盲導犬情報 第47号(2005年10月)



内容




盲導犬使用者の会(Guide Dog Users, Inc.)による盲導犬学校に対する調査結果報告(1)

前号でお知らせいたしましたとおり、アメリカ合衆国の盲導犬使用者の会(Guide Dog Users, Inc.以下「GDUI」)が合衆国内の盲導犬学校に対して行ったアンケート調査をご紹介いたします。13校に送られましたが、現在までに以下の学校から回答が寄せられ、それらはGDUIのホームページ(http://www.gdui.org/schoolsurvey.html)で紹介されています。なお、翻訳には成瀬順子さんのご協力をいただきました。紙面を借りて御礼申し上げます。
 今回ご紹介するのは、盲導犬申込者の条件についてです。

*        *        *

まず始めに、回答した盲導犬学校10校と回答書中の略記号、それぞれの学校のホームページアドレスをご紹介します。

【申込者の条件】

Guide Dog Users, Inc. (盲導犬使用者の会)はそれぞれの学校より提出された回答を紹介しています。また、回答や記述についてはいっさい手を加えておりません。もし、回答が明確でない、あるいは間違っているようであれば、直接それぞれの学校に問合せをしてください。

*        *        *
1.過去3年の間で、初めて申込みをする生徒が申込みを受理されるまで、かかった時間はおおよそ、
  • 1ヵ月未満………0
  • 1ヵ月〜3ヵ月……4
    FID、GDF、LDB、SGD(この回答は、申込者の申込書及び必要な情報をタイムリーに提出していただくことを前提としている)
  • 3ヵ月〜6ヵ月……5
    FREE、GDB(この枠は申込者の申込み時期によって変更がある)、GDA、GEB、KSDS
  • 6ヵ月以上………0
  • その他………1
    TSE:申込み者次第
2.過去3年の間で、申込みが承認されてからクラス開始までにかかった時間は、
A:始めての申込者の場合
  • 1ヵ月未満………0
  • 1ヵ月〜3ヵ月……5
    FID、GDF、GEB、LDB、SGD(特別な要望がなければ)
  • 3ヵ月〜6ヵ月……2
    GDB(この回答は、申込者の希望時間とクラスの開始時期を考慮したものである)、GDA(又は6ヵ月〜9ヵ月)
  • 6ヵ月〜9ヵ月………1
    KSDS
  • 9ヵ月〜1年…………1
    FREE
  • 1年以上……………0
    TSE:それぞれの申込者の要望と申込者に見合った犬がいつ頃提供できるかによる。
B:代替犬を希望してる生徒の場合
  • 1ヵ月未満……………1
    SGD
  • 1ヵ月〜3ヵ月………5
    FID、GDB、GDA(又は3ヵ月〜6ヵ月)、GEB、LDB
  • 3ヵ月〜6ヵ月………3
    FREE、GDF、KSDS
  • 6ヵ月〜9ヵ月………0
  • 9ヵ月〜1年…………0
  • 1年以上……………0
  • その他………………1
    TSE:卒業生の要望と犬の相性次第
3.申込者の資格は、
  • FID:重複身体障害と歩行障害のある者
  • FREE:視覚障害のみの者、重複身体障害と歩行障害のある者、難聴あるいは聴覚障害のある者
  • GDF:視覚障害のみの者、重複身体障害と歩行障害のある者、難聴あるいは聴覚障害がある者
  • GDB:視覚障害のみの者、その他の身体障害がある者。私たちは、たくさんの聴覚に障害のある訓練生を受入れているが重度の聴覚障害者はいない。また、電動車椅子使用者の指導プログラムがある。
  • GDA:視覚障害者、重複身体障害と歩行障害がある者。何人か聴覚に障害がある者もいるが、全ての申込者を一人一人検討する。
  • GEB:重複身体障害と歩行障害がある者、難聴あるいは聴覚障害がある者
  • KSDS:視覚障害のみの者
  • LDB:重複身体障害のある者と難聴あるいは聴覚障害がある者
  • SGD:視覚障害のみの者、重複身体障害と歩行障害のある者、難聴あるいは聴覚障害あるいは電動車椅子使用者
  • TSE:重複身体障害と歩行障害がある者、難聴あるいは聴覚障害のある者
4.弱視者の訓練を行いますか。
  • はい………8
    FID、GDF、GDB、GDA、GEB、KSDS、LDB、SGD
  • いいえ……1
    FREE
  • その他……1
    TSE:申込者それぞれの状態により判断する
5.申込者の年齢の条件はありますか。
  • あり………9
     FID(16歳以上)
     FREE(できれば高校を出た16歳以上)
     GDF(全員16歳 以上)
     GDB(16歳以上であれば上限はない)
     GDA(16歳以上であれば上限はない)
     GEB(16歳以上)
     LDB(18歳以上)
     SGD(16歳以上で上限はない)
     TSE(以前に訓練を受けたことがあれば上限はない。新規申込者は、16歳〜75歳)
  • なし………1
    KSDS
6.申込者にどの程度の歩行能力を求めますか。
  • 高い技量………1
     GDA(又は中程度。*申込者は経験豊かで、安全に歩行できる者)
  • 中程度の技量…9
     FID
     FREE
     GDF(中級程度の技量。希望者は家での面接、あるいは歩行についての査定により個別に評価される)
     GDB
     GEB
     KSDS
     LDB(私たちは、歩行訓練をプログラムのなかで提供している)
     SGD(希望者は家での面接、あるいは歩行についての査定により個別に評価される)
     TSE
  • 低い技量でもよい……0
  • 歩行能力は必要ない…0
7.提供する内容
A.申込者を査定する過程で、自宅での面接はありますか。
  • はい……9
     FID、FREE、GDF、GDB、GDA、GEB、LDB、SGD、TSE
  • いいえ……1
     KSDS
B.電話による面接。
  • はい……5
     GDF、GDA、KSDS、LDB、SGD
  • いいえ……3
     FREE、GDB、TSE
  • 回答なし……2
     FID、GEB
C.申込者が提供したビデオを評価しますか。
  • はい……9
     FID、FREE、GDF、GDA、GEB(入手できたとき)、KSDS、LDB、SGD、TSE
  • いいえ……1
     GDB
8.他に入学の許可に必要な条件があれば、記入してください。
  • FID:ホームドクターの健康診断書。盲人証明書又は眼科診断書。3名の身元保証人。歩行訓練の記録
  • FREE:記入なし
  • GDF:記入なし
  • GDB:3名の身元保証人。健康診断書。精神科診断書。(必要と判断された時は)眼科診断書、歩行報告書(直近のものがあれば)、他の学校の使用者である場合には、その記録
  • GDA:健康診断書及び身元保証人が必要
  • GEB:新規の申込者は個人及び職業上の身元保証人が必要
  • KSDS:親族以外の推薦状3通。健康診断書及び病歴書。眼科診断書。歩行に関して受けた指導の報告書
  • LDB:記入なし
  • SGD:3名の身元保証人。健康診断書。精神科診断書。(必要と判断された時は)眼科診断書。歩行報告書(直近のものがあれば)、他の学校の使用者である場合には、その記録
  • TSE:記入なし
9.訓練生のために看護師のようなスタッフが配置され、医療サービスを提供していますか。
  • はい………7
     GDF
     GDB
     GDA(週1回看護士が来訪)
     GEB
     LDB(寮母の24人中7名は心肺蘇生術と応急手当の教育を受けている)
     SGD
     TSE
  • いいえ……1
     KSDS
  • その他……2
     FID
     FREE
※注(両校とも宿泊施設がなく、在宅・訪問訓練のみ行っている)
10.身体的または精神的な状態が理由で、申込みが受理されない場合がありますか。
  • はい………9

    FID:スタミナ不足、筋力不足、反射能力不足により、犬に安全に追従できない問題がある場合
     FREE:インタビューの過程で判断される
     GDF:体調・・・身体的限界が犬との訓練を妨げる。精神的な状態・・・精神的に安定していなくては、訓練課程を終えることができない。
     GDB:身体的に歩くことができない場合。交差点で交通の流れを把握できない場合。精神的に不安定な人(健康診断書あるいは面接によって判断)
     GDA:訓練生は各々訓練中もその後自宅でも身体的、精神的に犬を取扱えなければならない。私たちは、身体的問題を抱えている、あるいは軽度の知的障害ある人に対し、必要に応じ個別の訓練を提供するが、実際に行うかどうかは個々に判断する。
     GEB:訓練生や職員に対処できない危険な状況を引き起こす可能性がある場合。5〜6ブロックの距離を補助者及び立ち止まることなしに歩くことができない場合。ストレスの起きやすい限られた狭い住環境のなかで、26日に及び10〜12人の人と共同生活を送らなければならない。このような状況の中で、心理的に不安定で生徒や職員に理不尽な危険を及ぼす可能性のある場合
     KSDS:歩行ができること。車椅子を使用する視覚障害者のための盲導犬は訓練していない。※注(KSDSは、介助犬も訓練している)
     LDB:訓練生は一人で歩行でき、訓練の課程についていける者でなければならない。
     SGD:身体的に歩くことができなければならず、交差点で交通の流れを十分に聞けなければならない。精神的に不安定な場合(健康診断書、あるいは面接によって判断する)
  • その他……1
     TSE:申込者個々に判断する。
11.これらの身体的あるいは精神状態を評価する適当な基準はありますか。
  • はい…………8
     FID:自宅付近を1時間歩く能力があるか。
     GDF:私たちは、精神科医あるいはセラピストに書類の提供を求める。
     GDB:精神科医、心理学者、セラピストあるいはカウンセラーによる報告書。学校のカウンセラーが申込者及び申込者の担当精神科医とカウンセリングしたうえで訓練に適しているか、盲導犬を取り扱えるか判断する。
     GDA:健康診断書、身元保証人及び面接によって評価
     GEB:申込者の主治医による健康診断書の記入
     KSDS:詳細不明
     LDB:詳細不明
     SGD:精神科医、心理学者、セラピストあるいはカウンセラーによる報告書。学校のカウンセラーが申込者及び申込者の担当精神科医とカウンセリングしたうえで訓練に適しているか、盲導犬を取り扱えるか判断する。
  • いいえ………1
     FREE:それぞれ個々に評価。
  • その他………1
     TSE:申込者個々によって判断する。
12.外国語、手話等特別なコミュニケーションを必要とする訓練生に対して通訳等の便宜を図っていますか。
  • はい………5
     FID(詳細不明)
     GDF(通訳を雇う)
     GEB(詳細不明)
     LDB(詳細不明)
     TSE(詳細不明)
  • いいえ……5
     FREE
     GDB(現時点ではない)
     GDA
     KSDS
     SGD

全国盲導犬施設連合会からの報告

I.「身体障害者補助犬法の見直しに関する要望書」を厚生労働省に提出

9月8日、全国盲導犬施設連合会は、身体障害者補助犬法改正対策使用者団体連絡協議会(以下「補改使連」)とともに厚生労働省を訪れ、江波戸社会参加推進室長に「身体障害者補助犬法の見直しに関する要望書」を提出するとともに、厚生労働省としての取り組みを質しました。

厚生労働省からは、

  1. 見直しに関する検討会を10月中に立ち上げること
  2. 検討会のメンバーとして、ユーザー、訓練事業者、受入側事業者、認定法人、自治体等の代表者を考えていること
  3. 現状を把握するため、関係者からヒアリングを行うとともに、訓練事業者に対するアンケートを行う予定であること

などが明らかにされました。しかしながら、すべては検討会の結果を見なければ何とも言えないとして、法律改正の見通しについては明確にしませんでした。
 今後は、「身体障害者補助犬法を進める議員の会」や政党等にも要望活動を行いたいと考えています。なお、要望書の内容は次のとおりです。

05補改 第01号
05NFGD 第19号
2005年9月8日
厚生労働大臣 尾辻 秀久 様

身体障害者補助犬法の見直しに関する要望書

一、趣 旨
 身体障害者補助犬法の施行により、身体障害者補助犬使用者の社会参加が促進される一方、法の施行後3年が経過しようという今日においてなお、拒否事例が報告されるなど、多くの問題が残されております。
 良質な身体障害者補助犬が育成され、補助犬使用者がいっそう円滑に社会参加を果たすため、下記の要望事項に沿った法の見直しを要望いたしますので、よろしくお願い申しあげます。
二、要望事項
(1)見直しのための検討会を早急に設置してください。
(2)民間の住居・職場・学校についても、補助犬同伴の受入を義務化してください。
(3)補助犬同伴の受入拒否に関する苦情の申し立てができる救済機関を
  設けてください。
(4)補助犬同伴の受入拒否において、悪質な業者については罰則規定を
  検討してください。
(5)訓練士(または育成団体)は、事前の承諾を得なくても訓練犬を
  公共施設及び公共交通機関へ同伴できるようにしてください。
(6)身体障害者補助犬法の更なる普及活動に取り組んでください。
三、見直しの具体的内容
別紙
身体障害者補助犬法改正対策使用者団体連絡協議会
会長 竹前 栄治
全国盲導犬施設連合会
会長 塩濱 良夫

なお、別紙にある見直しの具体的内容とは、身体障害者補助犬法と厚生労働省通知の2つに関して、以下のようになっています。

<身体障害者補助犬法>
  1. 「第十条 事業主(国等を除く。)は、その事業所又は事務所に勤務する身体障害者が当該事業所又は事務所において身体障害者補助犬を使用することを拒まないよう努めなければならない。
    第十一条 住宅を管理する者(国等を除く。)は、その管理する住宅に居住する身体障害者が当該住宅において身体障害者補助犬を使用することを拒まないよう努めなければならない。」
    となっている現行の条文に、民間の住宅、職場、学校の同伴受け入れの義務化を盛り込む。
  2. 現行では規定されていないが、受け入れ拒否に関する苦情申し立て救済機関の設置条項を新たに設ける。
  3. 現行では規定されていないが、悪質な補助犬受け入れ拒否業者に対する罰則規定を新たに設ける。
  4. 「第二十三条 国及び地方公共団体は、教育活動、広報活動等を通じて、身体障害者の自立及び社会参加の促進のために身体障害者補助犬が果たす役割の重要性について国民の理解を深めるよう努めなければならない。」となっている現行の条文に、法の積極的周知を盛り込む。
<厚生労働省通知>
  1. 「障発第1001001号 1 身体障害者補助犬の訓練について(施行規則第1条、第2条及び第3条関係)
    (3)訓練に当たっての留意事項
    ア 訓練事業者は、公共交通機関、商業施設、飲食施設等(以下「施設等」という。)で訓練を行う場合は、これらの管理者から、訓練の日時、内容等について事前に了承を得ること。
    5 身体障害者補助犬の認定について(施行規則第9条関係)
    (2) 認定に当たっての留意事項
    ア 指定法人は、施設等で認定のための実地の検証及び実地の確認(以下「検証等」という。)を行う場合は、これらの管理者から、検証等の日時、内容等について事前に了承を得ること。」

これらの点について、以下のように見直すよう要望されている。

  1. 「訓練事業者が「訓練中」又は「検証中」と表示する犬は、補助犬と同等と見なし、補助犬を受け入れることが義務付けられている国等の施設、公共交通機関及び不特定多数の者が利用する施設等は、これを受け入れる。
  2.  ただし、訓練事業者は、施設等の利用規則や指示に従うとともに、施設等や周囲の人に迷惑又は危害を及ぼさないよう責任をもって管理しなければならないものとする。」

II.「連合会の在り方」検討委員会及び盲導犬歩行指導員等養成カリキュラム調査委員会の中間報告について

両委員会はそれぞれ2回の委員会と1回の合同会議を開き、課題について検討していますが、中間報告が9月20日付けで出されましたので概要をお知らせします。

A. 「連合会の在り方」検討委員会の中間報告
  1. 事業内容の見直しについて
     連合会が行う事業は、公益を図る事業の比率が少ないと思われるので、既存の訓練施設が行う事業と重複しないよう調整して、公益を図る事業を増やす必要がある。さらに、「連絡・調整」や「助成」、あるいは「身体障害者の更生相談に応じる事業」などの第二種社会福祉事業を行うことも検討したらどうかという意見がある
  2. 法人化について
     公益法人制度は、現在抜本的改革が進められており、今後の推移を見なければならないが、新たな制度においても現行と同様の公益性を有する必要がある。ただし、事業見直しの結果として法人化があるので、法人格の選択は、事業内容の見直しの結果によって選択するのが望ましい。
  3. 盲導犬総合センター(仮称)構想について
     1999年、日本財団が設置した「盲導犬に関する調査」委員会は、前年に行った大規模な盲導犬に関する調査の結果に基づき、「盲導犬総合センター(仮称)構想」を提言した。
     盲導犬総合センターは、改善が必要とされた繁殖、人材養成、情報提供の三分野の強化を目指す共用施設として構想された。事業内容の見直しとも密接に関連することなので、提言以降の状況の変化を踏まえ、以後の会議において検討したい。
  4. 「盲導犬の育成等に関するアンケート」について
     訓練施設に対して「盲導犬の育成等に関するアンケート」を実施することとした。
  5. 独自の啓発事業
     実演や講演等の一部を連合会独自で行うことができるようにすべきではないかという意見があるが、事業内容の見直し、職員の増員とも関連するので、以後の委員会で引き続き検討を行いたい。
  6. 盲導犬歩行指導員等の養成システム
     障害がある人々に対するサービスに携わる者として、高い教養を持ち合わせて欲しいという考えから、盲導犬歩行指導員の養成は、大卒を対象に行われるべきではないかという意見がある。
B. 盲導犬歩行指導員等養成カリキュラム調査委員会の中間報告
主に次の6項目について検討した。
  1. 日盲社協「盲導犬歩行指導員等養成基準」及び国際盲導犬連盟が策定した盲導犬歩行指導員(GDMI)カリキュラムとの関係について
     1992年、日本盲人社会福祉施設協議会(日盲社協)盲導犬委員会が策定した盲導犬歩行指導員等養成基準は、大まかな履修科目等を例示するに留まり、時数については何も言及していないなど、カリキュラムとしては不十分なものであった。これらをより具体的に定め、また共通化することで、指導員等の定着を図り職能を高める必要性が求められている。
     また、2004年に国際盲導犬連盟が示したGDMIカリキュラムとは異なる日本独自の基準を前提にしたカリキュラムが現実的であろうと思われる。
  2. 養成対象者の要件
     国際盲導犬連盟が策定した指導員カリキュラムは、学歴要件を大卒程度としているが、高卒でも良いのではないか。高度な知識や技術は、別コースを設けることで対応が可能であろう。
  3. 資格認定
     現在は、各施設が養成し認定する仕組みになっているが、この仕組みについては批判が多く、改めるべきだという意見で一致している。さらに、連合会が中心となって審査する機関を設置して行うのが望ましく、社会に対して説明できる仕組みが必要だという意見で一致している。
  4. 養成方式
     学校方式、分校方式、講習会方式等が考えられるが、訓練施設が望むものにしないといけないという意見であるが、連合会の資金力に拠る面もあり、一つの方式に絞るのは困難と思われる。
  5. 研修生の身分
     各訓練施設が採用し、養成の場に派遣する方式に加え、連合会が募集した者を学校で研修し、一定レベルに達したものに認定を与えた上で各施設が採用することも考えられるが、前項の課題同様、連合会の資金力に拠る面が大きい。
  6. 訓練施設との関連
    既に養成施設を設けている訓練施設や連合会に加入していない訓練施設と、養成のシステム及びカリキュラムについて、適当な場において協議することが望ましい。

両委員会は、今後、それぞれ3回程度の会議を開き、年度末に答申を行う予定です。両委員会の中間報告についてご意見・ご感想等がありましたら、全国盲導犬施設連合会事務局までお送りください。

盲導犬ユーザーのコーナー

人々との出会い、そしてできごと、夢

名古屋市 小林 誠

私が盲導犬との生活を始めるようになって、もう20年が過ぎていきました。
私が初めて盲導犬を手にしたのはまだ学生のとき。それが、いまやしっかりとしたおじさん体型となり、盲導犬もそばにいることが当たり前の世界になってしまったのですから、その年月の流れを感じさせられます。

この20年という年月の流れの中で、とても忘れることのできない人との出会いがありました。
 それは、私にとって3頭目のパートナーが病気になり引退をさせなければならなかったときのこと。それまで、お世話になっていた中部盲導犬協会では私のような巨大人間に合うような子がいないということで、他の訓練所に申請書を出すこととしました。しかし、そんなにすぐに代替えができるはずもなく、といって目の前に迫った、点字図書館への通勤問題も抱えてしまっていました。
 関西盲導犬協会からは「3年か4年は待っていただかないと」と言われていましたし、引退させた3頭目のパートナーは引退先が決まらず、毎日夜になると鼻を鳴らしてないて、職員さんを困らせているとお聞きして、どうにもならないのかとほんとに悩んでいました。
 そんなとき、突然のこと、関西訓練センターのKさんから電話があり
「突然なんですけど共同訓練にきていただけますか」
との信じられないような電話があったのです。私は思わず
「はい。訓練には喜んで行きますが、Kさん、ほんとなんですよねえ。夢じゃないですよね」
と何度か思わず尋ねていたことを覚えています。そして、
「夢じゃありません。それではお待ちしています」
と言って電話が切れた後もどん底から救われた思いで、その電話が何日間かは信じられず、頬をつねっていたことを思い出します。
 そして、時を同じくして、3頭目のパートナーのパピーさんが面会に来られてパピーさんが引き取ってくださることになりましたとの、中部盲導犬協会からの連絡もあり、ただただほっと胸を撫で下ろすのみでした。
 そして、関西での共同訓練も終わり、新しい職場にも慣れてきたとき、3頭目のパートナーを引き取ってくださった、パピーさんとお会いすることができました。
 なんとその際に、中部盲導犬協会からパピーさんのお名前や住所などを教えていただいたのですが、とてもそのとき私は驚いて、目が点になってしまって、声が出ませんでした。
 と言うのも、私の3頭目のパートナーを引き取ってくださっておられるパピーさんのお宅のご主人の名前が字こそ違いますが、まったく私と同姓同名だったのです。それと、もう一つ驚いたことには、私の父が仕事でエアコンの点検に何年も前に訪問したことがあったお宅でもあったということ。
 こんな偶然が世の中に存在するものなのかとほんとに不思議でした。
 いま思い起こすと「そういえば」ということが3頭目のパートナーとの生活の中でいろいろとありました。
 3頭目の子は獣医さんが大の苦手。ですが、「小林さん」と呼ばれると、まだ私の所にきて間がないというのに、ぱっと反応をして立ち上がるなど。
「おー、この子は天才」と私は1人で尻尾を振って喜んでいたんですが、これは、幼児期からきっと小林マリーちゃんと呼ばれていて、それが、彼女の頭にしっかりとインプットされていたのでしょうね。
 また、人との出会いではありませんでしたが、盲導犬を連れてとても助かってしまったと言うことがありました。
 あまり大きな声では言えませんので、皆さんお耳にチャックを。
 それは、自宅から少し離れた大きな公園に、パートナーをフリーランさせるために父と車で出かけようと公園に向かっていたときのこと。
 突然、脇道からパトカーのご登場。父が
「しまったあ。シートベルトを付けていなかった。」
と言ったときには時すでに遅く、警察官が
「シートベルトを付けてみえませんでしたね。免許証を拝見します」
と言っていました。その警察官は婦人警官だったのです。
 ただいま私の横で眠っているパートナーのヴィンセントは、いままでの男の子の中では一番の女性好き。それも、20代ぐらいの女性がすごくお好みのようなのです。ですので、それまで私の足下でおとなしくダウンしていたヴィンセントが、何を思ったか突然立ち上がり、運転席の窓から、にゅーっと顔を出したのです。
 まさか、後部座席にこんなに大きな犬が乗っているとは思わなかった婦人警察官。
「わー」と声をあげた後、
「盲導犬ですか?」
と私に尋ねてきました。
「はい、そうですがあ」
と答えると、交通違反などはどこかに消えてしまって
「かわいいですねえ。何歳ですか?犬の名前は?種類はなんという種類ですか?盲導犬、初めて見ました。すごいですねえ」
という会話となってしまっていて
「では、お気を付けてどうぞ」
となってしまったのです。
 父はほっとしたようでしたが、私は「こんなにも女性が大好きとは。犬は飼い主に似るとか言うけれど、飼い主はそこまでいってないよなあ」と考えていました。
 この他にも、小学校の福祉実践教室での子供たちとの出会い。福祉セミナーでのいろいろな視覚以外の障害を持った方々との出会いなど。盲導犬が私のそばにいてくれることで、いろいろな人々との交流や出会いがやってきます。

しかし、盲導犬がいることで困ることもあります。それは、盲導犬を連れての就職となったときの、パートナーの待機場所などに困ることが多いのです。
 盲導犬は視覚障害者の自立を助ける目的から、貸与となる基準が「就労見込みのある人、または就労している人。その他必要と認められる人」とあります。特に、鍼・灸・マッサージを仕事とする場合、盲導犬がいることで就職ができないということになってしまうことがいま現在の現状ですので、ユーザーとしてはとても複雑な思いです。
 私は将来の夢として、実現できるかどうかはわかりませんが、盲導犬を連れた人でも安心をして働くことができるような治療院を造れたらと思っています。
 盲導犬を数多く視覚障害者に提供していくこと、一般社会への理解を広めていくことも大切なことです。しかし、それ以上に、盲導犬を持つ視覚障害者が盲導犬がいることで就職ができないということのないように、運動していくことも大切なことではないのだろうかと考えています。
 訓練所・ユーザー・一般社会の人々。皆さんが協力し合って、生活しやすい社会作りができたら。その一部でもよいので自分に何かできたらといつも思っています。
 つたない投稿でしたが最後までおつきあいいただきまして、皆様、ありがとうございました。

盲導犬情報ボックス

介助犬の育成費

盲導犬1頭を育てるのに必要な費用としてよく聞かれる金額は、200〜400万円といったところでしょうか。盲導犬の育成費といっても、盲導犬には適さないと判断される犬の育成費や訓練犬が収容されている施設の水道光熱費といったものを含めて算出すると、成功率にも影響され、どうしてもこれだけの幅が出てきてしまうようです。

これに対し、2002年に盲導犬情報室が各地方自治体に対して行なった調査では、盲導犬育成事業を実施している地方自治体の1頭あたりの盲導犬の委託費の平均は、約183万円でした。

では、他の身体障害者補助犬の育成費は、どれぐらいなのでしょうか。
 特定非営利活動法人日本介助犬アカデミーは、2003、2004年度に訓練事業者に対し資料提出の依頼とアンケート調査および聞き取り調査を実施しました。その結果をまとめた「介助犬費用等実態調査報告書」が2005年3月に発行されています。
 報告書の中では、介助犬がもたらす効果についての検証の他、介助犬の育成・管理にかかる費用について、障害・疾患別に推計しています。
 介助犬の育成が他の身体障害者補助犬と違うこととして、ユーザーになる人の障害・疾患によって、介助犬の作業内容が異なってくる、という点があげられるでしょう。この報告書の中でも、犬に対する介助動作訓練の内容と必要とする訓練時間数が異なることが具体的に挙げられています。たとえば、ドアの開扉といった訓練の時間数にそれほど差はありませんが、スイッチの操作や車いすへの移乗介助、物の拾い上げや運搬といった科目は障害・疾患によって訓練時間数が異なっています。そこで、報告書では、脊椎損傷の場合の介助動作訓練必要時間数は80時間、頸椎損傷の場合は164時間、リウマチの場合は204時間としています。
 その結果、育成費も障害・疾患によって差が出ています。介助犬としての適性がないと判断された犬にかかった費用を含めると、脊椎損傷の場合約403万円〜715万円、頸椎損傷で約426万円〜738万円、リウマチで約484万円〜796万円と算出されています(いずれも成功率約22%として計算)。
 育成された介助犬をユーザーに渡す時の方法としては、5つの訓練事業者が複数回答しており、

無料貸与・・・4件
 一部使用者負担を含む貸与・・・3件
・「合同訓練費」として20〜30万円
・「合同訓練にかかる交通費・宿泊費」として約20万円
・「永久貸与費」として15万円
 その他・・・1件
・ユーザー所有犬を無償で訓練
 無料譲渡、一部使用者負担を含む譲渡、販売はいずれも0件という調査結果が出ています。

編集後記

いまの日本で盲導犬希望者が実際に盲導犬を手にするまでの待機期間というのはどれぐらいでしょうか。アメリカの盲導犬使用者団体が行なった調査によれば、当地の育成団体の多くが、新規申込者の場合でも半年以内に対応できているようですが。近頃、日本では、再び「たまごっち」が子どもたちの間で流行っています。娯楽商品と盲導犬を簡単に比べるわけにはいきませんが、「たまごっち」あと1〜2年入荷待ち、なんてことになったら、どんな騒ぎが起こることでしょう・・・。(久保)