盲導犬情報 第26号(2000年7月)



内容


社会福祉事業法等の改正について

社会福祉事業法等の改正案が国会での審議を経て2000年5月29日に成立、6月7日に公布、施行されました。ただし身体障害者生活訓練事業、盲導犬訓練施設の社会福祉事業への追加は、2001年4月1日施行となっていますが。
  1951(昭和26)年の社会福祉事業法制定以来大きな改正の行われていなかった社会福祉事業、社会福祉法人、措置制度など社会福祉の共通基盤制度が大きく見直された今、一体何がどう変わろうとしているのか、もう一度考えてみたいと思います。

1.改正等の対象となる法律

社会福祉事業法は、内容の改正だけでなく「社会福祉法」に題名が改正されました。
  この他、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、児童福祉法、民生委員法、社会福祉施設職員等退職手当共済法、生活保護法が一部改正、公益質屋法が廃止となり、合計8本の法律が改正の対象となりました。

2.改正の内容

改正の大きな点としては次の4つが挙げられています。

  1. (1)利用者の立場に立った社会福祉制度の構築
      1)福祉サービスの利用制度化
      2)利用者保護のための制度の創設
  2. (2)サービスの質の向上
      1)事業者によるサービスの質の自己評価などによる質の向上
      2)事業運営の透明性の確保など
  3. (3)社会福祉事業の充実・活性化
      1)社会福祉事業の範囲の拡充
      2)社会福祉法人の設立要件の緩和
      3)社会福祉法人の運営の弾力化
  4. (4)地域福祉の推進
      1)市町村地域福祉計画及び都道府県地域福祉支援計画
      2)知的障害者福祉等に関する事務の市町村への委譲
      3)社会福祉協議会、共同募金、民生委員・児童委員の活性化
3.盲導犬事業に関わる改正点

盲導犬事業が社会福祉事業に追加されるのは、どういった点に関わる改正かというと、(3)の1)「社会福祉事業の範囲の拡充」ということになります。
 社会福祉に対する需要の多様化に対応するために社会福祉事業として追加されたのは、盲導犬事業を含む9事業。各事業をあげていくと、

  1. 福祉サービス利用援助事業:痴呆高齢者、知的障害者、精神障害者等に対し、福祉サービス利用の相談・助言、手続き等の支援を行う事業
  2. 身体障害者相談支援事業:身体障害者に対し、福祉に関する相談・指導、関係機関との連絡調整等の支援を行う事業
  3. 知的障害者相談支援事業:知的障害者に対し、福祉に関する相談・指導、関係機関との連絡調整等の支援を行う事業
  4. 障害児相談支援事業:障害児に対し、福祉に関する相談・指導、関係機関との連絡調整等の支援を行う事業
  5. 身体障害者生活訓練等事業:点字や手話の訓練等、身体障害者が日常生活・社会生活を営むために必要な訓練等の援助を行う事業
  6. 手話通訳事業:聴覚、言語、音声機能障害者に対し、手話通訳の便宜の供与を行う事業
  7. 盲導犬訓練施設:盲導犬の訓練を行うとともに、視覚障害者に対し、盲導犬の利用に必要な訓練を行う施設
  8. 知的障害者デイサービス事業:知的障害者又は介護者に対し、手芸や工作等の創造的活動、社会適応訓練、介護方法の指導等を行う事業
  9. 知的障害者デイサービスセンター:知的障害者デイサービス事業に係る便宜の供与を目的とする施設
4.盲導犬事業に影響があると思われる改正点

では、盲導犬事業に関わる改正点は、社会福祉法の中で社会福祉事業として追加されただけなのでしょうか。もちろんこれだけではなく、盲導犬事業が社会福祉事業に追加される以上、他の改正点も盲導犬事業に関わってきます。そこで盲導犬事業のことを考えながら、もう一度各改正点をみていきたいと思います。

(1)利用者の立場に立った社会福祉制度の構築

1)福祉サービスの利用制度化
2003(平成15)年4月1日より、行政が行政処分によりサービス内容を決定する措置制度は、利用者が事業者と対等な関係に基づきサービスを選択する利用制度に変更になります。盲導犬事業は、現在、多くの地方自治体が特定の委託先を決めて盲導犬委託事業を実施しています。盲導犬希望者は自分の住んでいる自治体が委託している育成施設と違うところを希望するのは困難な状況です。
 さて、利用制度に変更になれば「盲導犬希望者が盲導犬育成施設と対等な関係に立って、どの育成施設のサービスを受けるかを選択していく」ことができるようになるのでしょうか。現時点では、まだこのあたりのことははっきりしておらず、盲導犬事業に関しては現在の制度と変わらないという見方があるようです。

2)利用者保護のための制度の創設
 福祉サービスに対する利用者の苦情や意見を幅広く汲み上げ、サービスの改善を図る観点から、

盲導犬に対する要望、フォローアップなど提供するサービスの内容に関する要望、意見もしくは苦情がユーザーから寄せられた場合、盲導犬訓練施設は真摯にその内容を受けとめ、問題解決を図っていかなければなりません。

(2)サービスの質の向上

1)事業者によるサービスの質の自己評価などによる質の向上
 福祉専門職については、保健医療との連携、介護保険への対応、全体の資質向上などの観点から教育課程の見直しが必要になってきます。盲導犬歩行指導員については、その研修内容について日本盲人社会福祉施設協議会リハビリテーション部会盲導犬委員会で一定の基準が作られていますが、さらにその質の向上が図られるべきでしょう。

2)事業運営の透明性の確保など
 事業運営を透明化しサービスの利用者の選択に資するため、事業者によるサービスの内容に関する情報の提供、国、地方公共団体による情報提供体制の整備が図られます。
 盲導犬育成施設としても、盲導犬希望者などサービスを利用したいと考えている人に対し、きちんと情報を提供していかなければなりません。

(3)社会福祉事業の充実・活性化

地域におけるきめ細かな福祉活動を推進するために、社会福祉法人の設立要件が緩和されます。現在、ほとんどの盲導犬育成施設は社会福祉法人ではなく財団法人です。今まで社会福祉法人の設立要件を満たしていなかった施設の中には、社会福祉法人化が可能になった施設もあるでしょう。
 社会福祉法人になれば盲導犬に対する社会的な認知度も変わってくるのでは、という可能性も考えられますが、盲導犬育成施設にとって社会福祉法人となった方が望ましいのか、それとも財団法人のままでも変わりはないのか、きちんと判断していかねばなりません。

地方自治体の盲導犬委託事業実施状況

静岡県身体障害福祉室によれば、2000年4月現在の都道府県別盲導犬委託事業
実施状況は以下の通りです(都道府県名・委託事業の実施有無・給付頭数・委託先の
順に記載)。

北海道:あり  10 北海道盲導犬協会
青森県:あり 1 日本盲導犬協会
岩手県:あり 1 北海道盲導犬協会
宮城県:あり 1 日本盲導犬協会
秋田県:あり 1 北海道盲導犬協会
山形県:あり 1 栃木盲導犬センター
福島県:あり 1 アイメイト協会
茨城県:あり 2 栃木盲導犬センター
栃木県:あり 4 栃木盲導犬センター
群馬県:あり 2 アイメイト協会
埼玉県:あり 6 アイメイト協会
千葉県:あり 2 アイメイト協会・日本盲導犬協会
東京都:あり 8 アイメイト協会
神奈川県:あり 2 日本盲導犬協会
新潟県:あり 3 アイメイト協会他
富山県:あり 2 富山県視覚障害者協会
石川県:あり 3 アイメイト協会
福井県:なし    
山梨県:あり 3 アイメイト協会・日本盲導犬協会
長野県:あり 3 委託先は特定していない
岐阜県:あり 1 岐阜県視覚障害者福祉協会
静岡県:あり 2 アイメイト協会
愛知県:なし    
三重県:あり 1 視覚障害者協会
滋賀県:あり 0 (関西盲導犬協会)
京都府:なし    
大阪府:なし    
兵庫県:あり 3 日本ライトハウス
奈良県:あり 2 日本ライトハウス
和歌山県:あり 未定 日本ライトハウス
鳥取県:あり 1 日本ライトハウス
島根県:なし    
岡山県:あり 未定 岡山県身体障害者福祉連合会
広島県:あり 1 県障害者社会参加推進センター
山口県:あり 2 日本ライトハウス・福岡盲導犬協会
徳島県:あり 1 徳島の盲導犬を育てる会
香川県:あり 1 日本ライトハウス
愛媛県:あり 1 日本ライトハウス
高知県:あり 1 アイメイト協会
福岡県:あり 2 福岡盲導犬協会
佐賀県:あり 1 福岡盲導犬協会
長崎県:あり 1 福岡盲導犬協会
熊本県:あり 2 アイメイト協会・福岡盲導犬協会
大分県:あり 2 大分盲導犬協会
宮崎県:あり 2 アイメイト協会
鹿児島県:あり 3 アイメイト協会
沖縄県:あり 2 アイメイト協会

また、政令指定都市での実施状況については、全国盲導犬施設連合会事務局で照会したところ以下のようになりました。

 
札幌市:あり 4 北海道盲導犬協会
仙台市:あり 2 日本盲導犬協会
千葉市:あり 1 アイメイト協会
川崎市:あり 2 アイメイト協会・日本盲導犬協会・関西盲導犬協会
横浜市:あり 2 アイメイト協会・日本盲導犬協会
名古屋市:あり 2 中部盲導犬協会
京都市:あり 未定 関西盲導犬協会
大阪市:あり 2 日本ライトハウス
神戸市:あり 1 日本ライトハウス
広島市:なし    
北九州市:あり 1 福岡盲導犬協会
福岡市:あり 2 福岡盲導犬協会

今年度に盲導犬委託事業を実施しているのは、42都道県11指定都市。実施していないのが5府県1指定都市。ただし、実施していないといっても盲導犬育成施設や外郭団体に対する盲導犬育成事業費の助成、啓発研修事業の委託などを行っているようです。
 また、未定の2県1指定都市を除いた今年度の給付頭数は、107頭が予定されています。

日本財団「盲導犬に関する調査」結果報告書の概要(4)

D.盲導犬希望者と一般視覚障害者について

今回は、盲導犬を希望しすでに申し込みを行っている視覚障害者(盲導犬希望者)と、そういったことはしていない視覚障害者(一般視覚障害者)のアンケート結果を中心にみていきたい。
 盲導犬希望者に対して発送したアンケート調査用紙は151、回収した有効票は88、回収率は58.3%だった。一方、一般視覚障害者に対して発送したアンケート調査用紙は2924、回収した有効票は1797、回収率は61.5%だった。

D-1.希望者と一般視覚障害者の属性等

(1)性別・年齢等
 希望者の性別は、男性47.7%、女性51.1%であったのに対し、一般では、男性67.9%、女性30.9%で男性が多くなっている。ちなみに盲導犬使用者の場合は、男性が53.1%と男性の方がやや多くなっていた。年齢は、希望者の場合は60歳代が最も多く、平均50.1歳。使用者の平均年齢は51.9歳であまり変わらないが、使用者が最初に盲導犬を持った年齢の平均は43.2歳であるのに比べると、やや年齢が高くなっている。一般では、50歳代が最も多く、平均年齢は47.7歳だった。
 白杖や盲導犬など何らかの歩行補助具が必要な程度の視覚障害になった年齢は、希望者が平均30.8歳、一般が28.5歳、使用者26.6歳となっている。
 職業は、自営が最も多いものの、次いで多いのは希望者の場合「無職」で4分の1を占めている。一般で2番目に多いのは「雇用されている」人となっている。また18.0%の人が学生であった。

(2)外出について
 外出の頻度は、希望者の56.8%が「ほぼ毎日外出する」、40.9%が「ときどき外出する」と答えている。一般では、53.9%が「ほぼ毎日」、41.1%が「ときどき」と答えており、あまり大きな違いはない。
 希望者の主な外出手段としては、「白杖などによる単独歩行」が61.4%、「家族・友人による手引き」が20.5%、「ガイドヘルパーによる手引き」が10.2%となっている。一般でも「白杖などによる単独歩行」が64.0%、「家族・友人による手引き」が21.8%、「ガイドヘルパーによる手引き」が6.9%と答え、あまり違いはないようである。
 歩行訓練指導員による白杖の歩行指導を受けた経験者は、希望者では55.7%、一般では46.6%だった。

(3)盲導犬に対するイメージ
 希望者が抱く盲導犬のイメージで最も多く挙げているのは、「賢い」、次いで「友達・パートナーである」「忠実・従順」「頼りになる」「外出が安全」。一般では、やはり「賢い」が最も多く次いで「頼りになる」「忠実・従順」「かわいそう」「世話が大変」となっていた。

D-2.盲導犬希望者の状況

(1)盲導犬を希望する理由
 希望者が盲導犬を希望した理由をみると「自由に歩ける」「外出が安全・安心だから」といった点が挙げられているが、この点は、盲導犬使用者の約8割程度の人が盲導犬を使用して良かった点として挙げている「安全に速く歩けるようになった」「いつでも外出できるようになった」と共通している。
 また、現在の年齢が若いほど、盲導犬を使用することによって生活や活動の範囲を広げ、自立していきたいと考えており、年齢が高くなると、外出の安全・安心を求めていることがうかがえる。さらに、単独歩行で外出している人は、盲導犬を使用することによって外出の安全・安心を高め行動範囲を広げたいと考えているが、手引き歩行で外出している人は一人で外出し、自由に歩けるようになりたいと考えている人が多くなっている。

(2)待機状況
 盲導犬の申し込みをしてからの年数は、「1年未満」が39.8%で最も多いが、「5年以上」という人も13.6%いる。平均待機期間は2.3年。盲導犬使用者が現在の盲導犬を貸与されるまでに待機した期間は平均1.5年であり、希望者と使用者では待機期間にちょっと差があるようだ。
 また、申し込み後の盲導犬訓練施設との連絡状況は、「自分から連絡をとっている」人は35.2%、「訓練施設から連絡がある」人は33.0%いる。しかし、待機期間別にみていくと、待機期間が長い人ほど自分からも訓練施設からも連絡をとらない傾向にある。

D-3.一般視覚障害者の状況

(1)盲導犬に対する関心の有無
 盲導犬に対する関心が「おおいにある」「少しある」と答えた人は70.5%おり、性別や年齢による大きな違いはみられない。しかし、盲導犬への関心がある人の70.0%は犬に対して好意的な感情を持っているが、関心のない人の場合は、35.4%と低くなっており、盲導犬への関心度は「犬」に対する好意の有無によって差が生じている。

(2)盲導犬使用の希望の有無
 盲導犬を「今すぐ希望する」と答えたのは3.3%、「将来希望する」は15.5%となっている。一方「希望しない」は43.6%、「迷っている」12.1%、「わからない」20.3%となっている。
 年齢別にみると、10代で「今すぐ希望する」人は1.4%と少なく、60代では4.5%と多くなっている。
 障害等級別では、1級の視覚障害者で「今すぐ希望する」人は4.3%、「将来希望する」人は14.4%。2級では、「今すぐ希望する」人は0.8%と低く、「将来希望する」人は19.1%と高くなっている。

(3)盲導犬に対する関心度と認知度
 盲導犬に対する関心が「おおいにある」「少しある」と答えている人のうち、盲導犬を希望している人は、25.3%。逆に関心が「ない」と答えている人では、1.7%と非常に低くなっている。
 一方、盲導犬に関して「よく知っている」「少し知っている」人の中で盲導犬を希望している人は、20.2%だが、「あまり知らない」「全く知らない」人の中でも15.7%おり、関心の程度に比べれば、両者に大きな差はない。

(4)現在の歩行方法や満足度と希望の有無
 普段「白杖などによる単独歩行」をしている人のうち盲導犬を希望する人は19.3%、希望しない人、迷っている人は55.5%。「家族などによる手引き」を主な歩行方法としている人のうち希望する人は19.2%、希望しない人、迷っている人は60.4%、「ガイドヘルパーによる手引き」では希望する人16.1%、希望しない人、迷っている人は63.7%となっている。
 また、盲導犬を希望する人の53.6%は白杖歩行訓練を受けたことがあるが、希望しない人では、44.6%となっている。特に盲導犬をすぐ希望する人だけをみると、白杖歩行訓練を受けたことがある人の割合は63.3%と高い。
 現在の歩行に対する満足度をみると、希望する人のうち「大変満足している」「ほぼ満足している」と答えているのは35.2%であるのに対し、希望しない人では53.5%と半数以上の人が満足していると答えている。

(5)盲導犬を希望しない理由
 一般の視覚障害者のうち盲導犬を希望しない43.6%の人にその理由を尋ねると、36.6%が「現状に満足しているから」、29.3%が「世話が大変」と答えている。
 盲導犬の使用を迷っている12.1%の人では、35.9%の人が「世話が大変」、13.8%が「現状に満足しているから」、11.5%が「訓練の時間が取れない」と答えている。
 盲導犬を希望しない人や迷っている人は、盲導犬への関心や認知度はやや低く、盲導犬に対して「かわいそう」「世話が大変」などの項目をあげる割合が全体に比べてやや高くなる傾向にある。

(6)家族の意見
 盲導犬の使用を希望した場合、「家族が賛成する」と答えたのは49.7%、「反対する」は12.5%、「わからない」が30.6%となっている。
 回答者の年齢が若いほど、また盲導犬への知識や関心が高いほど、家族が賛成すると答えている人は多くなっている。
 反対する理由については、16.6%が「世話が大変」、11.7%が「自分や家族の体質上の問題」、9.0%が「犬が嫌い」、8.0%が「家が狭い」を挙げている。

D-4.盲導犬希望者の推計

今回の調査で、一般視覚障害者のうち盲導犬を「今すぐ希望する」と答えた人は3.3%、等級別にみると1級で53人(4.3%)、2級で3人(0.8%)の人たちであった。
  この割合を1996年に実施された身体障害者実態調査結果の視覚障害者人口にあてはめると、
  1級 97,000人×4.3%=4,171人
  2級 71,000人×0.8%= 568人
となり、合計4,739人の希望者がいると推計される。
  さらに、「将来希望する」と答えた人の中で「盲導犬への関心が高い」かつ「盲導犬についてよく知っている」と答えている人を潜在的な希望者と見なすことにすると、
  1級 53人+26人=79人(6.41%)
  2級  3人+ 5人= 8人(2.21%)
の割合で盲導犬希望者がいると考えられる。これを先の視覚障害者人口にあてはめると、
  1級 97,000人×6.41%=6,218人
  2級 71,000人×2.21%=1,569人
となり、合計7,787人の盲導犬希望者が全国にいると推計された。

読者からのお便り

毎日が楽しい生活

北海道 山本 義晴(テンダー)

今年も暑い夏がやってきました。私もテンダーも、その暑さには負けず元気に暮らしています。函館には、コミュニティー放送局「FMいるか」がありますが、家からは徒歩で片道15分程度、そのコースにはグリーンベルトやわりと急な坂道もあり、短い距離のわりには結構ハードなコースです。
 私自身は散歩だけという何の目的もない歩行はできませんので、そのスタジオ見学、またその建物の2階にあるレストランでの食事を目的に歩いています。
 その他、日常の買い物、よくテンダーと行くのは、CDショップやハンバーガーショップ、喫茶店、コンビニエンスストアなどです。白杖でも行けないことはないのですが、テンダーと歩いているときのほうが楽しく安心感があります。障害物はよけてくれるし、目的物まできちんと誘導してくれます。
 今年もノーマリー教室が始まりましたが、同じ函館市内のユーザーと打ち合わせし、市内の小中学校で盲導犬の講演をしています。私がこの講演をするようになって今年で3年目ですが、最初の頃は自分で話したいことをまとめた原稿を作り、それをそのまま読んでいるだけでした。今では話したい内容を箇条書きにまとめ、子供たちとコミュニケーションを図る意味で、ときどき簡単な質問を投げかけたりしながら講演しています。
 今でも緊張しますが、その緊張のせいで話すべき内容を度忘れしてしまうこともなく、箇条書きにまとめたメモをときどき確認しながら話を進めています。その箇条書きのメモも、点字で3ページ程度と短めにまとめています。
 全国にはこのように啓蒙活動に携わっているユーザーもいると思いますので、関心を高めるためにもがんばりましょう。自分でも、最近になって講演した結果が実感できるときもあります。啓蒙活動の努力は決して無駄に終わることはありませんから、これからもコツコツと努力していきたいと思っています。

盲導犬Q&A「盲導犬との海外旅行について」

Q: 私の今年の「課題」として始めたことは「パソコン」です。まだまだワープロを打つ程度ですが…。その内インターネットも使いこなせるようになれたらと思っています。
そこで気になるのは、やはり海外のことです。以前に掲載されていた「視覚障害者にやさしい海外旅行」というのはまだ続いていますか? (高知県 山内かおり)
A: つい先日、「盲導犬も連れて行く視覚障害者にやさしいツアー」が実施されたばかりのところです。今回は、イタリア・スイス・パリを旅する9日間のツアーでした。海外旅行に不慣れな場合は、信頼できる内容のツアーに参加した方が何かと心強く安心して海外旅行を楽しめるかもしれません。一方で、個人で海外旅行を楽しむ方も増えているようです。
 盲導犬を伴って海外旅行を楽しもうとなると、注意しなくてはならないのは犬の検疫についてです。これは、どこの国に行くかによって異なるので、具体的なことはそれぞれの国の在日大使館に問い合わせてみることが必要です。いくつかの証明書類を そろえ必要な手続きをすませておけば、国によっては盲導犬を伴って旅行を続けることができます。
 しかし、その国に生息している動物の保護を目的に一定の検疫期間を設けている国もあります。盲導犬を手元においての検疫を認めている国もありますが、その場合、検疫期間が過ぎるまで滞在するホテルから盲導犬と外出することはできない、ということになります。6ヶ月間の検疫期間が必要であったイギリスでは、一定の条件を満たしていれば2001年4月からはこの厳しい入国条件が緩和されるようです。
 また出国する前に、帰国する際に必要な書類・手続きを確認しておく必要があります。帰国した時に、今度は日本への入国規則をクリアしなければならないからです。出国時に必要な書類・手続きをとっていれば自宅繋留も可能ですが、動物検疫所への連絡や担当官による犬の健康チェック、また盲導犬との外出は避けるようにといった指導を受けたりすることもあるようです。

盲導犬情報ボックス(1)

日本の盲導犬使用者数

社会福祉法人日本盲人社会福祉施設協議会リハビリテーション部会盲導犬委員会の「平成11年度盲導犬訓練施設年次報告書」を参考にして2000年3月31日現在の日本の盲導犬使用者数を出すと、次のようになりました。

北海道:68 青森県:3 岩手県:9 宮城県:8 秋田県:14 山形県:5
福島県:10 茨城県:20 栃木県:18 群馬県:8 埼玉県:44 千葉県:20
東京都:67 神奈川県:38 新潟県:16 富山県:13 石川県:25 福井県:5
山梨県:15 長野県:27 静岡県:28 愛知県:37 岐阜県:7 三重県:10
京都府:23 大阪府:49 兵庫県:44 奈良県:7 和歌山県:5 鳥取県:3
島根県:4 岡山県:13 広島県:32 山口県:12 徳島県:7 香川県:6
愛媛県:14 高知県:6 福岡県:25 佐賀県:10 長崎県:10 熊本県:21
大分県:17 宮崎県:11 鹿児島県:20 沖縄県:6    
合計:865名          

日本に在住の盲導犬使用者は、865名。前年度に比べると2名減っています。1頭の盲導犬を夫婦・親子の二人で使用するというタンデム方式で使用している盲導犬使用者が15組いますので、盲導犬の頭数で数えると850頭。タンデム使用者を施設別にみると、北海道盲導犬協会2組、日本盲導犬協会1組、関西盲導犬協会9組、日本ライトハウス2組、福岡盲導犬協会1組となっています。
・・・1999年度の盲導犬育成頭数は124頭。その内、新規の使用者のパートナーとなったのは66頭(53.2%)です。盲導犬の総数は昨年より3頭減っているので、昨年度引退あるいは死亡した盲導犬は、代替えの58頭をプラスして127頭。年間育成頭数より多くなっています。
  また、日本財団の調査では、代替えを「強く希望する」もしくは「希望する」使用者は、使用者全体の62.9%でしたから、それをそのまま昨年度に引退・死亡した盲導犬の頭数に当てはめると、約80人の使用者が代替えを希望していることになります。しかし実際に代替えとなった盲導犬は58頭ですから、20人ほどの元使用者は希望しているにも関わらず代替えの盲導犬を持てていない、ということになるでしょうか。

盲導犬情報ボックス(2)

盲導犬使用者人口の比率が高いのは

都道府県別にみた盲導犬使用者数のベスト5を挙げてみると、1位北海道、2位東京都、3位大阪府、4位兵庫県、5位埼玉県となり、ほぼ大都市に集中しています。
  では、視覚障碍者人口に対し盲導犬使用者の比率が高いのは、どの都道府県でしょうか。しかし、各都道府県別の視覚障碍者人口に関する資料が手元にないので、ここでは各都道府県ごとに人口100万人に対し何人の使用者がいるかを計算してみました。ちなみに、日本の人口に占める視覚障碍者人口の割合は、0.25%、100万人あたり約2542人ということになります。
  盲導犬使用者の人口比率が高いベスト5は、1位石川県、2位山梨県、3位大分県、4位長野県、5位北海道でした。平均は、 7.54人。
  各都道府県別の人口100万人に対する盲導犬使用者の割合は以下の通りです。

北海道:11.95 青森県:1.99  岩手県:6.30  宮城県:3.42  秋田県:11.58  山形県:4.00
福島県:4.68 茨城県:6.69 栃木県:9.01 群馬県:3.97 埼玉県:6.43 千葉県:3.41
東京都:5.74 神奈川県:4.56 新潟県:6.43 富山県:11.54 石川県:21.27 福井県:6.04
山梨県:16.97 長野県:12.27 静岡県:7.46 愛知県:5.38 岐阜県:3.32 三重県:5.39
滋賀県:3.80 京都府:8.98 大阪府:5.68 兵庫県:7.80 奈良県:4.84 和歌山県:4.57
鳥取県:4.85 島根県:5.22 岡山県:6.64 広島県:11.12 山口県:7.79 徳島県:8.38
香川県:5.79 愛媛県:9.23 高知県:7.31 福岡県:5.04 佐賀県:11.31 長崎県:6.50
熊本県:11.23 大分県:13.73 宮崎県:9.26 鹿児島県:11.17 沖縄県:4.57  

編集後記

“社会福祉基礎構造改革”最初この言葉を聞いたとき、正直に言うとあまり身近には感じられませんでした。しかし、どのような考え方で何がどのように変わるのかと具体的に考えていくと、盲導犬事業が大きく変わっていける要素がいっぱいあることに遅まきながら気がつきました。でも本当に変わっていけるのかな?
 社会福祉基礎構造改革の波に乗って日本の盲導犬事業が大きく飛躍するのか、それとも波に呑まれて沈んでしまうのか。盲導犬育成施設の職員は、盲導犬ユーザーは、いま何をなすべきなのでしょうか。これが“正念場”というものでしょうか。
 と言いつつ次号ですが、盲導犬を伴っての動物園の入園について各地の動物園にご協力をいただいたアンケートの集計結果をご報告したいと思います。動物園入園にまつわる経験談やご意見など、ユーザーの方に限らず盲導犬情報室までお寄せください。(久保)