盲導犬情報 第38号(2003年7月)



内容


長野県の盲導犬使用の現状−使用者23名のアンケート回答から−(1)

長野県ハーネスの会

長野県ハーネスの会では、会がスタートして5年目にあたる2002年に、長野県内の盲導犬使用の実態をできるだけ詳しく、そして客観的に把握しようと、使用者会員へのアンケート方式による調査を実施しました。県内の使用者の90%を越える方々から回答を得、調査結果は「2002年盲導犬使用実態調査」としてまとめられました。今回、長野県ハーネスの会の方にご了解いただき、「盲導犬情報」にその報告書のほぼ全文を2回に分けて掲載いたします。
 この調査の実施状況は以下のとおりです。
a.実施時期
 2002年8月実施(8月1日現在で回答)
b.実施方法
 アンケートの質問事項に対する選択および記述式回答
c.集計方法
 集計の都合上質問事項についての回答数および割合の数値は整理統合して算出した項目もある。
d.調査実施数
 調査依頼者数25名
 回答者数23名
 回収率:92%
e.調査結果

1.使用者について
(1)居住地域別使用者数
  1. 東信・・・6人
  2. 北信・・・7人
  3. 中信・・・9人
  4. 南信・・・4人
  5. 計・・・・26人
(2)年齢別、性別使用者数
  1. 男性15人(65%)、女性8人(35%)
  2. 最高年齢・・・72歳(男性)
  3. 最低年齢・・・31歳(女性)
  4. 男性平均年齢・・・49.9歳
  5. 女性平均年齢・・・49.6歳
(3)盲導犬使用経験
  1. 21〜25年・・・2人
  2. 16〜20年・・・5人
  3. 11〜15年・・・5人
  4. 6〜10年・・・4人
  5. 1〜5年・・・5人
  6. 1年未満・・・2人
  7. 最長使用経験年数は21年、最短使用経験年数は4ヶ月
(4)これまでに使用した頭数
  1. 1頭目・・・9人
  2. 2頭目・・・8人
  3. 3頭目・・・4人
  4. 4頭目・・・2人
(5)全盲またはそれに近い視覚障害の状態になった時期
  1. 0〜10歳・・・3人
  2. 11〜20歳・・・2人
  3. 21〜30歳・・・7人
  4. 31〜40歳・・・6人
  5. 41〜50歳・・・4人
  6. 51歳以上・・・1人
(6)職業
  1. 治療院自営・・・11人
  2. 会社員または嘱託社員・・・2人
  3. 公務員・・・・・2人
  4. 農業自営・・・・1人
  5. 家事従事(専業主婦など)・・・4人
  6. 定職は持っていない・・・2人
  7. その他・・・・・1人
(7)使用目的(複数回答)
  1. 散歩・・・・・22人(96%)
  2. 買い物・・・・19人(83%)
  3. 役所や郵便局での手続き・・・19人(83%)
  4. 通院・・・・・18人(78%)
  5. 地域またはボランティア活動・・・17人(74%)
  6. 趣味やサークル活動・・・・・16人(70%)
  7. コンサート・・・・・・15人(65%)
  8. 研修や情報収集・・・・14人(61%)
  9. 旅行・・・・・14人(61%)
  10. 銀行などでの手続き・・・13人(57%)
  11. 仕事に関わる出張・・・・11人(48%)
  12. パチンコ、カラオケ、飲食などの遊興・・・11人(48%)
  13. ハイキング、登山・・・・・9人(39%)
  14. 通勤・・・・・・・6人(26%)
  15. 子どもの育児または教育のための外出・・・4人(17%)
  16. 農作業・・・・・3人(13%)
  17. その他・・・・・1人(4%)
2 現在使用している盲導犬について
(8)年齢は何歳ですか
  1. 10〜12歳未満・・・1頭
  2. 8〜10歳未満・・・6頭
  3. 6〜8歳未満・・・5頭
  4. 4〜6歳未満・・・6頭
  5. 2〜4歳未満・・・5頭
(9)犬種
  1. ラブラドールリトリーバー・・・17頭
  2. ゴールデンリトリーバー・・・・2頭
  3. ラブラドールとゴールデンの雑種・・・4頭
(10)体毛の色
  1. イエロー・・・15頭
  2. ブラック・・・7頭
  3. その他・・・・1頭
(11)出身盲導犬育成施設
  1. 日本ライトハウス・・・16頭
  2. アイメイト協会・・・・5頭
  3. 日本盲導犬協会・・・・2頭
3 盲導犬を使用しての評価
(12)盲導犬を使用して良かったと思う点(複数回答)
  1. 安心して目的地にいけるようになった・・・20人(87%)
  2. 歩行や移動するのに疲れなくなった・・・・20人(87%)
  3. 外出が億劫でなくなった・・・・・・・・・20人(87%)
  4. 盲導犬がきっかけとなり周囲の人たちとの対話や交流の機会が増えた・・・20人(87%)
  5. パートナーとしての盲導犬が心に癒しを与えてくれる・・・20人(87%)
  6. 一人で歩くときの孤独感がなくなった・・・・・・・・・・18人(78%)
  7. 歩く機会が多くなり体調が整い健康になった・・・・・・・16人(70%)
  8. 歩くこと自体が楽しくなった・・・・・・・・・・・・・・14人(61%)
  9. 行動的で積極的になった・・・・・・・・・・・・・・・・12人(52%)
  10. その他・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6人(26%)
(13)盲導犬を使用するようになってどちらかというと困っている点(複数回答)
  1. 特になし・・・・・7人(30%)
  2. 歩行中に周りに対して気を配ることが多くなった・・・5人(22%)
  3. 犬の世話や手入れに時間がかかり、煩わしくなった・・・4人(17%)
  4. レストランやホテルで利用を断られるのではないかという不安から以前より入店や入館が少なくなった・・・3人(13%)
  5. 犬の飼育や健康管理に支出が増え経済的に負担が増えた・・・2人(9%)
  6. 周りの人たちに気をつかい、グループでの集まりに参加することを控えるようになった・・・2人(9%)
  7. タクシーなどで乗車拒否をされるのではないかという不安から以前に比べて利用をためらうことが多くなった・・・1人(4%)
  8. モラルやエチケットに気を遣い気疲れする・・・1人(4%)
  9. 視覚障害者の間で理解されていないことを感じる・・・1人(4%)
  10. 集合住宅に居住しているために周りに気を遣う・・・1人(4%)
  11. 不規則な排便・・・・・1人(4%)
(14)現在の盲導犬以後の使用について
  1. 引き続き盲導犬を使用したい・・・・・12人(53%)
  2. 盲導犬を使用しない・・・・・1人(4%)
  3. 現段階ではわからない・・・・10人(43%)
4 社会や周囲の盲導犬に対する理解について
(15)一般の人たちの盲導犬に接する態度について(複数回答)
  1. 無断で盲導犬にさわったり撫でたがる人が多い・・・・・13人(57%)
  2. 歩いていると声を掛けたり口笛を鳴らして犬の注意を引こうとする人がいる・・・12人(52%)
  3. 盲導犬を恐がる人がいる・・・・・10人(43%)
  4. 盲導犬への正しい接し方を心得ていてくれる人が多い・・・8人(35%)
  5. 食べ物を与えようとする人がいる・・・・・7人(30%)
  6. 盲導犬がいるのを自然に受け止めている人が多い・・・・・5人(22%)
  7. ペットと同じように考えている人がいる・・・・・2人(9%)
  8. 失敗に対して厳しい批判をする人がいる・・・・・1人(4%)
  9. 盲導犬はかわいそうという人がいる・・・・・1人(4%)
(16)かかりつけの病院または医院の受け入れ
  1. 診察室のドクターまたはベット近くの自分の傍らまで連れて行く・・・17人(74%)
  2. 建物内の待合室近くに待たせておく・・・・・3人(13%)
  3. 家に置いて行く・・・・・2人(9%)
  4. 使用開始後通院経験がない・・・・・1人(4%)
(17)かかりつけの歯科医院の受け入れ
  1. 診察室内の治療用椅子、または自分の近くまで連れて行く・・・・・10人(44%)
  2. 家に置いて行く・・・・・6人(26%)
  3. 建物内の待合室近くで待たせておく・・・・・5人(22%)
  4. 使用開始後通院経験がない・・・・・1人(4%)
  5. その他・・・・・1人(4%)
(18)行きつけの美容院または理髪店での受け入れ
  1. 美容または理髪用椅子の自分の近くまで連れて行く・・・・・16人(71%)
  2. 家に置いておく・・・・・4人(17%)
  3. 待合室に待たせておく・・・1人(4%)
  4. 店内の人目につかないところに待たせておく・・・1人(4%)
  5. その他・・・1人(4%)
(19)スーパーの食品売り場での受け入れ
  1. 売り場のどこでも一緒に連れて行く・・・・・20人(88%)
  2. 店外に繋いで待たせておく・・・・・1人(4%)
  3. 家に置いて行く・・・・・1人(4%)
  4. 使用開始後経験がない・・・1人(4%)
(20)会社または職場での盲導犬の居場所
  1. 自分が仕事をしている場所の直ぐ近くで犬の様子がわかる場所・・・3人
  2. 建物の外の決まった場所に繋いでおく・・・0
  3. 建物の中の人目につきにくい場所・・・・・0
(21)過去2年間での受け入れ拒否の例(複数回答)
  1. 和風食堂、寿司店、割烹料理店・・・8人(35%)
  2. 民間のホテルまたは旅館・・・・・・7人(30%)
  3. レストラン、ハンバーガーショップ・・・7人(30%)
  4. 公立の保養所または宿泊施設・・・・・4人(17%)
  5. 居酒屋、スナック・・・・・4人(17%)
  6. 喫茶店・・・・・3人(13%)
  7. 公立病院・・・・2人(9%)
  8. 民間病院・・・・2人(9%)
  9. 個人開業医院・・・2人(9%)
  10. デパート、百貨店・・・1人(4%)
  11. コンビニストアー・・・1人(4%)
  12. コンサート会場・・・1人(4%)
  13. 映画館または劇場・・・1人(4%)
  14. 美術館または博物館・・・1人(4%)
  15. 個人歯科医院・・・・・1人(4%)
  16. 神社や寺院・・・・・1人(4%)
(22)過去2年間の公共交通機関での利用拒否
  1. タクシー・・・4人(17%)
  2. 電車・・・・・1人(4%)
  3. バス・・・・・1人(4%)
  4. 飛行機・・・0
  5. 遊覧船またはフェリー・・・0
(23)盲導犬受け入れ拒否の理由(複数回答)
  1. 犬がいると周りの利用者やお客が迷惑である・・・・・14人(61%)
  2. 利用者やお客の中には犬を恐がったり嫌いな人もいる・・・12人(52%)
  3. 犬は衛生面で問題がある・・・12人(52%)
  4. ペットの同伴は認めていない・・・12人(52%)
  5. 犬が室内を汚したり傷を付けたりする・・・4人(17%)
(24)盲導犬と街に出たり旅行する上で最も困る点(複数回答)
  1. 盲導犬がトイレをする場所がほとんどない・・・・・17人(74%)
  2. 盲導犬をペットと同じように考えている人が多い・・・7人(30%)
  3. 散歩中の犬と遭遇して混乱させられる・・・・・6人(26%)
  4. 入店や入館など利用を断られることが多い・・・・・3人(13%)
  5. 特にない・・・・・2人(9%)
  6. その他・・・・・・2人(9%)
5 盲導犬使用に要する費用について
(25)食料費(餌代やおやつ代など)の月額平均
  1. 2000円未満・・・・・・・1人(4%)
  2. 2000〜4000円未満・・・9人(40%)
  3. 4000〜6000円未満・・・8人(35%)
  4. 6000〜8000円未満・・・4人(17%)
  5. 8000〜10000円未満・・・1人(4%)
(26)健康管理または病気治療のための年間支出額
  1. 1万円未満・・・・・・4人(18%)
  2. 1万〜2万円未満・・・6人(26%)
  3. 2万〜3万円未満・・・5人(22%)
  4. 3万〜4万円未満・・・3人(14%)
  5. 4万〜5万円未満・・・0
  6. 5万〜6万円未満・・・1人(5%)
  7. 6万〜7万円未満・・・1人(5%)
  8. 7万〜8万円未満・・・0
  9. 8万〜9万円未満・・・1人(5%)
  10. 9万〜10万円未満・・・0
  11. 12万円以上(35万円)・・・1人(5%)
(27)必要な物品の年間支出額
  1. 必要な物品とは、ハーネス、リード、首輪、コート類、敷物、タオル、シャンプー、脱臭剤、ブラシ等
  2. 5000円未満・・・・・4人(18%)
  3. 5000〜1万円未満・・・4人(18%)
  4. 1万〜1万5000円未満・・・7人(31%)
  5. 1万5000〜2万円未満・・・3人(14%)
  6. 2万〜2万5000円未満・・・3人(14%)
  7. 2万5000〜3万円未満・・・0
  8. 3万円以上・・・・・1人(5%)
(28)市町村の盲導犬管理費助成を受けている使用者数
  1. 3000円・・・16人(94%、3市2町)
  2. 4000円・・・1人(6%、1町)
  3. 他町村(2市4町2村)は未実施
6 次の機関に対しての要望・意見(複数回答)
(29)県または市町村の行政に対しての要望
  1. 盲導犬などの補助犬が社会に円滑に受け入れられるようにPR活動を積極的に行う・・・17人(74%)
  2. 施設、交通機関、ホテル、店などでの利用拒否に対して積極的に指導や助言を行う・・・14人(61%)
  3. 盲導犬の飼育管理にかかる費用に対して公的な助成をする・・・14人(61%)
  4. 盲導犬関連予算を充実させると共に柔軟な予算運用をする・・・11人(48%)
(30)盲導犬育成施設に対しての希望
  • 犬の訓練方法やできる仕事の内容が協会によって異なっていて困る。できれば協会の間で統一してほしい。
  • 2頭目以降の希望者に対して、訓練所に行かずに自宅で訓練できるようにしてほしい。
  • 訓練所での共同訓練後、地元で歩けるようになるための訓練を希望者には実施してほしい。
  • きちんとした訓練をしてほしい。
  • ユーザーの病気、入院などの際、盲導犬を預かってほしい。
  • 盲導犬の引退と代替犬の訓練が、円滑に進められるような体制を整えてほしい。
  • どんな条件(年齢、性別、身体の動き、判断力)のユーザーでも安心して使用できるような良質な盲導犬を育成してほしい。現実は犬の質には大きなばらつきや当たりはずれがある。
  • 犬の質のばらつきが大きすぎ、盲導犬の質の完成度が低すぎるような気がする。
  • 質のよい盲導犬を育ててほしい。
  • アフターケアやフォローアップの充実をさせないと次の犬は考えられない。
  • トイレに関しては、袋で大小を取れるような訓練をしてほしい。
  • 共同訓練期間中に犬の衛生管理、特に排便処理などについて、ユーザーの意識教育を徹底してほしい。
  • 遺伝学的にも健康で病気をしない犬の育成をしてほしい。
  • ユーザーの生活環境、年齢、体力などを考慮して訓練方法や訓練期間について柔軟なプログラムを考えてほしい。
(31)(32)の設問は、長野県ハーネスの会に対する要望・意見などについてなので、ここでは省略しますが、今後会員が同会に希望する取り組みの内容として、「盲導犬と引退犬の医療費支援の充実」「市町村に対しての助成事業実施への働き掛け」「一般の人たちに盲導犬理解を広げるための取り組み」「盲導犬コートや必要物品の製作や紹介」「視覚障害者に盲導犬を普及するための取り組み」「盲導犬が引退した後、飼育してくれる家庭の紹介」などがあげられていました。
 次回は、これらの結果を元にした長野県ハーネスの会運営委員会の考察を掲載いたします。

小学校と中学校の教科書における身体障害者補助犬

筑波大学大学院人間総合科学研究科 石上智美

1.はじめに

障害や障害者に関する適切な認識と態度を形成するには、子どもの頃からの系統的な学習が必要であると言われています。例えば幼児期には、障害のある人の存在を知り、親しみを持てるような体験が必要です。そして小学生や中学生になると、障害に関する知識を少しずつ身につけ、障害のある人たちとの直接的あるいは間接的な接触を通してさまざまな感情を抱き、適切な認識と態度を形成する方向へと導く教育が必要になります。
 小学校や中学校において、教科書は子どもたちが知識を身につけるための教材の基本となるものです。そこで、障害理解に関する研究に取り組んでいる私たちの研究グループでは、小学校と中学校の教科書において、障害や障害者に関するどのような内容がどの程度取りあげられているかを分析しました。今回は、身体障害者補助犬(以下、補助犬と書きます)に関する分析結果を紹介したいと思います。

2.分析対象とした教科書

分析対象とした教科書は、国語(小学校1年〜6年:6社72冊、中学校1年〜3年:5社15冊)、英語(中学校1年〜3年:7社21冊)、生活(小学校1・2年:10社20冊)、社会(小学校3年〜6年:5社40冊)、公民(中学校:7社7冊)、保健(小学校5・6年:6社6冊)、保健体育(中学校:3社3冊)、家庭(小学校5・6年:2社4冊)、技術・家庭(中学校:2社4冊)でした。これらはすべて、1989年に改訂された学習指導要領に基づいている教科書です。実際には2001年度まで使用されていました。なお、補助犬に関する文章や絵・写真を取りあげていた教科書は、国語(小学校3年:2社、中学校3年2社)、英語(中学校3年:1社)、生活(小学校1年:3社、小学校2年:6社)、社会(小学校5年:1社)、公民(中学校:1社)でした。

3.補助犬の取りあげられ方

(1)盲導犬について
 3種類の補助犬のうち、国語、英語、生活、社会、公民の複数の教科で取りあげられていたのは盲導犬でした。以下に、各教科における具体的な内容を示します。
a.国語
 小学3年の教科書では、盲導犬の訓練について詳しく説明している「もうどう犬の訓練」と、パピーウォーカーの女の子がパピーを育てる過程について書かれている「がんばれわたしのアリエル」という作品が、それぞれ1社に掲載されていました。どちらの作品も、多くの絵・写真を用いて、どのようにして盲導犬になるのかがわかりやすく示されています。例えば、「がんばれわたしのアリエル」では、女の子の友だちがアリエルにビスケットをあげようとした際に、この女の子が「あげないで!」とさえぎる場面が描かれています。各教科の教科書の中で、このような盲導犬に関するマナーについての表記がみられたのは、この教科書だけでした。一方、「もうどう犬の訓練」において、次のような表記がみられました。
1)1才になると、もうどう犬としてのきびしい訓練が始まるのです。
2)もともと活発な動物である犬にとって、次の命令があるまで動かないでいるのは、つらいことなのです。(「ウエイト」の訓練について)
3)どんなことがあっても、おこったり、ほえたり、あばれたりしてはいけません。
これだけの表記であると、「盲導犬はかわいそう」という印象を子どもたちに与えるかもしれません。
 また、中学3年の教科書2社において、盲導犬に関して書かれている生徒の作文例がありました。まず「我が国の盲導犬の現状」という作文の中では、次のような内容が書かれていました。
1)盲導犬の育成の歴史
2)盲導犬の数が少ない理由
3)盲導犬に関する社会の無理解の例(スーパーなどの立ち入りを拒否されること)
4)盲導犬に対する無理解な行動の例(ラッシュアワーの電車の中で男性が「邪魔な犬だ」と言って盲導犬をけり、負傷させたということ)
この作文は、「本当に力になるということは、盲導犬についてもっと理解を深め、目の不自由な人と盲導犬が住みよい世の中をつくることではないだろうか」と結ばれています。また「たとえ家族がいなくても」という作文の中では、「これで、人に頼らず、自分一人で外出ができてうれしい」という盲導犬使用者の言葉が取りあげられていました。
b.英語
 中学3年の教科書1社において、海外の盲導犬使用者の写真が1枚掲載されている のみでした。
c.生活
 生活は小学1・2年生用の教科書であるため、文章は少なく、主に絵や写真で構成されています。小学1年の教科書では3社、小学2年の教科書では6社において、街中を歩いている盲導犬使用者の姿が絵や写真で描かれていました。各教科の教科書の中で、盲導犬使用者の絵や写真が掲載されている割合が高かったのは、小学2年の生活の教科書でした。その中には、交差点で信号待ちをしている盲導犬使用者とその人のために盲人用押しボタンを押している男の子の絵や、数名の子どもたちが手を挙げて盲導犬使用者と一緒に交差点を渡っている写真がありました。交差点は危険な場面の一つであるため、子どもたちには、このような絵や写真を見て、どのようにお手伝いすればよいかを学んでもらいたいと思います。
d.社会
 小学5年の教科書1社において、街中の風景(絵)の一部に、交差点で信号待ちをしている盲導犬使用者が描かれていました。
e.公民
 公民の教科書では、1社においてマラソンをする盲導犬使用者の写真が掲載されているのみでした。
(2)介助犬について
 介助犬については、英語の中学1年の教科書1社において、「We Are Partners」という話が掲載されているのみでした。これは、女の子が介助犬の訓練所を見学に行き、電気のスイッチをつけるなどの介助犬の役割や、肢体不自由者にとって介助犬は生活のパートナーであることを知るというストーリーです。仕事をしている介助犬の写真が3枚掲載されていました。
(3)聴導犬について
 聴導犬については、国語の中学3年の教科書1社において「盲導犬や聴導犬など、目や耳が不自由な人を助ける犬がいる」という表記があるのみで、盲導犬や介助犬のように、その役割や使用者に関する具体的な文章や絵・写真はまったく取りあげられていませんでした。
4.まとめと今後の予定

今回の分析を通して、盲導犬に関するさまざまな内容が取りあげられていることがわかりました。ただし、全体的にみると、取りあげている教科書の数はそれほど多くはなく、また教科によって、ばらつきがあることも確かめられました。さらに介助犬や聴導犬については、具体的な内容がほとんどみられませんでした。
 2002年度より、小学校と中学校では、新しい学習指導要領(1998年に改訂)に基づいて作られた教科書が使用されています。「盲導犬情報第33号」(2002年4月)の中で、「新しい学習指導要領と盲導犬事業」が紹介されていますので、そちらをご参照ください。
 現在、この新しい教科書を分析中です。また次の機会に、分析結果を報告したいと思います。

盲導犬情報ボックス

日本の盲導犬使用者数

 社会福祉法人日本盲人社会福祉施設協議会リハビリテーション部会盲導犬委員会の 「2002年度盲導犬訓練施設年次報告書」を参考にして2003年3月31日現在の日本の盲 導犬使用者数を出すと、次のようになりました。

北海道:59 青森県:2 岩手県:9 宮城県:10 秋田県:17
山形県:5 福島県:10 茨城県:19 栃木県:15 群馬県:8
埼玉県:49 千葉県:28 東京都:74 神奈川県:46 新潟県:20
富山県:9 石川県:27 福井県:5 山梨県:12 長野県:26
静岡県:32 愛知県:37 岐阜県:13 三重県:11 滋賀県:7
京都府:19 大阪府:56 兵庫県:53 奈良県:12 和歌山県:11
鳥取県:7 島根県:9 岡山県:15 広島県:31 山口県:16
徳島県:7 香川県:6 愛媛県:16 高知県:8 福岡県:34
佐賀県:11 長崎県:9 熊本県:22 大分県:13 宮崎県:14
鹿児島県:22 沖縄県:6

日本に在住の盲導犬使用者は、947名。前年度に比べると32名増えています。1頭の盲導犬を夫婦二人で使用するタンデム方式の盲導犬使用者は、何組か新規のユーザーもおられますが前年度と同数の20組いますので、盲導犬の実働数を数えると昨年より32頭多い927頭。もしこのままの増え方でいけば、2年後には盲導犬使用者人口は千人を越えるかもしれません。
 タンデム使用者を育成施設別にみると、北海道盲導犬協会2組、日本盲導犬協会1組、関西盲導犬協会6組、日本ライトハウス8組、福岡盲導犬協会3組となっています。都道府県別では、北海道2組、山梨県1組、三重県1組、京都府1組、大阪府1組、兵庫県2組、和歌山県2組、島根県1組、広島県3組、山口県2組、福岡県2組、熊本県2組となっています。
 1年間の育成頭数でみると、2001年度は126頭で、前年度に比べると6頭多くなっています。また、新規の使用者のパートナーとなったのは47頭、代替えは79頭で、年間育成頭数の62.7%が代替えとなっています。2002年度中に引退あるいは死亡した盲導犬は120頭、その内の約3割、41頭の盲導犬の使用者は代替えの盲導犬を希望しなかったか、希望しても代替えの盲導犬を得られなかったのではないかと考えられます。

編集後記

日本には、全日本盲導犬使用者の会や各盲導犬育成施設出身の同窓会的な盲導犬ユーザーの会がある他、今回「盲導犬情報」に掲載した調査を実施した長野県ハーネスの会など、その地域の中での盲導犬ユーザーの会がいくつかあるようです。しかし、どこの地域にどれぐらいあり、どのような活動をしているのか、盲導犬情報室ではよくわかっていません。「うちの地域にはこんなユーザーの会があって、こんな活動をしているよ」といった、各地のユーザーの会の声をお寄せいただければうれしいです。よろしくお願いします。(久保)

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