盲導犬情報 第21号(1999年4月)



内容


現在の盲導犬育成事業について

1月28日付けの東京新聞・中日新聞の夕刊に、『「盲導犬育成」を法制化』などの見出しで、厚生省が盲導犬育成事業を法制化する方針である、との記事が掲載されました。盲導犬育成事業を法制化し国の福祉事業と位置づけることにより、「単独予算となるため補助金枠の拡大が期待できる上、民間の参入で訓練施設の増加も考えられるという」(中日新聞)ことで、需要と供給のアンバランスな状態が慢性的に続いている現在の状況を改善するための法制化、とも考えられます。
 では現在の盲導犬育成事業はどのようなものなのでしょう。日本財団・「盲導犬に関する調査」委員会は、1998年11月に実施したアンケート調査の中で、地方自治体が行っている盲導犬貸与事業に関して一般の視覚障碍者の認知度についても調査しています。盲導犬貸与事業について「知っている」と答えた人は、アンケート回答者1,797人の内の62.6%の人たちでした。これは、年齢が高いほど認知度は高くなる傾向にあり、また盲導犬についてよく知っているという人の85.5%は盲導犬貸与事業について「知っている」と答えています。
 このように盲導犬貸与事業について知っている視覚障碍者は少なくないことが、この調査から明らかになったわけですが、将来法制化されるならば何が良くなって、何が問題として残るのか、今後の動きを明らかにするためにも、今回、現在の盲導犬育成事業がどうなっているのかについて、もう一度おさらいをしてみたいと思います。

1.法律の中の盲導犬

まず盲導犬について、現在日本にどのような法律があるのかというと、『道路交通法』ということになります。
 道路交通法第14条「目が見えない者(目が見えない者に準ずる者を含む。以下同じ。)は、道路を通行するときは、政令で定めるつえを携え、又は政令で定める盲導犬を連れていなければならない。」
 では、その中の「政令で定める盲導犬」とは、『道路交通法施行令』第8条「盲導犬の訓練を目的とする民法(明治29年法律第89号)第34条の規定により設立された法人又は社会福祉事業法(昭和26年法律第45号)第29条第1項の規定により設立された社会福祉法人で国家公安委員会が指定したものが盲導犬として必要な訓練をした犬又は盲導犬として必要な訓練を受けていると認めた犬で、総理府令で定める白色又は黄色の用具を付けたものとする。」そして、盲導犬の訓練を目的とする法人とは、『民法』第34条「祭祀、宗教、慈善、学術、技芸其他公益ニ関スル社団又ハ財団ニシテ営利ヲ目的トセサルモノハ主務官庁ノ許可ヲ得テ之ヲ法人ト為スコトヲ得」、あるいは『社会福祉事業法』第29条第1項「社会福祉法人を設立しようとする者は、定款をもって少なくとも次に掲げる事項を定め、厚生省令で定める手続きに従い、当該定款について所轄庁の認可を受けなければならない。

といった条件を満たして設立され、かつ国家公安委員会の指定を受けた法人というこ とになります。
  国家公安委員会は、『盲導犬の訓練を目的とする法人の指定に関する規則』の中で 、「指定の基準は、次のとおりとする」としています。

「一  盲導犬として必要な訓練をする業務又は盲導犬として必要な訓練を受けていることを認定する業務(以下「盲導犬訓練業務等」という。)の実施に関し、適切な計 画が定められていること。
盲導犬訓練業務等を行うための施設が次のいずれにも該当するものであること。
   イ 盲導犬訓練業務等を行う者(以下「訓練士等」という。)として盲導犬訓練
   業務等を適正に行うため必要な知識及び技能を有する者がおかれていること。
   ロ 盲導犬訓練業務等を適正に行うため必要な設備を備えていること。
盲導犬訓練業務等を適正かつ確実に行うため必要な設備を備えていること。
盲導犬訓練業務等以外の業務を行っているときは、当該業務を行うことにより 盲導犬訓練業務等が不公正になるおそれがないこと。」

そして、これらの法人が、「盲導犬として必要な訓練をした犬又は盲導犬として必 要な訓練を受けていると認めた犬」で、なおかつ「総理府令で定める白色又は黄色の用具を付けたもの」が、法律上の盲導犬ということになります。
  その盲導犬が付ける用具については、総理府令第60号第5条の2で「白色又は黄色 の別図の形状のものとする」として、ハーネスの側面図と正面図が掲げてあります。 ハーネスには、取手部と胴輪部があり、胴輪部の幅は、2.5センチメートル以上(ただ し胸から前足の間を通って胴輪部につながる部分は幅2.0センチ以上)となっています (墨字版には、この図を掲載しています)。

2.盲導犬育成事業とは

こうした盲導犬を育成するために、行政側はどのような対応をしているのでしょう か。1979年6月「在宅身体障害者の社会的生活能力の向上を図るとともに、その社会活動に必要な援助を行うことにより、在宅身体障害者の社会活動への参加と自立を促進することを目的」とした『障害者社会参加促進事業』の中のメニューの一つとして盲導犬育成事業が取り入れられました。
  この『障害者社会参加促進事業』は、1990年4月「身体障害者が住み慣れた地域のなかで自立し、社会に参加できるようにするために必要な援助を行うことにより、障害の有無にかかわらず誰もが明るく暮らせる社会づくりを促進することを目的」とした『「障害者の明るいくらし」促進事業(障害者社会参加促進事業)』に引き継がれます。その後、1996年に内容を一部改定。
  1998年には、「ノーマライゼーション(障害のある人も家庭や地域で通常の生活ができるようにする社会づくり)の理念の実現に向けて、さまざまな障害のある人が社会の構成員として地域の中で共に生活が送れるよう、また、コミュニケーション、文化・スポーツ活動等自己表現、自己実現、社会参加を通じて生活の質的向上が図れるよう、必要な社会参加促進施策を総合的かつ効果的に実施し、障害者に対する国民の理解を深め、誰もが明るく暮らせる社会づくりを促進すること」を目的として、その対象者に「知的障害者及び精神障害者を」加え、より多くの人のためのものに変わりました。
  今年に入ってから1998年のものも一部改定され、現在、『「障害者の明るいくらし」促進事業』は、

第1 基本事業「1 必須事業、2 選択事業、3 特別事業」
  第2 全国障害者スポーツ大会開催事業
  第3 障害保健福祉圏域計画推進事業

から構成されたものになっています。
  基本事業の中の選択事業には

  1. 情報支援
  2. 生活訓練
  3. スポーツ振興等地域交流支援
  4. 啓発広報
  5. 身体障害者支援
  6. 知的障害者支援
  7. 精神障害者支援

という7つの事業分野に分かれて、合計27の事業メニューがあげられています。この各事業分野から最低一つ以上の事業を行い、実施事業数の増加に努めることが、事業の実施主体である都道府県及び指定都市に求められています。

盲導犬育成事業は、選択事業の中の「身体障害者支援」の分野に分けられた6つのメニューのうちの一つです。盲導犬育成事業の他には

の5つの事業があげられています。
  つまり実施主体である都道府県及び指定都市は、盲導犬育成事業も含めたこの6つの事業の中から最低一つ以上の事業を実施することになっているのです。

盲導犬育成事業については、以下のような内容になっています。
「21 盲導犬育成事業
(1)事業内容
  盲導犬の育成に要する費用を助成する事業
(2)対象者
  重度の視覚障害者(視野障害を含む。)であって、盲導犬を使用することにより就
労等社会活動への参加に効果があると認められる者(本人又はその世帯等において盲
導犬の管理ができない場合を除く。)
(3)実施方法
ア 実施主体は、盲導犬の育成に関し適当と認められる団体(道路交通法施行令第8条の規定に基づく公益法人。以下「育成団体」という。)に対し、毎年度必要に応じて盲導犬の育成を依頼する。
イ 実施主体は、当該育成依頼を行った頭数に応じ、育成団体に対し、当該育成に直
接必要な経費(候補犬の購入費を含む。)について予算の範囲内で助成する。
(4)留意事項
  実施主体は、視覚障害者団体等の要望を聞き、需要の積極的把握に努めるとともに
育成計画を策定するよう努めること。」

3.盲導犬育成事業の実施状況

約3年前の調査ですが、1996年5月に都道府県・指定都市における盲導犬育成事業の実施状況を調べたところ、54自治体が事業を実施しており、実施率は91.5%でした。
  35の自治体が盲導犬を育成する法人と委託契約を結び、21の自治体が盲導犬を育成する法人や視覚障害者団体等に補助金を交付していました(ただし2自治体は両方の方式で事業を実施)。委託契約・補助金交付による育成予定頭数は、 104頭でした。
  委託契約を盲導犬を育成する法人と結んでいる自治体は、1年間に最少1頭、最多10頭、平均 1.9頭、合計62頭の盲導犬を育成する契約で、委託契約費は1頭につき最低約80万円、最高約 214万円、平均約 154万円でした。
  補助金を交付する場合は、盲導犬を育成する法人に限らず地域の視覚障害者団体の他、盲導犬普及団体(徳島の盲導犬を育てる会・高知県盲導犬協会・大分盲導犬協会)に交付している場合もありました。運営費補助として補助金を交付しているのは7自治体で、その金額は最低約89万円、最高約 776万円、平均約 222万円。育成費補助として補助金を交付しているのは18自治体で、最少1頭分、最多10頭分、平均 2.5頭分、合計42頭分の盲導犬の育成に対し補助金を交付。その金額は、最低約63万円、最高約 567万円、平均 204万円でした。
  その他、実施されている盲導犬に関係する助成施策として、利用者の所得にもよりますが、

などの助成をおこなっている自治体がありました。

読者からのお便り

      

犬にも鍼がよく効きます

        広島市  泉川 悦雄         

「盲導犬情報」20号で、名古屋市の小林誠さんが「犬にも寝違い」と題して人間と同じようなことが犬にも起こることを書いておられましたが、私は愛犬イシュタルに人間と同じように鍼がよく効きましたので報告させていただきます。

1.湿疹:平成10年4月8日に福岡盲導犬訓練センターを卒業する時、所長さんから「イシュタルは胃腸は丈夫だが神経質で皮膚が弱いので、ブツが少し出来ているのと鼻のところの毛が抜けているからこの薬用シャンプーを使いなさい」と言われて帰ってきました。
  二月ばかり薬用シャンプーを使って様子をみるも、全く効果は見られませんでした。そこで5月末に狂犬病の予防接種に行った時、獣医さんに相談したところ「これは体質だから、エサを変えて体質を変えてやらん限りだめです。そのようなドッグフードを使ってみますか」とのこと。
  「体質を変えれば直る」と聞いた瞬間、私は体質病である小児喘息などが鍼でよく 直ることを思い出し、うまく断ってそのまま連れて帰り、さっそく鍼を始めました。お尻に2カ所、腕と腿の所に3カ所、脇の下に1カ所、米粒大のかさぶたのようになっていました。
  そのかさぶたのところを中心に、それぞれ集毛鍼(シュウモウシン)で瀉的散鍼(シャテキサンシン)のつもりで少し強めに行いました。毛の少ない脇の下は三日で最初に消え始め、最後にお尻のかさぶたが1ヶ月後に消えて、全て無くなりました。年が明けて1月中頃に右脇の下にまた1個現れたので、これも三日で消えました。

2.脱毛:湿疹が消えたのに気をよくし、鼻の先とマズル(鼻口部)の間の脱毛部にも挑戦することにしました。7月上旬から局所を中心に、集毛鍼(シュウモウシン)で補的(ホテキ)に軽く毎日行いました。なかなか効果は見られなかったが、11月下旬に産毛が出始め、12月中頃にはきれいにビロードのように生え揃い、周囲の皆さんから「かっこよくなった」と褒められ気分をよくしています。

私のタクシー利用について

        北海道  山本 義晴         

毎回「盲導犬情報」を楽しく読ませていただいています。出身協会、住んでいる地域、また、その使用者によって様々な経験があり、「私も活用してみよう」とか、「こういう状況もあるんだぁ」と、大変役立っています。
  前回の「盲導犬情報」第20号で、タクシー乗車拒否の記事が載せられていましたが、全国的に見ても、まだまだ盲導犬に対する関心が低いようです。私もそのような経験がありますが、盲導犬を使っていても、その場合によってはタクシーを利用しなければならない状況もあります。もし、どうしてもタクシーに乗らなければならない ・・・、しかし、乗車拒否された ・・・と言うのでは困りますし、拒否されたときの悪い気分は、しばらく残るのではないでしょうか?
  それには、まず、盲導犬を連れている私たちに対して、どのような接客態度をするか見極めなければなりません。つまり、乗車拒否をするタクシー会社は、極力私たちの方から拒否すると言うことです。当然、最初は、健常者の助けが必要ですし、どのタクシー会社が最も乗車拒否をしてくるかを知っておく必要があります。また、どのタクシー会社が、快く盲導犬との乗車を受け入れてくれるか?と言うことも知っておく必要があると思います。
  私の場合は、そのような盲導犬に対する教育がしっかりしている、つまり、タクシー会社に勤める個人としてではなく、その会社に勤めている運転手、全体的に教育が行き届いているタクシー会社を利用するようにしています。そのため、どこにいてもタクシーを呼べるように、携帯に短縮登録しています。
  盲導犬を連れているからと乗車拒否するタクシーがあるなら、そのタクシーを私たちの方から選ばないよう、乗車しないようにするしかないと思います。地域によって関心度は違いますが、盲導犬が一緒でも喜んで乗車させてくれるタクシー会社を常に利用するようにしましょう。「私は全盲だから、走ってくるタクシーがどの会社かわからない」と言う方も、ご安心下さい。私も全盲です。そのためにどこからでも呼べるよう、携帯に登録してあるのです。
  でも、盲導犬を使うようになってからと言うもの、タクシー利用が少なくなったのは事実ですが、時には使わなければならないこともありますので、そのような方法を活用してみてはいかがでしょうか?そのユーザーによって、タクシーの利用方法は異なると思いますが、是非、今後の参考にできればと思って投稿してみました。今後、今以上に盲導犬に対する関心が高まることを願っています。
  そのタクシー利用とは直接関係ありませんが、函館では、「ノーマリー教室」、つまり、市内の小中学校に行き、盲導犬の説明をしています。社会福祉協議会が協力して下さり、子供たちに盲導犬のことを理解していただくのが目的です。もちろん、「ノーマリー教室」には、車椅子や手話もありますが、この情報誌は「盲導犬情報」ですので、敢えて盲導犬のことだけにさせていただきます。

ルルのリタイア

       新潟県  赤塚 セツ        

ルルと再会したのは、五泉市の公園の木々の緑の下でした。ルルとわかれて6ヶ月後のことです。
「ルルが、きたよ」と声がして間もなく、ルルが飛びついて来ました。いつもの全身を使っての挨拶です。ルルです!ひとしきり挨拶がすむと、広い公園の中を集まった皆さんと私の方を見るわけでもなく、乗ってきた車に向かって行きます。それはもう
「私の飼い主は別よ」
と言わんばかりの様子だったと聞かされて、胸がいっぱいになり、複雑な思いになって涙がでてきました。が、しかし、ルルの白内障を知らされ、左前足の腫れ物も大きくなってきて、その上階段を嫌い始めるようになって、少しづつ覚悟して来た別れなのだと冷静になって考えると、これで良かったのだと思えるのです。
  ルルは、私を一生懸命にリードし、いろいろな所に行ってくれました。北海道も九州も、東京へは新幹線飛び乗りなんてことも、平気でやってのけてくれました。そして海外へも、ドイツ、オランダ、花のパリなどルルとの旅は、私に思ってもみなかった人生を与えてくれました。
  毎日歩く、職場への行き帰り、買い物や仲間との食事会の時もルルはいつも私の脇
でした。
  思い出せば思い出すほど、別れがつらくなるのでした。栃木盲導犬センターに相談もしました。私には盲導犬は必要です。2頭は手元に置けません。私が、ふんぎれたのは、ルルはお嫁に出すのだと思うことにし、リタイアを納得したのです。ルルの嫁ぐところは新潟市内、大の犬好きのS家、家の中に小型犬の仲間もいます。ルルはきっと楽しく暮らせる。そう思って、診断書をセンターに送った後も何カ月も考え、とうとう別れは平成9年11月30日。
  リタイアしたルルをこうして身近にいつも感じていられるのは、にいがた・盲導犬ハーネスの会の存在です。共に活動する会員の盲導犬への理解とふれあい、ユーザーにとって何よりのことだと思っています。
  そして、現在・・・。ルルは時々会える、お嫁に出した私の娘なのです。

盲導犬が主役

       広島市  桑木 正臣        

去る2月28日、広島ハーネスの会発足十周年記念大会が市内の県民文化センターで行われた。観客四百人近くまたボランティアと我々ハーネスの会の関係者を合わせると五百人という、会場の五百席ほぼ満員の大盛況であった。
  大会は三部に分かれ、第一部・式典、第二部・コンサート、第三部・祝賀会である。式典には、来賓として県市の障害福祉関係の方、視力障害者協会長ならびに二協会の盲導犬協会長の方々をお招きし、まずハーネスの会会長の挨拶に続き、県内の14頭の盲導犬がステージに勢揃いし司会者から1頭づつ紹介された。
  第二部のコンサートは、広島少年少女合唱団45名と縦笛10人、ジャズピアノお一人と三部に分かれていた。中でも、合唱は素晴らしく、我々も童心にかえった気持ちで聞きほれました。
  大会準備は一年近く前からとりかかり最初は百人か二百人くらいしかお客さんが入らないのではないかと心配しましたが、大盛況に終わり感謝しております。
  私が特に印象に残った二つの事柄についてお話しします。
  一つは大会十日前に配布するパンフレットの作成に、会長(藤井)がこう言われたことである。
「盲導犬が主役だからページいっぱいに大きく載せ、使用者はカッコの中に小さく載せればいい」と言われた。
  この発言には、なるほどと感じた。視力障害者の福祉に盲導犬歩行という手段で貢献された会長だけあってまず盲導犬たちを大事にするこの気持ちがあってこそ、十年間多忙な職業の中で我々の福祉にご尽力されたのだな、と改めて感謝の念が涌いてきました。
  もう一つは、祝賀会の時のことです。
  お酒もはいり、使用者にマイクが回ってきました。あと数日で盲導犬をリタイアさせるという使用者が、泣きじゃくりながら自分の思いを話されたことです。十年間自分の為に働いてくれたパートナーとの別れ、新しい盲導犬と前向きに生活していくつもりだと思いながら絶ちがたい別れ、その涙は美しいと思いました。また泣きたい時泣ける、今の世代の方は幸せだとも感じました。私のような年代の者は泣きたくても泣けない、もちろん人前だけのことではあるが、彼のように人前であろうが誰がいようが、自分の気持ちを素直に飾らず泣くことができれば少しは楽であろうがな、とそんなことを強く感じました。
  閉会の挨拶で私は、主催は広島ハーネスの会であるが主役は盲導犬たちである、と付け加えました。

全国盲導犬施設連合会の活動報告

厚生省生活衛生局に要望書を提出

全国盲導犬施設連合会では、厚生省生活衛生局食品保健課長に対し「盲導犬使用者の飲食店利用に関する理解促進に関する要望書」を3月16日に提出しました。 厚生省生活衛生局では、盲導犬使用者の飲食店等の利用に関して、1981年1月30日付けで厚生省生活衛生局指導課長・食品衛生課長より「盲導犬を伴う視覚障害者の旅館、飲食店の利用について」と題した通知を各都道府県・政令指定都市・特別区衛生主管部(局)長あてに出しています。また、1994年1月には18万枚余りの広報ポスターを制作し、関係方面に配布しています。そういった働きかけ等により、盲導犬使用者の旅館・飲食店等の利用に関するトラブルは少なくなってはいるようですが、まだまだ理解されていないことも多く、より積極的で効果的な啓発活動が必要とされているのが現状です。
  そこで今回、食品に関係した営業をする上で登録される食品衛生責任者が受講する講習会用テキストに盲導犬と盲導犬使用者に関する正しい知識が記載されるよう関係方面に通知してほしいと、全国盲導犬施設連合会から厚生省生活衛生局に対して要望書を提出しました。実際、昨年、岐阜県環境衛生部が監修した「平成10年度食品衛生責任者講習会」テキストには、「盲導犬についてのお願い」が記載され、受講者に対して盲導犬に対する理解を促す内容になっています。
  この要望書を提出した際に同席されていた厚生省生活衛生局指導課の西山博幸氏は、厚生省生活衛生局監修の月刊誌「生活と環境」(98年12月号)の中で「盲導犬を伴う視覚障害者の旅館、飲食店等の利用について」と題して、盲導犬ついての説明をした後「重要なことは、盲導犬は障害者の移動手段であるので、飲食店や旅館業の業者はペットとして認識してはいけないということです。」と旅館・飲食店等の関係者に訴えています。
  なお、この記事の最後には「盲導犬により施設が汚れるなどの被害が生じた場合は、使用者に対し責任を求めて差し支えありません。盲導犬による被害により、使用者とトラブルが生じた場合の相談は、各都道府県の障害者福祉担当部局で受付けますが、厚生省大臣官房障害保健福祉部社会参加推進室でも受付ています。」とあります。今後も関係者の理解が得られるよう啓発活動に取り組んでいくことはもちろんですが、この一文が空文となるように、使用者側もマナーに十分気をつけていきたいものです。

こくちばん

インターネットを利用した情報

その1「全日本盲導犬使用者の会」

全日本盲導犬使用者の会では、ホームページを開設しました。全犬使会の会報や盲導犬に関する書籍の紹介の他、すでにホームページを開設してる日本盲導犬協会・アイメイト協会・中部盲導犬協会・関西盲導犬協会ともリンクできますし、この「盲導犬情報」のバックナンバーも見ることができるようにしていただいています。

ホームページのアドレスは
http://www2u.biglobe.ne.jp/~shudo/guidedog/index.html
です。

また、盲導犬に関する情報交換の場としてメーリングリストも開設しています。メーリングリストは会員制の電子メール配送サービスのことで、特定のアドレスに対して送られたメールが登録されたメンバー全員に配送されます。このメーリングリストというメディアを活用することで、より素早くより多くの人との情報交換・意見交換が可能になります。
 盲導犬を使用する上での工夫や日頃考えていること、問題に感じていること、エピソード、疑問等々、盲導犬を取り巻く環境について意見交換を進めていくことは、盲導犬と暮らす社会環境の改善にもつながるでしょう。全犬使会の会員でなくても、盲導犬を使用していなくても、目が不自由でなくても、盲導犬に関心を持っている方であれば、どなたでも参加できるそうです。
 ただし、参加を希望される方は、まず申し込みが必要です。簡単な自己紹介を書き添えて、下記のアドレスに電子メールを送って下さい。

email:k-shudo@muj.biglobe.ne.jp

その2「盲導犬に関する調査」

「盲導犬情報」第17号で盲導犬に関する調査が実施される予定とお知らせしましたが、この調査は日本財団により昨年11月に実施されました。盲導犬訓練施設・盲導犬訓練士の他、約2500人の盲導犬使用者・元使用者・希望者・一般視覚障碍者のご協力を得て、日本で初めての盲導犬に関する全国的なアンケート調査を実施することができました。
 この度、日本財団「盲導犬に関する調査」委員会により、その調査結果がまとまり、詳しい調査報告が日本財団インターネットホームページに掲載されています。インターネットを利用されている方は、ぜひご覧ください。

ホームページのアドレスは
http://www.nippon-foundation.or.jp/library/topics/guide_d.html
です。

また、この調査の概要については、次号から「盲導犬情報」にも掲載する予定です。


盲導犬情報ボックス

国際盲導犬学校連盟1998年年報より

昨年国際盲導犬学校連盟から発行された年報によると、1998年1月1日現在で国際盲導犬学校連盟には24カ国63施設が加盟しています。これは前年に比べると2カ国4施設が増えています。加盟施設の内、正会員は新たに加盟した4施設の他4つの準会員施設が正会員へ移行したため8施設増えて52施設、準会員は正会員に移行した4施設分が減り11施設となっています。加盟施設のある国は、オーストラリア・オーストリア・ベルギー・カナダ・クロアチア・チェコ共和国・フランス・ドイツ・オランダ・アイルランド・イスラエル・イタリア・日本・韓国・ニュージーランド・ノルウェイ・スロバキア・南アフリカ・スペイン・スイス・イギリス・アメリカの他、新たにフィンランド・スェーデンが加わりました。
  1997年の1年間に各国の加盟施設で訓練を修了した犬と使用者は2,193ユニット(前年は1,911ユニット)。この内の1,583ユニット(72.18%)は施設内で宿泊して、394ユニット(17.97%)は宿泊と自宅と両方で、216ユニット(9.85%)は自宅で訓練を受けています。1995年の年報では、宿泊が61.39%、両方が25.84%、自宅が12.77%となっています。1997年には施設での宿泊訓練が前年より1.03%減り、宿泊と自宅の両方が1.93%増えているのですが、後は毎年少しづつ宿泊で訓練を受けたユニットの割合は増え、宿泊と自宅、もしくは自宅で訓練を受けたユニットの割合は減ってきています。
  また、3,849頭の仔犬たちが盲導犬候補として育てられ、12,397ユニットの盲導犬と使用者が活動中とのことです(前年は10,970ユニット)。

(ちょっと長い)編集後記

昨年秋から盲導犬情報室長が、2才の牝のラブラドール・リトリーバーに代わりました。彼女は、一人で待つということがちょっと苦手です。しばらく待たせた後に彼女を迎えにいくと、嬉しさあふれて立ち上がり、尻尾を振り回しつつ出迎えてくれます。
  ある盲導犬ユーザーからアドバイスを受けて、出迎えたときに立ち上がったら再びダウンさせ、それから「カム」と彼女を呼ぶ、ということを徹底してやってみました。リードを持っただけで立ち上がろうとしたら、また「ダウン」と命令をかけ、必ず「カム」と命令して呼ぶまではダウンしたままでいるようにさせました。そして「カム」の命令で横にきたら、もちろん「グッド」とほめました。本当に基本的なことなのですが、これを繰り返すことによって、迎えに行ったときのバタバタ騒ぎが落ち着いてきました。
  これだけのことですが、これによって生活しやすくなったことが他にも出てきました。それは毎朝のこと。彼女は家族と一緒に寝室で寝ているのですが、朝起きてこちらが布団から出ると、もうそれだけで「おはよう!おはよう!」と全身で朝が来た喜びを伝えに来てくれます。その朝の挨拶で、もう少し寝ていてほしい子供が目をさましてしまい、朝の貴重な時間にロスタイムが生じることもありました。今は、こちらが準備をすませ「カム」と呼ぶまでは静かにダウンしたまま待っていてくれるので、安心してこちらの身支度が整えられます。
  待たせた後に大喜びして迎えてくれると、なんだかこちらも嬉しくてついつい許容していた彼女の行動でしたが、密かに喜びつつも静かに待ってくれていればそれに越したことはありません。
  ちょっとしたことが実はとても大切で思わぬ波及効果があった、と言うとちょっと大袈裟かもしれませんが、読者の皆さんにもそんな経験はありませんか?(久保)

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