盲導犬情報 第22号(1999年7月)



内容




日本財団「盲導犬に関する調査」結果報告書の概要(1)

調査の概要と盲導犬訓練施設の現状について

日本財団の調査研究事業により「盲導犬に関する調査」委員会が1997年に設置されました。委員会のメンバーは、盲導犬訓練施設関係者5名、盲導犬使用者3名を含めた計15名。そして、1998年11月に全国の盲導犬訓練施設8施設や視覚障害者団体などの協力を得て、盲導犬に関するアンケート調査が実施されました。今年3月に調査報告書がまとめられ、前号でお知らせしたように、日本財団のインターネットホームページにも掲載されているわけですが、「盲導犬情報」でもこの調査結果の概要を数回に分けてお知らせしたいと思います。

1.調査の概要

(1)調査の背景と目的

我が国における盲導犬の普及については、ここ数年来、年間の供給頭数が増加せず、横ばい状況にある。その要因として、繁殖犬や訓練士の不足、あるいは財源の不足など様々な問題が考えられ、抜本的な対策が急務となっている。
  本調査は、このような、盲導犬事業の普及・発展に関わる問題を構造的に解明し、盲導犬の繁殖・飼育、訓練士養成のための教育、盲導犬訓練施設の財政的基盤の安定など、盲導犬普及のためのシステムづくりを促進していくための資料を得ることを目的としている。

(2)調査の構成および対象者

盲導犬事業の実態を構造的にとらえるため、以下の6種類の調査を行った。

  1. 盲導犬訓練施設に対する調査
  2. 盲導犬訓練士に対する調査
  3. 盲導犬現在使用者に対する調査
  4. 盲導犬元使用者に対する調査
  5. 盲導犬希望者に対する調査
  6. 一般視覚障害者に対する調査
(3)調査手法

原則として、対象者の自記式記入法。

(4)回収サンプル数(有効票)および回収率
  1. 盲導犬訓練施設・・・・・・8(100.0%)
  2. 盲導犬訓練士・・・・・・41( 65.1%)
  3. 盲導犬現在使用者・・・510( 60.9%)
  4. 盲導犬元使用者・・・・122( 51.0%)
  5. 盲導犬希望者・・・・・・88( 58.3%)
  6. 一般視覚障害者・・・1797( 61.5%)

合計・・・・・・・・・2566( 60.8%)

(5)主な調査項目(調査課題)

2.調査結果

a.盲導犬訓練施設の現状
   a-1.盲導犬の供給状況(過去3年間の平均)
(1)卒業犬数・・・・・・104頭(1施設平均13.0頭)
(2)リジェクト犬(盲導犬に適さないと判断された犬)数・・・115頭(1施設平均14.4頭)
(3)盲導犬候補犬の内盲導犬となった犬の割合・・・47.5%
   a-2.盲導犬の希望者(申込者)数(1997年度)
(1)申込み受理数・・・・・・・・・・合計145件(1施設平均18.1件)
(2)その内面接(適性判定)済み数・・合計116件(1施設平均14.5件)
(3)その内貸与予定者数・・・・・・・合計100件(1施設平均12.5件)
   a-3.盲導犬貸与の際の視覚障害者の費用負担
(1)費用負担の有無
   視覚障害者の費用負担については、6施設が「自己負担がある」と答えている。負担する費用の内訳としては、
   施設ア 布団クリーニング代・・ 2,000円
       給食費・・・・・・・・ 28,560円(1食 360円)
   施設イ 食費・・・・・・・・・ 45,000円
   施設ウ 自立料・・・・・・・・150,000円(2頭目以降は90,000円)
       歩行指導費・・・・・・ 42,000円(1日1,500円×28日)
   施設エ 食費・・・・・・・・・ 1,500円(1日の食費)
   施設オ 施設利用費・・・・・・ 2,000円(3食の食費を含む1泊)
       会費・・・・・・・・1口6,000円(貸与後入会、減免有り)
   施設カ 食費・犬具・・・・・・ 50,000円(共同訓練中の食費・ハーネス・リード・チェーンカラー)
   となっている。
(2)財源の確保について
   施設の盲導犬を貸与または給付する際の条件として、自治体や特定団体からの財源
   の確保が「条件とならない」と答えた施設は4施設。
   「条件となる」と答えた施設も4施設だったが、その内の2施設は、「委託先に盲
   導犬を出すことで手一杯である」「従来は全て財源確保済み」と答えている。他の2
   施設は、財源が確保されない場合の対処方法として「次年度に繰り越す」「スポンサ
   ー等を探す」と答えている。
   a-4.繁殖について
(1)施設で現在保有する繁殖犬について
   ラブラドールレトリーバー・・・雄24頭 雌40頭
   ゴールデンレトリーバー・・・・雄7頭 雌11頭
   シェパード・・・・・・・・・・雌1頭
(2)繁殖犬の使用年齢
   雄犬・・・・最少年齢1.5才〜最高年齢10才
   雌犬・・・・最少年齢1.5才〜最高年齢8才
(3)異犬種間繁殖(現在の日本では主にラブラドールレトリーバーとゴールデンレト
   リーバーの一代雑種)について
   している・・・・・4施設
   将来する予定・・・1施設
   予定していない・・3施設
(4)繁殖犬の導入ルート
   外国の盲導犬訓練施設・・・雄12頭 雌4頭
   外国のブリーダー・・・・・雄2頭 雌5頭
   国内の盲導犬訓練施設・・・雄4頭 雌4頭
   国内のブリーダー・・・・・雄5頭 雌14頭
   自家繁殖・・・・・・・・・雄9頭 雌24頭
(5)繁殖犬の飼育管理の方法
   飼育のすべてを繁殖ボランティアに委託・・5施設
   飼育の一部を繁殖ボランティアに委託・・・1施設
   一部を施設内で飼育・・・・・・・・・・・2施設
(6)出産の方法
   すべて繁殖ボランティア宅で出産・・3施設
   一部を繁殖ボランティア宅で出産・・2施設
   一部を施設内で出産・・・・・・・・3施設
(7)繁殖上抱えている問題
   1施設が「安定的な繁殖が確立していない」と答えている他、8施設中6施設が盲
   導犬に適した質の良い繁殖犬が不足している点を挙げている。
   a-5.施設の収入と支出
(1)収入(1997年度・8施設合計)
   寄付金収入(会費・募金箱・個人寄付・法人寄付)
            ・・8億623万9千円(68.8%)
   受託収入・・・・・・・1億3千716万9千円(11.7%)
   事業収入(助成金・補助金・チャリティ収入)
            ・・1億605万5千円(9.0%)
   その他・・・・・・・・1億2千246万5千円(10.4%)
   合計・・・・・・・・・11億7千192万8千円(100.0%)
(2)支出(1997年度・8施設合計)
   施設関係費・・・・・・5億1千45万8千円(46.7%)
   その他の事業費・・・・3億2千516万円(29.7%)
   管理関係費・・・・・・2億5千936万円(23.7%)
   合計・・・・・・・・・10億9千497万8千円(100.0%)
   a-6.盲導犬貸与以外に行っている事業活動について
 盲導犬貸与以外の事業は行っていない施設が2施設あるが、他の6施設は、何かしらの事業を行っている。盲導犬歩行指導員の養成や視覚障害者に対する相談、盲導犬に関する啓発活動といった専門分野以外のものとしては、特養施設・少年更生施設といった施設へ犬を連れての訪問活動(アニマル・アシステッド・アクティビティ)や一般犬のしつけ教室、介助犬団体への犬の提供等の社会貢献活動が挙げられている。
   a-7.将来配置したい専門職種名と人数
5年後に配置したい専門職種として以下のものが挙げられている。
   飼育専門員・・・8人
   繁殖専門員・・・5人
   パピーウォーカー専門員・・・5人
   盲導犬歩行指導専任指導者・・2人
   アフターケア専門員・・・5人
   白杖歩行指導員・・・・・2人
   盲導犬使用者・・・・・・1人
   a-8.将来の計画や展望
  盲導犬共同繁殖センター設置について7施設が、盲導犬訓練士・歩行指導員等養成機関の設置について5施設が「必要である」と答えている。
  また、将来の計画や展望などについて、自由記述での回答を求めたところ、「各部門の専門化」「重複障害と高齢化への対応」など指導員の資質の向上や人材の確保が必要と考えている施設が5施設。「フォローアップの充実」を挙げているのが4施設あり、そのための方法として支部の建設を考えているのが2施設。また「訪問型訓練」の実施を考えている施設が3施設となっている。その他、安定的な供給のために「40頭規模の訓練施設が必要」「応用性のある質の高い犬の供給」という記述もあった。
  こういった直接的な業務内容に関する記述の他には、視覚障害者および一般市民向けの「啓発活動」について3施設、「安定的な財源の確保」について4施設が、その必要性について触れている。
【お知らせ】

全国盲導犬施設連合会では、この調査報告書の点字版を作り点字図書館等関係機関に配布しましたが、この残部が現在50部ほどあります。希望される方には郵送しますので、盲導犬情報室までお申し込みください。

社会福祉基礎構造改革と盲導犬事業

社会福祉事業法は昭和26年の制定以来、大きな改正が行われていませんが、今般、事業内容、社会福祉法人の在り方、措置制度など社会福祉の共通基盤制度についての見直しが行われ、大きく変わろうとしています。
  厚生省は具体的な改革の方向として、

  1. (1)個人の自立を基本とし、その選択を尊重した制度の確立
  2. (2)質の高い福祉サービスの拡充
  3. (3)地域での生活を総合的に支援するための地域福祉の充実

の3点を挙げていますが、やはり今回の改革の一番大きなポイントは、その内容として「利用者の立場に立った社会福祉制度の構築」を一番に挙げている点と言えるのではないでしょうか。「行政がサービスの内容を決定する措置制度」ではなく「利用者が事業者と対等な関係に基づきサービスを選択する利用制度」、つまり当事者であるサービス利用者が利用しやすいようにサービスを選択し、サービス提供者と直接契約できるようになります。
  厚生省は、4月15日に「個人が尊厳を持ってその人らしい自立した生活が送れるよう、個人の選択を尊重した制度の確立、質の高い福祉サービスの拡充、個人の自立した生活を総合的に支援するための地域福祉の充実を図るため、所要の改正を行う」ことを趣旨として「社会福祉事業法等一部改正案大綱」を公表し、具体的な改正案について、次の5つに分けて説明しています。

  1. 社会福祉事業法の一部改正
  2. 身体障害者福祉法、知的障害者福祉法及び児童福祉法の一部改正
  3. 児童福祉法の一部改正<
  4. 知的障害者福祉法及び児童福祉法の一部改正
  5. その他、民生委員法などの一部改正や公益質屋法の廃止など

これまで盲導犬事業は社会福祉関係の法令とはあまり縁のないものでしたが、今回の改正案により法定化されるべき事業の一つとして明示されましたので、この点が少し変わってきそうです。
  まず、社会福祉事業法ですが、社会福祉事業の推進のために、盲導犬事業と共に以下の事業が社会福祉事業として追加されます。

「ア  知的障害者、痴呆性高齢者等に対し福祉サービスの利用を支援するための事業を追加すること。
障害者関係事業(障害者(児)生活支援相談事業、身体障害者生活訓練等事業、手話通訳事業、知的障害者デイサービス事業、知的障害者デイサービスセンターを経営する事業、盲導犬訓練施設を経営する事業)」

また、身体障害者福祉法の中でも「障害者の福祉増進を図るため、以下の事業を法
律上の事業として位置付けること」として、

「ア  身体障害者・知的障害者・障害児生活支援相談事業(情報の提供並びに助言及び指導、障害者と市町村、居宅生活支援事業者、障害者施設、医療施設等との連絡調整等の援助を総合的に行う事業)
身体障害者生活訓練等事業(身体障害者が日常生活又は社会生活を営むために必要な訓練等の援助を提供する事業)
視聴覚障害者情報提供施設の機能の拡充
手話通訳事業
盲導犬訓練施設を経営する事業・盲導犬の貸与
知的障害者デイサービス事業・知的障害者デイサービスセンターを経営する事業」

といった事業が挙げられています。

国会での審議の状況によっては延びる可能性もあるものの、これらの改正案の施行期日は平成12年4月1日になっています。盲導犬訓練施設の法定化及び社会福祉事業への追加に関する規定は平成13年4月1日から、措置制度から支援費を支給する方式への変更は平成15年4月1日からの施行が予定されています。一応、現在の段階では、2年後には盲導犬事業も社会福祉の法体系の中に組み入れられることになりそうです。
  また、このように盲導犬育成事業と貸与事業を法律で位置付けるには、盲導犬育成施設の基準を明確にすることが必要です。そこで、そのための作業がここ1〜2年をかけて進められていくようです。
  盲導犬の育成体制の整備・利用の促進・社会的理解の普及を推進することが、これらの事業を法定化するねらいともいえますが、盲導犬希望者にとって本当に利用しやすいサービス体系を作っていくには、まだまだ多くの議論が必要なのではないでしょうか。

読者からのお便り

在宅訓練を要望

名古屋市 小林 誠

先日、地元視覚障害者協会青年部主催で「盲導犬体験歩行」を企画しました。青年部では唯一の盲導犬ユーザーである私が企画・受付窓口になったのですが、ピーアールの不足からか希望者は一人しか集まらず「体験歩行」は中止となってしまいました。
  私は「なぜこんなに希望者が少ないのか、関心が無いのか」と思い、友人数名に「盲導犬について」聞いてみました。
  その結果、盲導犬に対する興味は持っているものの、視覚障害は情報障害と言われるように、申し込み手続きや訓練にかかる日数など全く知らなかったのです。さらに盲導犬を希望したいという気持ちがある人でも仕事を1ヶ月以上も休まなくてはならないことから「杖である程度歩けるし、必要に応じてガイドヘルパーを利用しているから今さら・・・」という答えが多数返ってきました。
  自分自身のことを振り返ってみても17才で失明し歩行訓練を受け、杖で危ないながらも何とか歩けていた段階では「盲導犬を持とう」とは余り真剣には考えませんでした。ところが白杖歩行にも馴れたある日、利用し馴れている駅でプラットホームから転落。救急車で運ばれる怪我をしてからは「盲導犬を持ったら今より安全に歩けるかも・・・」と思い、ユーザーとなったわけです。
  盲導犬を持つまでは「どうなるのか」と、情報が無いだけに非常に不安でした。
  今、視覚障害者の多くが三療と言われる鍼・灸・マッサージを仕事としていると思いますが、この職業も近年晴眼者の進出が増え大変厳しい状況といえます。盲導犬を持つためや代替えのため治療院を休みにしてしまうと患者さんは離れていってしまいますし、訓練を終え帰ってきても、パートナーが環境になじむまではどうしても仕事をある程度犠牲にせざるを得ません。
  そこで今、私がお願いしたいことは各訓練所が「必要と認めた場合に限る」というような条件付きでも結構ですので、在宅での訓練を行っていただけたら助かるという事です。在宅指導では私のように自宅で仕事をしている者以外にも、家庭を留守にすることの難しい主婦の方などにとってもメリットがあるのではと思います。さらにユーザーが日常生活を送る地域を訓練コースに設定するのでしょうから、まわりの健常者にも視覚障害者と盲導犬の正しい形や盲導犬を飲食店やスーパーに入れても問題ないのだと言うことを本当に理解していただけ、ユーザーが一人立ちしてからの安心と大きな自信にもつながると考えるのです。
  今、私が少し不安に思うことはガイドヘルパー制度がどんどん充実していくと、まだいろいろと理解不足によるトラブルのある盲導犬を持とうと考える方が減っていくのでは、ということです。
  在宅訓練を行いたくても様々な問題があり行えない訓練所の状況もある程度理解できますが、それが今のところ難しいのであれば、色々な形(点字・テープ・フロッピーなど)で盲導犬に関する小冊子のようなものを作っていただき、興味のある視覚障 害者が地元の点字情報提供施設などでいつでも情報が手に入るようにしていただけないでしょうか?インターネットでホームページを開いている訓練所もありますが、視覚障害者の全てがパソコンを持ちインターネットにアクセス出来るわけではないのです。
  今後とも視覚障害者の意見なども取り入れ、視覚障害者の立場に立った施設運営をしていただきたいと思います。
  盲導犬情報を読んでおられる皆さんのご意見もお聞かせ願えれば幸いです。

全国盲導犬施設連合会活動報告

「盲導犬同伴可ステッカー&ポスター」掲出について

全国盲導犬施設連合会では、盲導犬使用者が様々なお店を利用するときに一人のお客様として自然に応対していただけるよう、また他のお客様にも、盲導犬を伴ってお店を利用することを理解していただけるように、啓発用のステッカーやポスターを作成し関係機関に配布しています。
  ステッカーの図柄は、青い地に白抜きでハーネスをつけた盲導犬が横向きに座っている姿を直線的にデザインしたもので、ステッカーの下の部分は白くなっており、その中に青い字で「盲導犬同伴可」と書いてあります。
  図柄は同じなのですが、種類としては3種類のステッカーがあります。一つは、縦14センチ、横12センチのもので、スーパーやコンビニエンスストア、その他いろいろなお店のドアなど、店頭に貼っていただいています。このステッカーと全く同じ大きさですが、「盲導犬同伴可」の文字の上に小さく「*一般のペットを伴ってのご利用はご遠慮ください。」という文章がついているものもあります。また大きさが、縦5.6センチ、横5センチとぐっと小さいものもあります。これは、主にタクシーの窓などに貼っていただいています。
  ステッカーは1994年に作られて以来、同じデザインのものが使われていますが、ポスターは少しデザインを変えたものが今年の夏から登場します。大きさはB3版で、中央に正面を向いて座っているラブラドールリトリーバー種の盲導犬。口には白杖をくわえています。
  ポスターの下の部分に大きく「当施設は盲導犬同伴でご利用いただけます。」の文字。ポスターの左上には「全国盲導犬施設連合会」そして右下にはステッカーのデザインが記してあります。このステッカーと盲導犬の間に「皆さまのあたたかい理解を」とあり、その下に「盲導犬は目の不自由な方の大切なガイドです。特別な訓練を受けているため、皆様にご迷惑をかけることはありません。安心して見守っていただくようお願いいたします。」と言う文章があります。その文章の下に少し小さな文字で「*ペットを伴ってのご利用はご遠慮ください」となっています。

では、実際にどのようなお店でこのステッカーやポスターが貼られているのでしょう。そして、これらのものを店内に掲示し、啓発活動にご協力いただいているお店を盲導犬使用者が利用しようとしたら、どのような対応をしていただけるのでしょうか。
  といっても、掲示してくださっている全てのお店に問い合わせるのには、あまりにもご協力いただいているお店の数が多過ぎますし、掲示しておられないお店の声を聞くことはできません。そこで、今回は、全国盲導犬施設連合会の募金箱をチェーン店全体で置いてくださっている会社に、今年3月、アンケート用紙を郵送または持参し、各社の状況を教えていただきました。
  アンケート調査にご協力いただいたのは、イズミヤ(株)、(株)イトーヨーカ堂、ジャスコ(株)、(株)西友、(株)ダイエー、(株)マイカル、(株)マルエツなどのスーパーマーケット8社、サークルケイ・ジャパン(株)、東近畿地域スパー本部(株)のコンビニエンスストア2社、ホームセンターのトステムビバ(株)、レストラン1社の合計12社。各社ともチェーン店として全国約80〜 400店舗、あるいは約2500店舗の各店に募金箱を設置していただいています。

まず、盲導犬使用者に限らず目の不自由な人が来店したときの対応についてお尋ねしたところ、「お客様を見かけたら、スタッフの方から声をかけ、店内の誘導をするなどの対応をしている」のが3社。「お客様からのお申し出があれば、スタッフが店内の誘導をするなどの対応をしている」のが7社。どちらの応対の仕方もしているのが2社、となりました。
  次に盲導犬使用者が来店したときの受け入れの仕方については、「店内(売場)にも盲導犬を同伴させている」のが10社で、「店の入り口等で犬をお預かりしている」という対応をしているところはありませんでした。ただし、無回答が2社ありました。
  全国盲導犬施設連合会が作成したポスターを店内に貼っているのは7社。「盲導犬同伴可」のステッカーを店の入り口に貼っているのは5社でした。しかし連合会が作成したものではないが同じデザインのマークをその他の注意事項のマーク(たとえば禁煙・ペット持ち込み不可など)と一緒に表示しているのが1社。自社オリジナルの「盲導犬同伴可」を表すマークを表示しているのが2社。これらのパターンが混在しているのが2社。こういった表示をしていないのが2社ありました(このうち1社はポスターを貼っています)。
  また、こういった表示以外に取り組んでいることとして、「従業員向けに対応マニュアルを制作し社員教育に取り組んでいる」などの回答があったのが3社。盲導犬ふれあい教室の開催や小学生向けハンドブックやビデオなどで「お客様向けの啓発活動に取り組んでいる」のが3社。2社が「募金活動」を挙げていました。
  飲食関係の1社は、残念なことに、募金には協力していただいていますが「社内にまだ受け入れ体制ができておりません」との回答でした。チェーン店といってもフランチャイズのお店が多い場合は、本社の方針が各店に反映されにくいこともあるようです。今後もいろいろな形で協力していただくことによって、盲導犬使用者の利用について正しく理解していただけるような方向につなげていきたいものです。
  その一方で、こういったステッカーやポスターを貼ってなくても、ごく当たり前のこととして盲導犬使用者が利用できるお店も数多くあります。また、今回、ご協力いただきながらご紹介できなかったお店も数多くあります。その点を深くお詫びするとともに、今後も全国盲導犬施設連合会として、関係各位のご理解とご協力をお願いしていく取り組みを継続していきたいと考えています。
  また、今回ご紹介しましたステッカーとポスターをご希望の方は、全国盲導犬施設連合会事務局(電話:03-3375-6285)にお問い合わせください。なお、これらをお送りする場合、送料として 500円を申し受けますがご了解くださいますようお願い申し上げます。

盲導犬情報ボックス

日本の盲導犬使用者数

社会福祉法人日本盲人社会福祉施設協議会リハビリテーション部会盲導犬委員会の「平成10年度盲導犬訓練施設年次報告書」を参考にして1999年3月31日現在の日本の盲導犬使用者数を出すと、次のようになりました。

北海道:69 青森県:3 岩手県:9 宮城県:10 秋田県:13 山形県:5
福島県:9 茨城県:19 栃木県:16 群馬県:10 埼玉県:44 千葉県:23
東京都:74 神奈川県:35 新潟県:18 富山県:13 石川県:25
福井県:4 山梨県:15 長野県:34 岐阜県:8 静岡県:31 愛知県:36
三重県:11 滋賀県:3 京都府:23 大阪府:41 兵庫県:41 奈良県:7
和歌山県:6 鳥取県:2 島根県:3  岡山県:12 広島県:30 山口県:8
徳島県:7 香川県:7 愛媛県:13 高知県:5 福岡県:26 佐賀県:12
長崎県:12 熊本県:21 大分県:16 宮崎県:12 鹿児島県:21
沖縄県:5
合計:867名

日本に在住の盲導犬使用者は、 867名。前年度に比べると25名増えました。1頭の盲導犬を夫婦・親子の二人で使用するというタンデム方式で使用している盲導犬使用者が14組いますので、盲導犬の頭数で数えると、 853頭ということになります。タンデム使用者を施設別にみると、北海道盲導犬協会2組、日本盲導犬協会1組、関西盲導犬協会9組、日本ライトハウス1組、福岡盲導犬協会1組となっています。
 また、1998年度の盲導犬育成頭数は 130頭。ここ数年の年間育成頭数は 100頭を少し越える程度でしたので、昨年度は例年の約1.2倍の数の盲導犬を育成したことになります。その内、新規の使用者のパートナーとなったのは67頭(51.5%)。代替えの占める割合も、ここ数年は4割ちょっとでしたが、昨年度は5割近い値になりました。

盲導犬実働数の推移

日本の盲導犬実働数は1973年9月1日以降調査されるようになりました。過去の調査年月とその実働数は、以下の通りです。

1992年以降は1年に1回3月に調査されているので、どれくらいのペースで盲導犬実働数が推移しているのかを他の年と容易に比較することができます。しかし、それ以前は1年に2回だったり2年以上調査されていなかったり不定期なものでしたので、どれくらいのペースで日本の盲導犬実働数が推移しているのかが少しわかりにくいと思います。そこでちょっと単純ですが、調査されたごとの盲導犬実働数の増減を、その調査年月が前回の調査から何カ月たっているのかを調べてその月数で割り、1ヶ月あたりにどれくらいの増減があるのかを計算してみました。

1993年度は、例年に比べ、盲導犬実働数が非常に増えていることがわかりますが、1994年度は逆に減ってしまっています。これは、1994年度では育成頭数より引退あるいは死亡した盲導犬の頭数の方が多かったと考えられます。
 また、1995年度以降は、1970,80年代に比べて、盲導犬実働数の増え方は、非常に緩やかになってきています。

編集後記

先の統一地方選挙で、新潟県長岡市と埼玉県川越市で盲導犬使用者が市議会議員選挙に立候補、二人とも当選されました。議員が盲導犬を伴って議会に出席することを阻害されることはなく、お二人とも議員としての活動に励んでいらっしゃることと思います。
 しかし、議員ではなく市民として議会を傍聴するとなると、話はちょっと違ってくるようです。今年5月、ある盲導犬使用者が県議会の傍聴を希望したところ、「衛生上の問題」から盲導犬を同伴しての傍聴を許されませんでした。もっとも、翌月になってから県議会議会運営委員会は盲導犬同伴を許可することにしたので、現在は傍聴できるようですが…。  地元の新聞によれば、審議の中である県議は「目が不自由なのだから、県庁ロビーにある(本会議を中継する)モニターの音声機能を充実させればよい」と発言したとか。そういう問題じゃないでしょうに。やっぱり理解されていないのは盲導犬だけじゃない、と改めて感じさせられた出来事でした。(久保)