『盲導犬情報』 第14号 〜認定NPO法人全国盲導犬施設連合会 情報誌〜

盲導犬情報 第14号

2.盲導犬貸与についてのQ&A

 今号の1で掲載した「盲導犬協会に関するアンケート」では拾いきれなかったもう少し具体的な内容を、Q&A方式でご紹介します。実際の盲導犬ユーザーの声も紹介していますので、ぜひご一読ください。

Q1:今まで犬を飼ったことがありません。盲導犬がちゃんということを聞いてくれるのか、吠えたりして迷惑をかけないか心配です。
A1:盲導犬ユーザーの中には初めて犬を飼ったという人もたくさんおられますが、盲導犬になる犬はもともとおとなしく、飼い主に従順ですので、たいていの方は抵抗なく接することができます。また、むやみに吠える犬は盲導犬にしない他、無駄吠えしないように躾されており、盲導犬への指示や飼い方なども訓練士が丁寧にご指導しますので、心配ありません。

Q2:盲導犬の世話は大変と聞きますが、できるかどうか心配です。
A2:毎日しなければならない世話は食事と排泄の処理です。食事は一日2回。排泄は一日4〜6回、食後や出かける前、就寝前に行います。また日課としてブラッシングしたりタオルで体を拭きます。犬の体を清潔に保ち、外出先での抜け毛を防ぐためです。
適度の運動も必要ですから、外出の無い日でも、出来れば盲導犬と歩いたほうがいいでしょう。こうした世話は盲導犬のためであると同時に、自身の健康生活にもつながり、また世話をすることでやりがいや盲導犬との信頼関係が増してふれ合いが楽しみになるとユーザーの方々はおっしゃいます。

◆盲導犬ユーザーのコメント 廣木由美子さん&盲導犬イブ◆
 盲導犬貸与後は、犬にとって新しい環境の中での生活になります。世話に慣れるまで解らない事などがあると思います。初めは犬のペースがつかめず、排泄では自分の思いと犬の行動とが中々合わずイライラしたりしましたが、毎日の世話や触れ合う事で、信頼関係が深まり犬もユーザーも解りあえてきます。訓練時のルールを守り世話を上手に生活に組み込んでいけば、当たりまえに出来る様になります。訓練中には見せない犬の新たな発見があり面白く楽しくなり、かけがいのないパートナーになります。

Q3:盲導犬は目的地に連れて行ってくれるわけではないと聞いています。盲導犬は何をしてくれるのですか?

A3:盲導犬の主な仕事は

◆盲導犬ユーザーのコメント 井上孝江さん&盲導犬アビー◆
 白杖歩行時には、塀から飛出た枝で目を突き病院へ行ったり、跳ね上がった車のトランクに顔面を打ちそうになったりと大変怖い思いをしてきました。しかし、盲導犬と共に歩くようになってからは、高い位置での障害物も上手に避けてくれるので、以前の様な恐怖は一度も無くなりました。
 また、暑い日や寒い日の白杖歩行での外出は大変億劫でしたが、アビーとの歩行はまるで家族と一緒のような安心感を与えてくれ、とても楽しくなりました。

Q4:盲導犬と暮らすとなるとどのくらいお金がかかるのか、具体的に教えてください。

A4:盲導犬は、ほとんどがラブラドール犬種ですので、大型犬を飼うと思っていただければよいと思います。
まず、盲導犬を持つまでには、育成団体や地域、購入物品などによって金額は異なりますが、主には次のような費用が必要となってきます。
訓練の為に利用する交通費、共同訓練中の食費や宿泊費(団体によっては無料のところもあります)、その他、盲導犬の為の犬具(犬用コートやブラッシング道具、ゲージなど)、等の購入費用が必要です。約7〜8万円ぐらいを想定しておかれたら良いかと思います。 盲導犬取得後にかかる費用としては、毎月のドッグフード代が5,000〜8,000円。獣医師の診察や予防薬の購入費用なども含めると、盲導犬にかかる出費は、月に平均1万円前後と言えるでしょうか。
そのほか、犬が病気になった場合の治療費が必要になりますが、高額の場合は協会が負担する場合もありますし、犬が仕事を継続することが難しい場合は引退させて次の盲導犬の貸与ということになります。
ハーネスやリード、コート代などの費用として、3〜4年おきに30,000円程度必要になります。(団体によっては、初回のみ無償支給の場合あり) また、地域によっては盲導犬の食費や取得時にかかる費用、診察費などの補助を受けることができます。詳しくは育成団体や所在の都道府県・市町村の障害福祉主管課にお尋ねください。

◆盲導犬ユーザーのコメント 楢木康博さん&盲導犬ギフト◆
 確かに犬を飼うとお金はかかります。餌代や毎月の健診代で1万5千円くらいでしょうか。犬具などは人によって違うと思いますが、僕の場合は年間1万円くらいですね。
 でも盲導犬にはそれ以上の価値があります。それは好きな時に好きな場所に行ける自由が得られること。趣味のコンサートや気晴らしの散歩、外食など、誰にも気兼ねせずに出かけられる喜びは、これらの出費をふまえても代え難いものなのです。

Q5:盲導犬の受け入れの状況は実際どうなんでしょうか。盲導犬がいることでかえって足かせになる場合もあると聞いています。
A5:2002年に「身体障害者補助犬法」が施行されて以降、法律では受け入れの義務化が言われていますが、周知徹底されていないなどの問題もありました。そこで国の責任でマニュアルを作成して広報に努めるなど、受け入れ促進の対策は進んできています。
また、実際に受け入れ拒否にあった場合には、育成団体、各都道府県・指定都市・中核市の障害福祉担当課苦情相談窓口から、盲導犬への理解と受入れをしていただくように迅速に対応いたしますので、ご相談ください。

 いかがでしたか?盲導犬を持つにあたっての疑問、不安な点が少し解消されたでしょうか。これから盲導犬を持つことを検討されている皆様にとって、少しでも参考になれば嬉しいです。
この他にも、「こんな場合はどうしたらいいの?」、「こういう時、育成団体はどう対応してくれるの?」といった、わからないこと、質問がございましたら、お近くの盲導犬育成団体、もしくは全国盲導犬施設連合会へお気軽にご連絡ください。

3.盲導犬ハンドブックの紹介

 全国盲導犬施設連合会では、各種商業、公共施設で盲導犬を受け入れる際の対応方法をご案内するパンフレット「盲導犬ハンドブック」をリニューアル作成しました。
 B5サイズで全32ページと、読み応えのあるパンフレットです。
 紙面スペースの都合上、盲導犬情報で全文の紹介はできませんが、抜粋して「デパート・スーパーなどに来店したとき」という項目の内容をご紹介します。

■デパート・スーパーなどに来店したとき

デパート・スーパーなどのスタッフの皆さまへ
盲導犬は、商品を選ぶなど買い物をするために特別な役割を果たしている訳ではありません。目の見える人が買い物をする場合、商品を選ぶにあたっては、目から入る情報で決定することがほとんどです。視覚障害者が適切な商品を選ぶためには、目の見える人の手伝いが必要ですのでご協力をお願いします。

1.大切なことは、あなたが視覚障害者の目の代わりになるということです。
2.お客様が買い物について、どういうことを要求しているか確認してください。

  その他の点については、相手の希望を聴きながら、臨機応変に対応してください。

3.商品は必ず手渡し、本人に買い物かごに入れてもらってください。
4.金銭の受け渡しのときには、必ず声を出してお金の種類と金額を確認してください。
5.買い物が終わったら、必ず視覚障害者が、自分のいる位置がわかる場所まで手引きしてください。また別れるときは、店のどの出口にいて、どちら向きで立っているか、といったことも説明してください。
6.盲導犬使用者の誘導について

〔嫺蓋せ藩兌圓法屬手伝いしましょうか」などと声をかけていただいて誘導の必要がある
  かどうかを確認してください。
⇒尭海魄様蠅気譴疹豺腓砲蓮▲蓮璽優垢鮖つ手の反対側の半歩前に立ち、誘導者のひ
  じを軽くつかんでもらい(使用者の背が高い場合は肩に軽く手をかけてもらう)歩いてくだ
  さい。
M尭海垢訃豺隋決して使用者を抱えたり、後ろから押したり、また衣服、腕、白杖、ハー
  ネスをつかんだりしないでください。
ね尭骸圓蓮∋藩兌圓砲箸辰禿切な速度で歩いてください。この速さでよいかと、たずねて
  いただくのも良いでしょう。
ネ尭骸圓蓮適切な時点で周りの状況についての説明や注意をしてください。
ν尭海垢訃豺隋△海譴ら歩こうとする状況について、事前に説明してください。この際は
  決して「あちら」「こちら」という言葉を使用せず、「○○メートル先を右(左)に曲がります」
  など、より具体的に説明してください。

 「デパート・スーパーなどに来店したとき」の内容は以上です。盲導犬ハンドブックではこの他にも、レストランやホテル、レジャー施設、美容院、電車、バス等あらゆる施設を視覚障害者の方が盲導犬同伴で利用する際、受け入れ側の皆様がどのように受け入れれば良いか、その案内方法をイラスト付きでわかりやすくまとめています。
 当連合会では、あらゆる場所で他のお客様と同じように盲導犬ユーザーも受け入れられる社会を目指し、盲導犬ハンドブックを事業者の皆様へ向けて積極的に配布していきます。

4.盲導犬情報ボックス

○盲導犬に関する文献
 2014年1月から2014年12月に発行された盲導犬について書かれた書籍や盲導犬が登場する書籍、盲導犬について取り上げている論文等を調べてみましたので、ご紹介します。なお、大学や学会などで発表された論文については、なかなか把握できなかったので、他の文献をご存じの方はぜひお知らせください。
 昨年3月発行の12号では2014年2月までに発行された書籍・論文を掲載しましたので、12号と内容が重複しているものもありますが、ご了承ください。

【書籍】

『まぶしいよ!! パーシャ、ドゥーリーがわたしにくれた日々』靄棔‐校辧淵筌泪廛蕁2014年01月【音声デイジー・点字データ】

『きみと歩けば…』 出口すみ子 (著) 出口汪 (監修) (水王舎)2014年02月 【音声デイジー・点字データ】

『エルと過ごした9か月―盲導犬のたまごがくれたもの』鹿目 けい子【文】/松村 沙耶香【監修】(国土社)2014年11月【音声デイジー着手・点字データ着手】

【一部、盲導犬が取り上げられている書籍】  『イヌのなみだ―犬と人の涙あふれる17の物語』イヌのなみだ製作委員会【編】(アース・スターエンターテイメント)2014年01月

『キミとであった日。』わんこ大スキ委員会【作】(汐文社)2014年10月

『Wonderful Story』伊坂(いさか) 幸犬郎(こういぬろう)/犬崎(いぬさき) 梢(こずえ)/木下(きのした) 半犬(はんいぬ)/横関(よこぜき) 犬(いぬ)/貫井(ぬくい) ドッグ(どっぐ)郎(ろう)【著】(PHP研究所)2014年10月【音声デイジー着手・点字データ】

『犬たちからのメッセージ―涙がとまらない』ゆりあ【著】(ロングセラーズ)2014年12月【音声デイジー着手】

【コミック】  『ハッピー!ハッピー♪ <6> BE LOVE KC』 波間信子(講談社) 2014年02月

『ハッピー!ハッピー♪ <7> BE LOVE KC』 波間信子(講談社) 2014年11月

【論文】
 ・収録刊行物:日本補助犬科学研究 8(1) 2014年09月
  『飲食店での補助犬に対する意識調査と啓発活動の在り方の検討』水越美奈
  『医療系大学生の補助犬認知度に関する調査』三浦靖史
  『盲導犬使用者の動機についての調査』山川伊津子

○認定NPO法人全国盲導犬施設連合会からのお知らせ
(1)2014年度資格認定事業の実施状況
 全国盲導犬施設連合会では、盲導犬希望者が全国どこの施設から盲導犬の貸与を受けても、ほぼ一定水準の盲導犬や歩行指導などのサービス提供が得られるよう、盲導犬を育成する「盲導犬訓練士」と、盲導犬希望者へ盲導犬との歩行や生活を指導する「盲導犬歩行指導員」の資格認定事業を2007年度より行っております。2014年度は、筆記・実技試験を行った結果、3名の盲導犬訓練士、4名の盲導犬歩行指導員、合計7名の資格認定を行いました。

(2)2015年度の『デュエット』とポスターについて
 当連合会では盲導犬普及活動の一環として、毎年『デュエット』という広報誌とポスターを作成・発行しています。2015年度で当連合会は発足20周年となりますが今回のデュエットでは、多くの皆様からのご支援により盲導犬を得たユーザーからの声を掲載しています。盲導犬と共に歩く喜びや感謝の気持ち、困っていることや楽しいことなど、さまざまな声を紹介しました。デュエットを手に取った読者へ向けた、盲導犬ユーザーの皆様からのメッセージです。表紙は、ハーネスを付けた2頭のラブラドール犬が、芝生の上に並んで伏せている写真です。
 2015年度のポスターは、デュエットの表紙と同じ写真をメインで起用しています。上半分が写真、下半分はピンク色の背景のポスターです。
 ポスターのキャッチコピーは「いつも応援してくださる皆様へ 盲導犬をありがとう」です。キャッチコピーの下には次のような文章が書いてあります。

「気兼ねなく外出できるようになりました。
安心して街中を歩けるようになりました。
危機一髪を助けられました。
気持ちに潤いが出ました。
あなたのおかげで、盲導犬と出会えました。
皆様の温かいお気持ちにより1頭ずつ盲導犬は誕生し、視覚に障害のある方へお渡しすることができます。1頭の盲導犬を育てる為には、たくさんの皆様からの応援が必要です。盲導犬育成・普及に向け、ご支援ご協力をよろしくお願い申し上げます。」

 盲導犬ユーザーのシルエットや手紙の封筒のイラストも入っており、ポスターに関しても、ご覧いただいた方に向けた盲導犬ユーザーからのメッセージというイメージで作成しました。

 デュエットとポスターは、全国盲導犬施設連合会の募金箱を置いてくださっているスーパーなどで手にすることができます。広報誌は無料で配布しておりますが、置いてあるお店が近くにない場合は、連合会事務局(電話:03-5367-9770)にお問い合わせください。また、デュエットは、当連合会のホームページにPDF版も載っています。

5.前号の訂正

 「盲導犬情報」第13号掲載の「都道府県別 日本の盲導犬実働数」について訂正がございます。1頭の盲導犬を夫婦2人で使用するタンデム方式の使用者が在住する地域について、福岡県と熊本県にもそれぞれ1組ずついらっしゃるという情報をお寄せいただきました。前号では、福岡県は盲導犬24頭、熊本県は盲導犬9頭とご紹介しておりましたが、正しくは、福岡県は盲導犬が24頭で使用者は25人、熊本県は盲導犬が9頭で使用者が10人となります。タンデム使用者は日本全国で21組ではなく23組、日本の盲導犬使用者数は1031人ではなく、1033人となります。
なお、この数字は2014年3月31日現在の数字となります。ご了承ください。

6.編集後記

 来年度、当連合会は発足20周年を迎えます。長年にわたり当連合会を支えてくださった皆様へ、この場をお借りして心よりお礼申し上げます。発足20周年を節目として、盲導犬情報もより有益な情報をお届けしていきたいと考えておりますので、引き続きご支援賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。