『盲導犬情報』 第7号 〜NPO法人全国盲導犬施設連合会 情報誌〜

盲導犬情報 第7号



内容



震災の中の視覚障害者−大変な避難所から自宅へ仮設住宅へ−

日本盲人福祉委員会 東日本大震災視覚障害者支援対策本部 事務局長 加藤 俊和

1.大震災の中の視覚障害者

 地震の揺れは非常に大きく、そして長く続いた中で、多くの視覚障害者はどんなに不安だったことだろうか。そして避難しようにも、道路周辺の崩壊やがれきなどで道路が一変していて一人では逃げられない沿岸部の視覚障害者にとっては、家族や近隣の人がいなければ、即、生命の危険にさらされてしまう。

 避難所で、視覚障害者がたちどころに困るのはまずはトイレである。家族や親しい人がいなければ、手引きを頼むのも気が重いが、ずっと大変なのは、“通常ではない”トイレへの対応である。多くの避難所では水が止まり、バケツから汲んで流さなければならなかったり、用をたしたビニール袋を自分で処理しなければならなかったり、・・・、それらのことを隣の親しくはない人に詳しく尋ねなければならないことだけでも大きな苦痛である。

 そして「張り紙の情報」の問題がある。食事から様々な生活物資、催しの情報などの多くが張り紙によって行われているが、視覚障害者には貼られていることすら分からない。「食事の時間が変わったよ」「衣類が明日の午後に届くと書いてあった。張り紙を読もうか。」などと言ってくれる人が近くにいることが理想なのだが・・・。

 避難所より半壊でも自宅がよい・・・。避難所は、特に視覚障害者にとっては過酷な状況であるので、阪神淡路大震災では自宅が被災していても、避難所から自宅に戻る人が相次いだ。しかし今回は、津波のために自宅に戻ることができず、よりつらい生活を余儀なくされた視覚障害者が多かった。

 今回の大震災では、自宅は全壊でも半壊でもないのに、震災で地域が変化し生活ができなくなって、避難所に行かざるを得なくなった視覚障害者が多くおられた。普段の買い物をしていた店の人が避難すると食料や生活用品が入手できなくなり、小集落では代替方法もないためである。晴眼者の場合は、自動車で遠くまで買い出しに行ったりもできるが、わずかな公共交通機関もなくなり、移動の手段が奪われた視覚障害者にとっては、自宅は被災していないのにやむなく避難所生活を余儀なくされた方もかなりおられたのである。

 また、直接被害がそれほど大きくない地域であっても、利用していたガイドヘルパーやホームヘルパーの事業所等やヘルパーが被災されて利用ができなくなったために、日常生活が大きく制限されてしまった視覚障害者は多数にのぼる。

2.視覚障害者支援はどのように行われたか

(1) 4月に被災沿岸部地域を中心とした調査結果及び訪問避難所数

 安否確認及び支援のための視覚障害者の把握については、視覚障害者関係団体を集約する組織である日本盲人福祉委員会に対策本部を置くことにより、3県の、視覚障害者協会の会員、点字図書館の利用者、盲学校同窓会の名簿の入手を行なうため3月下旬には3県をまわって折衝し、それぞれの沿岸部のリストによって活動を始めた。

 しかし、これらを集約しても、視覚障害者手帳保持者数の10数%にすぎないため、県や市町村に身体障害者手帳所持者リストの開示を求めてきたが、個人情報保護による制約のため、一部を除き、実現しなかった。

表 4月の被災沿岸部地域を中心とした調査結果及び訪問避難所数
数字は合計数、( )内は、岩手県・宮城県・福島県の順にそれぞれの数を記載

あ 調査対象者数 586( 201、 273、 112)
い 電話等確認数 294( 47、 174、 73)
う 被災現地確認数 236( 115、 88、 33)
え 未確認者の数 56( 39、 11、 6)
お 未確認者のうち死亡・不明 7( 5、 2、 0)
か 訪問した避難所  748、( 330、 348、 70)
き 支援したボランティアコーディネーター数:延べ50名

(2) 視覚障害者の死亡・行方不明者数

 視覚障害者で亡くなられたり行方不明の数が4月調査時点で7人というのは、私たちの調査対象とできた数が全体の10数%に過ぎなかったためであり、全体としては50人以上おられる可能性が高いと推測される。なお、「障害者の犠牲率は一般の2倍」との報道が一部にあったが、これは厚生労働省が27の障害者団体に会員の安否を問い合わせた、会員数に対する会員犠牲者数の率である。残念ながら、各団体とも加盟率はかなり低く、限られた会員の傾向だけから全体の推測を行うのは妥当であるとは言えない。

(3) 画期的な「要望の資料の全員配布」の取り組み

 厚労省、及び宮城県への働きかけによって、宮城県下(仙台市を除く)の「沿岸部におけるすべての1、2級手帳所持視覚障害者」1100人への「資料配付」が6月17日に実現した。

 これは、配布資料と返信用はがきを対策本部が印刷して提供し、県からの情報提供として配布された。全員に配布されたその反響は大きく、何らかの支援を要望される方は3分の1以上の370人にもなった。被災後4か月もなるこの時点でも、これだけの支援の要望があること自体、多くの視覚障害者に、いかに支援の手が及んでいなかったのかが分かる。

 特に明確なのは物品についてで、最も要望が多かった「ラジオ」は要望者の7割以上もの方々が要望された。一般の方へのラジオの供給はとっくに終わっており、この時点でも、最も必要なはずの視覚障害者にはまだほとんど行き渡っていなかった。本当に必要な多数の方々への支援はこれからが本格的な始まりとなることを示している。さらに、音声の腕時計や置時計、体温計は半数以上の方々が、今でも白杖やルーペは4分の1の方々が要望されていた。これだけ多数になると手続きの支援も行っていくものの、調達して送る部分も相当多くなり、これから本格的になる視覚障害者への支援にも大きな資金が必要になっている。

 その他の要望や電話での問い合わせは多岐に及んでおり、震災後、病状が悪化したり視力が低下した方も多く、死にたいとの悲痛な声すらあり、訪問しての支援が不可欠である。また、既に岩手県も7月26日に沿岸部の1、2級の視覚障害者686名に発送され、新たな要望がどんどん来始めており、仙台市の被災地も間もなく始まる。福島県は原発の事故のため、把握が困難な部分も多いが、相馬市など可能なところからの検討が行われている。

 そして、9月中旬からは、今回接触ができつつある、4月の活動時の4倍もの視覚障害者を訪問して支援する予定で、「視覚障害者の相談支援のできる専門支援員」を全国から募り、被災地を回ることを予定している。

 なお、今回の取り組みで、私たちが震災の前から接することのできていなかった相当な数の方々と結び付こうとしていることは、今後の障害者活動を行政と民間の協力によって支えていく画期的な一方法を見い出せたことでもある。

 日本盲人福祉委員会に、今後のさらなるご支援、ご協力をお願いしたい。

 社会福祉法人 日本盲人福祉委員会 東日本大震災視覚障害者支援対策本部
 電話 03-5291-7885(月〜金) Fax:03-5291-7886 e-mail:welblind@nifty.com
 HP http://homepage2.nifty.com/welblind/

盲導犬使用者団体を対象にしたアンケート調査報告(1)
盲導犬に関する調査委員会

「盲導犬を持たない視覚障がい者を対象にしたアンケート調査」と同時に、盲導犬使用者団体を対象にしたアンケート調査も実施しましたので、その結果の概要をご報告します。

1.調査の目的

 盲導犬使用者団体は、おおよそ都道府県単位で全国に点在している。本調査では、全国の盲導犬使用者団体を対象にした質問紙調査を行うことにより、その活動内容と盲導犬普及事業の関連性を検討する。そして、この調査結果より、現在の活動内容における課題を明確にする。

2.調査の内容

(1)調査対象

 全国の盲導犬使用者団体

(2)調査時期

 2010年1〜3月

(3)調査方法

 質問紙調査
 調査票を郵送又は電子メールで送付し、団体としての意見を回答依頼した。

(4)質問項目

a. 選択肢回答
 団体の会員数(属性ごとの回答項目)、団体の活動内容、年会費の有無、都道府県・市町村との連携の有無、企業からの支援の有無、盲導犬協会との連携の有無、盲導犬に関する説明方法、講演会等の依頼における連絡手段、ホームページの有無

b. 自由記述
 活動の際の課題、今後の活動、盲導犬普及に必要とされる事柄、盲導犬使用者の今後の課題、新規盲導犬使用者のために必要とされる事項、盲導犬協会への意見・要望

3.調査結果の概要

(1)全体像

 各地域にある盲導犬使用者団体のうち連絡先がわかっている36団体にアンケート調査票を送り、24団体より回答が得られた。(回収率67%)

(2)回答内容

 以下の結果は、各質問事項の回答につき、全体の特徴を示したものである。

問1.あなたの団体の以下それぞれの会員数を教えてください(団体の会員数の中央値)。
  ・盲導犬使用者:12名
  ・元盲導犬使用者:0名
  ・盲導犬を使用していない視覚障害者:1名
  ・パピーウォーカー:0名
  ・引退犬飼育ボランティア:0名
  ・その他の晴眼者:11名

問2.あなたの団体で行なっている活動を教えてください。(複数回答)
  総会の開催:20(83%)
  旅行やメーリングリストなどによる使用者同士の交流、情報交換:18(75%)
  盲導犬使用者のための研修会の開催:14(58%)
  啓発のためのイベント・講演会・コンサートなどの開催:13(54%)
  盲導犬育成支援のための募金活動:12(50%)
  会誌発行:11(46%)
  啓発のためのパンフレットの作成:10(41%)
  盲導犬の医療費補助:10(42%)
  リタイア犬の飼育補助:8(33%)
  新規盲導犬使用者へのサポート:9(38%)
  チャリティーグッズの販売:6(25%)
  盲導犬の育成委託事業:2(8%)
  その他:11(46%)

問3.あなたの団体には年会費はありますか。
  はい:87%(21団体)
  いいえ:13%(3団体) 

問4.障害福祉課などの、都道府県や市町村との連携はありますか。
  ある:25%(6団体)
  ない:75%(18団体)

問5.企業などから協賛金などの支援を受けていますか。
  はい:33%(8団体)
  いいえ:67%(16団体)

問6.団体が活動するときに、盲導犬協会と連携していますか。
  頻繁に連携している:17%(4団体)
  時々連携している:58%(14団体)
  連携していない:25%(6団体)

問7.盲導犬を持っていない視覚障害者に盲導犬についての説明をしていますか。(複数回答)
  団体でしている:38%(9団体)
  個人でしている:63%(15団体)
  していない:13%(3団体)

問8.あなたの団体が講演会などの依頼を受ける際、外部からの連絡手段はどのようにしていますか。(複数回答)
  団体専用のメールや電話を使用している:33%(8団体)
  盲導犬協会を通して連絡がある:21%(5団体)
  会員が個人的に依頼を受ける:83%(20団体)   その他:21%(5団体)

問9.団体のホームページを作っていますか。
  はい:42%(10団体)
  いいえ:58%(14団体)

*次号では、望まれるサポート体制や団体が活動する上での課題等について、各団体からいただいたご意見をご紹介します。

盲導犬ユーザーのコーナー

盲導犬ライフ エンジョイ中

山形県 小野 良丈(よしたけ)

 私は学生時代も含めて約20年間白杖を使用して歩いていました。基本通りに白杖を使用しながら歩いていたつもりでしたが、側溝に落ちて足を捻挫したり、白杖ではとらえきれない高さにある障害物にぶつかってケガをしたりということが何度かあってから、常に不安感がありビクビクしながら歩くようになり、徐々に一人で歩くことが億劫になっていきました。学生時代の通学や就職してからの通勤の際には仕方なく歩いていたものの、それ以外の用事で出かける時には必ずと言っていいほど家族や友人を頼るようになったのです。

 そんな状態がしばらく続いて、いい加減自分でも「このままではいけない。何とかして一人で出かけられるようになりたい」と思うようになりました。しかし思ってはみても、なかなか一歩を踏み出せずにいたところに、私が高校生の時に鳥取で開催された第21回全国身体障害者スポーツ大会に出場した際にお世話になった県障害福祉課のMさんから久しぶりに電話がありました。お互いの近況などをひとしきり話した後に、Mさんがその当時の私の状況をまるで見透かしていたかのように

「盲導犬と歩いてみる気はないか? 盲導犬と歩くことによって歩行中の安全を確保できるだろうし、行動範囲も広げられると思うよ。今すぐに返事をするのは無理だろうけど少し考えてみたらいいんじゃないか」

と言ってくれたのです。盲導犬の存在を知ってはいましたが、犬を飼った経験がなかったということと身体障害者補助犬法が施行されていない頃だったため、果たして職場側が盲導犬との通勤を認めてくれるだろうかということが頭をよぎったのですが、せっかくMさんが私のためを思って言ってくれてるのだからと思ったら本当にありがたくて

「わかりました。考えてみます」

自然にそう答えていました。そして私の方からMさんにお願いして盲導犬ユーザーの皆さんの体験談をまとめた冊子を送って頂いて家族に読んでもらうと、一人一人の体験談からパートナーと共に生き生きと生活している様子がよくわかり、体験談を聞き終える頃には「私も盲導犬と一緒に歩きたい」という思いが沸々と湧いてきたのです。

 しかしこの思いを叶えるには職場側の同意を得なければなりません。だめもとで委員長と副委員長に「単独で歩行する際の安全を確保するために盲導犬と一緒に歩きたい」ということと「盲導犬同伴での通勤を認めてほしい」ということを併せて話したところ、快く了承してくださいました。このことによって盲導犬との歩行に向けて大きな一歩を踏み出すことができたような気がしました。

 そして忘れもしない平成10年4月4日、私にとって一頭目の盲導犬モモが家族の一員になったのです。モモは誰にでも愛嬌を振りまく明るい性格の女の子でした。

 盲導犬なら当たり前なのかも知れませんが、いつも優しく寄り添う、その場その場の状況に応じた的確な判断でしっかり誘導してくれるモモとの歩行はとても快適で少しずつ不安も消え、いつの間にか胸を張って歩いている自分に気が付きました。また、白杖を使用して歩いていた時にはただただ歩くだけで精一杯だったのですが、モモと歩き始めてからは季節季節に咲き誇る花の香りや野鳥のさえずり、さらさらと流れゆくせせらぎの音などを楽しむ余裕さえ生まれ「歩くことってこんなに楽しいんだ」と思えるようになったと同時に、片道約40分の通勤が楽しみになり溌剌とした気持ちで仕事に取り組むことができるようにもなりました。私としてはこれだけでも十分満足でした。

 そんなある日、県の社協を通して県内のある中学校から「盲導犬との生活について話をしてほしい」という依頼がありました。このことが行動範囲を広げるきっかけとなったのです。

 その学校に行くには車か電車を利用しないといけないため「さて、どうしようか」と思ったのですが、盲導犬同伴で公共の交通機関を利用できると聞いていたので、家族に頼らずに電車で行ってみることにしました。

 学校へ向かう当日、電車を利用して初めてわかったことがあります。それは乗車駅の駅員から下車予定の駅員に「何両目に盲導犬同伴で○○さんが乗車していますので下車後の誘導お願いします」という連絡をしてくれるということです。そのため乗り換えるにしても改札を出るにしても何の心配もいらないので「もっと色々な所に行ってみよう」と思うようになりました。

 平成17年9月、私に歩く楽しさを教えてくれたモモが白内障の進行により引退しました。

 それから間もなく2頭目のパートナー、ヨークとの生活が始まりました。ヨークは繊細でちょっぴりクールな男の子です。

 最初の頃はお互いに腹のさぐり合いといった感じでなかなか呼吸が合わず、特に歩行の面でしっくりいかない日々が続きました。その状態を改善するために私の指示にしっかり反応した時には大げさなくらいにほめ、またヨークが好きなボールやタオルを使って遊ぶことも含めてヨークとふれあう時間をそれまで以上に持つようにしたところ、徐々にお互いの呼吸も合い始め歩行の面でもスムーズに歩けるようになり、ヨークと歩き始めて一年が過ぎた頃に二人の息もピッタリで安心して歩けるようになったのです。

 大分で開催された全犬使会の交流会に初めて参加させて頂いたのがちょうどその頃でした。山形から仙台空港までは高速バス、仙台空港から福岡空港までは飛行機、そして福岡空港から大分の別府までは高速バスを乗り継ぎ、初めての二人旅ということでいろいろと不安はありましたが、もっとも不安だったのは「繊細で緊張しやすいタイプのヨークが交流会の期間中に体調を崩したりしないだろうか」ということでした。バスから飛行機へ、飛行機からバスへの乗り換えは仙台、福岡両空港の職員によるサポートでスムーズにできました。ヨークも特に体調を崩すことなく無事大分に行ってくることができました。

 交流会では観光も楽しかったのですが、全国各地から参加された皆さんとパートナーとの生活に関することも含めて色々な話をすることができてとても楽しかったです。どちらかというと人見知りをしがちな私ですが、盲導犬ユーザーという共通点があってか誰とでも気軽に話すことができました。

 こうして大分の人たちからのサポートを受けながらではありましたが、交流会への参加という目的を果たすためにヨークと二人力を合わせてやり遂げたことによって大きな喜びと自身を得ることができました。

 このように歩くことが楽しく思えるようになったのも、一人で出かけることに対して消極的だった自分が積極的に出かけられるようになったのも、パートナーとの共同作業で目的を果たした時に得られる大きな喜びを知ることができたのも、盲導犬と歩くことを勧めてくれたMさんや、いつも優しく寄り添ってくれたモモ、そして今、私にとって本当に頼もしい存在であるヨークのお陰です。

 盲導犬と生活することの楽しさや盲導犬と生活できることのすばらしさを改めて実感しています。

 明日もまた路面に当たるヨークの爪の音が軽やかなリズムを刻み、心地よく私の耳に響くことでしょう。

10月から始まる「同行援護」

 障がい者制度改革推進本部等での検討を踏まえ障がい保健福祉施策を見直すまでの間、障害者自立支援法施行令等の一部改正が行われます。

 障害者自立支援法第五条は、「障害者福祉サービス」について書かれた条文ですが、その中に「同行援護」が加えられることになりました。「同行援護」とは、「視覚障害により、移動に著しい困難を有する障害者等につき、外出時において、当該障害者等に同行し、移動に必要な情報を提供するとともに、移動の援護その他の厚生労働省令で定める便宜を供与すること」をいい、そのサービス内容としては、

  1. 移動時及びそれに伴う外出先において必要な視覚的情報の支援(代筆・代読を含む。)
  2. 移動時及びそれに伴う外出先において必要な援護
  3. 排泄・食事等の介護その他外出する際に必要となる援助

が挙げられています。

 身体介護を伴わない同行援護の対象者の基準は、まず、移動障害として、白杖または盲導犬の使用による単独歩行が「できない」か「慣れた場所での歩行のみできる」人で、視力障害・視野障害・夜盲の3項目のいずれかが以下に該当する場合に支給決定されます。

視力障害…
約1m離れた視力確認票の図が見えるか、目の前に置いた視力確認票の図が見える、またはほとんど見えない
視野障害…
両眼の視野がそれぞれ10度以内でかつ両眼による視野について視能率による損失率が90%以上(身体障害者手帳3級に相当)、または損失率が95%以上(身体障害者手帳2級に相当)
夜盲…
暗い場所や夜間等の移動の際、慣れた場所以外では歩行できない程度の視野、視力等の能力の低下がある(網膜色素変性症、錐体ジストロフィー、白子症等による「過度の羞明」も含めて考えられる)

 また、「障害者総合福祉法」(仮称)の骨格提言の素案について、厚生労働省のホームページで見ることができます。障害(者)の範囲、選択と決定(支給決定)、相談支援、権利擁護、支援(サービス)体系、利用者負担、報酬と人材確保、地域生活の資源整備、地域移行の各項目についての大まかな考え方がわかります。

 同行援護については、支援(サービス)体系の項目の中で、移動支援・行動援護とともに「移動介護」として「居宅介護(身体介護、家事支援)」等とともに個別生活支援にあげられています。これらは、市町村の独自事業ではなく「全国共通の仕組みで提供される支援」の一つと考えられ、市町村がサービス提供に要した実際の費用を国・都道府県が負担することになっています。「「歩く」「動く」は「話す」「聞く」「見る」と同様、基本的権利であるため、自治体の裁量で行う支援には馴染まない」と考えられているためです。また、移動介護の対象は視覚障がい者・児に限定するのではなく、支援を必要とするすべての障がい者が利用できるもので、車を移動の手段として認める方向で考えられています。

 その他、「障害(者)の範囲」については、「支援を必要としている全ての障害者をもれなく対象とする規程を設ける方向性」をもち、障害による「制限」についてもその「有無よりもその「制限」を解決するための支援の必要性の有無にあることを想起すべき」としています。

 8月末には、障がい者制度改革推進会議で骨格提言がとりまとめられる予定です。自立支援法に替わるものというだけでなく、視覚障がい者のニーズに合ったものかどうか、チェックしていきましょう。

盲導犬情報ボックス

都道府県別 日本の盲導犬使用者数

 社会福祉法人日本盲人社会福祉施設協議会自立支援部会盲導犬委員会の「2010年度盲導犬訓練施設年次報告書」を参考にして2011年 3月31日現在の日本の盲導犬使用者数を出すと、次のようになりました(報告書は都道府県別に盲導犬実働数をまとめていますが、ここでは盲導犬使用者数でまとめています。また、海外など国家公安委員会から指定を受けた団体以外で育成された盲導犬の使用者も盲導犬使用者数に含めています)。

北海道 63
青森県 5
岩手県 19
宮城県 15
秋田県 17
山形県 7
福島県 15
茨城県 24
栃木県 9
群馬県 8
埼玉県 58
千葉県 37
東京都 109
神奈川県 57
新潟県 30
富山県 5
石川県 29
福井県 4
山梨県 18
長野県 25
静岡県 49
愛知県 40
岐阜県 8
三重県 10
滋賀県 14
京都府 19
大阪府 66
兵庫県 59
奈良県 15
和歌山県 9
鳥取県 5
島根県 10
岡山県 21
広島県 36
山口県 21
徳島県 6
香川県 7
愛媛県 14
高知県 11
福岡県 25
佐賀県 7
長崎県 8
熊本県 16
大分県 16
宮崎県 15
鹿児島県 18
沖縄県 10
合計 1089

 2011年 3月末日現在、全国の盲導犬実働数は、1067頭。この実働数に、1頭の盲導犬を夫婦二人で使用するタンデム方式の盲導犬使用者22組を加え、盲導犬使用者数を算出してみると、日本国内で盲導犬を使用している視覚障がい者は 1089人となりました。

 なお、タンデム使用者を育成施設別にみると、北海道盲導犬協会 1組、日本盲導犬協会 7組、関西盲導犬協会 2組、日本ライトハウス 8組、兵庫盲導犬協会 1組、九州盲導犬協会 3組となっています。都道府県別では、兵庫県 3組、岡山県、広島県に各 2組の他、北海道、福島県、東京都、神奈川県、山梨県、長野県、愛知県、和歌山県、鳥取県、山口県、福岡県、熊本県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県に各1組おられます。

 国内の指定法人が1年間に育成した盲導犬の頭数は 138頭。2009年度育成数は161頭でしたので、23頭減となっていて、年間育成頭数は 2年連続して減少しています。

 2010年度育成頭数のうち、新規の使用者のパートナーとなった盲導犬は52頭、代替えは86頭で、年間育成頭数の62.3%が代替えとなっています。

 この新規の盲導犬頭数52頭を一昨年度の盲導犬実働数1070頭に加えると、1122頭になりますが、実際の実働数は1067頭です。このことは、55頭の盲導犬の使用者は、盲導犬が死亡または引退したが年度末までに代替えの盲導犬を得られなかったか、なんらかの理由で代替えの盲導犬を希望しなかったのではないかと考えられます。

告知板

全日本盲導犬使用者の会からのお知らせ

 全日本盲導犬使用者の会は、1994年に発足した全国の盲導犬ユーザーと盲導犬希望者を対象として結成された任意団体です。盲導犬ユーザーのマナー向上とユーザー同士の交流と盲導犬の啓発を目的としています。

 2011年6月4日〜6日まで第17回総会と第16回使用者交流会を広島県で行いました。盲導犬51頭、使用者54名、参加者80名以上、その他に多くのボランティアに協力していただきました。安芸の宮島を散策し、もみじ饅頭作り体験をしたり杓文字に焼き印を入れる体験をしたり、三日目には、平和公園で実際に被爆された方のお話を聞くことができました。皆さん怪我をした方もなく楽しい交流会ができました。

 全日本盲導犬使用者の会では、次のような事をおこなっています。

仝鯲会援助費

 地方で行われる盲導犬使用者交流会のうち、本会会員が20名以上参加できるもので、宿泊を伴うものについては、ボランティアさんにかかる経費のために10万円を上限に援助するので、積極的に利用してほしいものです。

高額医療費助成制度

 これは、盲導犬が病気や怪我をしたりしたときにひとつきの医療費の総額が3万円を超えた場合にその超過額を補助します。パートナーが病気や怪我などは、してほしくはありませんがもしそう言う事になったときに利用してもらいたいものです。

 以上のような活動をしています。お友達やお知り合いに盲導犬ユーザーや盲導犬を希望されている方がいらっしゃいましたらどうぞ、全日本盲導犬使用者の会に入会をお進めいただければ幸いです。又賛助会員も募集していますので、盲導犬に興味のある方はご参加ください。

 なお、今年度から新たな体制でスタートしましたので、その新役員を紹介します。

会長 市角敏子(いちかく としこ)さん
 はじめまして、今年度より清水さんに代り会長になりました千葉県の市角敏子です。全日本盲導犬使用者の会と言う大きな団体をまとめて行くには、未熟すぎる私ですが、会員の皆様の少しでもお役に立てればと思います。一人でも多くの盲導犬使用者が入会していただけるような魅力ある会を作りたいと考えています。
どうぞよろしくお願いします。

副会長 小野寺明美(おのでら あけみ)さん
 新任の小野寺明美です。先日の交流会では、会員の皆さんの満面の笑顔が飛び交いました。全日本盲導犬使用者の会が私達盲導犬使用者にとって、心の拠所であり続けられるよう頑張ります。

副会長・情報部担当 浅井詢也(あさい じゅんや)さん
 このたび副会長と情報部を担当することになりました浅井詢也です。よろしくお願いします。

事務局長 森永佳恵(もりなが よしえ)さん
 事務局長を引き受けることになりました、京都の森永佳恵です。まずは私の晴れ女パワーで、総会・交流会の時、雨が降らないようにがんばります(笑)。皆さん、どうぞよろしくお願いします。

会計 藤原巌(ふじわら いわお)さん
 みなさんこんにちは、広島県庄原市の藤原巖です。現在、3頭目のパートナー・ジェミーの引退を目前にして、期待と不安な日々を過ごしています。引き続き理事として、主に会計を担当させていただきます。盲導犬の医療費助成や会費のことなど、お気軽にご相談ください(少々口べたですが)。
 なお、メールの書き込みやネット送金などは、タンデム使用者である、妻・小夜子が、文字入力の苦手な私に代わって担当しております。
 夫婦共々よろしくお願いいたします。

情報部担当 土橋征之(どばし まさゆき)さん
 私は、今回新理事になりました、秋田県の土橋征之といいます。出身協会は、北海道盲導犬協会で、現在2頭目のパートナー、オール(オス7歳)と暮らしています。会のことはあまり分かりませんが、私が出来ることは協力していきたいと思いますので、どうかよろしくおねがいいたします。

会報部担当 金田福美(かなだ ふくみ)さん
 引き続き会報部を担当させて頂く事になりました。スキップが届く事を楽しみにして頂けるような、ほのぼのとした記事を掲載出来たらと考えています。宜しくお願い致します。

問題対策部担当 清水和行(しみず かずゆき)さん
 問題対策部を担当することになりました広島の清水和行です。入店拒否・乗車拒否などのトラブル、盲導犬使用上のマナーについてなど、盲導犬に関するあらゆる問題について何でもご相談ください。共に考えて行きましょう。

編集後記

 様々なところで節電が呼びかけられています。先日、久しぶりに出かけた新宿の通路も照明が落とされていました。ちょっと暗いぐらいでは特に不便を感じない人は多いでしょうけれど、弱視の方には、かなり危険な街になっているのに驚きました。

 先日、こんなたとえ話を聞いてきました。視覚障がい者人口が圧倒的に多い町があったとします。そこの市長は視覚障がい者です。市長は多数派市民である視覚障がい者に合わせた町づくりを進めます。その町では少数派の晴眼者が、「町に街灯をつけてもっと明るくしてほしい」と市長に陳情に行きます。すると市長が答えます。「市の財政上すぐには対応できない。暗いから困るという市民は少数なのだからガマンしてください」

 思わず笑ってしまいましたが、“視覚障がい者=照明は不要”という誤解の上に成り立っているこのたとえ話。笑いが引っ込んでしまいました。(久保)