盲導犬情報 第40号(2004年1月)



内容




「身体障害者補助犬法」の周知状況に関するアンケート調査報告(1)

盲導犬に関する調査委員会では、昨年10月、身体障害者補助犬法が施行され1年が 経過したのを機に、宿泊施設・飲食店・病院に対し、アンケート調査を実施しまし た。そこで、今回から数回に分け、この調査結果についてご報告していきたいと思い ます。

1.調査の目的

2002年10月1日より「身体障害者補助犬法」が施行されました。しかし「不特定かつ多数の者が利用する施設」に関しては、適用が1年延期されていました。また、「身体障害者補助犬法」の附則第六条には、「施行後三年を経過した場合においては、身体障害者補助犬の育成の状況、第四章に規定する施設等における身体障害者補助犬の同伴又は使用の状況その他この法律の施行の状況について検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする」と明記されています。
 そこで、施行一年後の周知状況を把握して問題点を探るとともに、「三年後見直し」に向けた取り組みの一環として、全国の宿泊施設・飲食店・病院、約1500件に対してアンケート調査を実施しました。

2.調査の方法

  1. アンケートの実施時期
     2003年10月1日〜10月31日
  2. アンケートの対象および件数
     全国のホテル298件、旅館427件、病院449件、飲食店297件、合計1471件
  3. 調査の手続き
     全国のホテル・旅館・病院・飲食店から無作為に抽出し、アンケート調査票を郵送。郵送した際には、調査票、返信用封筒の他に「身体障害者補助犬法Q&A」1枚と「補助犬同伴可ステッカー」を同封。
  4. 有効回答数
     ホテル・・・ 151件(50.7%)
     旅館・・・・ 63件(14.8%)
     病院・・・・ 130件(29.0%)
     飲食店・・・ 78件(26.3%)
     合計・・・・ 422件(28.7%)

3.調査結果

問1 「身体障害者補助犬法」を知っていますか?
  1. 法律の名称も内容もよく知っている・・・169(40.1%)
  2. 法律の名称は知っているが、内容はよく知らない・・・191(45.4%)
  3. 法律の名称も内容も知らない・・・61(14.5%)
    <墨字版には円グラフが入っています>
問1−2(問1で1.を選んだ場合のみ回答)法律に関する情報を主にどこから得ましたか?一つ選んでください。
  1. 国等の行政機関・・・23(13.6%)
  2. 新聞やテレビなどのマスコミ・・・85(50.3%)
  3. 業界団体・・・47(27.8%)
  4. 盲導犬協会等の補助犬育成団体・・・9(5.3%)
  5. その他・・・13(9.5%)
    <墨字版には円グラフが入っています>
問2 従業員の皆さんにどのような方法で周知していますか?(複数回答可)
  1. 補助犬法に関する研修会を開いて詳しく説明した・・・12(2.9%)
  2. 会議や朝礼等で法律について簡単に説明した・・・138(32.8%)
  3. 冊子やパンフレットを配布した・・・93(22.1%)
  4. 特に何もしていない・・・198(47.0%)
問2−2(問2で4.を選んだ場合のみ回答)今後、何らかの方法で周知を図る予定はありますか?(複数回答可)
  1. 研修会を開いて詳しく説明したい・・・3(1.5%)
  2. 会議や朝礼等で説明したい・・・67(33.8%)
  3. 冊子やパンフレットを配布したい・・・80(40.4%)
  4. 特に何も予定していない・・・83(41.9%)
問3 障害者が補助犬を同伴する場合、補助犬の受け入れについて、今後どのようにお考えでしょうか?一つ選んでください。
  1. 法律施行以前から受け入れていたので、これからも受け入れる・・・210(49.9%)
  2. 今までは受け入れていなかったが、これからは法律に従い受け入れる・・・113 (26.8%)
  3. 補助犬法は施行されたが、今後とも受け入れることはできない・・・26(6.2%)
  4. どうしたらよいかわからない・・・72(17.1%)
    <墨字版には円グラフが入っています>
問3−2(問3で3.を選んだ場合のみ回答)受け入れることはできないと思う主な理由を一つお選びください。
  1. お客様から苦情があると思うから・・・1(3.8%)
  2. 衛生上問題があると思うから・・・8(30.8%)
  3. 受け入れるための設備や従業員の配置が十分でないと思うから・・・16(61.5%)
  4. その他・・・1(3.8%)
問4 補助犬の受け入れ義務について、どう思われますか?
  1. 障害者の社会参加を保障するために当然のことである・・・322(76.3%)
  2. 公共性の高い施設や交通機関については当然だが、「不特定多数の者が利用する施設」も義務化するのは行き過ぎである・・・71(16.8%)
  3. 補助犬の受け入れを義務化すべきでない・・・17(4.0%)
  4. その他・・・11(2.6%)
    <墨字版には円グラフが入っています>
問5 諸外国の類似の法律では、受け入れを拒否した場合に罰則を設けている例がありますが、「補助犬法」にも同様の罰則は必要と思いますか?
  1. 法律の実効性を高めるためには、罰則も必要と思う・・・68(16.1%)
  2. 啓発活動によって意識を高めることが大切で、罰則は必要ない・・・292(69.2%)
  3. よくわからない・・・50(11.8%)
  4. その他・・・11(2.6%) <墨字版には円グラフが入っています>
問6 「補助犬法」には、3年後見直し規定が盛り込まれています。見直すべき箇所があるとすれば、それはどこだとお考えですか?

−自由記述をa.具体的な改善点、b.具体的な提案、c.肯定的な意見、d.不安意見や疑問点(その他)などに分けて記載しています。順不同−

a.具体的な改善点

b.具体的な提案

c.肯定的な意見

d.不安意見や疑問点(その他)

聞き書き・台湾導盲犬協会を訪ねて

台湾には、1996年に設立された恵光(ホェィクァン)盲導犬センターと2002年に設立された台湾導盲犬協会という二つの盲導犬育成団体があります。そのうちの恵光盲導犬センターや台湾の歩行環境については、「盲導犬情報第35号」に掲載した石上智美さん(筑波大学大学院)の「台湾の盲導犬事情」に詳しく書かれています。
 今回は、もう一つの盲導犬育成団体である台湾導盲犬協会に招かれ、数日間台湾に滞在した(財)関西盲導犬協会の下重貞一さんに、台湾の様子をお聞きしました。

 台湾導盲犬協会は台北市にあります。協会発行のパンフレットによれば、台湾の視覚障碍者数は約5万人。そのうち盲導犬ユーザーは8人。日本以上に、盲導犬が不足している状態です。
 今回、台湾に滞在したのは4日間という短い期間ですが、その間、盲導犬ユーザーに会って話を聞いたり、パピーウォーカーの家庭を訪問しました。
 お会いした盲導犬ユーザーは、30代と20代の男性と20代の女性の3人。30代男性の盲導犬は、ニュージーランドの盲導犬協会で育てられたゴールデンリトリーバー。他の二人の盲導犬はアメリカのリーダードッグスという盲導犬訓練施設で育てられたラブラドールリトリーバーとゴールデンリトリーバーでした。
 台湾での盲導犬使用環境はたいへん厳しいようです。歩道上には自転車やバイクが置いてあり、歩道を通れず車道に降りざるを得ない場所が多くあります。バイク・自転車だけでなく不法駐車の車があったり、店の商品なども歩道に並べられていたりします。また野良犬や野良猫が多く、しかも彼ら用のエサなのか、町のあちこちに食べ物が置いてあったりします。
 盲導犬ユーザーにとって日本以上に厳しい歩行環境ですが、一方、パピーウォーカーは子犬を連れて地下鉄に乗ったりお店に入ることもでき、その点では日本の方が厳しい状況にあると言えるかもしれません。

盲導犬情報ボックス

身体障害者補助犬受け入れに関する相談窓口

身体障害者補助犬法が全面施行されて4ヶ月が経ちました。この間、公的施設での盲導犬ユーザーの宿泊拒否が思いの外大きく新聞に報じられました。あれほど大きくマスコミに報じられたのは、やはりこの補助犬法全面施行直後ということが影響していたのではないでしょうか。
 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課社会参加推進室では、啓発のためのポスターやパンフレットを作成して配布しています。その中で、相談窓口として各都道府県障害福祉担当課をあげています。
 一方、盲導犬だけでなく介助犬や聴導犬などの育成団体が、自分の団体のホームページに相談窓口を設けたりもしています。盲導犬育成団体では、(財)日本盲導犬協会が、昨年9月に身体障害者補助犬法に関するシンポジウムを開催後、「身体障害者補助犬法SOSアドレス」を設置、ホームページから身体障害者補助犬法に関わる方からの相談を受けることができるようにしています。この数ヶ月間で寄せられたメールは十数件。受け入れ側の業者や病院、行政からの問い合わせがあり、業者からは「どんな準備をすればいいか?」、行政からは「保健所管轄の業者にどのように説明したらよいか?」といった内容の相談があったそうです。
 日本盲導犬協会のホームページアドレスは、http://www.jgda.or.jp、「身体障害者補助犬法SOS」アドレスは、hojokenhou-sos@jgda.or.jpになっています。

お知らせとお願い

お知らせ

2004年1月19日より全国盲導犬施設連合会事務局が下記のところに移転しましたの で、お知らせいたします。
  〒160-0007 東京都新宿区荒木町18-7 四谷長岡ビル202号室
  電話:03(5367)9770 FAX:03(5367)9771

お願い

「盲導犬情報」を発行するようになって10年が経ちました。創刊当初お世話になったワープロソフトは一太郎ver.3。パソコン通信を利用して盲導犬情報を送ろうとしてもうまくいかず、とうとうパソコン通信は利用できないままで終わってしまいました。
 この10年間にいろいろな変化がありました。これからの10年間で、社会はどう変わっていくのでしょう。どう変えていったらいいのでしょう。次回の盲導犬情報では、10年続いたお祝いに、10年後の夢、展望など、いろいろな方の声を載せてみたいと考えています。盲導犬に関することであればどんなことでも構いません。匿名でも結構です。先行き不安なご時世ですが、10年後を明るく予想してみませんか?
 原稿の送り先は、以下の通りです。
郵送の場合:〒616-8226 京都市右京区常盤段ノ上町2 (財)関西盲導犬協会内 盲導犬情報室
メールの場合:kgdbaof@mbox.kyoto-inet.or.jp
Subjectに「盲導犬情報原稿」とお書きください。

編集後記

上の「お願い」にも書きましたが、『盲導犬情報』も第40号を無事発行することができました。綱渡りのような編集作業でもなんとかここまで来れたのは、多くの方々のご協力の賜物と厚く御礼申し上げます。で、ちょっと調子に乗って、次号はもっと多くの方にご参加ご協力していただこう、と考えています。10年後の夢、理想、希望、展望、ホラ話・・・。いろいろな方の声で第41号がいっぱいになるように、多くの方の投稿をお待ちしております。(久保)

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