『盲導犬情報』 第11号 〜認定NPO法人全国盲導犬施設連合会 情報誌〜

盲導犬情報 第11号



内容

  1. 身体障害者補助犬を推進する議員の会総会について
  2. 厚生労働省の医療機関向け補助犬受け入れマニュアルについて
  3. 「ぼくも一緒 みんなも一緒」リーフレットの紹介
  4. 補助犬育成補助事業実施状況について
  5. 盲導犬ユーザーのコーナー
     全日本盲導犬使用者の会 北海道交流会に参加して 旭川市 加藤 健二
  6. 盲導犬情報ボックス
     日本の盲導犬実働数
  7. 前号の訂正と編集後記


1. 身体障害者補助犬を推進する議員の会総会について

 平成25年6月5日、超党派の国会議員でつくる身体障害者補助犬を推進する議員の会(補助犬議連)の総会が開かれ、新しく会長に就任した尾辻秀久議員も同席し、勉強会も行われました。

尾辻秀久新会長の挨拶のあとの勉強会では、まず「補助犬法の現状と課題」として、日本介助犬アカデミー碾僕Щ卆賁獲事より、①補助犬議連のあゆみ、②補助犬法の経緯と経過、③法律の内容等についての説明がありました。説明の中で、「盲導犬と比べて介助犬・聴導犬は訓練者の資格制度が不十分で格差があること」、「訓練事業者が届出制の為、実態把握が困難であること」、「交通機関での訓練犬の訓練体制が無いこと」、などを補助犬の課題として挙げられていました。

そのあと、補助犬使用者として出席された盲導犬使用者の清水和行さん、聴導犬使用者の松本江里さん、介助犬使用者の木村佳友さん、それぞれから「ユーザーを取り巻く現状と課題」と題し報告がありました。中でも盲導犬使用者の清水和行さんは、盲導犬の働きや補助犬法の課題についてのスピーチと一緒に、盲導犬との歩行についてデモンストレーションを披露し、実際にパートナーの盲導犬と会場内を一周しました。椅子と椅子の間をスムーズに歩行する清水さんと盲導犬の姿に、参加者からも感嘆の声があがりました。

今回は、「身体障害者補助犬とは何か」という内容の勉強会でしたので、聴導犬使用者松本さん、介助犬使用者木村さんからも、それぞれの障害についてや、補助犬の仕事・果たす役割などについて、詳しい説明を行いました。

中でも介助犬使用者木村さんからの「補助犬法は、成立当初はマスコミに取り上げられたり、企業の研修等に取り入れられたりしたので、一時的に認知はされていたが、最近はむしろ認知度が下がっているというデータがある」、「ただ時間が経つだけでは認知度は上がらない」という報告を受け、出席者の生方議員は閉会の挨拶で「補助犬法について、成立した当初よりも認知度が下がっていることが非常にショックである。今後より一層周知徹底をしていきたい」と述べていらっしゃいました。

盲導犬に限らず、補助犬に関わる団体・関係者、そしてユーザーの皆様で、身体障害者補助犬法の更なる周知に取り組んでいきましょう。

2. 厚生労働省の医療機関向け補助犬受け入れマニュアルについて

 引き続き行われた補助犬議連総会で、厚生労働省 君島自立支援振興室長より、医療機関向けの補助犬受け入れマニュアルの進捗状況について説明がありました。このマニュアルは、厚生労働省が医療機関に向け、補助犬ユーザーをスムーズに受け入れていただくことを目的とし作成しました。総会開催の段階では君島自立支援振興室長より「間もなく、厚労省のホームページへアップできるよう進めている」と報告があり、「身体障害者補助犬ユーザーの受け入れを円滑にするために(サブタイトルは、医療機関に考慮していただきたいこと)」と題した医療機関向けマニュアル案の表紙と裏表紙が参考資料として配布されましたが、現在は、厚生労働省のホームページに掲載され、誰でもダウンロードが可能になっております。PDF版とテキスト版、どちらも用意されています。

内容は「身体障害者補助犬とは」という基本的な補助犬の知識から「補助犬を受け入れるための体制づくり」、「受け入れの範囲や方法」など補助犬使用者を受け入れる上で考慮頂きたい点についてなどが詳しく載っています。また「補助犬ユーザーへの対応」という項目に、補助犬使用者のサポート方法も載っていますので、医療機関の皆様以外にも、役立つ情報が満載です。ぜひ皆様もご一読されてみてはいかがでしょうか。

3.「ぼくも一緒 みんなも一緒」リーフレットの紹介

「身体障害者補助犬法」の改正により、2008年4月1日から、都道府県・政令指定都市・中核市において、相談窓口が設置されたことを受け、当連合会では、この設置窓口を一覧にして、携帯できるよう手帳サイズのリーフレットを作成し、盲導犬ユーザーの皆様にお配りしております。

表(おもて)の内容には、身体障害者補助犬法や盲導犬について、また盲導犬を連れたお客様が施設を利用しようとする際にどのような対応が望ましいかについて簡単な説明を載せ、裏面には、都道府県・政令指定都市・中核市の相談窓口一覧を掲載しています。

お店で利用を断られた時、あるいはお店の人が入店できることを知らなかった時など、お店の人に手渡し、理解を求めることを目的に作成したものです。

今号では、「ぼくも一緒 みんなも一緒」の内容をご紹介いたします。送付をご希望の際は、全国盲導犬施設連合会(03-5367-9770)まで、ご連絡ください。

<リーフレットの内容>

表紙

ぼくも一緒 みんなも一緒
現在、身体障害者補助犬法施行により、身体障害者補助犬の同伴を理由に入店・利用を拒むことはできません。補助犬同伴にかかわらず誰もが気持ち良く入店・利用できるようご配慮ください。
認定NPO法人全国盲導犬施設連合会

2ページ

○身体障害者補助犬法とは
身体障害者補助犬とは
補助犬とは「盲導犬」「聴導犬」「介助犬」のことで、それぞれ国が指定した法人から認定を受けている犬のことをいいます。
○法律の内容
公共施設、公共交通機関、お店、宿泊施設、病院など、不特定かつ多数の人が利用する施設の管理者は、その施設を身体障害者が利用する場合、補助犬を同伴することを拒んではいけないとしています。(第7.8.9条) これらの施設の管理者は、法律の趣旨、内容を理解するとともに、受付の職員はもちろん、全ての職員に周知する必要があります。
※平成19年の法改正で、障害者雇用促進法の適用の職場(従業員56名以上)では補助犬同伴で勤務ができるようになりました。(第10条)

3ページ

盲導犬とは
○盲導犬は国家公安委員会が指定した公益法人が訓練・認定した犬のことをいい、盲導犬使用者はその公益法人で盲導犬使用者として必要な技術を習得したと認められる視覚障害者です。
○盲導犬の体には見やすい位置に「盲導犬」の表示をしたハーネス(胴輪)をつけています。(第12条 第1項)
○盲導犬使用者は厚生労働省令で定める書類「盲導犬使用者証」「身体障害者補助犬健康管理記録」を携帯しています。関係者の請求がある時には、これを提示することが法律で義務づけられています。(第12条 第2項)

4ページ

お客様への対応
○盲導犬の適切な管理責任は基本的にその使用者にあります。
(第13.22条)
 もし、管理が適切ではないと思われる場合は、使用者にそのことを告げ、使用者に対処してもらうようにしてください。
○盲導犬のための特別な施設・設備は必要ありません。盲導犬の食事や世話も使用者自身が行います。
○他のお客様からクレームがあった場合、「身体障害者補助犬法」に基づいて対応していることを説明してください。もし、犬アレルギーや極端に犬の嫌いなお客様がいらっしゃる場合にはどちらかの席を離れた場所に誘導してください。

さらに詳しく知りたい方は全国盲導犬施設連合会 http://www.gd-rengokai.jp/ もしくは、厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/syakai/hojyoken/  をご覧下さい。

リーフレット内容は以上ですが、「ぼくも一緒 みんなも一緒」の裏面には「盲導犬受け入れに関する問い合わせ・トラブル」の問合せ先として、北海道から沖縄県までの自治体問い合わせ窓口の電話番号を掲載しています。また、全国の盲導犬協会の電話番号も載っておりますので、盲導犬に関する問い合わせ先についてもすぐにわかるリーフレットです。

 盲導犬ユーザーの皆様に、ぜひご活用いただきたいと思いますので、お気軽に全国盲導犬施設連合会(03-5367-9770)へご連絡ください。

4. 補助犬育成補助事業実施状況について

 特定非営利活動法人日本介助犬アカデミーでは、毎年、都道府県・政令指定都市・中核市に、補助犬育成補助事業実施実態調査を行い、その結果を「補助犬育成補助事業実施実態調査報告書」にまとめています。今回、その調査報告書の概要をご紹介します。

1. 2012年度補助犬育成補助事業実施実態調査の結果

(1)2012年度 補助犬育成補助事業の実施状況(見込み含む)

※回答が未記入の場合は、実施なし件数に含めました。

(2)都道府県別の盲導犬育成補助事業実施頭数と1頭あたりの助成金額
(3)2013年度補助犬育成補助事業の実施予定

※回答未記入の場合は、未定件数に含めました。

(4)補助犬育成補助事業の助成金交付先
(5)補助犬に関する相談・苦情等の受付の有無

【都道府県】

【政令都市・中核市】

2. 補助犬に関する助成施策・育成補助事業等の実施状況

A. 都道府県
山形県:
県獣医師会実施の「介護補助犬健康管理支援事業」で年2回の健康診断、狂犬病予防注射、混合ワクチン注射、犬フィラリア予防薬の投与をそれぞれ無料で実施
福島県:
盲導犬の予防接種を助成
埼玉県:
補助犬使用者に対し、補助犬の健康管理及び疾病等に要した費用の一部を助成
福井県:
身体障害者補助犬衛生管理事業
県獣医師会に補助犬の健康管理を委託(1頭あたり38,000円助成)
長野県:
県動物愛護センターにおいて、補助犬の定期健康診断を希望者に無料実施
鳥取県:
予防接種代助成(狂犬病予防@3,000円、9種混合ワクチン@8,500円)
香川県:
健康診断、予防接種等の費用を2万円を上限として助成
高知県:
同一年度内に2件以上の補助犬給付の希望があった場合、2件目以降は、(財)高知県身体障害者連合会の基金による助成が可能
財団法人高知県身体障害者連合会が、共同訓練のための往復の旅費(1往復分)を助成
B. 政令指定都市
仙台市:
仙台市身体障害者補助犬飼料給付事業、市内の補助犬使用者に対して、現物による飼料の給付を行っている。(所得制限有)
横浜市:
補助犬の定期検診等の助成
名古屋市:
身体障害者補助犬手帳1〜3級の方で、補助犬等にかかる登録申請手数料(3,000円)、狂犬病予防注射済票交付手数料(550円)、犬の鑑札の再交付手数料(1,600円)、及び狂犬病予防注射済票再交付手数料(340円)の免除
補助犬の使用に必要な費用の一部を助成(月額4,800円以内)但し所得制限あり
岡山市:
岡山市障害者助成事業(補助犬飼育費用助成)月額6,000円
北九州市:
市内の視覚障害者が盲導犬貸与を受けた際に、公益財団法人 九州盲導犬協会に対して、1頭につき50万円の補助金を交付
C. 中核市
宇都宮市:
「身体障がい者補助犬導入等補助事業」を実施
身体障がい者が補助犬を導入しようとする場合、導入時及び導入の次年度から5年間の管理に係る費用の一部を補助、また補助犬育成に要する経費の一部を負担
長野市:
飼育費の助成、補助犬を使用する訓練を受ける場合の交通費助成、登録手数料の減免、予防注射済発行手数料の減免
豊田市:
狂犬病予防注射済票交付(再交付)手数料、犬の鑑札の再交付手数料の免除
姫路市:
姫路市身体障害者補助犬健康管理費支給事業
尼崎市:
尼崎市動物愛護センターにて飼犬登録手数料・予防注射料の減免
奈良市:
身体障害者補助犬に係る犬の鑑札の再交付、狂犬病予防注射済交付・再交付手数料の免除
倉敷市:
餌代の助成
大分市:
盲導犬の貸与が決定した視覚障害者に対する訓練に要する交通費の助成制度あり

5. 盲導犬ユーザーのコーナー

全日本盲導犬使用者の会 北海道交流会に参加して

旭川市 加藤 健二

私は旭川市内の自宅で、40年前からマッサージと鍼灸の治療院を開業しながら、盲導犬を使って生活しています。現在使っている盲導犬は6頭目のはる号、5才です。

 私の妻、智津子も盲導犬使用者で、全日本盲導犬使用者の会から北海道交流会の案内をいただいた3月の時点では、12才のセーラ号を使っておりました。セーラ号はこの春(5月か6月)には引退させて、次の盲導犬との共同訓練に入る予定になっておりました。

 交流会の日程を見ると、セーラ号にとって負担が大きいように感じたので、もしその時まで現役で働いていた場合は、一時的に盲導犬協会に預けて参加することにしました。

 そして横浜にいる娘にも、全国の盲導犬使用者が一堂に集まる交流会があることと、しばらく会っていないので近況などを聞きたいため、私たちと一緒に小樽の観光をしてみないかと誘ってみると、仕事の調整をして休みをもらい参加したいと言ってくれたので、トリプルという3人で泊まれる部屋を取ってもらい、参加することになりました。

 それからしばらくたって智津子に、次の盲導犬との共同訓練の日程が5月13日から26日までに決まったとの連絡が、北海道盲導犬協会から入りました。

 やがて、智津子にとって4頭目となるブーケ号との2週間の共同訓練を終え、修了証書をいただいたのが、北海道交流会の6日前の5月26日のことでした。
そしていよいよ6月1日、北海道交流会の当日となりました。
旭川の自宅を、前の日に来てくれた娘の裕子と、5才になる私の盲導犬はる号、それに訓練終了間もない智津子の盲導犬ブーケ号と私たちの、3人と2頭で出発しました。
ところで私は、この交流会の日程をいただいた時から、3日目の大倉山ウインタースポーツミュージアム見学の前後に空き時間を見つけ、うまくいけばリフトを使わずに歩いて頂上まで登っていけるのではないかと思っていました。
幸いなことに当日は、昼食を先に済ませるグループになったので、ゆっくり登り、展望台や頂上の駅などを見て、下りも落ち着いて下りることができました。
最後に、3日間を通して天気に恵まれ、たくさんの人たちと有意義な交流ができましたことを感謝しつつ、ペンを置きたいと思います。

  平成25年7月29日 加藤 健二

6. 盲導犬情報ボックス

都道府県別 日本の盲導犬実働数

 2013年 3月31日現在の日本の盲導犬実働数は、次のようになりました。「社会福祉法人日本盲人社会福祉施設協議会 自立支援施設部会盲導犬委員会 2012年度盲導犬訓練施設年次報告書」より。

 2013年 3月末現在、全国の盲導犬実働数は、1013頭です。2012年 3月末の盲導犬実働数は1043頭でしたので、昨年に続き盲導犬実働数は減少しました。
また、盲導犬実働数1013頭に、1頭の盲導犬を夫婦二人で使用するタンデム方式の盲導犬使用者26組を加え、盲導犬使用者数を算出してみると、日本国内で盲導犬を使用している視覚障がい者の方は 1039人です。
1頭の盲導犬を夫婦2人で使用するタンデム方式により、実働数と使用者数に違いがある地域は、カッコで横に使用者数を併記しました。

 なお、タンデム使用者を地域別にみると、 都道府県別では、兵庫県 、岡山県に各3組、山梨県、広島県、山口県に各 2組の他、北海道、福島県、東京都、長野県、愛知県、滋賀県、大阪府、和歌山県、鳥取県、島根県、福岡県、熊本県、宮崎県、鹿児島県に各1組おられます。

 国内の指定法人が1年間に育成した盲導犬の頭数は 125頭。うち新規の使用者のパートナーとなった盲導犬は41頭、代替えは84頭で、年間育成頭数の67.2%が代替えとなっています。

7. 前号の訂正と編集後記

〇前号の訂正
『盲導犬情報』第10号掲載の2012年度資格認定事業の実施状況について誤りがありました。資格認定者の人数を盲導犬訓練士9名、盲導犬歩行指導員3名と記載しておりましたが、正しくは盲導犬訓練士9名、盲導犬歩行指導員が1名増えて4名の資格を認定いたしました。 お詫びして訂正いたします。

〇編集後記
盲導犬ユーザーのコーナーで紹介のありました、全日本盲導犬使用者の会の北海道大会へは、当連合会職員も2名スタッフとして参加しました。日本全国各地からこの大会に集まったユーザーと盲導犬は、なんと95組でした。現在、日本で実働している盲導犬の数は約1000頭ですので、そのうちの約1割が、大会期間中は北海道に集結していたことになります。普段、出会う機会が少ない盲導犬を100頭近くも一度に目にする機会は、なかなかないことです。とても大きな啓発活動に、つながったのではないでしょうか。参加されたユーザーの皆様、そして各盲導犬施設から参加したスタッフの皆様、お疲れ様でした。