盲導犬情報 第42号(2004年7月)



内容




「身体障害者補助犬法」の周知状況に関するアンケート調査報告(3)

−身体障害者補助犬法の周知状況と受け入れに対する考え方−

前号では、ホテル・旅館・飲食店・病院の4つの業種に分けて結果をみること で、業種によって対応や考え方に違いがあるのかどうか、考えてみましたが、今号で は、「身体障害者補助犬法」の周知状況と受け入れ方針に関連性があるのかをみてい きたいと思います。
 まず、法律の周知状況と、従業員に対してどのような方法で周知したのか、という 点で何か関連性はあるのでしょうか。研修会の開催や会議での説明、資料の配布など 何らかの方法をとった場合、従業員に周知を「した」ものと考え、法律の周知状況別 に分けてみると、次のようになりました(墨字版には棒グラフが記載されています)。

  1. 1-1.「法律の名称も内容もよく知っている」と回答した場合
     周知した・・・・78.0%
     していない・・・22.0%
  2. 1-2.「法律の名称は知っているが、内容はよく知らない」
     周知した・・・・38.3%
     していない・・・61.7%
  3. 1-3.「法律の名称も内容も知らない」
     周知した・・・・5.9%
     していない・・・94.1%

こうしてみると、法律の内容まで「よく知っている」施設は、従業員にも法律を周 知したところが多く、「名称も内容も知らない」施設は、従業員にも法律を周知して いないところが多いことがわかります。ただ周知したにも関わらず「名称も内容も知 らない」と回答している施設もあり、どのような周知方法・内容だったのか疑問も残 りますが・・・。
 次に、法律の周知状況と受け入れの対応状況についてみてみました。

  1. 2-1.「法律の名称も内容もよく知っている」と回答した場合
     以前から受け入れ・・・73.9%
     今後受け入れる・・・・22.4%
     受け入れられない・・・1.9%
     わからない・・・・・・1.9%
  2. 2-2.「法律の名称は知っているが、内容はよく知らない」
     以前から受け入れ・・・45.1%
     今後受け入れる・・・・35.4%
     受け入れられない・・・8.6%
     わからない・・・・・・10.9%
  3. 2-3.「法律の名称も内容も知らない」
     以前から受け入れ・・・20.8%
     今後受け入れる・・・・28.3%
     受け入れられない・・・15.1%
     わからない・・・・・・35.8%

となり、法律の周知状況によって受け入れの対応にも違いがみられ、よく知っている ところは法律施行以前から受け入れているところが多いようです。逆に、よく知らな いところは受け入れているところが少なく、また「今後も受け入れられない」と考え ている施設の比率が最も多くなりました(墨字版には棒グラフが記載されています)。
 また、法律の周知状況と補助犬受け入れ義務化についての考え方には、なにか関連 性があるのでしょうか。

  1. 3-1.「法律の名称も内容もよく知っている」と回答した場合
     義務化は当然・・・・・・89.8%
     公共性が高い施設のみ・・9.6%
     義務化には反対・・・・・0.6%
  2. 3-2.「法律の名称は知っているが、内容はよく知らない」
     義務化は当然・・・・・・75.4%
     公共性が高い施設のみ・・18.7%
     義務化には反対・・・・・5.9%
  3. 3-3.「法律の名称も内容も知らない」
     義務化は当然・・・・・・55.4%
     公共性が高い施設のみ・・35.7%
     義務化には反対・・・・・8.9%

盲導犬育成事業の将来計画に関する調査報告(1)

岐阜大学教育学部 池谷 尚剛
岐阜県立大垣養護学校 佐藤 あゆみ
a.調査目的

盲導犬が、盲導犬希望者に充分にいきわたっているとはいえない現状の中で、各盲 導犬協会が今後の盲導犬育成についてどのような考えを持っているのかを知り、今後 の日本全体の盲導犬育成事業の展望を予想することを目的とした。

b.調査内容

本調査では、5つの項目に分けて調査を行った。1つ目は「盲導犬育成について」 とし、具体的な数値目標と、盲導犬にならなかった犬、または引退した盲導犬の対処 法を調査した。2つ目は「職員について」とし、職員の数値目標と、他協会との交流 についての考えを調査した。3つ目は「共同訓練とフォローアップ」とし、現在行っ ている回数・内容と、今後の展望について調査した。4つ目は「社会福祉施設として の啓発活動・ボランティアについて」とし、現在行っている活動と、今後の展望につ いて調査した。そして5つ目は「将来計画について」とし、日本全体の盲導犬育成事 業の展望と、各施設の今後のあり方について調査した。

c.調査対象

(財)日本盲導犬協会、(財)アイメイト協会、(社福)日本ライトハウス、(財)北海 道盲導犬協会、(財)栃木盲導犬センター、(財)中部盲導犬協会、(財)関西盲導犬協 会、(財)福岡盲導犬協会、(社団)兵庫県盲導犬協会(調査当時)

d.調査方法

各施設宛に、調査用紙(11枚)を送付。返信用封筒を同封し、返信してもらう。

e.回収率
  1. 送付数9 うち回収数7
  2. 回収率 78%
f.盲導犬育成事業の将来計画に関する調査結果

(1)盲導犬育成について

  1. 1-1.5年後と10年後の繁殖犬の頭数について
    1. 具体的な数値目標を持っている・・・4施設
    2. 5年後については具体的な数値目標を持っている・・・2施設
    3. 具体的な数値目標を持っていない・・・1施設
  2. 1-2.具体的な数値目標を持っている、と答えた施設
    (5年後、10年後の順で、各項目に回答した施設数を記載)
    1. 6〜10頭・・・2、1
    2. 11〜15頭・・・1、2
    3. 16〜20頭・・・1、1
    4. 21〜25頭・・・2、0
  3. 1-3.上記回答の達成の見通しについて
    1. 達成できる見通しが立っている・・・4(うち1施設は、繁殖センター設置)
    2. 優秀な繁殖犬が確保できるとは限らないのでなんともいえない・・・2
  4. 1-4.具体的な数値目標を持っていない、と答えた施設
    1. 最低でも、雌6頭の繁殖犬を確保したいと考えているが、頭数より質の高い繁殖犬の確保を優先して考えている。
  5. 2-1.5年後と10年後の訓練犬の頭数について
    1. 具体的な数値目標を持っている・・・4
    2. 5年後については具体的な数値目標を持っている・・・2
    3. 具体的な数値目標を持っていない・・・1
  6. 2-2.具体的な数値目標を持っている、と答えた施設
    (5年後、10年後の順で、各項目に回答した施設数を記載)
    1. 21〜40頭・・・1、1
    2. 41〜60頭・・・2、1
    3. 61〜80頭・・・2、1
    4. 81〜100頭・・・1、1
  7. 2-3.上記回答の達成の見通しについて(複数回答有り)
    1. 達成できる見通しが立っている・・・4
    2. 財政面で問題がある・・・1
    3. 人材面で問題がある・・・2
    4. 犬舎が足りない・・・1
  8. 2-4.具体的な数値目標を持っていない、と答えた施設
    1. 今後、具体的な数値目標を立てる予定である
  9. 3-1.5年後と10年後の年間育成頭数について
    1. 具体的な数値目標を持っている・・・4
    2. 5年後については具体的な数値目標を持っている・・・2
    3. 具体的な数値目標は持っていない・・・1
  10. 3-2.具体的な数値目標を持っている、と答えた施設
    (5年後、10年後の順で、各項目に回答した施設数を記載)
    1. 11〜20頭・・・1、0
    2. 21〜30頭・・・3、2
    3. 31〜40頭・・・0、1
    4. 41〜50頭・・・1、0
    5. それ以上・・・1(60頭)、1(60頭)
  11. 3-3.上記回答の達成の見通しについて
    1. 達成できる見通しが立っている・・・3
    2. 財政面で問題がある・・・1
    3. 人材面で問題がある・・・3
    4. 犬舎が足りない・・・1
  12. 3-4.具体的な数値目標を持っていない、と答えた施設
    1. 数値目標は立てないが、増やしていきたいと思っている。
  13. 4.訓練中の不適格犬の対処法(複数回答有り)
    1. パピーウォーカーの元にかえす・・・3
    2. 飼い主を募集する・・・4
    3. PR犬として活動する・・・4
    4. その他・・・希望者に譲渡する等
  14. 5.盲導犬として実働中に諸事情によりリタイヤした場合の対処法(複数回答有り)
    1. 自分の施設で引き受ける・・・2
    2. ボランティアに委託する・・・7
    3. PR犬として活動する・・・4
    4. その他・・・元パピーウォーカーに再貸与(犬の年齢にかなりの制限あり)
  15. 6.引退後の盲導犬の対処法(複数回答有り)
    1. 自分の施設で引き受ける・・・3
    2. ボランティアに委託する・・・7

(2)職員について

  1. 7-1.5年後と10年後の歩行指導員、訓練士、研修生数について
    1. 具体的な数値目標を持っている・・・3(うち1施設は、歩行指導員に関してのみ)
    2. 5年後については具体的な数値目標を持っている・・・3
    3. 具体的な数値目標を持っていない・・・1
  2. 7-2.具体的な数値目標を持っている、と答えた施設
  3. 7-2-1.歩行指導員(5年後、10年後の順で、各項目に回答した施設数を記載)
    1. 4〜6人・・・4、0
    2. 7〜9人・・・1、1
    3. 10〜12人・・・1、2
  4. 7-2-2.訓練士(5年後、10年後の順で、各項目に回答した施設数を記載)
    1. 1〜3人・・・1、1
    2. 4〜6人・・・1、0
    3. 7〜9人・・・2、1
    4. 無記入・・・1、0
  5. 7-2-3.研修生(5年後、10年後の順で、各項目に回答した施設数を記載)
    1. 1〜3人・・・2、1
    2. 4〜6人・・・2、1
    3. 7〜9人・・・1、2
  6. 7-3.上記回答の達成の見通しについて(複数回答有り)
    1. 達成できる見通しが立っている・・・3
    2. 歩行指導員について見通しが立っている・・・1
    3. 訓練士について見通しが立っている・・・2
    4. 研修生について見通しが立っている(募集する予定がある)・・・2
    5. 財政面で問題がある・・・2
  7. 7-4.具体的な数値目標を持っていないと答えた施設
    1. 数値目標は立てないが、増やしていきたいと思っている。
  8. 8.職員の在職率が低い理由(複数回答有り)
    1. 仕事内容がきつい・・・2
    2. 休日がない・・・1
    3. 給与がよくない・・・4
    4. 働いている人自身の問題・・・4
    5. 無記入、その他・・・2
  9. 9.訓練士の不足が、育成頭数に直結しているか。
    1. 直結している・・・5
    2. 直結しているとは思わない・・・2
    3. まったく関係ない・・・0
  10. 10.在職率が上がって訓練士や歩行指導員が増えたら、育成頭数は増加するか
    1. 増加する・・・5
    2. 多少の変化はあると思う・・・0
    3. 思わない・・・1
    4. 無記入・・・1
  11. 11.職員の研修の位置づけ(複数回答有り)
    1. 職務として位置づけしている・・・6
    2. 自主性に任せている・・・3
  12. 12-1.現在、他施設との交流はあるか
    1. よく交流している・・・3
    2. 研修会等の機会があるときに交流している・・・3
    3. あまり交流していない・・・1
    4. まったく交流していない・・・0
  13. 12-2.交流の目的(複数回答有り)
    1. よいところを取り入れるため・・・5
    2. 知識を増やすため・・・7
    3. 情報交換のため・・・5
    4. 他の施設の訓練方法を、一例として見るため・・・4
  14. 13.施設同士が交流することについてどう思うか
    1. とてもよいことだと思う・・・4
    2. よいことだと思う・・・2
    3. あまりよくないと思う・・・0
    4. よくないと思う・・・0
    5. 交流内容によってはよいこともあるし、よくないこともある・・・1
  15. 14.今後もっと交流をすべきだと思うか
    1. すべきである・・・5
    2. どちらでもない・・・2
    3. すべきでない・・・0

この調査結果は、第13回視覚障害リハビリテーション研究発表大会(視覚障害リハ ビリテーション協会主催)で2004年6月13日にポスター発表された「わが国の盲導犬 育成の将来展望」の資料として会場で配布された調査報告を発表者の了解を得て、掲 載いたしました。

盲導犬ユーザーのコーナー

夢にまで見ていたコンサート!

S.K

昨日(2004年5月)、雨が降る中、マントカッパを着まして、イルザとBホールへ 「森進一、森昌子ジョイントコンサート」に一人で出かけてきたんです。私は森昌子 ちゃんデビュー当時からの大ファン。半年前にOプランニングというところに電話注 文をして、盲導犬同伴ということも伝えて8400円でチケットを購入しました。一般席 は会場であるBホールでも買えたのですが、盲導犬同伴ということを伝えると、Oプランニングというところで買うようにBホールの担当者から言われ、教えられた通り に「車いす席のチケットを」というお願い文を添えて送金しました。
 イルザものんびり見られる席をというBホールの配慮で車いす席を用意してくださ るということなんだな、と私は良い意味にとって、8400円プラス送料をかけてチケット代を郵送しました。本当は車いす席では不満だったのですけれど、バランスよく音の良く聞こえるところなら少し遠い席でもよいかぁと思い直して、この車いす席で妥協したんです。
 チケットは事前には送られて来ず、当日、私の名前を係員に伝えることで案内してくださるということでした。が、もしトラブルに巻き込まれたらいけないと思い、領 収書を持って行きました。 会場では三人の係員がバトンリレーのように案内してくださり、一番早く会場に入 れてもらうことができたのです。ですから会場に入った時はまだ「会場におりてきても握手はなし。照明はどうたら・・・」などなど、いろんなことを打ち合わせしておられました。
 さて、案内してくださった係員のうちの一人の女性が「本当に目が見えないのですか?」と唐突に疑うように聞かれました。まあまあ何ということを聞くのか?と思ったんですが
「はい、まったく見えません」
と答えました。見えていたら盲導犬使わないよ、と心の中で思いました。なんだか不 吉な予感がしてきました!約束通り車いす席がある一番左の方に座らせてくれたよう です。そして
「右側に車いすの方が来られますので、よろしく」
と係員が言われて、どこかへ行かれました。
 さて、しばらくすると
「お客様、右の方へ1メートル移動してくださいませんか」
と言われたので
「えっ!何で替わるの?」
と聞き返したら
「左の方に車いすの方が来られるもので」
と言われました。それから隣の車いすの人と付き添いの人が
「○の14、15の席はここですよねぇ。ばらばらに座っているとちょっと困るんで・・・」
なんて話している声がするんです。私が買った車いす席も当日売っていたようですねぇ。だから、領収書と車椅子席のチケットもその場で引き換えてくれなかったのでし ょう。これは、なんというこっちゃぁ!
 そして、私の斜め前に座ったお客さんが
「当日券でS券や言うけれど、こんな後ろじゃ顔も何もわからんなぁ」
とぼやいています。でも席はだいたい中央なので、文句言うたらあかんでぇ、と私は一人心の中で思っていました。  コンサートが始まり、森進一の歌が1曲か2曲終わったところで、昌子ちゃんの歌が始まりました。するとまた係員が来て「お客様、左の席の方に移ってくださいませんか」 と言うので
「何でこんなに替わらないといけないのですか」
と聞いたんです。そうしたら
「車いすの方がお見えになったものですから」
と言うのです。私の席も車いすの席と聞いていたんでぇ、それやったら早く言うてぇなぁ、とだんだん腹が立ってきました。
「車いすの席はいくつあるのか」
と尋ねると「4席だ」と言います。それで私の席はいったいどこやねん?と気分が悪い。
 さらにもう1回、席を替わるように言われました。今度は一般席に座らされたので、音が左からしか聞こえてきません。最初の方はだいたい中央だったんです。それでやっぱりチケットは送ってもらうべきだったと本当に反省しました。もし半年前にチケットを買う時に盲導犬のことを言わずに一般席を買っておけば、もっと良い席で見られたんじゃないかとも思いました。
「今座っている席のチケットをお渡しします」
と言われたんですが、頭にもきていたし
「これは私の買った席じゃないからいらない」
と断りました。2階席の一番後ろで入り口のごちゃごちゃしたところだったので、余計に私の癇に障ったのでしょう。しばらく頭にきていたんですが、盲導犬を連れていると「どこそこのだれべぇ」と分かるので、頭を冷やしてからちゃんと言いたいことを伝えて帰ろうと決心したんです。
 15分の休憩に入り
「××ですが、おトイレは行かれますか?」
と聞いてくださったので、お礼を伝えてから、手引きの時のアドバイスをしました。それから最初の係員の方が謝まりに来られたので、そんなことより何でこんなに席を 替わらなければならないのか、それが納得できないことを伝えました。そして、コンサートが終わった後、チケットを販売したOプランニングの方と誘導係の派遣会社の方とBホールにお勤めだと知っていた私の家の近くの○○さんを指名して、私の思いを聞いてくださるようにお願いしました。
 コンサートが終了して、おトイレに案内してもらった後、全員に同席してもらい、

  1. チケットはこれから必ずお客に郵送してくださること
  2. 誘導員が「本当に見えないのか?」と必要以上のことをごちゃごちゃ聞かないこと
  3. コンサートが始まっているのに席を3回も移動させないこと
  4. 盲導犬使用者は必ず車いす席しか取れないのか。「通路に盲導犬をおくと消防法に 引っかかってだめだ」と以前別のコンサートホールで言われたことがあるが、どのコンサート会場に行ってもそのような対応になるのか、Bホールではどのようにお考えなのか
  5. 私としてはできるだけ自由に席を選びたいこと
  6. 自分で選んだ席なら、たとえ隅の方でも腹も立たないこと
  7. いつも車いす席になると、どの会場もパイプ椅子なのでお尻が痛いから、もう少し座り心地の良いものを準備していただければありがたいこと
  8. 車いす席はいつも会場の両脇で出入り口に近く、落ち着かず、冬なら寒いこと
  9. などなどを伝えて帰ってきました。即答は得られませんでしたが。

私が以前から知っていた隣の方は私の患者さんでもあるのですが、Bホールの次長 だったと知り、これまたびっくり!これはこれは、とちゃんと冷静に話をして帰って きましたよ。
 タクシー乗り場で20分以上待っていたら
「北川さん、送るわぁ?」
と言って、○○さんがどこからか現れて大津駅まで送ってもらいました。なんだかほんまにへんな気分のコンサートでした。
 さて、肝心なコンサートの方ですが、森進一は、えらいおっさんになってはったなぁ。なんだか歯が抜けていたんと違うやろか。昌子ちゃんは熟女っていう感じ。もう負けたぁ。あ、始めから負けてたぁ。

盲導犬情報ボックス

日本の盲導犬使用者数

社会福祉法人日本盲人社会福祉施設協議会リハビリテーション部会盲導犬委員会の「2003年度盲導犬訓練施設年次報告書」を参考にして2004年3月31日現在の日本の盲導犬使用者数を出すと、次のようになりました。

北海道:60 青森県:2 岩手県:13 宮城県:11 秋田県:16
山形県:5 福島県:8 茨城県:19 栃木県:18 群馬県:8
埼玉県:51 千葉県:30 東京都:79 神奈川県:48 新潟県:23
富山県:9 石川県:28 福井県:6 山梨県:11 長野県:27
静岡県:34 愛知県:35 岐阜県:12 三重県:8 滋賀県:7
京都府:15 大阪府:64 兵庫県:57 奈良県:14 和歌山県:13
鳥取県:8 島根県:11 岡山県:14 広島県:31 山口県:16
徳島県:7 香川県:6 愛媛県:16 高知県:9 福岡県:30
佐賀県:10 長崎県:8 熊本県:19 大分県:13 宮崎県:13
鹿児島県:21 沖縄県:6

日本に在住の盲導犬使用者は、969名。前年度に比べると22名増えています。1頭の 盲導犬を夫婦二人で使用するタンデム方式の盲導犬使用者は21組いますので、盲導犬 の実働数を数えると昨年より21頭多い948頭。
 タンデム使用者を育成施設別にみると、北海道盲導犬協会1組、日本盲導犬協会3 組、関西盲導犬協会4組、日本ライトハウス9組、兵庫盲導犬協会1組、福岡盲導犬 協会3組となっています。都道府県別では、北海道1組、東京都1組、神奈川県1組、新潟県1組、山梨県1組、愛知県1組、大阪府2組、兵庫県3組、和歌山県2組、広島県2組、山口県2組、島根県1組、福岡県2組、熊本県1組となっています。
 1年間の育成頭数でみると、2003年度は104頭で、前年度に比べると22頭少なくなっ ています。また、新規の使用者のパートナーとなったのは55頭、代替えは49頭で、年間育成頭数の47.1%が代替えとなっています。2003年度中に引退あるいは死亡した盲導犬は83頭、その内の約4割、34頭の盲導犬の使用者は代替えの盲導犬を希望しなかったか、希望しても代替えの盲導犬を得られなかったのではないかと考えられます。

全国盲導犬施設連合会からのお知らせ

全国盲導犬施設連合会では、全国盲導犬普及キャンペーンの一環として、毎年度ポスターと「デュエット」という機関誌を作成しています。
 今年の機関誌「デュエット」第13号では、昨秋の身体障害者補助犬法全面施行を受け、「補助犬法のその後は。」と題して全面施行後の状況について特集しています。「盲導犬情報」でもその概要を紹介している「補助犬法の周知状況に関するアンケート」調査結果を元に、次の点について説明しています。

  1. 補助犬法をもっと世の中の人に知ってもらうように努力が必要なこと
  2. 対応の仕方などわからないことは育成施設に問い合わせていただきたいこと
  3. より良い社会づくりという大きな目標のために、補助犬に対する支援と協力が必要 なこと

また、「盲導犬ユーザーの声」として二人のユーザーのコメントも載せられています。
 補助犬法は「身体障害者福祉を大きくレベルアップさせてくれる可能性をもつ法律」として「さらに情報の発信、広報、啓発といった活動に力を注ぐ必要がある」ことをふまえ、後半のページでは「街で盲導犬に出会ったときは。」「盲導犬は、こんな生活を送ります。」と写真入りで説明が加えられています。
 ポスターの方は、「デュエット」の表紙の絵がそのまま1枚のポスターになっています。レストランの店員やコック、駅員、看護婦、小学生、幼稚園生などが並んで立っているイラストの真ん中に、盲導犬と立ってニコニコ笑っている女性の写真があります。ポスターの左上には「補助犬法ができる前から、歓迎してました。」の文字が入っています。
 これらのポスター・機関誌は、全国盲導犬施設連合会の募金箱を置いてくださっているスーパーなどで手にすることができます。機関誌やデュエットが欲しいがそういったお店が近くにないという場合は、連合会事務局または連合会加盟施設に問い合わせてみてください。なお、郵送を希望される場合には、郵送料を申し受けることになりますが、ご了承くださいますようお願い申し上げます。

視覚障害リハビリテーション研究発表大会にて

第13回視覚障害リハビリテーション研究発表大会が千葉市にあります障害者職業総合センターで開催されました。今年は盲導犬に関する発表が多く、口頭発表では、日本ライトハウスの児島秀夫さんらの「盲導犬施設職員間のネットワーク(Gネット)−共同研究によって質の向上をはかる−」、ポスター発表では、岐阜大学教育学部の池谷尚剛さんらの「わが国の盲導犬育成の将来展望」(将来展望に関する調査報告を今号から数回に分けて掲載)といったものがありました。また日本盲導犬協会からは堀江智子さんが「視覚障害児キャンプ実践報告」、内田まり子さんが「短期リハビリテーションの効果に関する考察」について発表されました。

 盲導犬情報室も「盲導犬に関する情報の提供−「盲導犬情報」発行から10年が過ぎて−」として、ポスター発表に参加してきました。内容としては、「盲導犬情報」発行のきっかけと目的、発行状況、これまでの掲載内容について簡単にまとめ報告しました。
 また、「今後について」として、以下のように考えました。

  1. 盲導犬の需要等に関する調査としては、日本では1998年に実施されたものが、全国規模として行われたものとしては初めてのものである。「盲導犬情報」を発行するきっかけとなった1991年の調査結果と比べると、盲導犬に関する関心の度合いに大きな変化は見られないが、情報量に関しては、「豊富」または「普通」と回答したのは1991年には39%だったのに対し、1998年には75%と大幅に増えている。
  2. また、1998年に実施した調査では、「盲導犬に関心を持つきっかけとなった情報源」について尋ねているが、それによると、59%が「盲導犬使用者」を、次いで44%が「一般マスコミ」、41%が「視覚障害関係マスコミ」を挙げている。盲導犬訓練施設は19%、視覚障害福祉施設は16%、白杖歩行指導員は6%となっている。
  3. このように、情報量・情報源ともこの7年間のうちに変化してきているが、情報源としては白杖訓練士の割合は変わらず低いままである。これは、歩行訓練士自身が盲導犬に関してあまり情報を持っていないからという理由が考えられる。一方、盲導犬使用者が大きな情報源となってきているのには、やはりインターネットを利用する人が増えてきていることが理由の一つとして考えられるだろう。
  4. このような状況から、今後、盲導犬育成施設として、盲導犬に関する情報を提供する場合
    1. a.実用的で具体的な内容のものを提供すること
    2. b.インターネットを活用した情報の提供を進めていくこと
    3. c.その一方で、インターネット以外の方法での情報の提供を工夫すること
    4. d.歩行訓練士等の専門職員が利用できる情報を提供することに留意した情報提供に努めることが大切ではないかと考えている。

ポスター発表では、発表内容を掲示し、その前で自由に行き来する参加者と直接話をすることができます。そこで、来られた方にアンケートに協力をお願いし、盲導犬に関するどのような情報の提供が望まれているのか尋ねてみました。ポスターの前で足を止め、発表を見てくださった方のうち18人がアンケートに回答してくださいました。
 まず、アンケート回答者18人にどのような立場の方かを尋ねると、福祉関係者は11人、教育関係者3人、医療関係者3人、その他3人(複数回答あり)とのことでした。
 盲導犬への関心について「とてもある」「少しある」「あまりない」「ほとんどない」から選んでもらうと「とてもある」「あまりない」「ほとんどない」を選んだ人はおらず、「とてもある」を5点、「少しある」を4点、「あまりない」を3点、「ほとんどない」を1点として平均を出すと、3.8点となりました。
 盲導犬に関する情報について「十分持っている」「まあまあ持っている」「あまり持っていない」「ほとんどない」から選んでもらうと「十分持っている」「ほとんどない」を選んだ人はおらず、それぞれ同様に点数をつけて平均を出すと2.9点と関心の度合いに比べると情報量はやや少ない結果となりました。
 アンケートの最後に「盲導犬に関するどのような情報があればいいと思われます か?」と自由な意見をお願いしたところ、以下のようなご意見をいただきました。
 まず、「盲導犬情報」全般としては、
 ・見て楽しい情報誌への取り組み
 ・「盲導犬情報」のPR誌の大々的配布
その一方で
 ・有料化して読者の室を高めていくことも必要かもしれません
といった意見もありました。また印刷媒体としてだけでなく
 ・ホームページなどでの意見交換なども重要になってくると思います。全犬使会ML以外でも議論のできるような場所があっても良いと思う
という意見もありました。
 「盲導犬情報」として取り上げる内容については、
 ・なぜ普及しにくいのか、各界の人の意見、座談会もあってよいのでは
 ・訓練士の言葉やユーザーのちょっとした悩みコーナーなど
また、具体的なものとしては、
 ・盲導犬を実際使用したい人たちやその支援者がどのような手続きをとることが必要なのか、それにはどんな流れがあるのか、具体的に役所の窓口などで聞けるような(希望の述べられるような)情報や使用者本人がどのようなことができ、わかっていればいいのか、具体的な内容
 ・ユーザーに対する地域でのフォローアップなどあれば活動報告をしていただきたい(内容、期間など)
 ・盲導犬を使用し始めてから、問題があって中止したユーザーがどの位あるか、その理由など知りたい
 ・利用者のマナーについて、訓練中に指導されていると思いますが、繰り返し実際場面での対応について載せてほしい
・具体的な問題点や改善点について
 ・白杖歩行にたずさわっている人は、犬の歩きの技術面での情報を欲しがっている
のでは・・・と思う
 ・学校案内のような各施設の特色を示したパンフレット
 そして、
 ・最近は、盲導犬に関して、とてもメディアは注目していて、世間でも注目度は高まっていると思います。だからこそ正しく理解されるためのことが必要なのではないかと思います。やはり知らない人、きちんと理解していない人が多いように感じます
 ・視覚障害者に対してはもちろん社会的に正しい理解がされればよいと思います。 多くの人への情報提供が必要だと思います
といった意見もありました。
 いただいたご意見を参考に、今後も「盲導犬情報」を発行していきたいと考えています。他にもご意見をお持ちの方がおられましたら、ぜひ盲導犬情報室まで郵便またはFAXでお寄せください。なお盲導犬情報室のメールアドレスができました。電子メールでのご意見もお待ちしております。
 メールアドレス:info@moudouken-jyouhou.jp

訃報

すでにご存じの方も多いことと思いますが、去る4月30日、中部盲導犬協会常務理事であり全国盲導犬施設連合会事務局長でもあった河西光(かわにし ひかる)氏が、心筋こうそくのため急逝されました。河西氏は、中部盲導犬協会が1970年に事業を開始した当初から盲導犬の育成にたずさわってこられた方です。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

編集後記

視覚障害リハビリテーション研究発表大会で発表していた時、いろいろな方が気楽に投稿していただけるような雰囲気がないとの指摘を受けました。そこで、丁度書きためたものを見せてくださった北川さんに原稿の一つを掲載したいとお願いし、「盲導犬ユーザーのコーナー」として、今回、原稿を掲載しました。次回は北川さんにご紹介いただいて、別の方から原稿をいただこうと考えています。原稿を書いてくださった方に、次に原稿を書いてくださる方を紹介していただき、毎回ユーザーの声を載せていきたいと思います。お昼のバラエティ番組ではありませんが、どこまで輪がつながっていくか楽しみです。原稿料が出せず申し訳ありませんが、声がかかったときには、ぜひご協力をお願いします。(久保)