盲導犬情報 第44号(2005年1月)



内容




「身体障害者補助犬の遺伝性疾患に関する検討会」の報告書

厚生労働省では、「身体障害者補助犬の遺伝性疾患に関する検討会」を設置し、「補助犬としての適性を有する犬の選定と補助犬の健康管理に関する指針の策定について検討を行って」きました。「身体障害者補助犬が使用者のニーズに応じて適切に行動し、その役割を果たしていくためには、健康状態を維持することが重要であり、身体面においての適性として遺伝性疾患を有しない犬を選択することが必要」であるからです。検討会は2003年3月に発足し、2004年6月までの間に10回開催され昨年6月に報告書が提出されました。今回はこの報告書の概略をご紹介したいと思います。

1.身体障害者補助犬における遺伝性疾患の重要性

遺伝性疾患は遺伝にもとづいて親から子へと伝達されるものであり、「多くの品種が作出されている犬などの飼育動物では、品種によって特異的に高い頻度に発生が認められる遺伝性疾患」があります。身体障害者補助犬がそういった遺伝性疾患を持っていて発症した場合、身体障害者補助犬としての役割が充分に果たせなくなるばかりか、ユーザーにも危険が及ぶ可能性もあります。遺伝性疾患の予防も大切なことですが、なにより「育成の段階、あるいはそれ以前の段階で適正に対応し、良質な犬を身体障害者補助犬として提供することにより、使用開始後の発症を予防すること」が非常に大切で、そのための適切な対応を行うことが重要であると考えられます。

2.検討の対象とすべき遺伝性疾患の選択

出生時に容易に診断が可能な疾病ではなく、「身体障害者補助犬としての育成期あるいはそれ以降に発症するもの」を検討の対象とし、第一に「発症時に身体障害者補助犬としての機能が失われ、その使用者に危険が生じる可能性がある疾患であること」、第二に「身体障害者補助犬として使用されることが多いレトリバー等の大型犬種に多発する疾病であること」という観点から検討を行った結果、「身体障害者補助犬の遺伝性疾患として重要であるのは、骨関節疾患および眼疾患であるとの結論」に達しました。
 骨関節疾患では、「遺伝的背景が明確な疾病として股関節形成異常」、「遺伝的原因が推定されている疾病として肘関節形成異常」が挙げられます。これらの疾病は、「犬の運動能力の著しい低下」をもたらします。また、眼疾患では「視覚が完全に消失する白内障と網膜症」が挙げられ、これらの疾病は犬の視覚低下をもたらし「犬に苦痛を与えるばかりでなく、身体障害者補助犬としての機能を著しく低下させ、使用者の安全にも危惧を生じさせるもの」です。
 骨関節疾患として「骨軟骨症」、眼疾患として「悪性ブドウ膜炎」などにも遺伝的素因があると考えられているようですが、これらについてはいまだ十分な知見が蓄積されているとは言えないことから、ここでは対象にはしていません。

3.診断のための検査の適期

  1. (1)骨関節疾患の診断適期
    1. 診断の適期として推奨されるのは、
      • 1歳未満において何らかの症状が認められた場合→直ちに検査を実施する
      • 症状が認められない場合→1歳〜1歳6ヶ月齢の時に検査を実施する
      • 1歳〜1歳6ヶ月齢時の検査で異常が認められなかった場合→症状が発現したときには、速やかに検査を実施する
  2. (2)眼疾患の診断適期
    1. 診断の適期として推奨されるのは、
      • 1回目の検査:2〜3ヶ月齢
      • 2回目の検査:1歳〜1歳6ヶ月
      • 3回目の検査:3歳齢
      • 3回目以降は、可能な限り1年に1回の検査の実施

1歳〜1歳6ヶ月齢時には、白内障と網膜症を発症する時期となることから、「特にこれらの疾病について精査する」ことが推奨されています。また「3歳齢以降の検査は、成犬となってから発症する例を診断するために必要」と考えられます。
 1歳から1歳6ヶ月といえば、ほとんどの犬がまだ訓練犬として育成施設にいる時期ですから、育成施設は訓練犬の骨関節・眼疾患の検査をしっかり実施しておくべきでしょう。また訓練を終え盲導犬となってからも1年に1回は眼疾患の検査を行うことが望ましいようです。

4.遺伝性骨関節疾患とその診断

「股関節形成異常、肘関節形成異常ともに、触診を含む一般身体検査を実施したうえ、跛行検査、さらに画像診断を実施することにより診断」されます。
 股関節形成異常は、「徐々に変形性関節症(骨関節症)が進行し、様々な程度の歩行障害を生じる疾病」です。「大型犬に多く発生し、発生率は犬種によって異なるが、およそ10〜50%程度と推測」されています。発生要因としては、「関節事態のゆるみと発育期における軟骨内骨化異常が考えられ、ゆるみの原因としてコラーゲンの形成異常が示唆」されています。また「発育期の過剰栄養が大きな要因になっていることも報告され、発育期の飼育環境が本症の発症あるいは症状の進行に寄与することが推測」されています。
 肘関節形成異常も、「股関節形成異常と同じく、変形性関節症を発生し、様々な程度の跛行を」生じます。また「好発犬種が大型犬であることも、股関節形成異常と同様」です。

5.遺伝性眼疾患とその診断

眼疾患の検査法としては、「広汎照明法により眼の一般状態を検査した後、眼圧測定、細隙灯顕微鏡による検査、倒像眼底検査、直像眼底検査、隅角検査を実施」します。さらに「可能な場合には網膜電図を記録」します。
 白内障には様々な原因が存在しますが、「犬の白内障の原因としてもっとも多く認められるのは遺伝的なものであろう」と考えられています。レトリバーは「遺伝性白内障が頻発すると一般に考えられており、1歳未満から1歳6ヶ月齢時に症状を発することが多い」ようです。
 網膜の疾患のうち「進行性網膜萎縮等の遺伝性の網膜症は、しばしば犬に発生」し、特に「レトリバーに多発することが知られて」います。進行性網膜萎縮は「数か月から数年の経過をとり、緩徐に進行するのが特徴」です。

6.遺伝性疾患の診断体制のあり方に関する提言

この検討会は身体障害者補助犬法制定の際、「現在、身体障害者補助犬に多く使用されている犬種には、遺伝性疾患が少なくないことから、その選定には格段の配慮が求められる。このため、早急に厚生労働省内に専門委員会を設置し、補助犬の選定と健康管理に関する指針の策定並びに優良補助犬の確保の対策について検討を進めること」との付帯決議に基づいて設けられました。そして検討会で検討した結果「身体障害者補助犬に認められる遺伝性疾患として股間性形成異常および肘関節形成異常、白内障、網膜症が重要である」と結論し、「診断適期ならびに診断法等に関する指針を提示」しました。
 しかし適切な時期に適正な検査が行われるためには「身体障害者補助犬の育成に関わる諸機関ならびに諸団体の理解と協力が必要」であり、「今後、行政機関等の適切な対応が行われること」を検討会は希望しています。さらに「将来的には、各々の遺伝性疾患の診断を円滑に遂行するため、骨関節疾患および眼科疾患のそれぞれの専門家等から構成される判定委員会の設置について是非とも考慮すべきであろう」と述べています。
 加えて「身体障害者補助犬として育成することを目的として犬の繁殖を行う場合には、遺伝性疾患を有していない犬」を繁殖犬とすることが重要であり、繁殖犬についても「可能な限り遺伝性疾患の検査を実施し、疾病の存在が確認された場合には繁殖に用いないようにする配慮がなされるべきである」と指摘しています。
 最後に「犬の発生する種々の疾病のうち、遺伝性の疾患については、早期に適切な診断が行われれば、身体障害者補助犬として使用される以前に高い確率でそれを排除することが可能である。身体障害者補助犬の育成に関わる諸機関ならびに諸団体と行政機関、さらに獣医師等は、相互の協力を通じ、遺伝性疾患を欠く優良な身体障害者補助犬を確保されるよう努め、身体障害者補助犬法の趣旨である身体障害者の自立および社会参加の推進に寄与されるよう望むものである」と述べてこの報告書は終わっています。
 なお、報告書の全文は、厚生労働省のホームページから見ることができます。ホームページアドレスは、http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/07/s0709-4.htmlです。

犬・猫等の検疫制度が変わりました

2004年11月6日から、犬・猫等の検疫制度が変わりました。検疫制度が変わったことにより、海外旅行をされる方やこれからしようと考えている方は、自分の盲導犬がマイクロチップにより個体識別できるようにしておく必要があります。
 海外から盲導犬を伴って入国(帰国)する時、到着40日前までに、到着予定空港(港)を管轄する動物検疫所に輸入予定等を届けなければなりません。その上で、

1.指定地域(狂犬病の発生がないと認めている国・地域)から輸入する場合

  1. マイクロチップによる個体識別がなされていること
  2. 指定地域のみで飼養されていたこと、又は指定地域において過去180日間もしくは出生以降飼養されていたこと
  3. その指定地域に過去2年間狂犬病の発生がなかったこと
  4. 出発前の検査で狂犬病・レプトスピラ症にかかっていないか、かかっている疑いがないこと

これらのことが輸出証明書により確認できる場合、日本に到着時の係留期間は12時間以内となります。
 なお、2004年9月1日現在の指定地域は、キプロス、シンガポール、台湾、アイスランド、アイルランド、スウェーデン、ノルウェー、英国(グレートブリテン及び北アイルランドに限る)、オーストラリア、ニュージーランド、フィジー諸島、ハワイ、グアムになっています。

2.指定地域以外の地域から輸入する場合

  1. マイクロチップを装着後、2回以上狂犬病不活化ワクチンが接種されていること
  2. 2回目のワクチン接種後、日本が指定する検査機関による狂犬病の中和抗体検査で血清1mlあたり0.5IU以上であること
  3. 日本に到着する日は、2)の検査のための採血日から180日間を経過し2年を超えていないこと
  4. 採血日以降、日本到着までに狂犬病不活化ワクチンの有効免疫期間を超えてしまう場合は、有効免疫期間以内にワクチンの追加接種がなされていること
  5. 出発前の検査で、狂犬病・レプトスピラ症にかかっていないか、かかっている疑いがないこと

これらのことが輸出証明書により確認できる場合、指定地域からの輸入同様、日本に到着時の係留期間は12時間以内となります。
 短期間の旅行の場合でも、マイクロチップによる個体識別、マイクロチップ装着後の2回以上の狂犬病予防注射、2回目の狂犬病予防注射後に採血した血液について測定した狂犬病抗体価についての証明を提示すれば、その内容が輸出検疫証明書に記載されます。この証明書と輸出国政府機関発行の健康証明書を取得し、記載内容に問題がなければ帰国時の係留期間が12時間以内になります。
 これらは、盲導犬等の身体障害者補助犬をはじめ災害救助犬であっても同様の条件で輸入検疫を受けなければなりません。係留期間が12時間以内とならなかった場合であっても、一定の要件を課した上で係留施設からの外出等は認められるそうですが、その場合は様々な制約を受けるので、係留期間が12時間以内となるように準備をしておく方が良いようです。
 仮に係留施設で長期間の係留検査が必要と判断されてしまうと、輸送、飼養管理、獣医師の往診などに必要な経費は輸入者の負担となります。係留期間中にびょうきにかかっても係留施設から出すことはできません。また、係留施設は全国に11カ所あるそうですが、そのうち飼養管理を受託する業者が常駐している施設は、成田支所、関西空港支所、名古屋支所、横浜本所の4カ所のみで、これ以外の場所での係留となると、自ら飼養管理するか事前に委託業者を準備しなければならないそうです。
 前述のように、盲導犬の場合は「一定の要件を課した上で係留施設からの外出等は認められる」となっていますが、やはり盲導犬を同伴して海外旅行をする機会がある方は、ご自分の盲導犬にマイクロチップを装着しておくことが必要でしょう。マイクロチップは、直径約2mm、長さ約11mm程度の小さなもので、動物の皮下組織に埋め込むような感じで装着します。マイクロチップは動物病院で入手でき、獣医師によって装着されます。しかしISO規格(11784及び11785)以外のマイクロチップを装着してしまうと、個体識別のための読み取り機を準備しなければならないため、装着するマイクロチップがISO規格のものであるかどうか、確認をした方がよさそうです。また、マイクロチップ装着にかかる費用についてですが、日本獣医師会にお尋ねしたところ、それぞれの獣医師によって技術料等の費用が異なるため一定の金額を目安として出すのは難しいとのことでしたので、具体的なことについてはそれぞれの主治医である獣医師にお尋ねください。
 なお、詳しいことは、農林水産省動物検疫所のホームページhttp://www.maff-aqs.go.jp/に載っていますのでご確認ください。

盲導犬ユーザーのコーナー

盲導犬と暮らしてみて

兵庫県 山本須美子

クックと暮らし始めて3年が過ぎました。私は盲導犬の知識もほとんどないまま、「犬と歩きたい」という衝動のまま申請に行きました。今考えてみるとずいぶん無謀なことだったのかなとも思います。でも、これが私の人生の大きな跳躍点だったのでしょう。それまで犬が苦手だった私ですから、まさかその犬と暮らしを共にするなんて、5年前の私には考えもしなかったことでした。そんな私が犬と歩きたいと思うようになったのは、インターネットのおかげでした。そこでいきいきと生活している、盲導犬ユーザーさんたちと知り合いました。毎日の生活を自分のペースでやっていく。これは普通のことのようで、なかなか難しいことです。
 当時の私はごく限られた場所を白杖で歩いていましたが、その場所にあったスーパーはどんどん閉店していきました。近くに住んでいた夫の母が来てくれたり、生協の共同購入に入ったりという方法で、毎日を過ごしていましたが、これではいざとなった時に困るという不安がありました。そういう時でしたから、盲導犬へのあこがれが強くなっていったのだと思います。幸い、それほど待つこともなくクックと共同訓練に入ることができました。それでも犬が苦手ということで、最初はつまずくばかりでした。そんな私たちも今では近所の人たちからも、暖かく声をかけてもらえるようになりました。
 犬と歩いていて、1番うれしいのも、いやな思いをするのも周りの人からかけられる声です。マスコミなどで盲導犬が取り上げられるおかげで、"仕事中は触ったり声をかけてはいけない"とか、"食べ物をあげてはいけない"などということを知ってる人が、大変多くいてくださることがわかります。小さい子にそういうことを教えてる声を後ろに聞きながら歩いていると、とても暖かな気持ちになります。また知らない人同士でも、クックを見てからご自分たちのペットの話に花を咲かせておられることもありました。犬って好きな人にとっては、誰の犬とかはないんですね。みんなかわいい子なんですね。私にもその気持ちがわかってきました。
 反対に暗い気持ちになることもあります。でも、それは相手が盲導犬のことを知らなかったり、親切のつもりで言ってくださってることなんです。それなのに素直にお礼が言えないことがあります。(お願いだからほおっておいて・・)、(犬だって調子が悪いことはあるわ)、(めんどうなら声をかけないで・・・)などという気持ちが、ついそっけないお礼になったり、うっとおしい返事になってしまっています。そんな時は、とても自己嫌悪に陥ってしまいます。こちらにもゆとりがないのでしょうね。
 クックは5歳です。これからまだどんな出来事が待っているかわかりません。今年は通勤という経験をしています。週三日というペースですが、電車に乗って今まで降りたことのなかった町を歩いていくのは、とても新鮮な気持ちです。(めんどうに思うこともありますけどね)。
 クックがいるからやってみよう!そう思えることを、これから一つでも多く見つけたいと思います。
 いつになってもたよりない私たちペアーですが、せっかくうちに来てくれたクックですから、これからも季節の風をうけて歩いて行きたいと思います。

全国盲導犬施設連合会からのお知らせ

新しい啓発パンフレットができました

全国盲導犬施設連合会では、日本財団の助成を受けて、「盲導犬−『身体障害者補助犬法』を知っていますか−」というパンフレットを作成し配布しています。このパンフレットは、A6版の大きさで8ページのもの。表紙は、表題の他「Welcome!! GUIDE DOG」として盲導犬ユーザーを中心に介助犬ユーザー、聴導犬ユーザーが街を歩いているイラストで、親しみやすい感じになっています。
 パンフレットの内容としては、まず4ページを使って、「身体障害者補助犬法とは」と題して身体障害者補助犬法の目的、補助犬の定義を説明している他、補助犬訓練事業者の義務として「訓練事業者は、補助犬として適性がある犬を選び、医師、獣医師等と連携し、これを使用する身体障害者の状況に応じた訓練を行い、良質な補助犬を育成しなければなりません」と説明しています。また、施設等における補助犬の同伴等については「公共施設、公共交通機関、銀行やお店、宿泊施設など、不特定かつ多数の人が利用する施設の管理者は、その施設を身体障害者が利用する場合、補助犬を同伴することを拒んではいけないとしています」との説明の他「補助犬には、その使用者のために訓練された犬であることを表示しなければなりません。また施設等を利用する補助犬を同伴・使用する身体障害者は、補助犬が他人に迷惑を及ぼさないよう、その行動を十分に管理しなければなりません」として、身体障害者補助犬に必要な表示について写真入りで説明しています。その他、補助犬の衛生の確保については、「補助犬使用者は、その補助犬の身体を清潔に保つとともに、予防接種や検診を受けさせ、公衆衛生上問題が生じないように努めなければなりません」とユーザーの義務についても説明した上で、国民の協力として「国民は、補助犬使用者に対して必要な協力をするよう努めなければなりません」と説明しています。また、補助犬法の周知状況に関するアンケート調査結果のグラフや「補助犬同伴可」のステッカーも紹介しています。
 残りの2ページで盲導犬の育成過程や「街で盲導犬に出会ったときは」として「ハーネスをつけているときは、仕事中です」「ハーネスには、触らないでください」「仕事中の盲導犬には、食べ物を与えないでください」「どうぞ、あたたかく見守ってあげてください」と説明しています。
 裏表紙には、「国内の盲導犬訓練施設一覧」として全国盲導犬施設連合会加盟施設だけでなく、国内すべての国家公安委員会が指定している盲導犬育成団体の団体名と住所、連絡先、ホームページアドレスが掲載されています。
 このパンフレットは希望される方に無料でお渡ししています。ご希望の方は、全国盲導犬施設連合会事務局または連合会加盟施設にお問い合わせください。なお、郵送する場合には郵送料を申し受けることになりますが、ご了承くださいますようお願い申し上げます。

見直すならこんなトコ<身体障害者補助犬法・私の意見>

身体障害者補助犬法は、2002年10月に施行されたとき、経過措置として「施行後三年を経過した場合においては、身体障害者補助犬の育成の状況、第四章に規定する施設等における身体障害者補助犬の同伴又は使用の状況その他この法律の施行の状況について検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする」という一文が加えられています。  この「施行後三年」が一部施行された2002年から3年なのか全面施行された2003年から3年なのか、3年経ってから検討が加えられるのか3年経つまでの間に必要な措置が講ぜられるのか、いろいろな解釈ができて、では一体いつのことなのか、ハッキリしないところではあります。しかし、この法律は成立直後から、ユーザーの義務や育成団体の義務、あるいは違反した場合の罰則がある一方で、肝心の受け入れという面では、同伴を拒否しても罰則はない。しかも「やむを得ない理由がある場合は、この限りでない」となっているばかりか事業所や住宅では「拒まないよう努めなければならない」となっており、法律としての実効性があるのか、ユーザーの権利が本当に認められているのか、と疑問、批判をする関係者も少なくありませんでした。なんとか経過措置として書かれている「検討を加え」「必要な措置が講ぜられる」ようにしたいものです。  そこで、前号の「盲導犬情報」では「身体障害者補助犬法の見直しについてご意見をお寄せください」とお願いしましたところ、二人の方からメールでご意見をいただきましたのでご紹介します。勝手ながらお名前は掲載しておりません。盲導犬ユーザーに限らず多くの方からご意見をいただきたいと思います。引き続き、みなさまの投稿をお待ちしております。  もし意見を言う前にもう一度「身体障害者補助犬法」や「身体障害者補助犬法施行規則」など関連したものを読んでおきたいという方がおられましたら、厚生労働省のホームページの中に、身体障害者補助犬法関連のものをまとめたページがありますのでごらんください。ホームページアドレスは、 http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/syakai/hojyoken/index.html 「いろんな場所で会おうね。 ほじょ犬」というトップページから中に入ると「身体障害者補助犬法を知っていますか?」「We are ほじょ犬!」「Let's Go ほじょ犬!」「ほじょ犬情報」「ダウンロード」と分かれています。「身体障害者補助犬法を知っていますか?」では、子ども向けに説明されている他、「くわしく」というところをクリックすると「身体障害者補助犬法」「施行規則」「身体障害者福祉法」「障害者基本法」「社会福祉法」「身体障害者補助犬の衛生確保のための健康管理ガイドライン」「介助犬訓練基準」「聴導犬訓練基準」「介助犬の認定要領」「聴導犬の認定要領」などの資料を見ることができます。「We are ほじょ犬!」ではそれぞれの補助犬の役割をアニメーションで説明しています(ちょっと違うかなという動画もありますが)。「ほじょ犬情報」では「第二種社会福祉事業届出状況」「身体障害者補助犬法第15条に基づく指定法人」「盲導犬訓練施設一覧」を見ることができます。「ダウンロード」では、厚生労働省が作成したポスター、ステッカー、パンフレットをダウンロードすることができます。なお「Let's Go ほじょ犬!」では「もっともっとほじょ犬が自由に街に出ていけるよう、みなさんも応援してください」という文字の上に書いてあるイラストのバスやタクシーが動くだけなので、あまり参考になりそうもありません。
 だいぶ前置きが長くなりましたが、それではお二人のユーザーの方のご意見をお聞きください。

No.1 盲導犬ユーザー・男性

身体障害者補助犬法の改正にあたっては、細部についてはよく分かりませんが、中心課題になるのは、罰則規定だろうと思います。
 補助犬を拒否することは、障害者の自立を阻害し、人権を否定することにもなりかねません。だから罰則規定が必要だという意見も多くきかれます。しかし、すでに罰則規定までつけている韓国の場合でも、完全に守られてはいないようです。
 私は、罰則をつけてまで守らせる法律ではないように思います。むしろ、国民の理解を進め、暖かい心によってこの法律がそのまま守られていくのが望ましいと思います。罰則まで付けて守らせるというのは心寂しい思いがします。
 これまでの拒否事例の多くは、偏見や理解不足から起こっているように思いますので、行政を始め、われわれ使用者も一丸となって広報・啓発に努めるべきだと思います。

No.2 盲導犬ユーザー・男性

初めまして。私は盲導犬ユーザーになって4年がすぎました。補助犬法見直しの意見を書かせていただきます。
 罰則規定を入れるよりも、もっと先に行政側より個人商店などへ、補助犬法をしっかりと伝えてほしい。田舎での個人商店などは、私の知る限りではほとんどの商店主は、知らないといわれたり、また、どんな法律か知らないと言われます。

盲導犬情報ボックス

2004年に出版された盲導犬に関する文献

ここ数年、盲導犬に関するいろいろな書籍が数多く出版されています。そこで昨年1年間に出版された盲導犬に関する書籍を調べてみました。墨字以外の媒体も出ているものについては、ナイーブネットで検索した結果を題名の後に書き込んであります。
 大学や学会などで発表された論文については、分かる範囲でピックアップしましたが漏れているものが多いと思います。他の文献をご存じの方はぜひ盲導犬情報室までお知らせください。

<書籍>
  1. 「わかる!盲導犬のすべて 138のQ&Aで疑問に答えます」
    松井 進(明石書店),2004.12
  2. 「福祉の仕事なり方完全ガイド 〔2004〕」
    田村 正晨(学研),2004.12
  3. 「盲導犬が日本に生まれた日 −国産盲導犬第1号チャンピイを育てた塩屋賢一−」(点字データ着手)
    竹内 恒之(偕成社),2004.10
  4. 「よくわかる補助犬同伴受け入れマニュアル −盲導犬・聴導犬・介助犬−」
    補助犬同伴受け入れマニュアル作成委員会 (中央法規出版),2004.9
  5. 「えほん盲導犬ベルナ5巻セット」
    群司 ななえ(ハ-ト出版),2004.8
  6. 「補助犬の育成・使用と法律」(アシスタントドッグ叢書No.4)
    吉田 眞澄(アシスタントドッグ育成普及委員会),2004.7
  7. 「盲導犬ボランティアは楽しい! 犬バカおじさん奮闘記」(点字・録音)
    伊藤 雄 (二見書房),2004.7
  8. 「はじめましてチャンピイ にっぽんでさいしょのもうどうけん」
    日野 多香子(チャイルド本社),2004.6
  9. 「盲導犬不合格物語」(点字データ)
    沢田 俊子(学研),2004.6
  10. 「ベルナとみっつのさようなら」
    ぐんじ ななえ (ハート出版),2004.6
  11. 「最後のパートナー 盲動犬を引退した犬たち」(点字・録音・デイジー)
    西田 深雪(幻冬舎),2004.4
  12. 「「知」のビジュアル百科 イヌ科の動物事典 6」
    ジュリエット・クラットン=ブロック・編(あすなろ書房),2004.4
  13. 「クイール 写真絵本映画「クイール」」
    (ぴあ),2004.4
  14. 「身体障害者補助犬同伴受け入れマニュアル<医療機関編>」(録音)
    医療機関における補助犬同伴受け入れマニュアル作成委員会・編(日本介助犬アカデミー),2004.3
  15. 「クイール流愛犬のしつけ方」(点字着手)
    多和田 悟(実業之日本社),2004.3
  16. 「いっしょにあるこうね 盲導犬コディ」(アクションコミックス)
    篠原 烏童(秋水社),2004.2
  17. 「はたらく犬 第1巻 盲導犬・聴導犬」
    日本補助犬協会(学研),2004.1
<雑誌>
  1. 「レトリーバー」12月号
    もっと知りたい!盲導犬ホントの話 STAGE2誕生
  2. 「レトリーバー」10月号
    もっと知りたい!盲導犬ホントの話 STAGE1交配
  3. 「戸山サンライズ」5月号
    河西 光「盲導犬とともに歩む」
    河野 章「盲導犬と視覚障害者のスポーツ」
    吉田 美津江「盲導犬と伴に趣味をエンジョイ」
<研究論文>
  1. 「わが國の盲導犬育成の将来展望」
    池谷尚剛,佐藤あゆみ(第13回視覚障害リハビリテーション研究発表大会論文集),2004.10
  2. 「盲導犬の病院内への受け入れに関する意識調査」
    甲田菜穂子,東豊(ヒトと動物の関係学会誌通巻第14号),2004.8
  3. 「わが国における盲導犬制度の問題点」
    村串 仁三郎・編(法政大学比較経済研究所Working Paper No.119),2004.3
  4. 「飲食店におけるサービスドッグの受け入れ調査」
    日本大学生物資源科学部動物資源科学科畜産経営学研究室(畜産経営研究調査資料No.1504),2004.3
  5. 「盲導犬候補犬の行動評価に及ぼす性、犬種、発達の影響」
    甲田菜穂子,古橋博昭(ヒトと動物の関係学会誌通巻第13号),2004.3
  6. 「盲導犬に関する認識の程度が盲導犬に対するイメージに及ぼす影響」
    石上智美,徳田克己(障害理解研究第6号),2004.
  7. 「日本における盲導犬使用者による盲導犬に関する啓発活動」
    石上智美,徳田克己(アジア障害社会学研究第4号),2004.

編集後記

昨年は、西日本での水害、新潟中越地震などの災害により避難所生活を余儀なくされた方も多くおられました。毎日新聞によれば、新潟中越地震ではお一人の盲導犬ユーザーが盲導犬とともに町の体育館に避難され2週間を過ごされたそうです。いまや日本のどこに住んでいても、もしもの場合の物心両面の準備は不可欠と言えるかも知れません。ユーザーも、そしてユーザーをサポートするそれぞれの盲導犬育成施設も。(久保)

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