『盲導犬情報』 第9号 〜認定NPO法人全国盲導犬施設連合会 情報誌〜

盲導犬情報 第9号



内容



「身体障害者補助犬法成立10周年記念シンポジウム」について

 5月22日(火)、身体障害者補助犬を推進する議員の会主催による「身体障害者補助犬法成立10周年記念シンポジウム」が衆議院第一議員会館にて開催され、国会議員の方や補助犬使用者、その他関係者、総勢160名が参加しました。

 このシンポジウムは、第一部「身体障害者補助犬の10年の歩みとこれから」、第二部「医療機関での現状と今後の取り組み」の二部構成で開催され、日本獣医師会や厚生労働省などの方々からの挨拶や、補助犬使用者の体験談、医療関係者からの調査報告、最後に参加者とのディスカッションの時間もあり、会場は大いに盛り上がりました。

 中でも厚生労働省の方から、
「補助犬は事業者がきちんと訓練した犬である、ということを、もう少し国民の皆様に分かっていただきたいと思っています。また、苦情窓口、その中身についても集約し、国民の皆様へわかりやすくフィードバックすることも今後に向けた宿題です。」
と補助犬受け入れに関しての厚生労働省の取り組みについて、お話がありました。

 今回の『盲導犬情報』では、補助犬使用者の皆様が、医療機関の補助犬同伴受入が、スムーズに進むよう、このシンポジウムの第二部「医療機関での現状と今後の取り組み」の中で、補助犬使用者の方がお話されていた体験談をご紹介します。

【聴導犬使用者】松本江理さん

 私は子供を出産する時に、入院生活を聴導犬と一緒に病院で送ることができました。
 それまでかかっていた病院は、事前にお話をしておいたにも関わらず、行く度に入り口で呼び止められて許可が出るまで待たされ、説明を求められる、という経験をずっとしていたのですが、出産をした病院では、私の病室に毎日のように聴導犬が通うことができました。
 私自身が、入院中は犬の排泄等の世話ができなかったので、犬の世話は家族にお願いをしていたのですが、赤ちゃんとの生活が聴導犬にとっては仕事にもなりますので、赤ちゃんとの生活を覚える、慣れることも必要です。ですから、入院中から毎日のように聴導犬を病院に連れてきてもらい、1日一緒に生活をして帰っていく、という生活を送っていました。
 そして、最後の二晩だけ「聴導犬と一緒に夜も過ごしてみましょう」と病院側から提案をいただきました。聴導犬も一緒に宿泊した結果、夜、赤ちゃんが泣いていた時に、聴導犬が起こしてくれたので、授乳や世話をきちんとすることができました。
 このような病院が数多く増え、どなたも安心して通院や入院ができることを願っております。

【盲導犬使用者】清水和行さん

 4年程前、グランドソフトボールの試合中に足を骨折、病院で手術を受けました。骨折は、骨がある程度くっつけば退院できるのですが、目が見えない状態での松葉づえは危険です。そのため病院に相談したところ、「ちゃんと歩けるようになるまで退院せずに、リハビリをしましょう」ということになりました。
 左足の骨折だったので、右松葉づえ、左でハーネスを持ち、そして、盲導犬はゆっくり歩けるように再訓練をしていただきました。病院に盲導犬を連れてきて、昼間、リハビリの時間に作業療法士が付き添いの元、まずは病院周りから、そしてバスの乗り降りも指導をいただき、私が1人で歩けるようになるのを確認してから、退院させていただきました。
 入院中は6人部屋でしたが、同室の方へは病院から許可を取っていただき、昼間は盲導犬と一緒に病室で過ごしました。おかげで、時間のあるときはいつでも歩く練習ができました。夜は、犬の排泄のために同室の寝ている方に迷惑をかけてはいけないと考え、盲導犬はショートステイのボランティアへお願いしました。退院後すぐに通勤できたのも、医療機関のおかげです。

【介助犬使用者】木村佳友さん

 私は、入院経験はありませんが、補助犬法が出来る前、もともと通院していた病院に、「これから介助犬と生活するので、病院にも介助犬を連れていきたい」と相談したところ、「周知徹底するので、1か月後の診察からOKです。」という返事がありました。院内に周知徹底していただいたおかげで、通院では、介助犬同伴で、診察を受けることができるようになりました。
 そして、2年前から地元の市立病院に通っていますが、今は受け入れも義務化されたので、この病院の入り口には補助犬同伴可のシールもポスターも貼ってあります。そして私の診察券には、「補助犬」というシールを貼ってくれています。その診察券を出すことにより、犬を見なくても、「この人は介助犬を連れている」ということが、看護師さん、受付の人、お医者様、皆様にお分かりいただけるので、私への対応も、動きの少ないように呼び出しは直前に、待合室も広いところに案内していただく等、ご配慮をいただいております。

身体障害者補助犬法に係る都道府県・政令指定都市・中核市
相談窓口設置一覧

 2008年4月1日、各都道府県・政令指定都市・中核市に相談窓口が設置されることになりました。相談窓口では補助犬ユーザーや受け入れ側施設の管理者、事業者からの相談・苦情を受け、助言、指導、必要に応じて育成団体等に対し資料の送付、情報の提供、その他の協力を求めることになっています。
 『盲導犬情報』創刊号(2008年9月)でも紹介しましたが、改めて本号にて相談窓口の設置部署とその連絡先電話番号を掲載します。なお、相談窓口に連絡する際は、「いつ」、「どこで」、「だれが」、「どういう立場で」「どうしたか」について、なるべく明確に伝えられるようにしておきましょう。

身体障害者補助犬法担当窓口一覧

【都道府県】
【政令指定都市】
【中核市】

補助犬育成補助事業実施状況について

 特定非営利活動法人日本介助犬アカデミーでは、毎年、都道府県・政令指定都市・中核市を対象に、補助犬育成補助事業実施実態調査を行い、その結果について「補助犬育成補助事業実施実態調査報告書」にまとめています。今回、日本介助犬アカデミーの承諾を得て調査報告書の概要をご紹介します。

1.2011年度補助犬育成補助事業実施実態調査の結果

(1)2011年度補助犬育成補助事業の実施状況(見込み含む)

※回答が未記入の場合は、実施なし件数に含めた

(2)都道府県別の盲導犬育成補助事業実施頭数と1頭あたりの助成金額
(3)2012年度補助犬育成補助事業の実施予定

※回答未記入の場合は、未定件数に含めた。

(4)補助犬育成補助事業の助成金交付先
(5)補助犬に関する相談・苦情等の受付の有無

2.補助犬に関する助成施策・育成補助事業等の実施状況

A.都道府県
B.政令指定都市
C.中核市

盲導犬情報ボックス

都道府県別 日本の盲導犬実働数

 社会福祉法人日本盲人社会福祉施設協議会自立支援施設部会盲導犬委員会の「2011年度盲導犬訓練施設年次報告書」より2012年 3月31日現在の日本の盲導犬実働数は、次のようになりました。
1頭の盲導犬を夫婦2人で使用するタンデム方式により、実働数と使用者数に違いがある地域は、カッコで横に使用者数を併記しました。

 2012年 3月末現在、全国の盲導犬実働数は、1043頭。2011年 3月末の盲導犬実働数は1067頭だったので、昨年に続き盲導犬実働数は減少しました。
盲導犬実働数に、1頭の盲導犬を夫婦二人で使用するタンデム方式の盲導犬使用者21組を加え、盲導犬使用者数を算出してみると、日本国内で盲導犬を使用している視覚障がい者は 1064人となりました。
 なお、タンデム使用者を地域別にみると、
都道府県別では、兵庫県 3組、広島県、山口県に各 2組の他、北海道、福島県、東京都、山梨県、長野県、愛知県、大阪府、和歌山県、鳥取県、岡山県、福岡県、熊本県、宮崎県、鹿児島県に各1組おられます。
 国内の指定法人が1年間に育成した盲導犬の頭数は 136頭。うち新規の使用者のパートナーとなった盲導犬は59頭、代替えは77頭で、年間育成頭数の56.6%が代替えとなっています。

編集後記

平成24年5月22日に開催された「身体障害者補助犬法成立10周年記念シンポジウム」では、補助犬使用者3名の体験談があり、その中で補助犬法ができる前の話として、外出したときに行った先のお店、施設の担当者の方の好意にすがる状態で受け入れていただいていた、という話がありました。
このため、「身体障害者補助犬法」が出来たことにより、補助犬使用者の皆様が、さまざまなお店、施設、電車やバスなど気がねなく利用できるようになったことは大変喜ばしいことです。
さらにこの法律では、訓練事業者が守らなければいけないこと、補助犬使用者が守らなければいけないことも、明記されています。
訓練事業者は、補助犬として適性のある犬を選択し、必要とする身体障がい者の状況に合わせた訓練を行い、質の高い補助犬を育成しなければなりません。そして補助犬使用者も、補助犬が他人に迷惑を及ぼすことがないよう、その行動を十分管理しなければならないこと、補助犬を清潔に保つとともに、予防接種及び検診を受けさせることにより、他人に公衆衛生上の危害を生じさせないよう努めなければならないとされています。
補助犬法は成立するまでに、多くの方のご協力、ご支援で成立した法律です。皆様の努力の結晶である「身体障害者補助犬法」を、受け入れ側・訓練事業者・補助犬使用者、それぞれ皆がルールとマナーを守り定着させていくことが大切です。(浜田)