盲導犬情報 第8号(1996年1月)



内容




盲導犬使用者の乗車を拒否しないで!

=全日本盲導犬使用者の会が運輸省に陳情=

<初めての陳情行動>
 盲導犬を理由とした乗車拒否。これは盲導犬使用者なら誰もが経験することです。昨年 6月に横浜で行われた全日本盲導犬使用者の会(全犬使会)の全国交流集会でも、航空機・船舶・バス・タクシーなどの公共交通機関における乗車・乗船拒否の事例が次々と報告されました。そこで全犬使会では、問題対策委員の山井修氏と副会長の竹前英治氏が中心となり、運輸省への陳情行動を計画、新潟選挙区の参議院議員・参議院環境特別委員長の大渕(オオフチ)絹子氏の協力も得て、平成7年12月14日(木)、参議院議員会館の環境委員長室にて実施されました。  陳情書は全国盲導犬施設連合会と連名で作成。当日は山井氏と竹前氏の他、金(コン)孝男氏、前川花子氏、野口由紀子氏ら、合計 5人の盲導犬ユーザーが陳情に赴きました。そして大渕代議士と打ち合せの後、運輸省の担当者が来訪、陳情書の提出となったのです。運輸省からの出席者は運輸省運輸政策局消費者行政課、高齢者・障害者対策企画官の石本洋三氏以下 6人。大渕代議士を含め、運輸省の各担当者もユーザーの話に真剣に耳を傾け、全犬使会としては初めての陳情行動でしたが、非常に内容の濃いものとなりました。
<陳情内容>
陳情の内容は次の 3点。

  1. タクシーの乗車拒否問題
  2. 船舶の乗船拒否問題
  3. 航空機(国内線)の場合、同じ便への複数の盲導犬使用者の搭乗が制限されていることの問題
 これらは盲導犬ユーザーが最も多く直面している問題です。この 3点を中心に話合いが展開しました。

  1. タクシーの乗車拒否
    ユーザー:タクシーは目の見えない私たちにとっては、実はとても便利でありがたいもの。しかしその反面、公共の交通機関で最も乗車拒否の多い、すごく不便なものでもある。これは地方に行けば行く程ひどくなるようだ。
    運輸省 :タクシーにおいては、盲導犬は人と同じ扱いをするようになっている。乗車拒否があった場合はタクシー会社や乗車拒否のあった日時が特定できれば、指導できるのだが。
    ユーザー:タクシーの場合、自分でナンバーを確かめることができないので、会社を特定するのは健常者と一緒にいるときでないとできない。近代化センターに問い合わせたら、視覚障害者が乗車する場合は運転手が会社名と自分の名前を名乗るよう指導していると言われたが、徹底されていないようだ。
  2. 船舶の乗船拒否問題
    ユーザー:盲導犬が乗船できるかどうか事前に電話で問い合わせてOKをもらっても、現場にいる職員に断わられたりする。また、会社によってよかったりだめだったりするので、盲導犬使用者だけ違う船に乗せられたりする。
    運輸省 :船舶では盲導犬は「手回り品」として一緒に乗船できる規定になっている。拒否した船がわかれば指導する。
  3. 航空機の搭乗制限問題
    ユーザー:国際線では 4頭が同じ飛行機に乗ることができたのに、国内線の場合は2、3頭でも断わられたりする。
    大渕議員:飛行機の搭乗頭数を制限するような通達は出しているのですか。
    運輸省 :それはないです。ただ、先にペットの犬が他のお客様の手荷物として搭乗している場合、そのペットが興奮するなどの心配があるので盲導犬を断わることもある。また、盲導犬は足元の広い席を用意することになっているし、非常口の脇の席は非常の際に盲導犬が邪魔になるといけないので、適当な席が用意できないときは、お断わりすることになってしまう。国内線は、国際線に比べて小さい飛行機が多いので、搭乗できる人数に限りがあるのだと思う。だた、事前に余裕を持って申し込んでいただければ、乗員の数を増やすなど柔軟に対応できるので・・・。
    ユーザー:ペットは入れ物に入れてあるのだから興奮するから断わると言うのはおかしい。非常口の脇でも盲導犬は生き物なのだから、非常の際にすぐに動くことはできる。我々ユーザーが申し込むときはいつもかなり余裕を持ってやっているのだけれど・・・。
  4. 全体として
    ユーザー:公共交通機関やレストランなどで断わられるのは、従業員の教育が徹底して行われていないことによるものが多い。上の人は盲導犬はペットと違うことはわかっていても、それが末端まで浸透していない。
    運輸省 :盲導犬受け入れを促す通達も古くなり、関係者の間で印象が薄くなってきている感がある。ここでまた指導を強化して周知徹底を計りたい。
    大渕議員:(竹前氏の盲導犬受け入れの立法化要請を踏まえて)今後はアメリカのように盲導犬を拒否すると罰則を受けるということも必要かもしれませんね。皆さんがこんなに苦労なさっているとは全く知りませんでした。これからもっと勉強してできる限りお役に立てるようがんばります。
<陳情を終えて>
 全体として和やかな雰囲気で、かつ出席した皆さんの熱意が感じられ、成果は十分にあったと思われます。大渕氏もとても熱心で、「問題点がよくわかりました。これからがんばりますので。」と言って下さり、運輸省も各担当別に6人も出席して下さり、同省の真剣な姿勢が伺えました。石本氏も「お叱りを受けるばっかりで・・・。でも皆さんのご意見を聞くことができてよかったです。」と言っていました。  タクシーの乗車拒否に関しては、全国盲導犬施設連合会で作成しているタクシー用の「盲導犬同伴可」ステッカーを運輸省の担当官に参考までに送ることになり、この件での進展が期待できるかもしれません。大渕氏も、「今後は皆さんにわざわざお越しいただくのは申し訳ないので、レストランでの入店拒否など厚生省の管轄部門での問題は私が直接かけあいます。これからもお互いに連絡を取り合ってやっていきましょう。」と言って下さいました。
 山井氏は、「盲導犬を持つようになって、人生が変わりました。以前は家の中でできることばかりやっていたのが、今ではゴルフをやったりスキーに行ったり、すごく積極的になりました。盲導犬は私にとって本当にかけがえのない存在なのです。それを拒否されるのは本当に辛い。とても惨めですよ。」と言います。こんな思いをしなくてもいいように、大手を振ってどこへでも行けるような社会が早く実現されるよう、これからも力を合わせて行動していきたいと思います。
(全国盲導犬施設連合会・茶谷(チャダニ))

=陳情に至る経過について=

 全日本盲導犬使用者の会が昨年 1月にアンケートを実施したところ、やはり盲導犬使用者の多くが交通機関や宿泊施設の利用に際してさまざまな問題に直面している、との結果がでました。また、 6月に横浜で行われた全犬使会の第1回交流会でも、タクシー・船舶で乗車・乗船拒否を受けたり、スムーズな利用ができない、といった意見が盲導犬使用者から多く出されました。そこで、全犬使会・問題対策部として、まず公共交通機関に関する問題に取り組んでいくこととなりました。
 問題解決のための第一歩として、運輸省へ陳情すべく運動し、何人かの議員秘書と話し合いの機会をもちました。しかし、残念ながらなかなか思うように話は進展せず、立ち往生状態。そんな時、知人に大渕絹子参議院議員を紹介されました。運輸省へ陳情するにあたり、大渕議員は、我々盲導犬使用者が抱えている問題点について熱心に耳を傾け、理解していただきました。今後の活動についても協力してくれるとの回答があり、心強くした次第です。
 今年は厚生省への陳情を予定しており、盲導犬使用者の皆さんの生活が一歩一歩前進できるよう、全犬使会問題対策部としても頑張っていきたいと思っています。
(全日本盲導犬使用者の会問題対策部・山井 修)

=乗車・乗船拒否等の連絡先について=

 運輸省政策局より、乗車・乗船拒否等があった場合の連絡先について、下記のように知らせていただきました。これらの機関に連絡せざるを得ない事態が起こらないことを念じつつご案内します。なお、連絡をとる際には、拒否された日時、拒否した会社名等、できるだけはっきりさせてほしい、とのことです。

 乗車・乗船等の拒否があった時は下記の課の担当者に連絡してください。

各地方運輸局の電話番号は以下の通りです。該当する部がないときは代表におかけください。なお、[]内は管轄する都道府県ですが、旅客船については必ずしも一致しない場合があります。

全日本盲導犬使用者の会第2回総会 参加者の声

昨年11月12日には、前号でご紹介したように全日本盲導犬使用者の会第2回総会が京都で開催されました。総会の後には講演会があり、パピーウォーカーの立場から仁井(ニイ)勇氏が「パピーウォーカーの経験談」、獣医師の立場から森口寿弌郎(ジュイチロウ)氏が「盲導犬の衛生管理について」、訓練施設の立場から日本ライトハウスの平野節雄氏が「施設関係者の立場から」と題してそれぞれ講演されました。また総会前日には観光バスを借りての市内観光もあり、北は北海道から南は福岡、佐賀などの九州各地から盲導犬使用者や盲導犬希望者約50人が参加され、古都の秋を楽しみました。そこで三人の方にお願いして、総会に参加された感想を寄せていただきました。

埼玉県から参加された田中島 義一(ヨシイチ)さん

私は埼玉県に住む54才の男性です。丁度30才の時に眼病の「ベーチェット病」になって、 5年前に完全に失明してしまいました。
  今から 3年前に点字の勉強と歩行訓練を受けました。その時に盲導犬の話を聞き、自分でも持ちたいなあと思いまして、点字図書館などに問い合わせていろいろ勉強してきました。そして、 2年前の12月に盲導犬協会にお願いしました。
  平成 6年11月に全日本盲導犬使用者の会が発足するということを聞き、早速参加してみました。東京の戸山サンライズでした。会長には広島県の清水さんが選ばれ、発会式は滞りなく盛大かつ円滑に行われました。大変実のある1日でした。そして、盲導犬が何十頭も一緒になったのを見たのは初めてだったので大変驚き、また素晴らしさを改めて認識致しました。自分にも早く盲導犬が来ないかなあと思いました。昨年の 6月には横浜で第1回の交流会がありましたが、残念ながら行けませんでした。
  今回は、11日に京都市内観光で、平安神宮と竜安寺を見学しました。平安神宮では40頭もの盲導犬と一緒に写真を撮り、そのことが京都新聞に載りました。写真には犬を連れてない人の方が少なかったようです。その夜は「嵯峨野」に泊まり、同じ部屋に盲導犬も1頭一緒に泊まり、いろいろと教えられました。もちろんホテルの中で盲導犬を見るのは初めてでしたから。
  二日目の12日には、午前10時より「ハートピア京都」で全犬使会第2回の総会が開かれました。決算報告・事業報告のあと講演があり、パピーウォーカーの仁井(ニイ)さんの話で、仔犬が乳離れして訓練所に行くまでの間の苦労話やら楽しい話を聞き、たいへん胸を打たれました。それから獣医さんの話で、犬の伝染病・病気の話、訓練所側からみた話など、非常に実のある話ばかりでした。最後の質疑応答でも、皆さんのせつせつなる意見ばかりでした。二日間とも、大変実のある二日間でした。
  帰宅後、お願いしてある盲導犬協会に電話してみました。お願いしてから丁度2年になるので聞いたところ、いつになるかわからないとのことなので、やむなく他の協会に電話してみました。そこでは、「受け付けますけど、この協会は埼玉県と委託契約をしていないので順番通りにいかないかもしれません」とのことでした。ですから埼玉県と委託契約している「アイメイト協会」があります、と教えてもらい、アイメイト協会へ連絡してみたところ、埼玉県の契約は平成7年度分がもう1頭の枠が残っておりますので、今年度末(平成8年3月)までにはなんとかお分けできるでしょう、とのことでした。私は「やったあ」と声をあげてしまいました。
  状況は一気に進展し、市役所の福祉課へ届出ておきました。今では、早くワンちゃんが来ないかなあと心待ちしているところです。全犬使会では、平成8年の6月には第2回の交流会が北海道であるというので、今から「ワンちゃんと一緒に旅行ができる」と思うと、胸がワクワクしています。
  最後になりますが、今回特に感じたことは、ボランティアの方々が実によく動いてくれるということです。ボランティアの人がいなかったら、本当にあのようにスムーズにことは行われなかったと思います。本当にありがとうございました。

埼玉県から参加された内藤夏子さん

全日本盲導犬使用者の会第2回総会の便りに誘われ、11月11日、東京駅新幹線の改札を入ったとたん、「ご案内します。こちらへどうぞ」とJRの職員さん。十数頭の盲導犬と共に車椅子用の広い通路の車両に乗り込み、東京駅を後にした。ふと気が付けば、先ほどの職員さん、聞けば京都までお供してくださるとか。ご親切にありがとう、JRさん。駅の構内で買ったカツサンドを、隣のSさんに「一切れいかが」と言いながら、あまりのおいしさにペロリとお腹に入り、満足な一時で、幸せ、幸せ。
  エルマにとってもなつかしき京都。ホームに一歩踏み出せば、小春日和と心あたたまるボランティアの皆様に出迎えられ感激。駅から駐車場まで、二人一頭、8脚の列で歩きながらふと見れば、ワンちゃんの大便の落し物。器用に歩きながらの出来事に感心(?)。同じ落し物でも警察にも届けられず、Sさん急いで後始末。
  市内観光では、まず平安神宮に行き、庭の広さを足で感じた。青空と紅葉、かわいい七五三の子供たちの姿は彩りよく、秋の京都によく似合う。聖マリアンナ教会では、広い空間をおごそかな雅楽の音が響き、ワンちゃん達と共に静かに耳を傾けた。ボランティアの皆さんがガムテープで犬の毛の後始末をして下さったと後で聞き、あの広い教会を思い出しながら感謝、感謝。夕暮れの静けさと時雨に迎えられての竜安寺。竜安寺の石庭の模型や熊手など、耳と手で見学でき、住職さんのやさしい心遣いに涙がこぼれんばかりの嬉しさ。
  翌12日は総会と講演会。パピーウォーカーの仁井(ニイ)さんの講演では、イタズラいっぱい、愛情いっぱいに仔犬が成長する様子を聞き、感動に胸が熱く、手の中のハンカチが忙しく働き、いついつまでも心に残るお話でした。
  帰りは、花の女子大生を両手に、エルマと歩ける嬉しさ、生きている素晴らしさを感じながら、この総会にかかわって下さった皆様の行き届いたおもてなしに感謝しつつ、楽しかった二日間の思い出を土産に京都駅の改札口でバーイ、バーイ。

札幌市から参加された菊池 孝さん

はじめに家族を紹介します。北海道で初の「タンデム」として第1号の菊池孝・真子(マサコ)、そしてオリバー。いつも三人仲良く、喫茶店、ラジオ局、お寿司屋さん、そば屋さん、ラーメン屋、カレー屋など、色々な所へ行っています。
  この度の京都での第2回全犬使会総会に出席すべく、一路(千歳から関西空港まで)大阪へ。関西空港から空港の方に関空駅まで手引きをしていただき、京都行きの関空特急に乗せてもらいました。京都駅に着き、降りて間もなくホームのスピーカーから私の名前が呼ばれている。「降りたところから動かないでお待ちください」とのことでした。間もなく男の方の声で
「菊池さんですか。私、杉本です。遠いところご苦労さまでした」
と言われて、やっと着いたんだと一安心する間もなく改札へ。改札から出ると、そこにまた別のボランティアの方が待ち受けていました。私たち札幌組6名と3頭のパートナーと共に両方のトイレタイムをしてようやく落ち着き、バスの中に乗り込みました。
  これから京都観光。はじめは平安神宮の中を歩いて、飛石のところで渡るのに一苦労しながら渡っている内に、わが家の息子(オリバー)はだっこされて私の来るのをまだかまだかと急がせるのでなかなか渡りきれません。ようようのことに渡り終わると、我が息子、待ちかねてか、私に飛びつく有り様。それから平安神宮を後にして、隣の建物「聖マリアンナ教会」へ入り、ここで雅楽を聞くとは・・・。でも、よかった。日本の雅楽を聞き、なにか宮中にでもいるような感じでした。雅楽を聞き終えて3番目、最後は石庭の竜安寺に来ましたが、下はぬかるんでいて雨も降っていたので、私と何人かの人とでバスに残り、赤穂の清水さん、ボランティアの方と5、6人で世間話を。やがて見学から帰って来た人達が「寒かった」「いや寒い」と口々に言うので、私は行かなくてよかった、まだ失明する10年前に見たからということで自分を納得させながら、皆バスに乗って京都観光は終わり「コミュニティ嵯峨野」へ。そして夕食。おいしかった。京都でのビールも格別でした。寝る前の犬達の排便もさせてもらいました。
  11月11日が終わり、翌12日の朝食へ。そしてバスに乗り、府立総合社会福祉会館に着き、総会が始まりました。午後の部での仁井(ニイ)さんのお話には、笑ったり、泣いたり、パピーウォーカーの方達もこんなに苦労話があるということを我々ユーザーもしっかり頭にたたき込んで来ました。
  総会も終わって、京都駅まで送っていただき、リレー方式で無事札幌の自宅まで帰り着くことができました。京都のボランティアの方々のおかげをもちまして、行って帰ってこれました。本当にありがとうございました。また、これで京都へ行けるという自信をつけることができました。これからも1年1回の総会には出させていただきたいと思っています。今でも京都のことが思い出されます。それだけ関西方面のボランティア意識が私たちの頭の中に強く残っています。
  今年 6月15、16日には、全犬使会の交流会が札幌で開催されます。全国の皆さま、もちろん各パートナーと来られることを心よりお待ちしております。

読者が頼りの“読者の便り”コーナー

「ありがとう盲導犬」テープを聞いて

広島市  桑木 正臣

北海道盲導犬協会のユーザーの皆さんの体験が1冊の本となった「ありがとう盲導犬」のテープ版が出ていると知り、早速私はそのテープを購入した。その中で特に心打たれたことは、将来それも近いうちに私も体験するであろうリタイア、別れである。これについて、広島ハーネスの会の会報にも私は意見を述べたが、皆さんの実際に体験された生々しい状況を聞き、いつしか「鬼の目にも涙」を感じた次第。
  ここで、2、3名の実例を挙げさせていただく。
  小林容子さん。10年間、共に暮らした愛犬を脂肪腫と老齢により協会に返す。3ヶ月ぶりに会ったときは弱っていたが尻尾を振り喜ぶ。エレベーターの前で主人を待つ。その後、1、2週間で死ぬ。ここまでは誰にも体験することであろう。その後の言葉に感激し、同感したのである。「最後に看取ってやれなかったことが今だに心残りである」、こう言われたのである。
  真鍋浅子さん。やはり犬も人間と同じくらい別れが辛い様子を発表され、指導員が「そんなに語りかけて犬がわかるの」と言ったのに対し、10年以上も一緒にお話しているのだからわかると言いたかった。その通りだろう。
  その他、佐々木煕子(ヒロコ)さん、小山智津子さん、吉岡昭子さん、日沼よしゑさん、この方々の体験に胸を打たれた。
  以上の体験を聞かせていただいた上で、私の考えを述べさせていただきます。
  リタイアについては三つの方法を考えている。
1.協会に返し、老犬ホームまたはボランティアの方に飼ってもらう
2.地元、比較的近距離(会いたい時は簡単に会えるところ)の方に飼っていただく
3.最後まで責任を持って、本人または家族で見守る
  この三つのうち、人それぞれ生活状況、その他考え方に違いがあり、どれがいいかどうか言えないと思う。要するに使用者と犬にとってどれが一番良いか、協会並びに関係者の話合いで決めるべきである。
  私自身どれを選ぶのか述べさせていただきます。
  それは 3である。私とウイリーにとってそれが最も幸せな方法だと思うからである。その理由は、経済的にみても、獣医さんも近距離で往診も可能。小林さんが言っておられたように最後を見届ける義務があると思うこと。次に10年近く世話になった愛犬は家族の一員だから、次の犬が貸与できなくても、いくら不自由してもその方が幸せだからである。

多分ウイリーもそう思っていると信じる。よく盲導犬は家族の一員または子供と同じだと言われるが、本当にそう思っていれば犬が年をとったから、または病気になったから人に渡すだろうか、そう言いたい。人間と犬、人と人、真の愛情は私にとって優劣はない。

次に、北海道盲導犬協会の「老犬ホーム」は日本ではもちろん、世界にも例がないとか。素晴らしいことだと思う。やむを得ず、愛犬を手放すとき、これほど安心して手放せるところはない。他の協会でも資金が許せば考えていただきたい。また、タンデム歩行、その他積極的に他の協会のいいところを受け入れておられることに敬服いたします。現在の実働数約90頭は素晴らしいことだと思います。

盲導犬情報ボックス

盲導犬使用者が書いた本

盲導犬に関する本はいろいろ出ていますが、今回は、盲導犬使用者によって書かれたもののうち、墨字本が一般の書店で入手し易いと思われるもののみを選んでご紹介します。なお、点字・録音図書が国内いずれかの点字図書館等に所蔵されている場合は、それぞれ出版社名の後に(点字)または(録音)と表示しました。お読みになりたい本がありましたら、お近くの点字図書館等にお問い合わせください。

「盲導犬ダイナ」
トム=サリヴァン ベティ=ホワイト共著 竹内和世訳 平凡社(点字 録音)
「愛のきずな−盲導犬協会(シーイングアイ)を支えた人と犬の記録−」
ピーター=B=パットナム著 戸井美智子訳 偕成社(点字 録音)
「エマと私」
シーラ=ホッケン著 中村妙子訳 評論社(点字 録音)
「ぼくは盲導犬チャンピィ」
河相洌(キヨシ)著 偕成社(点字 録音)
「ロバータさあ歩きましょう」
佐々木たづ著 偕成社(点字 録音)
「フー子とママのふたり」
福沢美和著 偕成社(点字 録音)
「フロックスはわたしの目」
福沢美和著 文藝春秋(点字)
「盲導犬フロックスとの旅」
福沢美和著 偕成社(点字 録音)
「盲導犬フロックスの足跡」
福沢美和著 文化総合出版(録音)
「盲導犬フロックスの思い出」
福沢美和著 偕成社(点字 録音)
「盲導犬フロックスのてがみ」
福沢美和著 偕成社(点字 録音)
「ありがとう盲導犬」
北海道盲導犬ユーザーの会編 北海道新聞社
「音景色(オトゲシキ)」
村上八千代著 ミネルヴァ書房(点字 録音)

他にもまだこんな本があるよ、とご存知の方、情報室までご一報ください。

訃報 財団法人 栃木盲導犬センタ−理事長の 味田 基(ミタ モトイ)氏が 1月15日ご逝去されました。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

編集後記

遅ればせながら、新年明けましておめでとうございます。去年はいろいろと良くないことばかりが起きた1年でした。これは誰もが言うことですが、今年こそ良い年にしたいものですね。
  ところで、去年の「盲導犬情報」は、学校での啓発活動、海外旅行、タクシーの利用など、盲導犬使用者を中心にしたものがほとんどで、盲導犬を使用していない人には縁遠い内容だったように思います(えっ!?盲導犬使用者にも縁遠い「盲導犬情報」だったって?ショック・・・)。今年はその点を改善したいと考えています。そこで盲導犬を使用している読者の皆さんにお願いがあります。盲導犬を希望していた頃のこと、申し込まれた頃のこと、訓練中のこと、盲導犬との生活など、まだ盲導犬を使用していない読者にむけて、皆さんの体験談をお寄せください。
  お願いばかりになりますが、今年もよろしくお願いします。(久保)