範囲の広いタクシーの利用に、目が見えるか見えないかとか、どんな歩行補助具を使っているのか、といったことによって違いがあってはならない。「目が見えない客にどう対応すればいいのかわからないから」とか「盲導犬を連れているから」といった理由でタクシーを利用することができないとすれば、これは大きな問題と言えよう。
 とは言うものの、盲導犬を使用している場合には、実際に盲導犬という 1頭の中型犬を車内に入れるのだから、それに対する必要な配慮を盲導犬使用者は忘れてはならない。日頃の手入れはもちろんだが、それでもやはり毛は抜けるし、一般社会の中にはそのような犬の毛1本に神経質な人もいる以上、ダスターコートや犬の毛をとるためのガムテープなどは必要なときにいつでも使えるよう常時携帯しているくらいの心配りは大切である。また、タクシーを降りる際にも、一言乗務員に汚していないか確認をとり、仮に汚してしまった場合には次にタクシーを利用する際には汚さないように心がけたいものである。
 もちろん盲導犬使用者の一方的な努力だけが必要なのではない。タクシー乗務員の盲導犬に対する正しい理解も不可欠である。まず第一に、盲導犬は白杖と同様、視覚障害者が外出する上で必要な歩行補助具であり、好みで連れ歩いているペットとは異なること。また、通常、盲導犬は車内で勝手におしっこ、うんちなどすることはなく、車に興奮して吠えたり暴れたりすることもない。手入れを怠っていなければ、次の営業に支障をきたすほど犬の臭いが車内に残る可能性も低い。
 だが、こういった盲導犬という犬に対する不安の解消のみをアピールしても、盲導犬使用者の乗車拒否という問題は解決しない。なぜならタクシー乗務員が不安に思っていることは、なにも盲導犬に関してだけとは限らないからだ。例えば、視覚障害者がちゃんと行く先を指示できるのか不安に思っているタクシー乗務員が少なくないことが、今回のアンケート調査の結果から明らかになった。これは、乗車拒否に遭ったという経験を持つ、盲導犬以外の歩行補助具を使って歩く視覚障害者が少なくないことからも言えよう。タクシー乗務員の誰もが問題ある対応をするわけではないが、ある一部の乗務員が拒否しているのは、盲導犬だけではないのだ。
 今後、盲導犬使用者がよりスムースに、一般乗客と同じようにタクシーを利用できるようにしていくためには、盲導犬使用者のマナー向上はもちろん必要である。だが、タクシー乗務員に対する、盲導犬だけでなく視覚障害に関する継続的な啓発活動はより重要なものであると考えられる。この点に関しては、盲導犬使用者や盲導犬訓練施設だけでなく、視覚障害者全体の問題として取り組んでいくべきではないだろうか。

5.補足

今回のアンケート調査を元に、「盲導犬を使用した視覚障害者のタクシー利用にあたって」と題したタクシー乗務員にむけての対応マニュアルおよび「盲導犬を伴った視覚障害者がタクシーを利用するときに」と題した啓発用のポスターを作成しました。マニュアル、ポスターともに題の下に「盲導犬を使っている視覚障害者にとって、盲導犬は安全に歩行するために必要不可欠な歩行補助具です。したがって愛犬家が趣味で連れているペットとは、まったく異なる役割をもつ存在であることをご理解ください。」という文を付け加えています。
 マニュアルはB6版の大きさで 8ページ。その内容としては、次のようなことについて数枚の写真を付けて説明しました。
 1)タクシーに乗るとき
 ・ドアの位置など、方向を指示するときは「あっち、こっち」ではなく「右、左」など具体的な言葉での説明をお願いしたいこと
 ・手引きにより乗車する場合は空いている手を車体の屋根に軽く触れさせてもらえば頭を打つことなく乗車できること
 ・盲導犬を伴っている場合の乗車の手順について
 2)タクシーに乗ってから
 ・名前や会社名を名のってもらうとより安心して乗っていられること
 ・目的地への道順や目印など、遠慮なく聞いてほしいこと
 ・どの道を通っているのかとか、迂回する場合はその旨を説明してもらうと安心して乗っていられること
 3)タクシーから降りるとき
 ・タクシーを止めた位置を説明してほしいこと
 ・料金の受渡しをするときは、お金の種類と金額を声に出して確認してほしいこと
 ・もし車内が犬の抜け毛などで汚れた場合には、そのことを使用者に教えてほしいこと。使用者も犬にダスターコートを着せたり、犬の毛をとるための粘着テープを携帯するなどマナーを心がけていること
 ・タクシーを止めた場所が危険な場合は、安全な歩道上まで誘導してもらえればとても助かること
 4)視覚障害者の誘導の仕方について
 ・手引きの基本の形について
 ・狭いところを通るときの手引きの仕方
 ・階段を通るときの注意事項
また、最後のページでは、「もし対応に困ったら・・・」として
 ・犬恐怖症や犬アレルギーなどでどうしても盲導犬使用者の乗車を受け入れられない場合は、そのことを使用者に伝え、代わりのタクシーを呼ぶなどの協力をしてほしいこと
 ・もし乗車しては困るほど汚い盲導犬であれば、そのときは乗車を断わってもらって構わないが、その時も黙って拒否するのではなく、一言断わる理由を言ってほしいこと
 ・もし盲導犬が車内で困る行動をとっているときは、そのことを使用者に伝え、使用者に適切な対応をとってもらうようにしてほしいこと
 また、ポスターはB4版の大きさ。タクシーに乗るとき、タクシーから降りるとき、対応に困ったときについて、マニュアルより簡単な文章と写真で説明しています。
 どちらも問い合わせ先として関西盲導犬協会の名前と住所・電話番号を載せていますが、タクシー乗務員の対応に地域差はないと思いますので、ご希望があればこのマニュアル、ポスターをお配りしたいと考えています。希望される方は、送料として 130円切手を同封の上、関西盲導犬協会(〒616 京都市右京区常盤段ノ上町2)までお申し込みください。

阪神大震災の経験から(2)

前回に引き続き、阪神大震災を経験された盲導犬使用者 7名の方々の意見をご紹介していきます。

<<盲導犬を使っていてよかったことは・・・>>

現在も訓練施設に犬を預けている 2名を除いた全員が、「盲導犬を使っていてよかった」と感じたことを具体的にあげています。
  2名の方が「大型車の通行による騒音や大型車・障害物が思わぬ所にあるなど、歩きにくい道路状況の中でも歩くことができた」点をあげている他、「環境が変わっても困ったことはない」「環境が変わっても道を覚えていてくれた」といったことが挙げられています。また、歩行に関することだけでなく「一人でいるときなどに盲導犬がそばにいてくれることで、そんなに不安を感じずにすんだ」というように心の支えと感じた方もいたようでした。

<<盲導犬がいて困ったことは・・・>>

この点に関しては、 4名の方がいろいろな点をあげています。「水の確保ができない」「犬が汚れても汚れを拭いたり、洗ってあげることができない」「排便場所に困った」など犬の世話に関することで困ったり、「手引きでの外出が多くなり、留守番させることが度々あってかわいそうだった」ことを挙げた方もいました。また、地震が直接の原因というより、社会的な理解が得られていないことにより「犬がいることで、どこにでも気軽に身を寄せることができない」といったことや、「犬を訓練所に預けに行くとき、混雑した電車の中で、こんな所に大きな犬を連れてきて非常識だ、と強くとがめられた」といった体験も寄せられました。

<<災害時に望まれる関係機関の対応は・・・>>

まず、 3名の方が「一時的あるいは長期的に犬を預かってくれるところが必要」と答えています。また別の方も「苦労して訓練所に犬を預けに行った。今後このようなことが起きたときには、近所の獣医に協力してもらうなど対策を話し合う必要があると思う」と意見を述べています。
 また、訓練施設に望むこととしては、「被災後の犬の休息、心のケア、あるいはフォローアップできる体制作り」「日頃からの使用者(特に家族の中に健常者のいない使用者世帯)の状況の把握」「災害時の状況把握や救出できる体制の確立」などがあげられています。犬を預かることを含め、これらの点に関しては、出身訓練施設の枠を越えた全訓練施設の協力体制の確立が必要となってきます。今回でも、関東の盲導犬訓練施設で指導を受けた方で、転勤により関東から関西に移り住んでいて震災に遭われた方がおられました。今回のような状況下で、「違う訓練施設で指導を受けた被災者のことは知りません。それぞれの出身施設と連絡をとりなさい」というような対応では困ります。また、訓練施設から遠い地域に住む被災者にはどこの機関がどのように対応すべきなのか、といったことについても整理しておく必要があるでしょう。
 行政に望むこととしては、「災害で失ったハーネス等の犬具の購入の援助」「ドッグフードの確保」といった物質面での援助の他、「盲導犬はぜいたくなペットではないことを理解してほしい」といった意見が出されました。この点に関しては、訓練施設側の継続的な啓発活動が今後も必要と言えるでしょう。

<<その他の意見>>

最後に、今回の震災に遭われて感じたことを自由に書いていただきました。
 今回の経験から「人間用の飲食料などはリュックに入れて準備していたが、震災後はドッグフードも入れるようにした。日頃は盲導犬も人間並に扱っていたつもりだが、何か起きるとつい人間本意になってしまうことを反省した」といった意見がありました。また、運よく盲導犬を連れて避難することができた人は、「犬と共に避難できる場所があってよかった」と感想を述べています。しかし、現実は、そんなラッキーな使用者ばかりではありません。少し長くなりますが、現在も犬を訓練施設に預けている方の意見をそのまま掲載させていただいて、阪神大震災についての報告を終わりにしたいと思います。
 「今回の阪神大震災は大きな爪跡を残し、いまだ我々視覚障害者の単独歩行には大きな障害がたくさんある。道路の歪み、倒壊家屋の撤去による道路の変化等など、数え上げたらキリがない。それを少しでも補ってくれるのが盲導犬ではないかと思う。ところが被災者にとって盲導犬と通常のように生活することは、なかなか困難である。避難所では、余程周りの住民の理解がないとまず不可能。賃貸の家ではもちろんダメ。やっと入居できた仮設住宅も大きな盲導犬を飼うだけスペースに余裕はありません。必要だから貸与を受けた盲導犬と一緒に暮らせないもどかしさは想像していただけるだろうか?」

使用者情報 「交換できるナスカン」

茨城県  畔蒜(アビル) 明

リードのナスカンが壊れてしまったことはないでしょうか。リード自体はまだ充分使えるのに、ナスカン一つのために新たに購入するか、靴屋やカバン屋に行き取り替えてもらったことは多分おありだろうと思います。私もナスカン1個のために2本ほど捨てた経験がありますが、考えればたいへんもったいないことです。
 関西盲導犬協会の出身者の友人が簡単に交換できるというリードを使っていましたので、早速取り寄せてみました。たいへんよく考えて出来てはいるのですが、いかにも革が細く、安定度から言えば、イマイチというところです。
 そこで何かよいナスカンはないかと思い、あちこちの金物屋、ホームセンターを探しましたところ、大変よいものを見つけました。
 友人からナスカンの不用になったリードを送ってもらい、近所の友人にグラインダーでナスカンを切ってもらいました。そのリードの両端にさっきの金具を差し込みましたら立派なリードに生まれ変わりました。最初から交換可能なものを作っておけばナスカン1つのために捨てるようなこともないだろうし、もし金具がダメになっても予備を何個か買っておけば簡単に交換できるわけです。
 ちなみにこの金具(商品名プチカナビラ・縦約6.5cm、横約2.5cmの楕円形で、まっすぐな部分の一部が内側に向かって開くようになっており、その反対側には、リングの中に通したものが動かないような止め具がついている)は、高いところで作業する人たちがベルトに通し工具を下げるものだそうです。お値段は1個 800円です。
 各協会の犬具の担当者へのお願いですが、実際使っているユーザーの意見を充分取り入れ、安価で使いやすい犬具を作っていただきたいのです。

こくちばん

「ありがとう盲導犬」テープ版もできています

北海道盲導犬協会で訓練を受けた盲導犬使用者で作られている北海道盲導犬ユーザーの会は、今年で結成21年目。会員相互の親睦と社会的地位の向上、盲導犬の身分の確立を目標に長年活動されています。 6月には、この会が編集した「ありがとう盲導犬」(副題:ユーザー20年の軌跡)という本が、北海道新聞社から発行されました(定価1800円)。
 盲導犬ユーザーの回顧文が37編と短歌・俳句 8編が収録されている他、写真や「なんでもQ&A」といったページで、盲導犬が育成される過程などを紹介しています。また、ユーザーの声だけでなく、ユーザーの家族、ボランティア、指導員もそれぞれの立場から原稿を寄せています。
 この本は墨字ですが、テープ版(全3巻)もできており、 600円で希望者に配布しています。この「ありがとう盲導犬」テープ版の購読を希望される方は、郵便またはファックスで、北海道盲導犬ユーザーの会・山井修さんまでお申し込みください(発送作業の都合上、電話での申し込みはご遠慮ください)。

「ありがとう盲導犬」テープ版申し込み先
 〒944
 新潟県新井市学校町7-11 山井 修
 FAX:0255ー72ー7667

盲導犬情報ボックス

日本の盲導犬使用者数

 社会福祉法人日本盲人社会福祉施設協議会リハビリテーション部会盲導犬委員会の「平成 6年度盲導犬訓練施設年次報告書」を参考にして1995年 3月31日現在の日本の盲導犬使用者数を出すと、次のようになりました。

北海道 80名 青森県  6名 岩手県  2名 宮城県  2名
秋田県 10名 山形県  3名 福島県 11名 茨城県 21名
栃木県 12名 群馬県 10名 埼玉県 33名 千葉県 16名
東京都 74名 神奈川県34名 新潟県 12名  富山県 12名
石川県 18名 福井県  5名 山梨県  7名 長野県 38名
岐阜県 15名 静岡県 28名 愛知県 38名 三重県 14名
滋賀県  2名 京都府 24名 大阪府 37名 兵庫県 25名
奈良県  8名 和歌山県 7名 鳥取県  0名 島根県  2名
岡山県  9名 広島県 24名 山口県  9名 徳島県  6名
香川県  9名 愛媛県 10名 高知県  6名 福岡県 43名
佐賀県  7名 長崎県  6名 熊本県 18名 大分県 14名
宮崎県  9名 鹿児島県16名 沖縄県  3名  
合計 795名      

なお、12組のご夫婦が二人で 1頭の盲導犬を使っています(広島県 4組、北海道・熊本県各 2組、三重県・京都府・大阪府・兵庫県各 1組)。
 また、1994年度の 1年間に訓練を修了し盲導犬となった犬は 104頭。そのうち、 2頭目 3頭目といった代替ではなく新しく使用者となった人の盲導犬となったのは57頭(54.8%)でした。

編集後記

タクシー乗務員のアンケート調査の報告はいかがでしたか。この調査をしてみてから、タクシーに乗ったときにシートカバーや足元のマットに目がいくようになりました。犬の毛がつき易い材質のもの、汚れの目立つ色のもの、逆にこれなら多少犬の毛が落ちても大丈夫と安心して乗っていられるもの、今までは気づかなかったのですが、タクシーの内装は実に様々です。
 盲導犬使用者なら一度はタクシーで嫌な経験をした、という人は多いのではないでしょうか。こうすれば乗車拒否はなくなる、という決定打は出ませんでしたが、多くの人の力で少しずつでも状況を変えていければいいですね。そのためには、まずどちらの立場の人も冷静に相手の話に耳を傾ける余裕を持ちたいものです。ただ、なぜか相手が怒っていて一方的にまくしたてる場合もあると思います。そんなときに相手を落ち着ける方法、どなたかご存じありませんか?(久保)