盲導犬情報 第37号(2003年4月)



内容


盲導犬育成事業に関する自治体の実施要綱について

昨年末に各都道府県・政令指定都市に盲導犬育成事業実施状況を問い合わせた際、実施規則や要綱などの送付をお願いしたところ、15県5政令指定都市から「盲導犬給付事業実施要綱」や「盲導犬育成貸与事業実施要綱」といったものを送っていただきました。送っていただいた自治体は、盲導犬育成事業を実施している56自治体の35.7%であまり多くはありませんが、自治体によって内容に何か差があるものなのか、読み比べてみました。
  ほとんどの要綱には、たいてい一番最初に事業の目的が記してあり、「重度の視覚障害者に対して」「社会活動への参加を促進」することを目的に事業を実施する、とあります。
  ただ、送られたもののうち2県2政令指定都市からいただいたのは「盲導犬育成事業費補助金交付要綱」といったもので、視覚障害者個人ではなく法人に対する補助金交付について定めたものです。県内に住む視覚障害者に盲導犬を給付した場合に一定の盲導犬育成法人に対して盲導犬の給付のために直接必要な経費を対象に補助金を交付するものと、一定の法人に対して盲導犬育成法人に委託するための費用を対象に補助金を交付するもの、また、盲導犬育成法人に対し運営に要する経費や視覚障害者へ貸与する盲導犬の育成に要する経費の一部を補助するものとがあり、法人に対する補助金交付という点では同じでも、実施の方法などには少し違いがありました。
  その他の13県3政令指定都市からのものは、盲導犬の給付・貸与を受ける視覚障害者を対象に、給付・貸与の条件や義務、手続き等を定めたものになっています。ではどんな条件や義務が決められているのでしょうか。

1.対象者の条件

盲導犬の給付・貸与を受ける視覚障害者の条件として、ほとんどの要綱に記載があるのは年齢と障害の程度、居住地についての条件です。年齢については、18歳以上としているのが14自治体、18才から60才までとしているのが1自治体。年齢についてふれていない自治体も1つだけありますが、ほとんどの自治体では18才以上であることが一つの条件となっています。
  また、障害の程度では、「1級のみ」あるいは「1級」としているのが11自治体、「1級又は同程度」あるいは「1級に該当」としているのが3自治体あり、多くの自治体では障害等級1級というのが一つの条件になっています。ただし「1,2級」「重度の視覚障害者」と記載している自治体が、それぞれ1つずつありました。
  居住地については、その自治体内に居住しているというのが給付・貸与の条件ですが、多くの自治体が「1年以上居住」という条件になっています。年数について特に記載がないのは3自治体、「5年以上」としている自治体が1つありました。

   その他の条件としては、
家屋の所有者や管理者の承諾が得られること・・・13自治体
就労等社会活動への参加に効果があると認められる者・・・11自治体
盲導犬を適切に使用し、飼育出来る者・・・11自治体
更生援護施設に入所していない者・・・8自治体
所定の歩行指導を受けることができる者・・・5自治体

といったものが記載されています。

2.尊守事項

盲導犬の給付・貸与を受ける視覚障害者が守らなければいけないこととして記載されている事項をあげてみると、

盲導犬を虐待、あるいは放置してはならない・・・15自治体
盲導犬を売却、もしくは担保に供してはならない・・・14自治体
盲導犬を第三者に譲渡・貸し付けてはならない・・・13自治体
盲導犬の排泄物を放置してはならない・・・13自治体
自治体や育成法人等からの指示や関係法令・条例を守ること・・・13自治体
盲導犬に必要な給食を欠かしてはならない・・・12自治体
盲導犬を利用して他人の行動を妨害または脅迫殺傷などに及んではならない・・・6
自治体
社会活動に参加するよう努める・・・4自治体

また、現在、どの盲導犬育成施設でも盲導犬とする犬には去勢・避妊手術をしていますが、「盲導犬の交配については、あらかじめ協会等と打ち合わせを行い、その指示に従うこと」という記載が2自治体にありました。

3.負担する費用について

盲導犬の給付・貸付は「無償」と明記しているのは6自治体でした。視覚障害者が負担する費用として、盲導犬の飼育・健康管理費用をあげているのが14自治体、歩行指導等にかかる費用の自己負担をあげているのが7自治体ありました。
 また、守らなければいけない事項に違反した場合には、給付・貸与事業に要した費用の全部または一部を「賠償させることができる」と明記している自治体もありました。

4.申請する際の必要書類

盲導犬の給付・貸与を希望する場合、給付・貸与申請書を提出しなければなりませんが、その他に誓約書を提出しなければならないとしているのが7自治体あります。住民票抄本などの提出が4自治体。また就労証明書またはこれに代わるものの提出が必要な自治体が2自治体ありました。

5.給付・貸与後の変更の届け出

給付・貸与後に居住地や氏名の変更などがあれば自治体等に届け出なければいけないと明記していない要綱もありますが、その他の変更で届け出が必要なものとしては、

といったことがあげられています。

6.給付・貸与の中止・取り消し

給付・貸与を受ける本人の死亡、盲導犬の死亡・引退、本人の長期療養や盲導犬を必要としなくなったとき、盲導犬の給付・貸与は中止となります。その他の状況で中止・取り消しとなる要件としては「自立更生の努力がなされていないと判断されたとき」「就労の見込みがなくなったとき」に盲導犬を返還しなければならないと明記した自治体が3自治体ありました。また県外への転出も返還の条件とした自治体が1つ。これに対し転出した場合もその自治体の長が「特に必要と認めたとき」と例外があることを明記した自治体が1つありました。

7.再貸与の条件

盲導犬の給付・貸与をするまでのことは、どの要綱にも定められていますし、給付・貸与後の変更や取り消しといったことも、細かく定めているものから簡単に書かれているものまで差はありますが、ほとんどの要綱に書かれています。しかし、再給付・再貸与についても定めた要綱となると、少なくなっています。
  盲導犬が死亡または老衰、不測の事故、その他の理由により盲導犬の機能を果たさなくなったとき、「新たな盲導犬の給付・貸与を受けることができる」と明記しているのは5自治体でした。

16自治体の盲導犬給付・貸与事業に関する実施要綱をみてきましたが、まったく同じ語句を使ったほぼ同じ内容のものから簡素なもの、事細かに定めたものなど様々な要綱がありました。ここまで細かく定める必要があるのかと思われる事項もあれば、必要な事項もあり、また逆に実態にそぐわない記述や不要と思われる事項もあるように思いました。皆さんがお住まいの自治体の要綱はいかがでしょうか。

お詫びと訂正

前号「都道府県・指定都市が実施する盲導犬育成事業について」の記事の中に誤りがありました。長野県の委託頭数は、「1頭」ではなく、正しくは「3頭」です。したがって、1年間に委託されている盲導犬育成頭数の総数は「79頭」ではなく「81頭」、「1996年と比べると19頭増えて」いることになります。お詫びして訂正します。

盲導犬ユーザーからのメール

イルザの勘違い

S.K

盲導犬イルザと暮らしはじめたばかりのころ、イルザは保育園の送り迎えのときによく鉄棒の下をくぐって子供のお部屋に行こうとしました。
「ここはくぐってはいけない。あなたにくぐれても私にはくぐれないよ。」
と何度も教えたものです。
  もうひとつ、数年前のことですが、歩道を歩いていたら、街路樹の枝が延び放題に延びていて、私は、伸び放題の枝に首を引っ掛けたことがあります。ああ、まだ死にたくないのに・・・。イルザに
「上もしっかり見て歩きなさい。」
と、その場で訓練をしました。
  昨年の夏、子どもの小学校で授業参観と水難救助訓練と懇談会があり、行ってきました。その日、私は5分遅刻したばっかりに、いつも通っている校門から学校に入れないのです。10分くらい校門の前でうろうろしていました。どうしようかなと思案しているところに、人影に気づいたので、声をかけてみました。校門にビニールの紐が張られていて「駐車禁止」と札がかかっていたそうです。声をかけたその方が、
「頭を低くして通ってください」
とおっしゃったので、くぐって通りました。
  先日も、おこのみ焼き屋さんの店の前で、イルザは止まってお店に入ってくれないのです。おこのみ焼きの匂いも音もするのに、私は店の前でこれまたウロウロ。しばらくするとお店の方が気づいてくださって、
「なんで入ってこないのか」
って聞かれて私もちょっぴり返答に困りました。店の方は不思議だったそうです。暖簾がかけてあったので、イルザは入らなかったというわけでした。
  小学校に行く数日前も、家の前の公園で排泄させていたら、私の肩に鉄棒がぶつかったので、イルザを叱りました。
「あんたは自由にくぐれても私にはくぐれないよ。」
と繰り返し教えたことが校門での出来事を発揮してくれたのでしょう。遅刻した私もいけませんが(ハンセイ)、紐をはられることは全く知らなかったのです。この場合はイルザを「良し良し」と大きく誉めてやりました。
  しっかり仕事をすることは良いことですが、臨機応変と言うわけに行かないので困ってしまいます。先ほどの場合は、私は学校の前まで来ていたので学校へ電話をしてどなたかに迎えに来てもらおうと思っていましたが、人を捕まえてお尋ねするのが一番ですよねぇ。
  道路を歩いていても大きな水溜りがあればそこをよけられないので歩かなくなります。杖で前を確認し、私はリードに持ち変え、イルザは私の後ろを歩かせます。これでたいがい何とかなります。また、突然歩道を歩いていてジャンプすることがあるのです。みなさん、なぜだとお思いになられますか?10年近くイルザと暮らしていてそれが判ったんです。マンホールの蓋の上とか、グレーチングの上とか鉄板の橋の上などにくると飛び越えていたのでした。もちろんよけられるときはよけてはいるのでしょうが、夏には、靴をはかせるか日焼け止めの薬でも塗ってあげないと可愛そうですねえ。
  ある日のこと、学童にお迎えに行くときもいつもの道なのにイルザは歩きません。学校へ行って
「道がなくなったのか、それとも工事中なのか」
と聞きに行きましたら、先生は、
「どうぞ校舎を通り抜けて学童に行って下さい」
と親切におっしゃって下さいましたが、私は、いつも学校の中を通るわけにはいかないので、道を見てほしいことを伝えました。出てきて見てくださると、その日に限って軽トラが2台止まっていて、おかあさんが通れない、とイルザは判断したそうです。誘導をお願いした先生がおっしゃっていました。
「本当にえらいイルザですねぇ!」
って。
  ところで、三日前に、私は歩道で自転車と正面衝突したんです。イルザはどうも中央を歩く癖があるようで
「よってよって」
と声をかけてはいたんですが。サーブのように私をかばってくれるのではなくて、イルザが私の背後にさっと回ったので「あれ!」と思った瞬間、わき腹に物が当たって「どうしてこんな歩道の真中に物があるんやろう」と手を伸ばしてみたら、自転車の籠とハンドルに触れたんです。全く音がしなかったんです。ぼろっちい自転車は、ぎいこんぎいこん、ばたばた、と音がするんですけど、上等の自転車は無音ですから。
  5年前も、私はあせっていて、車の運転手もあせっておられて横断歩道の上で接触したことがあるんです。そのときも一瞬大きな物体が私の右横にぶつかってきてびっくり。あせるあまり、イルザの動きを私は無視していたんです(何とひどい主人ではありませんかねぇ。ハンセイ、ハンセイ)。イルザは「行ってはいけない。」と私に教えていたんですが、バスに乗り遅れては大変と強引に渡ったのが・・・!やっぱりそのときもイルザはすぐに私の横へ身をすくめて隠れていました。しばらく車を見ると慎重になって絶対にふんばって動かなくなりました。
  ほんまにいい子なんだけど、たまに頑固なところがあるので困ってしまいます。とは言え、こんなこともありました。これは数年前の体験です。イルザのしぐさがなんだか変だと気づいて、電車がホームに入ってくる10分前に階段と階段の間で、ベルトを使っておしっこをさせたことがありました。ビニールの中の凝固剤のせいで固まりつつある、ぬくぬくの湯気のあがったモノを車内へ持こみましたが、まったく幼児のトイレトレーニングと同じだと思いました。ギリギリのところで失敗を防ぎ、勝負ありって感じでなんだかうれしかったですね。

恋の季節

兵庫県 えみ

この寒さも、少しずつ緩んでいくだろうなと思いながら、道をルンルン気分で歩いていた。突然、オードリーが、前に飛び出した。どうやら、後ろから何かが迫って来たらしい。何も音は聞こえない。自転車でもないし、石ころが転がってきた気配もない。おかしいなと空を探ってみると、何かがいる。思い切って手を大きく動かしてみたら、どうやら犬のようである。吠えもせずに、こっそりと、オードリーの後ろに近づいて来ていた。
  小さな犬かなと思い、とにかく飼い主さんが近くにいるのだろうと、
「すみません、このワンちゃん、捕まえていて下さい」
と言ったが、なにも返事がない。
  オードリーは、以前、犬に吠えられて飛びかかられた経験がある。それ以来、犬を怖がり、やっとそれが治りかけてきていた。ああ、又飛びかかられたら、元の木阿弥である。
  その犬は、全然吠えない。ウウッとも言わない。だから少しは冷静でいられた。しかし何処にいるのかが把握できない。オードリーは、私の周りをあちこち逃げてる様子。リードを持っているので、オードリーの動きは伝わってくる。触ってみると、ふるえてはいない。
  それならと、無視して歩こうとしたら、又、前に飛び出そうとする。オードリーのお尻にまとわりついて離れない。仕方がないので、シッシッと、追い払ってみるが、全然効き目はない。捕まえてみようとするのだが、うまくすり抜けて掴めない。
  通りすがりの女性に応援を求めた。その女性に聞いてみた。
「小さな犬ですか?」
「いやいや、同じぐらいか、ちょっと大きいぐらいの犬ですよ」
「あの、捕まえて下さい」
「捕まえようとすると、噛もうとするので、ちょっと怖くて捕まえられない」
と言われた。また無視して歩いてみたが、やはり同じである。
  そこへ、もう一人の通りすがりの女性がやって来て、女性3人でシッシッと追い払うのだが、全然オードリーから離れようとしない。
  しばらくして、小学2年生ぐらいの女の子が
「盲導犬?」
と聞きながら近づいて来た。盲導犬だよと、答えると、
「今、訓練中なの?」
「お仕事中なんだけどね。このワンちゃんがまとわりつくので、歩けないの」
この犬、どこの犬か知らないかと尋ねてみたが、知らないと言う。また女性がやって来て、確かあそこの犬じゃないかと思うと言う。この間にも、その犬はオードリーにプロポーズしている様である。
  春だものね。恋の季節かなあ。それはいいのだが、オードリーは盲導犬、恋されちゃ困るんだよね。何とかその犬をオードリーから引き離そうとするのだが、大きい犬なので、やたらな事は出来ない。怒って噛みつかれでもしたら、大変な事になる。首輪をしているので、家を飛び出して放浪の旅でもしているのだろうか。
  ここは、小学生や幼稚園の園児が通る道である。もしもの事があったらどうするのだろうと思いつつ、もう、こうなったらと、
「すみません、110番して下さい」
と頼んでしまった。
  こんな事で110番してもいいのだろうかと、心配になって来た。300メートル位離れた所に派出所がある。対応してくれなければその旨の返事があるだろう。しかし助けて欲しい。
「直ぐ来るって」
ああ、良かった!こうなったら、オードリーに寄せ付けておかなくては。お巡りさんに捕まえてもらえない。
  曲がり角から、お巡りさんの姿が現れたようである。すると、サッと逃げてしまったではありませんか。女性3人でどんなにやっても追い払えなかったのに・・・。向こうからやって来るお巡りさんを見ただけで、逃げてしまった。犬にも危険?がわかるのだろうか。
  何処の犬か知らないか、怪我はなかったか、何処にすんでいるかを尋ねられ、そのまま行って下さいと、とても優しいお巡りさんである。やっと安心して、オードリーと私は歩く事が出来たのであった。通りすがりの皆様、助けて頂いてありがとうございました。あのワンちゃん、逃亡しない様にして下さったかなあ?

全国盲導犬施設連合会からのお知らせ

全国盲導犬施設連合会では、全国盲導犬普及キャンペーンの一環として、毎年度ポスターと「デュエット」という機関誌を作成しています。昨年身体障害者補助犬法が施行されたこともあり、今年度配布しているものは盲導犬だけでなく介助犬・聴導犬も含めた内容になっています。
  機関誌「デュエット」は「進め、補助犬」と題して、白い表紙に歩行者用信号機の青い四角が縦2つ、横2つ並んでいます。四角の中には、歩行者用信号機の中に書いてある人とよく似たタッチで、右上に車いす使用者、左上に盲導犬使用者、左下に聴導犬使用者が描かれています。それぞれの人の横には、それぞれの身体障害者補助犬がいますが、犬だけが写真で、介助犬がゴールデン・リトリーバー、盲導犬がラブラドール・リトリーバー、聴導犬が中型犬よりちょっと小さめの耳の立った白い犬になっています。右下には、「盲導犬同伴可」のステッカーに使われる直線的な盲導犬のイラストが白い線で描かれています。
  中を開くと、最初のページには「いよいよ、『補助犬法』ができました。」として、身体障害者補助犬法について「盲導犬のように体の不自由な人の生活をたすけるために働いてくれる犬を、社会が受けいれるように決まりをさだめたもの」として「これまで法律で認められていたのは盲導犬だけで、介助犬や聴導犬には法的な決まりごともありませんでした。そのために住宅やさまざまな施設、お店、電車、バス、タクシーなども利用しにくかったのです」と現状を説明。同時に補助犬法は「暮らしに必要な施設や交通機関を、体の不自由な人が補助犬といっしょに利用できるようにするもの」ですが「いい法律も、私たちがその大切さをよく考え、ただしく守るようにしなければ、絵に描いたモチになってしまいます」と多くの人がこの法律を知る意義も説明しています。
  次のページでは「補助犬って、どんな犬?」として、それぞれの犬たちの大まかな仕事を紹介しています。この中で聴導犬とは「耳が不自由でふつうに生活することがたいへんな人のために、玄関のチャイムを聞いて来客をしらせたり、電話の呼び出し音や、だれかが呼んでいる声が聞こえることをしらせたり、危険を意味する音などを聞き分けてしらせてくれたり、また音のするもののところへ連れて行ってくれたりします。」、介助犬とは「手足が不自由で普通に生活することがたいへんな人のために、物をひろったり運んだり、服の着がえを手伝ったり、立ったり歩いたりするときに支えたり、扉を開け閉めし、電灯などのスイッチを入れたり切ったりなど、いろいろな働きをしてくれます。」と説明しています。
  その次のページでは、「補助犬法で、変わること。」として「補助犬法は、補助犬の受けいれをひろく社会に義務づけ、同時に補助犬を育てる施設、補助犬を利用する人それぞれが守るべきことをさだめた、身体障害者福祉の発展に大きく貢献できる法律といえます。補助犬法では、公共施設、公共交通機関、銀行やお店、宿泊施設などや、会社、住宅などが、補助犬を受けいれるように努めなければならないとされています。そして行政側は教育、広報などを通じて補助犬の大切さをみんなに理解されるように努力すること、また国民は補助犬を利用する人に対して必要な協力をするように努めることなども決められています。」とその意義を説明し、最後に「ぜひ補助犬の育成・普及にご協力をお願いいたします」と一般の方々へ理解と協力を呼びかけています。
  そして、「補助犬ユーザーたちの期待の声。」として、盲導犬使用者、介助犬使用者、聴導犬使用者3人がそれぞれの立場から補助犬法に対して期待することなどのコメントが紹介されています。
  補助犬法以外の記事としては、全国盲導犬施設連合会の2002年度活動報告や加盟施設一覧、2001年度都道府県別盲導犬育成頭数(加盟施設のみ)が紹介されています。主な活動報告としては、盲導犬普及キャンペーンを全国63カ所で実施したこと、広報誌・ポスターを発行したこと、受入マニュアル「盲導犬ハンドブック」を作成・配布したこと、加盟施設職員(盲導犬訓練士)研修会を実施したことが挙げられています。

ポスターの方は、例年通りB3版の大きさですが、少し趣向が変わっていて、からし色のバックに歩行者用信号機の写真が載っています。実際の歩行者用信号機は、赤信号が上、青信号が下になっていて、信号の中には、赤信号は立ち止まっている人の形、青信号は左を向いて歩いている人の形が黄色く描かれていますが、このポスターの歩行者用信号機の図柄は、赤信号が立ち止まった人の形の左側に立ち止まった盲導犬の写真、青信号では歩いている人の左側に歩いている盲導犬の写真が付け加えられています。そしてその信号機に少しかぶりながら、白い文字で「だれだって、気持ちよく、街を歩きたいから。」、そして信号機の左側にやや小さく白い文字で「いよいよ、『補助犬法』ができました。皆様のご理解・ご協力をお願いいたします。」と書いてあります。
  これらのポスター・機関誌は、全国盲導犬施設連合会の募金箱を置いてくださっているスーパーなどで手にすることができますが、そういったお店が近くにない場合は、連合会事務局または連合会加盟施設に問い合わせてみてください。なお、郵送を希望される場合には、郵送料を申し受けることになりますが、ご了承くださいますようお願い申し上げます。
  また全国盲導犬施設連合会では、以前から啓発のための「盲導犬同伴可」ステッカーを作成し配布し、飲食店やスーパーなどの店頭に貼っていただいていますが、身体障害者補助犬法の施行にあわせて、このステッカーの「盲導犬同伴可」を「補助犬同伴可◎盲導犬・介助犬・聴導犬◎」とし、「盲導犬だけではなく介助犬も聴導犬も受けいれるという意思を表示していただくため新たに作成することに」なりました。このステッカーは1枚25円にて頒布しております。ステッカーをご希望の方は、全国盲導犬施設連合会事務局(電話:03−5766−5985)までお問い合わせください。

盲導犬情報ボックス

盲導犬育成頭数の新規と代替え 過去10年間の推移

社会福祉法人日本盲人社会福祉施設協議会リハビリテーション部会盲導犬委員会では、1992年度より毎年度末に各盲導犬育成施設の盲導犬実働数、育成数を集計し、年次報告書を作成しています。毎年、この報告書を参考に日本の盲導犬使用者数を出し、この中で紹介しているわけですが、今回は過去10年間の盲導犬育成頭数のうち新規(初めて盲導犬をもつユーザーの盲導犬となった盲導犬)と代替えの頭数の推移をみてみました。

新規/代替えの順に記載(墨字版では、新規と代替えの育成頭数を折れ線グラフで表示しています)

1992年度 69/40
1993年度 65/45
1994年度 57/47
1995年度 64/36
1996年度 61/43
1997年度 61/45
1998年度 67/63
1999年度 66/58
2000年度 60/64
2001年度 67/53

5年ほど前までは新規と代替えの頭数は、20頭前後の差で新規の方が多かったのに比べ、1998年度以降は新規と代替えの頭数にあまり差がなくなってきています。すべての代替えの人が盲導犬の高齢が原因でリタイアさせたわけではないですが、1998年度以降に代替えが必要となってきている人の多くは、1986年前後に盲導犬を持ったと考えられます。1982年から1990年にかけては盲導犬実働数が大きく増加している頃でした。当時のようには盲導犬育成頭数が増えていかない現状が、年間育成頭数に占める代替えの比率の増加につながっているものと考えられます。

編集後記

今年2月に和歌山市内で盲導犬ユーザーがひき逃げされるという事件がありました。ユーザーは足の骨を折るなどの重傷を負ったもののユーザーも盲導犬も命に別状はなく、またひき逃げ犯も翌日には逮捕されたようです。
 小学校などでの講演会や盲導犬訓練センターでの見学会などで、ときどき「盲導犬を連れていて交通事故に遭うことはありますか?」という質問を投げかけられます。盲導犬がいれば交通事故に遭うはずはない、それなのに交通事故に遭ったとしたら、その時盲導犬はどんな失敗をしたのだろう?極端に言えばそんなふうに思っているように感じることがあります。そんなときは「目の見える人が青信号で横断歩道を渡っていたって交通事故に遭うでしょう」と答えてしまいます。こんな答え方は少し不親切で適切ではないかもしれませんが、つい・・・。(久保)