『盲導犬情報』 第3号 〜NPO法人全国盲導犬施設連合会 情報誌〜

盲導犬情報 第3号






日盲社協 盲導犬訓練基準集を改訂

 社会福祉法人日本盲人社会福祉施設協議会リハビリテーション部会盲導犬委員会では、盲導犬訓練施設運営ガイドラインの策定に取り組み、

 といった基準集を編纂しました。

 しかし、その後10年以上が経過し、その間、2002年には盲導犬訓練施設を経営する事業は第二種社会福祉事業と「社会福祉法」に明記されるようになり、身体障害者補助犬法が施行されました。こういった状況の変化とともに、基準集の一部には現状にそぐわない部分も見られることから、内容の見直しが行われていました。そして、新しい基準が2009年7月1日から実施されることになりました。
 そこで、ここでは新基準のうち、「盲導犬訓練基準」と「盲導犬歩行指導計画基準」をご紹介します。

【盲導犬訓練基準】

第1 適正犬の基準

1、身体

2、性質

3、動作

4、健康と管理

第2 適正犬の供給・確保

1、原則

 訓練のために適正のある犬を、常に計画的に供給できるように努めなければならない。
また、この計画は適任者の指導のもとに実施されることが望ましい。

2、繁殖と育成

3、仔犬の飼育

4、獣医師による健康診断

5、記録

第3 盲導犬訓練の内容

ハーネスを着けた盲導犬は、強く引っ張ることが無く、リラックスして歩き、前方の道に注意を集中しなければならない。

 1、基礎訓練

 2、歩道

3、道路の横断

4、障害物

5、横断歩道

6、階段

7、扉(ドア)

8、通行人

9、公共の場所

10、交通機関

11、気を散らすもの

12、歩道のない道路

13、招呼(自由運動の時など)

14、記録

15、訓練時間

16、特別訓練

17、評価・指導

附則
 施行日 平成21年7月1日からとする。

【盲導犬歩行指導計画基準】

第1 目的

第2 盲導犬希望者の選考

第3 更生援護の計画
1、指導会議

2、生活指導

第4 歩行指導

第5 盲導犬歩行指導カリキュラム

(1) オリエンテーション

(2)歩行のための基礎理論

(3)盲導犬について

(4)飼育管理について

(5)盲導犬使用心得

(6)その他必要と思われる事項

(1)初期指導

(2)基本歩行訓練

(3)公共交通機関利用訓練

(4)公共施設等利用訓練

(5)応用歩行

(6)犬の飼育管理に関する指導

(7)その他
入所者の所在地域環境及びニーズに応じて必要と思われる歩行指導(夜間歩行、レクリエーションなど)

第6 フォローアップ

第7 盲導犬の引退時期

第8 記録

附則
 施行日 平成21年7月1日からとする。

盲導犬に対する育成費以外の助成について

 盲導犬情報では、これまで都道府県政令指定都市に対しては、盲導犬育成事業の実施状況や盲導犬育成費以外の助成施策についての調査を行ってきましたが、市町村単位でどのような助成制度があるのかは調べていませんでした。
 昨年、和歌山県にお住まいの林克之さんが全日本盲導犬使用者のメーリングリストに、各地で実施されている助成制度について情報提供を呼びかけ、その結果をまとめられました。林さんのお許しをいただきましたのでご紹介いたします。
 なお、すべての地域を網羅している情報ではありませんので、記載のない地域や新しい情報等ありましたら、盲導犬情報室までご一報ください。

1.行政による助成
2.獣医師会による助成
3.盲導犬支援団体による助成
4.その他団体からの助成

盲導犬ユーザーのコーナー

私の人生
   兵庫県  山本 光介

   私は今から40年ほど前に、大阪の日赤病院で、「あなたの目は網膜色素変性症という病気で、いずれ失明します」と宣告されました。
 宣告されてからしばらくして、暗い所では見えないという症状の方で、マッサージの学校へ行かれている方が近くにお住まいであることを知りました。その方はやっぱり私と同じ網膜色素変性症でした。半年が経つ頃には完全に失明され、大変苦労されていました。
 その方のことを知り、「私はまだ見えている。じゃあ今の間に」と思い、私も大阪府立盲学校に入学し、鍼灸マッサージ師の免許を取ることにしました。
 卒業後、私は兵庫県にある国立療養所青野ヶ原病院の重度心身障害児者(脳性小児マヒ)の病棟に勤務することにしました。病院では障害者のリハビリと一般の卒中患者のリハビリを担当させてもらいました。勤務しているうちに家内と知り合って結婚し、長女長男の二人の子どもをもうけ、また小野市内にも家を建てることができました。
 ここで出会った障害をもつ子どもたちを見ていると、私の目の障害はまだまだ軽いと思い、子どもたちに励まされることが大変多くありました。
 20年間なんとか勤務してきましたけども、いよいよ仕事もしにくくなり、退職させてもらうことにしました。退職後、自宅で鍼灸マッサージの治療院を開き、近隣の視覚障害者の集いにも参加させてもらうようになりました。
 参加している内に、白杖訓練の講習会などにも参加し、どうにかこうにか白杖をついて歩けるようにもなりました。しばらくすると体力が落ちてくる感じがし、何とか運動がしたいなと思う時に、小野市内で小野ランニングクラブの方々がなんと伴走のボランティアをしてあげましょうと言ってくださり、そこへも参加するようになりました。
 最初はひもをもって一緒に歩き、それから徐々にランニングする、という順番で1年間、朝5時から練習させてもらいました。1年半経った時に西脇市のへそマラソンにも5キロで挑戦することにしました。おかげさまで25分台で完走することができました。これで、まだまだこれからもっと走れると思うようになり、近隣のボランティアさん、伴走者にもお願いして、10キロハーフなどにも参加させてもらっています。
 こういうふうに伴走者と一緒に歩いたり走ったり、または介助歩行ではどこでも行きましたけれども、一人で行くのはだんだんと困難になってきました。なんとか一人でどこでも行けるようになりたいと思っている時に、盲導犬をもっている方に出会いました。その方とお話しさせてもらう中で、兵庫県にも盲導犬の訓練センターがあるということを聞きました。早速見学に行き、体験歩行をさせてもらい、盲導犬を申し込むことにしました。
 私が初めて出会った盲導犬は、ジーナ号です。ジーナさんはメスのラブラドールで、ちょっと大柄で白っぽい犬です。でもとってもお茶目でかわいい子です。訓練をしてしばらくの間は、なかなかコミュニケーションが取りにくくて大変苦労しましたけど、慣れてくると妙にジーナとのコミュニケーションがうまくいきだして、歩くのもスムーズになり、どこにでも行けるようになってきました。
 小野市内では今まで歩いたことがなかった所もジーナと一緒に行きます。でも時々道を間違ってしまうこともあり、歩いている方に「すみません」と声かけて道を聞いたりしながらジーナと歩いています。
 現在では、朝5時から2時間ほど毎日歩くようにしています。ジーナと一緒に歩かなければ、ジーナも「今日は行かないの?」という感じで、行こう行こうと言っているように外を見て私にせがみます。私もそれを見てやっぱり行きたいなと思い、すぐに出て行くようにするんですけれども、仕事をしている時はできません。でも仕事がない時はジーナと一緒に夜でも歩いております。
 また最近では近隣の小学校、中学校、高校などにも呼ばれて、学校での講演に参加させてもらっています。講演では、子どもたちに、 「今、みんなは障害はありません。でもいずれ障害を持つようになるかもわかりませんよ。そういう時には、絶対に諦めない。そうすれば誰かが手助けしてくれます。その時には、手助けしてください、よろしくお願いします、終われば、ありがとうございましたと言って、話をしながらしてると、たくさんの人が介助してくれます。だから、自分がしたい夢があれば、諦めずに夢に向かって進んでください。」 といつもお話の最後に言って話を終え、帰ってきています。
 また、私は、あちこち行けなかったところ、行きたいなと思うところを中心にジーナと出かけたりしています。私は元々生まれた所が大阪ですから、大阪の梅田から難波まで歩いたり、大阪城公園へ行ったりとかしています。今までは同級生の友だちに会いに行くこともありませんでしたが、ジーナと共にだんだんとできるようになりました。最近も、同窓会で46年ぶりに会うことができた人もいて、大変うれしかったです。
 全日本盲導犬使用者の会にも参加させてもらい、沢山の盲導犬の仲間とも会うことが出来るようになりました。また、初めて神戸空港から飛行機にジーナと乗り、東京ディズニーランドにも行くことができました。ディズニーランドでは朝10時から晩の10時までジーナとともに乗れる範囲の乗り物にも乗り、アトラクションの中にも入り、一日楽しく過ごすことができました。
 この6月には、東海道新幹線から山形新幹線に乗り継いで、米沢にも行かせてもらうことができました。11月には全日本盲導犬使用者の会の15周年記念の東海道五十三次ウォークラリーにも参加する予定にしています。私は、静岡県の三島から箱根の山を越えて小田原までのコースをジーナと一緒に歩きたいと思っています。
 こういう風に盲導犬を持つことによって、私は今までできなかったこと、例えば、同級生にも会えなかったというふうなこともできるようになり、楽しい人生が開けてきました。これからは日本各地、もっといろいろな所へジーナとともに旅をして楽しみたいなと思っています。

盲導犬情報ボックス

(1)都道府県別 日本の盲導犬使用者数
 社会福祉法人日本盲人社会福祉施設協議会リハビリテーション部会盲導犬委員会の「2008年度盲導犬訓練施設年次報告書」を参考にして2009年3月31日現在の日本の盲導犬使用者数を出すと、次のようになりました(報告書は都道府県政令指定都市別に盲導犬実働数をまとめていますが、ここでは都道府県別に盲導犬使用者数でまとめています。また、海外など国家公安委員会から指定を受けた団体以外のところで育成された盲導犬の使用者も盲導犬使用者数に含めています)。

 2009年3月末日現在、全国の盲導犬実働数は、国家公安委員会指定の盲導犬育成団体が育成した盲導犬だけを数えると1045頭。海外などの団体が育成した盲導犬で日本で認定された盲導犬3頭を合計すると 1048頭。また、この実働数に、1頭の盲導犬を夫婦二人で使用するタンデム方式の盲導犬使用者21組を加え、盲導犬使用者数を算出してみると、日本国内で盲導犬を使用している視覚障碍者は 1069人。2008年3月末の盲導犬使用者は1023人だったので、46人増えたことになります。
 なお、タンデム使用者を育成施設別にみると、北海道盲導犬協会1組、日本盲導犬協会6組、関西盲導犬協会2組、日本ライトハウス8組、兵庫盲導犬協会1組、九州盲導犬協会3組となっています。都道府県別では、北海道1組、福島県1組、東京都1組、神奈川県1組、長野県1組、愛知県1組、大阪府1組、兵庫県3組、和歌山県1組、岡山県1組、広島県2組、山口県2組、福岡県1組、熊本県1組、宮崎県1組、鹿児島県1組、沖縄県1組となっています。
 国内の指定法人9団体が1年間に育成した盲導犬の頭数は185頭。2007年度育成数は152頭だったので、2008年度は33頭多く育成できたことがわかります。年間育成頭数の前年度比は、実働数・育成頭数の調査が定期的に実施されるようになった1993年からの16年間では平均すると+4.75頭となっています。過去5年間の前年度比の平均でも+16.2頭となっており、今回のように育成頭数の前年比が33頭と大きく増えたのは初めてのことです。
 この年間育成頭数のうち、新規の使用者のパートナーとなった盲導犬は88頭、代替えは97頭で、年間育成頭数の52.4%が代替えとなっています。育成頭数のうち代替えが過半数を占めるという状況はここ数年ずっと変わらず続いています。
 新規の盲導犬頭数88頭を一昨年度の盲導犬実働数996頭に加えると、1084頭になります。しかし、実際の実働数は1045頭です。そのため、39頭の盲導犬の使用者は、盲導犬が死亡または引退したが年度末までに代替えの盲導犬を得られなかったか、なんらかの理由で代替えの盲導犬を希望しなかったのではないかと考えられます。

(2)各盲導犬育成団体の訓練犬・職員数
 2008年度盲導犬実働数と同様、前出の盲導犬委員会からの報告によると、2008年度末に各盲導犬育成施設で訓練中の犬は273頭。2007年度末は272頭でしたので、年度末に各育成団体が所有している訓練犬の頭数はあまり変化がないようです。犬種は、ラブラドールリトリーバーが75.8%、ラブラドールリトリーバーとゴールデンリトリーバーのミックスが17.8%、ゴールデンリトリーバーが4.4%になっています。
 2008年度中に訓練された犬の総数は364頭。前年度には459頭いましたので、前年度に比べると約100頭少なくなっていることがわかります。繁殖犬は199頭で、前年度末より19頭増えていますが、パピーウォーキング中の子犬は418頭で、前年度末472頭に比べ54頭減っています。
 また、盲導犬歩行指導員の数は31名で一昨年度と変わっていませんが、盲導犬訓練士は26名で8名増えました。指導員と訓練士の総数としては、一昨年度と同じく1.2倍に増えています。一方、研修生は21名と6名減っていました。
 ケンネルスタッフやその他の職種もすべて含めた職員の総数をみると、198名と10名増えていますが、盲導犬の訓練や歩行指導に関わる職員の総数はそのうちの78名で、2名増えただけになっています。
 こうした状況を考えると、2008年度に盲導犬育成頭数は大きく伸びましたが、今年度は同じぐらいの伸びは期待できないかもしれません。

告知板

東海道五十三次 盲導犬使用者リレーのお知らせ
 全日本盲導犬使用者の会では、発足15周年を記念して「東海道五十三次 盲導犬使用者リレー」を行います。
 これは、京都から東京までの東海道五十三次(約500キロ)を各地の盲導犬使用者がリレーして歩き、地域の人々と交流することで、盲導犬や盲導犬歩行のすばらしさを啓発するとともに、身体障害者補助犬法の周知を図ることを目的に行われるものです。
 10月2日に京都を出発し、原則として金曜日から月曜日を、一人あたり4〜6キロ歩きながら、日本橋を目指します。ゴールは会発足記念日の11月23日を予定し、翌日には、都内で記念イベントを行う予定とのこと。
 東海道五十三次の日程とリレーの様子は、全日本盲導犬使用者の会ホームページでチェックできるそうです。リレーがお近くを通過する地域にお住まいの方は、ぜひ声援をお願いします。
 リレーの様子をお伝えする、全日本盲導犬使用者の会ホームページ アドレスは、以下の通りです。

http://www.guidedog-jp.net/relay.htm

法人名変更のお知らせ
 2009年4月より、財団法人栃木盲導犬センターの名称が「財団法人東日本盲導犬協会」に変更になりました。住所、電話番号等に変更はありません。

編集後記

 昨年度の盲導犬育成頭数は185頭と、例年になく多くの盲導犬が育成されました。盲導犬を希望すれば長期間待たずとも共同訓練に入れるような体制をつくるためには、年間育成頭数を増やさなくてはならないことは言うまでもありません。しかし、来年も再来年も200頭近い育成頭数を出していける保証は、残念ながら今の日本に「ある」とは言えそうもありません。盲導犬使用者数が千人を越えたと言っても、「目出度さも ちゅうくらい也 盲導犬」かな・・・。(久保)