盲導犬情報 第9号(1996年4月)



内容




共同訓練ってどんなもの?

各訓練施設で行っている共同訓練について

「もっと多くの視覚障害者にもっと多くの情報を!!」というところから出発した『盲導犬情報』も、創刊してから 3年目に入りました。年 4回発行の小さな情報誌が提供できる情報はわずかなもので、特にまだ盲導犬を使用していない人にとって、知らなかったり誤解していることは、まだまだ少なくなさそうです。たとえば、盲導犬に関心があっても「盲導犬はとても高価なものだという話をよく聞くし、私にはきっと無理・・・ 」とあきらめてしまっている方もおられるようです。
  そこで今回は、各盲導犬訓練施設にご協力いただいて各訓練施設の共同訓練に関する情報をお届けしたいと思います。

1.共同訓練の形態

ところで、先ほどから「共同訓練」と言っていますが、これは盲導犬使用者であれば誰でも必ず受ける、自分が使う盲導犬となる犬との歩行指導のことです(訓練施設によっては「合併訓練」とか「歩行指導」と言うところもありますが、「共同訓練」と呼ぶ訓練施設が多いので、ここでは「共同訓練」とします)。この共同訓練の中で盲導犬との歩き方や世話の仕方、盲導犬に関する必要な知識を身につけ、訓練を修了すると視覚障害者には盲導犬使用者証が渡されます。
  さて、この共同訓練を受けるには、訓練施設に宿泊して訓練を受ける「入所」と通って訓練を受ける「通所」、自宅で訓練を受ける「訪問」の三形態がありますが、訓練施設によって実施している形態が少し違うようです。

北海道盲導犬協会 入所 ○ 通所 × 訪問 ○
栃木盲導犬センター 入所 ○ 通所 ○ 訪問 ○
日本盲導犬協会 入所 ○ 通所 × 訪問 ○
アイメイト協会 入所 ○ 通所 × 訪問 ×
中部盲導犬協会 入所 ○ 通所 ○ 訪問 ×
関西盲導犬協会 入所 ○ 通所 ○ 訪問 ○
日本ライトハウス 入所 ○ 通所 × 訪問 ×
福岡盲導犬協会 入所 ○ 通所・訪問 特例として実施すること有り
   
2.共同訓練の期間

共同訓練の期間については、絶対的に決まっているものではなく指導を受ける人の状況等によって多少の変更はありますが、概ね次のようになっています。

  初めての人の場合
北海道盲導犬協会 4週間以上
栃木盲導犬センター 4週間
日本盲導犬協会 4週間
アイメイト協会 4週間
中部盲導犬協会 4〜6週間
関西盲導犬協会 4週間
日本ライトハウス 30日間
福岡盲導犬協会 4週間
  2頭目以降の場合
北海道盲導犬協会 2週間以上
栃木盲導犬センター 2週間
日本盲導犬協会 2週間
アイメイト協会 3週間
中部盲導犬協会 2週間以上
関西盲導犬協会 3週間
日本ライトハウス 14日間
福岡盲導犬協会 2週間

また、2頭目以降の場合でも、それまで他の訓練施設で訓練を受けた使用者に対しては、同じ訓練施設で訓練を受けた使用者よりも訓練期間が少し長くなる場合があります。

3.共同訓練にかかる費用

共同訓練中にかかる費用(盲導犬の育成費用は含まない)は、以下のようになっています。ただし、この他訓練にかかる交通費や犬舎等の飼育用品の購入費等を別に必要としている場合もありますのでご注意ください。

北海道盲導犬協会 食費として20,000円(4週間)
栃木盲導犬センター 45,000円(4週間)
日本盲導犬協会 無料
アイメイト協会 食費として1日1,500円
中部盲導犬協会 食費として1日1,500〜2,000円
関西盲導犬協会 1泊2,000円
日本ライトハウス 措置費として対応
福岡盲導犬協会 50,000円
4.盲導犬育成費の負担について

地方自治体によっては、訓練施設に対して委託契約あるいは補助金交付などをして盲導犬育成事業を実施しているところがあります(詳しくは次号で)。そういった育成事業を実施している地方自治体に住所がある視覚障害者が、盲導犬の育成にかかる費用を実質的に負担することはあまりありません(つまり無償)。しかし、千葉県や栃木県、神奈川県などのように、地方自治体によってはその人の収入に応じて負担額が決められている場合があります。
  また、犬の所有権を協会から使用者に移転しない「貸与」という形をとるところが多く、所有権を使用者に移転する「給付」という形をとるのは栃木盲導犬センターとアイメイト協会の 2協会でした。
  盲導犬育成事業を実施していない地方自治体に住所がある視覚障害者の場合、北海道盲導犬協会では現在までにそういった場合に貸与したケースがないとのことですが、他の訓練施設では「原則として貸与しないがライオンズクラブの寄付がある場合は貸与する」(福岡盲導犬協会)、「スポンサーをつけて貸与する」(栃木盲導犬センター)などの方法で貸与あるいは給付しているようです。この場合も盲導犬の育成費用を視覚障害者が負担することはあまりないようですが、アイメイト協会は自立料として最初は150,000円、再使用の場合は90,000円を受けるそうです。ただし、この場合の共同訓練中の食費等は受けないとのことです。

5.申し込み先

どの訓練施設でも、申し込みは各訓練施設となっていますが、日本盲導犬協会・アイメイト協会・日本ライトハウス・福岡盲導犬協会では、福祉事務所などの行政機関も申し込み先にあげています。また、日本盲導犬協会では、その他にも労災福祉協会が申し込み先になっています。
  各訓練施設では、いずれも、申し込む前に問い合わせがあればそれに応じるし、試しに盲導犬と歩いてみるといった体験もできる、とのことです。もし盲導犬を使用することを考えている方がおられれば、まず各訓練施設に気軽に問い合わせてみることをお勧めします。

では次に、共同訓練を受け盲導犬を使うようになったいきさつ等について、使用者の方や、ちょうど今、共同訓練を受けている最中の方の体験をご紹介します。

盲導犬を待って22年

広島市  桑木 正臣

私が盲導犬を申し込んだのは、昭和42年頃であった。「点字毎日」で財団法人の盲導犬協会ができることを知ったので、さっそく申し込んだ(正式には家内が申し込んだ)。私と家内、両方とも全盲なのでぜひ盲導犬が必要と思ったからである。しかし二人で申し込むことはできないし、また 1ヶ月も仕事を休むこともできないので、家内の方が申し込んだ次第。
  最初の数年は、毎年のように「まだもらえないのか」と電話で問い合わせていたが、申し込み者が多く順番が回ってこないとの回答のみ。それから十数年過ぎ、諦めかけていた昭和59年頃、NHK「盲人の時間」で長野県のお医者さんが毎年県の視力障害者に 1頭分の寄付をなさっていることを聞き、広島ではあるが何とかなるのではないかと思い、申し込んだ。一年後面接があり、何とかもらえる運びになったが、急きょスポンサーの方に何か不都合があり、ダメだとの知らせ。家内は20年近く待ってもダメならもういらない、と諦めていたが、ある新聞広告に東洋一の設備を持つ訓練センターが関西にできると聞き、また申し込んだ。スポンサーである「広島ハーネスの会」のお力により、平成元年にようやくウイリーを手に入れることができた次第。計 3ヶ所の協会に22年間正式に申し込んでいた期間があったわけで、多分全国でもこういった例は少ないのではないかと思う。
  三年前に「国際盲導犬シンポジウム」が京都で行われた際、私はイギリスの専門家に質問した。
「日本では私のように盲導犬を手に入れるため22年間待ったが、イギリスではどうか?」
それに対し、イギリスでは数カ月で求めることができると言われた。私はどこが違うのかと思った。イギリスでは協会は一つで四、五百の支部、組織がありその連携でうまくいっていると聞いた。日本も遅まきながら協会の一本化が一応スタートしたことは望ましい。国情は違え、見習うべきは学ぶ謙虚さがぜひ必要だと信じる。
  22年待ったせいか、盲導犬に対する情熱は言うまでもない。現在希望しておられる方は面接さえパスすれば二、三年待てば手に入ると思う。なんと幸せであろうか。何事も諦めず努力すれば希望は成就するものだ。
  最後に希望者に言いたいのは、盲導犬は歩行を助けて行動範囲が広くなることはご承知の通りだが、それに匹敵して余りあるものがある。それは我々の健康面と精神面が豊かになること、請け合いです。いくら寒くても朝夕の散歩は犬も喜び、また我々にとっても白杖では得られない歩行は体にどれだけ良いか、また犬との心の交流、これがややもすると孤独がちな我々にとって、いかに心のゆとりを与えてくれるか。

盲導犬との出会い

京都市  奥井 ヒサエ       

私は、子供の頃から視力が悪く弱視でした。それでも、なんとか地元の一般の学校を卒業して、会社勤めをしている時、主人と巡り会い、昭和41年に結婚しました。平凡でしたがなに不自由なく、また、男の子二人にも恵まれ、子育てに追われながらも楽しく暮らしていました。
  昭和53年のことです。病気一つしなかった主人が、心不全で突然亡くなりました。私は、二人の子供を連れて主人の所に行きたいと、毎日悩み悲しみましたが、やはりできませんでした。それからは、気持ちを切り替えて、なんとしても子供達が社会人になるまでは頑張ろうと思い、福祉センターでマッサージの勉強をして三療の技術を修得することにしました。主人が亡くなって無我夢中で生きてきて12年が過ぎた頃から、視力がどんどん悪くなり、平成 2年頃には、わずかな光だけになってしまいました。
  一年ぐらい前までは一人歩きができたのに、今では友人やガイドヘルパーさんにお世話にならなければならないのが、とっても心苦しく思っていました。でもやっぱり一人で歩きたい、なんとしても一人で歩きたいと思い悩んでいる時、友人から盲導犬の話が出て、盲導犬を使用すると一人歩きが出来るよ、本当に楽しいよと勧めて下さいました。私にも盲導犬が使えるかな、しかし息子は大の犬嫌い(息子の犬嫌いは、高校生の時アルバイトをしていて犬に噛みつかれたんです。それから犬が恐いらしいのです)。息子に相談したところ、息子は大反対でした。それでも息子の意見は聞かずに、私は盲導犬を使用する決心をしたのです。自分自身のためにも、また息子達から子離れをして一人で生活していかなければと思い、決心しました。
  関西盲導犬協会訓練センターで 4週間の訓練が始まり、指導員の方が「この犬があなたのパートナーのセーラですよ。さわってやって下さい」と連れてこられたのですが、あまりの大きさにびっくり。でもなでているうちにとってもかわいく思えて、このセーラといっしょに暮らせたら本当に嬉しい、ぜったい頑張ろうと思いました。まったく一人歩きの出来ない私でしたから、指導員の皆さんにはずいぶんご苦労をかけたことと思います。やっとのことで訓練も修了でき本当に感激、感激で一杯でした。
  いよいよセーラとの生活が始まったのですが、やはり犬嫌いの息子は、セーラが犬舎から顔を出しているだけでも「お母さん、はよう、はよう。カギを忘れたらあかんやぁ」とうるさく言っていました。その息子も今ではずいぶんかわいがってくれるようになりました。一緒に暮らすと愛情ができるんですね。セーラがかわいくてたまらないようです。セーラもすっかり家族の一員です。
  私はいま、一人歩きが出来る喜び、時間に制限されず自由にどこでも行ける嬉しさ、また盲導犬がいることで心の和やかさと心強さを感じています。行動範囲も広まり、旅行に行ったり、音楽を聞きに行ったり、あるいはお買い物にと充実した日々が送れるのも、すべてセーラのおかげです。

私の挑戦

兵庫県  片倉 友子       

私は、 4月 1日から盲導犬シルキーと共同訓練を受けています。
  実はシルキーは、四年前に私の母が訓練を受け、私も今まで一緒に生活してきた犬なのです。
  私は、これまで白杖歩行をしていました。しかし、昨年の震災以後、私の住んでいる西宮市でも道の様子がずいぶん変わり、白杖で歩行していて危険に感じることが多くなりました。そこで母や訓練センターの指導員の方に相談したところ、シルキーを親子で使えるように挑戦してみようということになったのです。
  はじめのうちは、シルキーが私の命令を聞くだろうかとか、私もシルキーを信頼してうまく歩けるだろうかといろいろ不安でした。しかし、訓練も 2週間目に入り、お互いに慣れてくると自信が持てるようになってきました。
  訓練はどんどん進み、覚えなくてはいけないことがたくさん出てきて緊張している毎日ですが、今のすばらしい季節を全身で感じながら楽しく歩いています。
  母と共にシルキーを使いこなし、これまで以上に多くの場所へ出かけていき、自分の世界を広げられるようにがんばりたいと思います。

連合会活動報告

盲導犬事業の発展のため全国の盲導犬育成施設の相互協力組織として、全国盲導犬施設連合会が発足して一年。前回にご報告したように、全日本盲導犬使用者の会の運輸省での陳情行動に同行した他、全国各地で啓発活動や募金活動などを行ってきました。そこで今回は、スーパーで行っている啓発活動の一部をご報告します。

盲導犬はペットとは違います!

=全国のスーパー各店で盲導犬のデモンストレーション=

<盲導犬への理解を呼びかけて>

現在日本全国で盲導犬を使用している視覚障害者は約 800人。そのため、盲導犬はまだまだ大変珍しい存在です。そのせいか、ペットと同一視され、公共の施設の利用を断わられることが少なくありません。盲導犬についてわかっていただくには、実際に見ていただくのが一番なのですが、残念ながら盲導犬の実働数が少ない現在、街中で盲導犬を見るチャンスはほとんどありません。そこで全国盲導犬施設連合会では、昨年の 4月の発足以来、連合会加盟施設が互いに協力し合い、連合会の募金箱を置いて下さっている全国のスーパー各店で盲導犬のデモンストレーションを行っています。お店の従業員や一般の利用客に盲導犬や視覚障害といったことについてご理解いただき、もちろん盲導犬ユーザーもマナーに気をつけ、それぞれがいやな思いをせずに済むような受け入れ体制を作ろうとがんばっているのです。
  ダイエーは38店舗、西友は 8店舗、そしてジャスコは16店舗。北は北海道から南は九州まで、できる限り多くの方にお目にかかれるよう飛び回ってきました。入店を断わられる場合、本社では盲導犬を受け入れるよう指導していても、末端の従業員にそれが伝わっていないというケースが多いので、こうした活動を通じて少しでも事態が改善することを願っています。

<スーパー各社の対応>

店頭でのデモンストレーションだけでなく、スーパー各社は従業員教育の一環として、障害を持つお客様への接客対応マニュアルも作成し、盲導犬の受け入れ促進を図っています。対応の手順はどこのスーパーもあまり変わらず、視覚障害者については、白杖使用者と盲導犬使用者とで対応方法を分けているのが一般的です。盲導犬使用者の場合は、ご本人への対応だけでなく、盲導犬がどのように訓練されるか、またどのような性質を持っているか、そして社会的な位置づけはどうなっているかなどの説明も加えられ、盲導犬も積極的に受け入れるように促しています。変わったところでは、盲導犬同伴のお客様が入店したら一般のお客様にもご理解いただけるよう、店内放送をするというところもあります。基本的には各社いずれも盲導犬を連れて店内どこでも回れるようですが、ベーカリーコーナーなど狭いところでは、犬をいったん外で預かるということもあるようです。
  また、各スーパーそれぞれいろいろな心づかいがあります。店内での案内係が途中で交代して、視覚障害者のお客様が来たときと違う入口から見送られて道に迷うことがないよう、入店した際にどこの入口かを教えると規定しているところもあります。また、洋服を選ぶ際に、「お世辞をいわないように」と書かれているものもあります。いつもの周囲の評価と違う評価をされるとご本人が困惑されるから、ということだそうです。その他に、色の説明をする場合は、単に「赤」とか「青」と言うのではなく、「太陽のような暖かな赤」などの具体的な説明をする、というところもあります。

  *   *   *

盲導犬の受け入れの動きが広がっていることは、とても嬉しく思います。この動きが大手のスーパーだけでなく、個人商店などにも波及するといいのですが ・・・。盲導犬使用者にとって初めて入るお店はやはり緊張します。「断わられるかもしれない」という気持ちを抱かざるを得ないからです。
  連合会が発足して一年です。去年よりは今年、今年よりは来年の方がよくなったと実感できるよう、一歩一歩前進していきたいと思っています。

    (全国盲導犬施設連合会・茶谷)

使用者の体験談(2)

カナダへの一人旅

大阪府  仁枝(ニエダ) 玲子

カナダへの一人旅−といっても一人だったのは機内だけですが−をしてきました。その旅の中での盲導犬に関することを書きたいと思います。
  まずは、機内での話です。乗ったのはエア・カナダという会社名の飛行機。私はエコノミークラスでチケットを取ったのですが、飛行機に乗った途端フライトクルーが「エコノミーでは狭くて犬がかわいそうだからファーストクラスに移りましょう」と席を替えてくれたんです。それからはいたれりつくせりで、ほとんどつきっきりで面倒をみてもらえました。ただ会話はすべて英語でしなきゃならなかったので苦労しましたけど・・・。その中での一つの出来事ですが、「ブランケットをかけましょうか」と聞かれ、当然私にかけてくれるものと思って「ありがとう」と言ったのに、そのブランケットはハノン(盲導犬の名前)に敷かれ、掛けられてしまいました。おかげでハノンはぐっすり眠りについたんですけど、私はブランケットを掛けてもらうこともなく、しかも寝ようとすると「この犬は・・・」とクルーが話をしにくるという感じで、行きの 8時間・帰りの12時間はほとんど眠れず仕舞いでした。ここまでになるとハノンの人気も良し悪しに思えますね。でも、一度だけ「私は長くクルーをしているけど盲導犬と一緒に、しかも一人だけで旅行をする視覚障害者を今まで見たことがありません。勇気があるんですね」と日本人の女性クルーに褒められたのは、とてもとても嬉しく思いました。他の航空会社はどんなサービスをしてくれるのか知りませんが、私はエア・カナダに乗って快適な空の旅をすることができました。
  次にバンクーバーでの話ですが、なんと言っても盲導犬がたくさんいることに驚きました。と言うのも、私はハノンと組んで二年になりますが、街中で他の盲導犬とすれ違ったことがまだ一度もないのに、カナダでは毎日のように盲導犬使用者とすれ違ったんです(もちろん毎日違う場所で)。それを一緒にいた友人に話すと、「ニエちゃんが気が付いたのはすれ違ったのだけでしょ?でもこの 1週間それ以外にも離れた所にいるのを結構見たよ。それに私が通ってる大学では私の知ってる限りでは視覚障害者の半分近くが盲導犬を連れてるよ。」とのことでした。そして、それだけ盲導犬使用者が多いということの表れなのでしょうか?街中をハノンと歩いていても、日本でされるように(市場の人にですけど)声を掛けたり呼んだりという盲導犬の気を散らすようなことや使用者よりも先に盲導犬に話しかけるというようなことをする人は一人もいませんでした。それどころか子供が「お母さん、あの人、犬と一緒に歩いてるよ」と騒ぎ出すと「あの人は目が見えなくて、あの犬は歩くサポートをする犬なんだよ。だから今は仕事中なんだから、騒いだりして犬の気を散らすようなことをしてはいけないんだよ」と教えてる(友人に通訳してもらいました)光景なども見かけました。歩行者がそんな感じなんですからお店だってどんな所に入っても全く入店拒否なんてありませんでした(ということはバンクーバーの人は共同訓練中に入店拒否対処の練習なんてしないのかな?)。そして、私が行った限りでは、食事をするところでは必ず「ここへどうぞ」とハノンのために店員さんが一つ椅子をのけてくれました。
  このようなことは、もしかしたらカナダの中でもバンクーバーに限ったことなのかもしれませんけど、それでも日本よりはずーっと住みやすいんじゃないかなと感じました。

犬の排泄物処理の一方法について

犬のうんちの処理に困ったことはありませんか。コロコロうんちは転がってしまうし、ユルユルうんちはきれいに取りきることができなかったり・・・ 。そこで、一つの方法として、「ションベルト」をご紹介します。
  この方法は、スーパーマーケットでよく使われている持ち手のついたのポリ袋と特製のベルトを使って、犬のうんちがポリ袋の中に落ちるように犬の体にセットするものです。

用意するもの:持ち手のついたポリ袋・ 2cmぐらいの幅のゴム紐・バックル 1組・ナスカン 2個(バックルやナスカンは手芸用品店で売っているプラスチック製のもの)

  1. まず適当な長さに切ったゴム紐を二本用意します。適当な長さとは、この二本を合わせたら、犬の胴回りより少し長いぐらいになるような長さです。また、このゴム紐に、長さを調整することができるようにベルト送りをつけておけば、より使い易いでしょう。
  2. それぞれのゴム紐の一方にバックル、もう一方にナスカンを縫いつけます。これで特製ベルトの出来上りです。
  3. ポリ袋の持ち手の一方を切っておきます。
  4. ベルトのナスカンを 2個とも、ポリ袋の切っていない方の持ち手に取り付けます。
  5. ベルトを犬のおなかにまわし、背中でバックルを合わせます。ちょうどナスカンを取り付けたポリ袋が犬のおへそのあたりにくる感じになります。
  6. ポリ袋の切ってある持ち手を犬の股下に通します。
  7. 尻尾の下から出した持ち手を尻尾の根本で結びます。

(この手順については、墨字版の方に簡単な図解を載せています。必要な方にはお送りしますので、情報室までご連絡ください。)

この方法で犬にうんちをさせると、うんちは自然にポリ袋の中に落ちていきます。うんちの処理が手軽にできるだけでなく、その時のうんちの状態がまさに手に取るように(?)わかり、犬の健康状態の把握にも役立つでしょう。
  また、雌の場合は、袋の中に液体を固める凝固剤を入れておくと、周囲を汚すことなくおしっこの後始末をすることも出来ます。おしっこが固まったら生ゴミとして処分します(ただし、もし袋の中にうんちが入ってしまうと固まらなくなってしまうのでご注意ください)。雄の場合には、ポリ袋の持ち手は切らずに、それぞれの持ち手にナスカンを取り付けておしっこが袋に入る位置にセットします。

ただ、便利な方法ではありますが、どんな犬にもすぐに利用できる、という方法ではありません。まずこの方法で排泄することに犬を慣れさせなければなりません。犬によってはこの方法で排泄するようになるまでに時間がかかると思いますので、その点ご注意ください。

盲導犬情報ボックス(1)

盲導犬を定義する法律

「盲導犬」と当たり前のように言っていますが、さて「盲導犬」ってなんでしょう。『道路交通法』という法律の中の第14条には「目が見えない者(目が見えない者に準ずる者を含む。以下同じ。)は、道路を通行するときは、政令で定めるつえを携え、又は政令で定める盲導犬を連れていなければならない。」とあります。これは、「通行区分」や「横断の方法」といった項目と併せて「歩行者の通行方法」として定められているものです。
  では、「政令で定める盲導犬」とはどのようなものなのでしょうか。『道路交通法施行令』第 8条によると、「盲導犬の訓練を目的とする民法(明治29年法律第89号)第34条の規定により設立された法人又は社会福祉事業法(昭和26年法律第45号)第29条第 1項の規定により設立された社会福祉法人で国家公安委員会が指定したものが盲導犬として必要な訓練をした犬又は盲導犬として必要な訓練を受けていると認めた犬で、総理府令で定める白色又は黄色の用具を付けたものとする。」となっています。

盲導犬情報ボックス(2)

盲導犬に関する最も古い資料は?

人間と犬との関係は、はるか遠い昔から綿々と続いているものです。視覚障害者と犬との関係もまたしかり。火山噴火で有名なポンペイで発見された壁画には、視覚障害者と思われる男が小さな犬に導かれて市場を歩く姿が描かれていますし、13世紀の中国絵画にも人込みの中を犬と歩く視覚障害者らしい人の姿が描かれています。15世紀以後は、いろいろな画家が犬を連れて歩く視覚障害者の絵を数多く残しています。それらの絵のほとんどは、視覚障害者がたわんだ革ひものようなものでつないだ犬と一緒にいる姿を描いたもので、中には橋から落ちていく人を橋の上から見ている犬、といったものまであります。
  盲導犬について書かれた文献は、初期の盲教育の専門家であるヨハン=ウィルヘルム=クライン神父によるものが世界で最初ではないかと思われます。1819年にウィーンで刊行された盲教育に関する彼の著書の中には、現在の訓練方法にとても類似した方法が述べられています。たとえば、ある視覚障害者が、自分の前を歩いたり、命令によって止まったり、歩道・曲がり角・通行を妨げる障害物に反応するように犬を訓練したことや、プードルやシェパード犬の方が適していること、晴眼者が犬を訓練すべきであること。また、犬につける道具も革ひもでなく犬の首輪に棒状の誘導具を付けて、視覚障害者は左手でそれを持ち右手で杖を持って歩く方法が紹介されています。この方法によって、より正確に犬の動きが視覚障害者に伝わるようになりました。形は現在使われているものとは全く違いますが、ハーネスの始まりと言えるのではないでしょうか。
参考文献:「Foundations of Orientation and Mobility」 (R.L.Welsh 他 1980)
「Dog Guide for the Blind」 (N.Coon 1959)

編集後記

道路交通法をあらためて読んでみると、「目が見えない者は、道路を通行する時、つえを携え又は盲導犬を連れていなければならない」なんて、なんだかかなり強引な言い方にも聞こえます(法律なんてそんなものなんでしょうけれど・・・ )。でも、街を歩いているとき「こんな所に犬なんか連れて来ないでよ。え、盲導犬?でも犬でしょ。それもこんなに大きな犬じゃねぇ」なんて言われた経験がある盲導犬使用者は少なくないのではないでしょうか。法律を遵守しているのにこんな言われ方をされたんじゃ立つ瀬がないですよね。バンクーバーは遠いなぁ。
  引き続き、盲導犬使用者や希望者の投稿をお待ちしています。直接使用者の方に会う機会がある毎に地獄の関所番の如くお願いしているのですが、これではどうしても地域が限られてしまいがちです。北海道から九州まで、多くの方の声を載せていきたいと思いますので、よろしくお願いします。(久保)