盲導犬情報 第24号(2000年 1月)



内容




盲導犬使用者の人権侵害に関するアンケート調査の結果についての報告

全日本盲導犬使用者の会

会長 清水 和行
調査担当 竹前 栄治
  1.  調査目的: 近年、行政機関、マスコミ、関係団体(協会、同窓会など)の尽力 によりホテル・旅館などの宿泊施設やバス・タクシーなどの公共交通機関、劇場・映 画館などの娯楽施設の利用拒否の事例はかなり減少してきているが、まだ拒否の事例 も多くみられる。この事態を改善するために、利用拒否の現状を把握することを目的 とする。
  2.  調査対象: 全日本盲導犬使用者の会全会員( 346名中 135名が回答、回収率39 パーセント)
  3.  実施時期: 1999年5〜6月
  4.  結果の概要
      昨年(平成10年)4月以前にホテル、レストラン、タクシーの利用拒否を経験した 会員は約8割であったが、ここ1年間(1998年4月以降)は約5割に減少した。社会の 理解が進み、だいぶ改善された跡がみられる。
      宿泊施設についてみてみると、約4割の会員(うち4割強が予約の段階で)が拒否 を経験、約6割は拒否されていないと回答(このうち半数は希望通りに利用でき、3 割は利用の機会がなかった)。拒否された場合、折衝したり、親会社・上部組織から 指導してもらったり、行政機関からの指導により利用できた事例もある。また、盲導 犬の料金を支払わされたり、盲導犬を隔離されたり、レストランに入らないことを条 件に利用を許されたりしたケースもあった。宿泊施設側の拒否の理由としては、「犬 嫌いの人がいるから」が約2割、「受け入れ準備がない」および「構造上不備」が合 わせて2割、衛生上の理由が約2割弱、「畳の部屋」約1割、「営業方針」が1割5 分などであった。拒否の程度は2回に1度以下の割合である。地域別では、都市部で も数ケース、その他の県では1ケースか2ケース程度にとどまっている。   レストラン・飲食店の利用では、拒否は約5割弱となり、拒否されなかったケース が約5割強(うち約8割は希望通りに利用できている)となっている。拒否された場 合、入店を断念した事例が3割、折衝して入店できたのが約2割、親会社・本店か、 保健所の指導により利用できたものも約1割いたが、いったん入店してテーブルに着 いた後、追い出されたケースや、休店日とウソを言われて断られたケースもあった。 ここでも拒否の理由のトップは「犬嫌いの人がいるから」(約2割)、「保健所から ダメと言われているから」という認識不足の理由が約8パーセントもあり、「衛生上 の理由」が約1割5分、「受け入れ準備がない」および「構造上不備」が合わせて約 2割、「営業方針」1割5分、「畳の部屋」が 0.7割というように、宿泊施設の拒否 理由とほぼ同じ傾向がみられる。拒否の程度は、やはり2回に1度、つまり50パーセ ント以下のケースが多い。地域別でも、東京都の9ケース、大阪市の5ケースを別に すれば、他の県は1ケースか2ケースにとどまっている。
      映画館、劇場などの利用拒否は、宿泊施設や飲食店の事例にくらべて著しく少なく なっている。拒否されたのは1割5分であり、そのうち拒否されても何らかの方法に より入場できた事例がほとんどで、結果的に断念したケースは全体の2パーセント以 下である。拒否理由のなかに、「施設側がよいと言ったのに、演奏者や主催者がダメ と言った」などがみられ、今後の働きかけが必要。
      最後の質問である改善の方策については、「行政機関からの指導」が約2割、つい で「啓蒙用パンフレットを行政機関から宿泊施設や飲食店に配布」が1割7分、「マ スコミによる啓発活動」が1割6分、「盲導犬110番などの窓口の設置」が1割2 分、「盲導犬使用者によるマニュアルを携行しての啓発活動」が1割とつづいている。
      その他の意見としては、「何よりも使用者自身がマナーの向上に努力」、「ホテル などのマル適マークの条件に盲導犬使用可をいれてもらう」、「自動車運転免許取得 に当たって盲導犬にたいする知識を条件に入れる」、「神社・仏閣、病院などへのア クセスの働きかけ」などなど多数寄せられたが、紙幅の都合で割愛させていただいた 。なお、このアンケート結果は、単なる調査だけに終わらせず、関係機関に働きかけ るのに使用したいと思う。
      本アンケートの作成、送付、集計にあたっては、会員の野口由紀子さん、賛助会員 の山添和夫さん、および「点字あゆみの会」のボランティアの方々の精力的なご協力 をいただいたことをご報告し、感謝の意を表します。
(1999年11月5日 文責・竹前栄治)                    

盲導犬使用者の人権侵害に関するアンケート集計結果

<回答者について>

1.性別
64(47.4%)
70(51.9%)
不明 1( 0.7%)
合計 135
2.盲導犬使用歴
1年以内 3
  1年〜4年 16
  5年以上 44
1年以内 4
  1年〜4年 16
  5年以上 49
合計 1年以内 7( 5.3%)
  1年〜4年 32(24.2%)
  5年以上 93(70.5%)
3.職業
鍼灸・マッサージ業 男 37 女 28 合計65(51.2%)
自営業 男 6 女 3 合計9( 7.1%)
教職員  男 3 女 1 合計4( 3.1%)
管理的・専門的職業従事者 男 1 女 2 合計3( 2.4%)
公務員 男 3 女 0 合計3( 2.4%)
芸術家 男 1 女 2 合計3( 2.4%)
会社員 男 1 女 1 合計2( 1.6%)
学生 男 0 女 0 合計0
その他  男 10 女 28 合計38(29.9%)
   (その他の男性の職業は、無職8、会社経営1、団体職員1)

<アンケートの集計結果>

  A.あなたは、平成10年4月1日以前にホテル・レストラン・タクシーの利用の際に拒否されたことがありますか。
はい  105名(78.4%)
いいえ  29名(21.6%)
  B.あなたは、平成10年4月1日以降にホテル・レストラン・タクシーの利用の際に 拒否されたことがありますか。
はい  72名(53.3%)
いいえ 63名(46.7%)
  C.平成10年4月1日以降について、以下の質問に回答してください。
1.宿泊施設について1.平成10年4月1日以降、旅館・ホテル等の宿泊施設を利用しようとした時に拒否されたことがありますか。
  はい  48名(38.7%)
  いいえ 76名(61.3%)

1−2.拒否の状況とその回数

・予約の段階で拒否された。 60(51.3%)
・予約の段階で拒否されたが、折衝の結果利用できた。 14(12.0%)
・レストランに盲導犬を入れないという条件付きで利用できた。 14(12.0%)
・宿泊施設の親会社や上部組織から指導してもらい利用できた。 4( 3.4%)
・予約段階では、盲導犬を同伴してもよいということだったが、チェックインの段階で盲導犬を別の場所に預けさせられた。 4( 3.4%)
・チェックインの時拒否され断念した。 3( 2.6%)
・一度、盲導犬を伴わずに宿泊し、説明したところ理解を得られ、以後利用できる ようになった。 3( 2.6%)
・一度は、宿泊を認められたが、その後他の使用者がトラブルを起こしたため、利用できなくなった。 3( 2.6%)
・チェックインの時拒否されたが、折衝の結果利用できた。 2( 1.7%)
・行政機関から指導してもらい利用できた。 1( 0.9%)
・正規の料金とは別に盲導犬の料金を払って利用した。 1( 0.9%)
・その他 8( 6.8%)

−2・3・4は、「拒否された」と答えた方のみ回答−
2.あなたの場合、拒否されたパーセンテージはどの位ですか。

10%以下 14(31.1%)
20〜30%程度 9(20%)
50%程度 10(22.2%)
70〜80%程度 6(13.3%)
90%以上 6(13.3%)

3.拒否の理由は何でしたか(複数回答可)。

・犬嫌いの客がいるから。 30(23.1%)
・盲導犬を入れるための準備ができていない。 20(15.4%)
・営業方針だから。 19(14.6%)
・畳の部屋だから。 14(10.8%)
・毛で部屋等を汚す恐れがあるから。 12( 9.2%)
・部屋が狭い等、建物の構造上、盲導犬を入れることができない。 9( 6.9%)
・部屋などに臭いが付くから。 7( 5.4%)
・排泄物で部屋などを汚す恐れがあるから。 5( 3.8%)
・吠えたり、噛んだりする恐れがあるから。 5( 3.8%)
・以前受け入れたことがあるが、他の客から苦情が出たから。 3( 2.3%)
・その他 6( 4.6%)

4.拒否されたのはどこでしたか。都道府県名または政令指定都市名で答えてください。

北海道6 青森県1 岩手県2 秋田県2 茨城県1 群馬県1
埼玉県2 千葉県2 東京都3 神奈川県2 山梨県1 長野県2
新潟県7 富山県1 石川県2 岐阜県3 静岡県5 三重県2
滋賀県1 京都府2 大阪府3 兵庫県2 奈良県2 和歌山県1
岡山県1 広島県4 山口県3 徳島県1 香川県1 愛媛県1
高知県2 福岡県3 佐賀県2 長崎県2 熊本県1 大分県6
鹿児島県1 仙台市1 横浜市1 名古屋市1 京都市2 大阪市2
神戸市2          

−5は、拒否されたことのない方のみの回答−
5.「拒否されたことがない」とは、あなたの場合つぎのどれに該当しますか。

希望どおり宿泊できている。 39(52.7%)
いまのところ宿泊施設を利用する機会がない。 35(47.3%)
2.飲食店・劇場等について
  1.平成10年4月1日以降、レストラン・食堂・喫茶店・スナック等の飲食店を利用しようとした時に拒否されたことがありますか。
   はい  62(46.3%)
   いいえ 72(53.7%)


  1−2.拒否の状況とその回数
  • 拒否され断念した。 58(32.2%)
        1回 35   2回 9   5回以上 1
  • 拒否されたが、折衝した結果利用できた。 39(21.7%)
        1回 17   2回 2   3回 2   4回 3
  • 気にせずテーブルに付き、盲導犬をダウンさせて(床に伏せさせて)しまった。   12( 6.7%)
        1回 7   5回以上 1
  • 本店や親会社に指導してもらい利用できた。 11( 6.1%)
        1回 3   2回 2   4回 1
  • 一度拒否されたが周りの客が理解してくれたので利用できた。11( 6.1%)
        1回 8   3回 1
  • 満席だとウソをつかれた。 11( 6.1%)
        1回 10   2回 1
  • 店内の利用できる場所や利用できる時間を限って入店を認めてもらった。 10(
    5.6%)
        1回 3   2回 2   3回 1
  • 保健所などの行政機関から指導してもらい利用できるようになった。 7( 3.9%)
        1回 3   2回 2
  • 何度も足を運び理解してもらい利用できるようになった。 5( 2.8%)
        1回 1   4回 1
  • 入店後、盲導犬を他の場所に預けさせられた。 2( 1.1%)
      1回 2
  • テーブルについてからクレームをつけられ、追い出された。 2( 1.1%)
        1回 2
  • 一度限りでという条件で認めてもらった。 0
  • 入店できたが、不当に高い料金を取られた。 0
  • その他 12(6.7%)

  −2・3・4は、「拒否された」と答えた方のみ回答−
  2.あなたの場合、拒否されたパーセンテージはどの位ですか。
  • 10%以下   31(49.2%)
  • 20〜30%程度 15(23.8%)
  • 50%程度   10(15.9%)
  • 70〜80%程度 3( 4.8%)
  • 90%以上   4( 6.3%)
  3.拒否の理由は何でしたか(複数回答可)。
  • 犬嫌いの客がいるから。 36(22.0%)
  • 営業方針だから。 26(15.9%)
  • 店内が狭い等、建物の構造上盲導犬を入れることができない。 18(10.8%)
  • 毛で店内を汚す恐れがあるから。 16( 9.8%)
  • 盲導犬を入れるための準備ができていない。 16( 9.8%)
  • 保健所から「ダメ」といわれているから。 13( 7.9%)
  • 畳敷きだから。 12( 7.3%)
  • 以前受け入れたことがあるが、他の客から苦情が出たから。 8( 4.9%)
  • 吠えたり、噛んだりする恐れがあるから。 6( 3.7%)
  • 排泄物で店内を汚す恐れがあるから。 4( 2.4%)
  • 店内に臭いが付くから。 4( 2.4%)
  • その他 5( 3.0%)
  4.拒否されたのはどこでしたか。都道府県名又は政令指定都市名で答えてください。
北海道4 青森県1 宮城県1 秋田県5 山形県2 茨城県1
群馬県1 埼玉県1 千葉県1 東京都9 神奈川県1 山梨県1
長野県2 新潟県4 富山県1 岐阜県2 愛知県1 三重県1
滋賀県2 京都府1 大阪府3 兵庫県3 奈良県2 広島県2
山口県3 徳島県1 高知県1 福岡県2 佐賀県1 大分県1
札幌市2 仙台市2 川崎市1 名古屋市3 京都市3 大阪市5
神戸市1 広島市1 福岡市1      
 −5は、拒否されたことのない方のみ回答−
 5.「拒否されたことがない」とは、あなたの場合つぎのどれに該当しますか。
  • 希望どおり利用できている。 57(78.1%)
  • いまのところ飲食店等を利用する機会がない。 16(21.9%)

 6.劇場・映画館等で入場を拒否されたことがありますか。
  • はい  17(14.7%)
  • いいえ 99(85.3%)

 6−2.拒否の状況とその回数
  • 拒否されたが、折衝の結果入ることが出来た。 15(31.9%)
        1回 11   2回 2
  • 一度拒否されたが周りの客が理解してくれたので利用できた。 9(19.1%)
  • 拒否されて入れなかった。 5(10.6%)
        1回 3   2回 1
  • 場内の利用できる場所や利用できる時間を限って入場を認めてもらった。 5(10.6%)
  • 行政機関から指導してもらい利用できた。 3( 6.4%)
  • 入店後、盲導犬を他の場所に預けさせられた。 3( 6.4%)<
  • 気にせず入場し、盲導犬をダウンさせてしまった。 2( 4.3%)
  • 満席だとウソをつかれた。 1( 2.1%)
  • 本店や親会社に指導してもらい利用できた。 0
  • 何度も足を運び理解してもらい利用できるようになった。 0
  • 一度限りという条件で認めてもらった。 0
  • その他 4( 8.5%)
 −7・8・9は、「拒否された」と答えた方のみ回答−   7.あなたの場合、拒否されたパーセンテージはどの位ですか。
  • 10%以下   10(62.5%)
  • 20〜30%程度 2(12.5%)
  • 50%程度   2(12.5%)
  • 70〜80%程度 0
  • 90%以上   2(12.5%)
 8.拒否の理由は何でしたか(複数回答可)。
  • 犬嫌いの客がいるから。 7(22.6%)
  • 盲導犬を入れるための準備ができていない。 5(16.1%)
  • 吠えたり、噛んだりする恐れがあるから。 4(12.9%)
  • 毛で場内を汚す恐れがあるから。 3( 9.7%)
  • 場内が狭い等、建物の構造上盲導犬を入れることができない。 3( 9.7%)
  • 営業方針だから。 2( 6.5%)
  • 以前受け入れたことがあるが、他の客から苦情が出たから。 1( 3.2%)
  • 排泄物で場内を汚す恐れがあるから。 1( 3.2%)
  • 場内にニオイが付くから。 0
  • その他 5(16.1%)
 9.拒否されたのはどこでしたか。都道府県名または政令指定都市名で答えてください。
岩手県2 秋田県1 東京都1 新潟県1 岐阜県1 静岡県1
愛知県1 兵庫県1 広島県1 山口県1 徳島県1 宮崎県1
仙台市1 川崎市1 名古屋市1 福岡市1 北九州市2  
 −10は、拒否されたことのない方のみ回答−
  10.「拒否されたことがない」とは、あなたの場合つぎのどれに該当しますか。
  • 希望どおり利用できている。  58(73.4%)
  • いまのところ劇場・映画館等を利用する機会がない。  21(26.6%)
3.現状打破の具体策、その他
  • 1.宿泊施設・飲食店等の利用については、厚生省から昭和56年に環指第12号、平成元年に社更第82号という通達が出ています。しかし、残念ながら受け入れを拒否するケースが後を絶たない現状にあります。この現状を打破するための有効な方策と思われるものをつぎのなかから選んでください(複数回答可)。
  • 厚生省などの行政機関から指導してもらう。 90(19.4%)
  • 啓蒙のためのパンフレットを行政から宿泊施設や飲食店に配布してもらう。 79(17.1%)
  • マスコミを利用した啓蒙活動を積極的に行う。 77(16.6%)
  • 罰則付きの法令または条例を制定する。 62(13.4%)
  • 行政が「障害者110番」のような救済窓口を設置する。 55(11.9%)
  • 盲導犬の使用者自らが、通達やパンフレットを常に携行し、啓蒙に努める。 48(10.4%)
  • 個々のケースについて根気強く話し合い、解決をはかっていく。 40(8.6%)
  • 積極的に訴訟を提起する。 12(2.6%)

2.本アンケートで取り上げたこと以外で、盲導犬と共に行動する上での不都合がありましたら具体的に書いて下さい。 28

盲導犬情報ボックス

盲導犬使用者が盲導犬を伴って旅館、飲食店等を支障なく利用できるように、「盲導犬を伴う視覚障害者の旅館、飲食店等の利用について」という標題の通達が2通出ています。

まず一つは、1981年1月30日に各都道府県・政令市・特別区衛生主管部(局)長あてに出された厚生省環境衛生局指導課長・食品衛生課長通知です。

盲導犬を伴う視覚障害者の旅館、飲食店等の利用について

昭和56年1月30日 環指第12号

旅館、飲食店等の環境衛生関係営業に対する監視指導については、種々御配慮を煩わしているところであるが、これら営業は国民の日常生活に深い関わりを持ち、多数の公衆が利用するところとなっております。
 つきましては近時、盲導犬を伴う視覚障害者のこれら施設の利用の機会も多くなっていることにかんがみ、盲導犬については、道路交通法に基づき訓練を行う法人が指定されているなどいわゆるペット動物の帯同とは社会的役割を異にしていることについて十分留意され、関係方面の理解が深められるように特段の御配慮をお願いします。(別紙参照)

(別紙)として、「(財)東京盲導犬協会提供資料による」として「盲導犬について」という文書が併記されています。

  1 はじめに
  盲導犬は、視覚障害者が一般社会にとけこみ、明るく生きるために重要な役割を果たすものであるので、暖かい気持ちで見守っていく必要があります。
  2 盲導犬とは
(1) 盲導犬は、歩行指導を受けた視覚障害者が、盲導犬使用者証を携帯し、かつ、白色又は黄色のハーネス(盲導犬用の胴輪)をつけた犬と歩く時に盲導犬とみなされるので(道路交通法施行令第8条第2項)、それ以外の場合は、盲導犬とは認められません。
(2) 盲導犬は、シェパード、ラブラドール・レトリーバー、ゴールデン・レトリーバー等の種のうち、両親ともにおとなしい性質で盲導犬に適したものの子犬を出生の時から厳しく訓練し、しつけるので、他人にほえたり、かみついたりすることは決してありません。
  3 盲導犬の扱い方について
(1) 盲導犬の世話は、すべて利用者が行うので、食事の用意や犬小屋等の施設の用意は全く必要としません。
(2) 盲導犬は、心理的には常に視覚障害者を誘導するという仕事をしている状態にあるので、みだりに声をかけたり、口笛をふいたり、手を出したりしないで下さい。
(3) 盲導犬が体につけているハーネスは、主人と犬との間で、言葉や気持ちを交わすために大切なものなので、他人が触れることは絶対にしないで下さい。
(4) 盲導犬に他人がみだりに食物を与えることは、折角のしつけがだめになるので絶対にしないで下さい。
(5) 盲導犬は、排泄についても厳しくしつけられており、利用施設内を汚す心配はありませんが、万一そのような事態が発生した場合は、その責任を利用者に求めて差しつかえありません。
(6) 盲導犬は、視覚障害者の第二の目としてその行動を助ける役割を果たしますので、通常靴をはいたまま出入りできる施設の場合は、盲導犬を主人の座席の横にすわらせる等できるだけ主人に付き従わせることに御協力下さい。

もう一つは、1989年6月5日に厚生省社会局長より各都道府県知事・指定都市市長あてに出された通知です。

盲導犬を伴う視覚障害者の旅館、飲食店等の利用について

平成元年6月5日 社更第82号

視覚障害者の社会参加については、かねてより、盲人安全つえの交付ガイドヘルパーの派遣等とともに、盲導犬育成事業の推進につき、種々ご配慮を煩わせているところである。
  盲導犬については、視覚障害者の移動を助ける役割を担っていることはもちろん、その訓練に当たっては、排泄等についても厳しくしつけられており、その衛生上、安全上等の問題においてもいわゆるペット動物の帯同とは異ること等について、既に貴管下関係部(局)長に対し、「盲導犬を伴う視覚障害者の旅館、飲食店等の利用について」(昭和56年環指第12号)等の通知が行われているところであるが、近時、盲導犬を伴う視覚障害者が公共施設、公共交通機関をはじめ、旅館、飲食店等の諸施設を利用しようとする機会が増えるにつれ、その利用を断られる等の事例も発生していると聞いている。
  ついては、これらの通知の趣旨を踏まえ、さらに関係各方面の理解と協力を得て円滑な受入れが行われるよう重ねて格段のご配慮をお願いするものである。
  (参考1) 関係各省庁から貴職または貴管下関係部(局)長等へ行われた通知
  (参考2) 関係各省庁から盲導犬を伴う視覚障害者が利用する公共交通機関等の団体へ行われた通知

(参考1)として以下の通達が併記されています。
  国民宿舎等休養施設の管理運営について
    昭和55年9月4日 環自施第344号
    各都道府県主管部長あて
    環境庁自然保護局施設整備課長通知
  盲導犬を伴う視覚障害者の旅館、飲食店等の利用について
    昭和56年1月30日 環指第12号
    各都道府県・政令市・特別区衛生主管部(局)長あて
    厚生省環境衛生局指導課長・食品衛生課長通知
  車いす利用者及び盲導犬を連れた盲人の乗合バス乗車について
    昭和53年4月10日 社更第38号の1
    各都道府県知事、指定都市市長あて
    厚生省社会局長、厚生省児童家庭局長通知

(参考2)として以下の通達が紹介されています。
  盲導犬を連れた盲人の乗合バス乗車について
    昭和61年2月19日 地自第22号の2
    社団法人日本バス協会会長あて
    運輸省地域交通局長通知

使用者の立場から

僕の願い−1日も長くクレバーと!−
名古屋市 首藤 敬吉

僕たち盲導犬が仕事をすることのできるのは、10歳から12歳ぐらいまでだから、主人と歩けるのは9年前後ってことになります。
 その間、安全な誘導をするためには、常に体調を整えておかなければなりません。
 僕の健康管理について紹介しましょう。

(1)食事

毎日、朝6時と夜8時が、僕の食事の時間です。
 盲導犬協会に居た時は、4時半頃1回だったんだけど、酒道家に来てからは、日に2回になりました。外出すれば、夜遅くなることも多いし、僕は今の方が調子が良いです。
 それで、食べる物はドッグフードだけ…、これは色々な食べ物を仕事中に欲しがらないようにってこともあるんだけど、僕が肥ったり痩せたりした時に、食事の量を調整するのに便利だってこともあるんです。
 ただ、僕は、アレルギー性皮膚炎っていう病気があるので、ドッグフードなら何でも良いってわけじゃないんです。で、防腐剤等の全く使われていない自然食のドッグフードを食べています。それに、皮膚が丈夫になるようにって、ニンニクのエキスを使った錠剤を混ぜてもらっているんです。
 水は、食事の時と、後はお昼に1回ですね。僕が飲みたいだけ貰えます。外出してる時は、我慢するってこともあるんだけど。

(2)排泄

僕のおトイレは、袋をゴムのベルトで着けてするので、僕のしたおしっこやうんち は、その袋の中に全部入ります。だから、主人が毎回、量や固さやら臭いやらを確認することができるってわけなんです。
 このゴムのベルトは、「ションベルト」とか「ワンツーベルト」とかって呼ばれる物なんだけど、このベルトを使った排泄は周囲を汚さずにおトイレを済ませることができるので、外出先なんかでは、とっても便利なんです。
 便利なだけじゃなくって、こんな風に、僕の健康チェックにまで役立ってるんですね。

(3)シャンプーとブラッシング

僕は、2週間に1回ほど、お風呂に入ります。といっても、湯船に入るわけじゃないんだけど…、洗い場でシャンプーしてもらって、シャワーで洗い流してもらうんです。
 このシャンプーも、保存料が使われていないナチュラルシャンプーっていうのを使ってます。桧の匂いがして、僕は気に入っているんですよ。
 でもね、お風呂場で、じーっとしてなきゃいけないでしょ、これが僕は好きじゃないんです。だから、主人がお風呂で僕を呼んでも、ハウスで寝たふりをしてみたり、お風呂のドアの前で立ち止まったりするんだけど、主人に宥められると嫌とは言えない僕なんです。
 お風呂の他には、ブラッシングをしてもらうんだけど、こっちは大好きです。サボってブラッシングしてくれないこともあるんだけど…。抜け毛のシーズンには、30分も1時間もかけてブラッシングしてくれますよ。これだけ時間が長くなると、さすがの僕も座り込んじゃったりすることもあるんですけどね、主人も大変そうです。

(4)爪切りと歯磨き

舗装された道を歩くことの多い僕は、爪は特に切らなくても大丈夫なんだけど、それでも、前足の一番内側の指の爪はのびます。
 僕の爪は、深く切っちゃうと出血してしまうので、目が見えない主人には僕の爪切りは難しいんですよね。だから主人は、鑢を使って、僕の爪をよく擦ってくれます。これなら目が見えなくてもできるみたいです。
 そうそう、他の盲導犬協会では、生まれて間もない時に、前足の一番内側の指(の爪が伸びて皮膚を傷つけることを防ぐために、その内側の爪)を手術で取っちゃう所もあるそうですよ。
 それから歯磨きなんだけど、僕は固い牛の骨を時々噛ませてもらいます。これで歯も丈夫になるし、ストレスの解消にもなるそうです。
 歯石が貯まった時は、獣医さんや盲導犬協会で取ってもらいます。
 主人が指で歯や歯肉を擦って手入れする方法もあるみたいなんだけど、僕の主人は、あまりこういったことはしませんね。

(5)耳掃除と蚤予防

僕たちラブラドルは、耳が垂れてるでしょ、通気が悪いんですよね。だから外耳炎を起こしやすいんです。去年は、僕も外耳炎で、獣医さんに通いました。
 で、獣医さんに行った時に耳掃除をしてもらって、時々主人に耳に薬を入れてもらっています。おかげで、今年は外耳炎にならずに済みましたよ。
 それから、去年は蚤にも悩まされました。蚤を駆除する首輪を着けたりするんだけど、あまり効果が無かったようです。で、フロントラインという薬を付けてもらったのですが、これが効いたのか、今年は蚤が付かなかったようです。この薬、一月に1回、僕の首の後ろに垂らすだけで良いので、獣医さんに行った時に付けてもらうんです。

(6)伝染病予防

毎年1回、狂犬病と7種混合ワクチンの注射をしてもらいます。これで大体の伝染病の予防ができるようですね。
 それから、後、フィラリアの予防のために、6月から11月ぐらいまでの間、毎月1回、その予防薬を飲んでいます。
 フィラリアの予防は蚊に刺されないようにすることが大切なので、蚊取り線香なんかも使って気を付けてもいますけどね。
 他にも、検便や血液検査なんかも、必要に応じてしてもらったりもします。
 こんな風に、何時も僕の健康に気を付けてくれています。獣医さんには本当にお世話になりますが、主人も、僕の様子を常に気を付けてくれているんです。
 いつまでも、元気で主人と一緒に歩きたい、これが僕の願いです。

この原稿は、インターネットのホームページ「微酔いハウス酒藤」(http://www2u.biglobe.ne.jp/~shudo/)に掲載されていたものを首藤敬吉さんの了承を得て転載させていただきました。なお、( )内の文章は、説明のために盲導犬情報室の方でつけ加えさせていただいたことをお断りしておきます。

編集後記

今回報告のあった全日本盲導犬使用者の会が実施された調査結果によると、1998年以前と以降を比べると、利用拒否を経験した使用者は約5割に減少したとのこと。使用者を取り巻く環境は着実に良い方向に向かって前進しているのかな、とちょっと期待させてくれる報告でもありました。
  また、昨年10月25日の「福祉新聞」によれば、千葉県麺類業環境衛生同業組合の368店舗が「盲導犬の受け入れ宣言」を行った、とのこと。
  一方、12月30日の「点字毎日」には、ニューヨーク州で盲導犬や介助犬使用者の権利を守る法律(通称、ブレア法)が施行されることになったとの記事がありました。この法律の制定によって、飼い犬が盲導犬や介助犬に危害を加えた場合その飼い主は「盲導犬などの治療費の負担や被害にあった犬が活動できなくなった場合の代替すべき犬の手配などの責任」も負うことになるとのこと。
  現在、日本にはこのような権利を守る法律も利用拒否を禁止する法律もありません。法的な整備を早急にすべきと考える人もいれば、法的な罰則を加えることによって真の理解が得られにくくなるのではと危惧する人もいます。皆さんはどのようにお考えになりますか。
  なお、同じ12月30日の「点字毎日」に、盲導犬使用者が交通事故で亡くなられた、との記事も載りました。事故の原因はドライバーの前方不注意とのこと。亡くなられた下廚気鵑里缶淑,鬚祈り申し上げます。(久保)